逆転世界で言い寄られる話※愛重め   作:うえむらの友人

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あの子は私のモノ幕間

あの子が私の前から消えた、たった1人の愛する息子が

 

 

私の初恋の男の子はとても綺麗な黒髪で、宝石の様な瞳、果実に似た唇、どれもが神の造り給うた芸術品だった、女を見ると警戒する男しか居ない中で、彼は違った

まるで花を愛でる様に甘い言葉を投げ掛けてきた、これで好きにならない方が無理な話だ

彼が成人したら結婚を申し込もう、武人の家系である私には分不相応な程美しい存在だか、この熱意は誰にも止められない

 

そんな彼は成人の日を待たずに私の前から消えた、王都の貴族だかに見初められ半ば強引に奉公に出されたのだ、

私は恨んだ、権力を振りかざす貴族を、泣くばかりで何もしない彼の両親も、そして彼を救い出す事が出来ない自分を

 

それから私は血反吐を吐きながら己を鍛え、艱難辛苦を乗り越え、王の暗殺を防ぎ、密かに広がる邪教を粛清し、国境を脅かす魔物共を退け、ついに国の英雄と呼ばれる程の騎士になった、しかしこれはただの手段だ、私が全てを取り戻す為の

 

褒美として私が王に願ったのは二つ

求めたあの男の子、成人しそれは美しい青年になっているであろうあの初恋の子を婿に迎える事

そしてどんな土地でも構わないから荘園を寄越せと

楽園を築くのだ、私が庇護すると決めた存在だけが暮らせる理想郷をこの手に

 

 

彼と結ばれた私は子を授かった、きっと彼に似た美しい瞳の子になるだろう

荘園に建てた屋敷で仲睦まじく育てていこう

全てを取り戻しこれから全てを手に入れるのだ

 

しかしその後間もなく、彼は流行り病で呆気なく死んだ、薬も効かず熱も下がらず最後は意識も戻らず

 

 

彼を喪い私の世界が闇に包まれた

彼が残してくれたお腹の子がこの世界で唯一の光であり救いだった

そしてあの子が生まれた、綺麗な黒髪、宝石の様な瞳、果実に似た唇、全てが私が愛し焦がれたあの子に瓜二つ

彼は死んだのではない、私の子に生まれ変わり帰ってきてくれたのだ

今度は手放さい、もう離さない、この子は私のモノだ

荘園から一歩も出すものか、生まれ落ちて死ぬまで私の庇護の元で生きるのだ

誰からも愛され、そして無垢な好意を振りまく化け物にしよう、私の愛した彼がそうであった様に

 

 

そんな最愛の化け物が私の前から消えた

たった1枚の書き置きを残して

(冒険者になってきます)

 

おかしい

 

どこで何を間違えた

 

早く連れ戻さなければ、今にも惚れられてしまう

私の愛した彼がまた取られてしまう

まだ遠くには行ってない、捜索隊を結成して直ぐにでも発たなければ

 

そんな焦る私の屋敷に一通の書簡が早馬で届けられた

(伝令)

国境沿いに魔族の軍勢が集結

英雄殿に助勢を乞う

 

「こんの忙しい時にいぃぃぃぃい!」

断れば荘園の自治権に支障が出る

国境もここからそう遠くない位置で無視も出来ない

この忙しい時に魔族共め、皆殺しにしてくれる

 

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