逆転世界で言い寄られる話※愛重め   作:うえむらの友人

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逆転世界で魔族さんに詰め寄られます

長過ぎる時間と多大なる犠牲を払って人間共の領域まで送り届けてくれた同胞達よ、我は辿り着いたぞ

 

忌々しい人間共の埋葬地、ここで大規模反魂の儀式を行い死者の行進によって近隣の街を手始めに災禍を広げ都を攻め落とす、その為に我はここに来た

 

剣一つで大鬼を切り、瞬きの間に獣魔の一群を屠るあの剣鬼も砦で騎士団と共に確認された今、我を邪魔する輩は今この地に居ない

故にこの計画は成功する、人間を丹念に丁寧に殺し尽くし版図を塗り替えるのだ

 

儀式の最中一人の美麗な冒険者風の少年に見付かってしまったのも些細な事、邪魔するつもりならこの場で……この場でそのなんだ、婿に迎えてもいいかも知れん

高位の魔族には人を飼い慣らす者も少なくない、愛玩的なそれだうん、散っていった部下達の無念を晴らす為にこの少年を我の色香に染めるのも一興ではないか

 

しかしだ、この付随している雌の冒険者は許せん

貧相な身体つきに無愛想な顔、下賤な人という罪に更に我に歯向かおうとするその不遜な振る舞い、何よりも我の婿の前で雌の顔をするなこの不埒者め、三度土に還ろうと許さぬぞ

 

ええい術式は中断だ、まずはこの無礼な輩を抹殺してからゆっくりと愛を育くめば…術を再会すれば良いではないか大丈夫だ安心しろ散っていった部下達よ、挙式はお前達の慰霊碑前で執り行うと約束しようではないか

その前にはまずこの邪魔者を誅す必要がある、この死霊軍長である我自らの手で葬られる事を誇りに思うがいい!

 

 

 

 

と息巻いてみたもののコイツ中々手強いではないか、そもそも我のような死霊術師は前衛向きではないから、護衛の不死体やら死霊を呼び出し大規模魔法を撃つのが必勝なのだが、綺麗に清掃されたこの墓場では低位の召喚術式が使えん、おかしいぞ?つい先日の報せでは荒廃した墓地で死霊系統には最適な地だった筈

 

そのうえコイツは敏捷性に特化した職種らしく、用意した側から術式を阻害される、召喚も反魂も何もかも封じられ遂には魔族に与えられた屈強な肉体での戦闘を強いられる始末、千軍を率いる我がこの様に泥に塗れた戦いをするなどあり得ぬ、あってはならぬ!

 

今この局面で大事なのはこの冒険者を殺し、術式を完遂させ、婿殿を連れ帰る!たったこれだけだ、何も難しくはない、なのに何故こうも上手く行かない!こうなれば無理にでも目的を果たすしかない、ここまでの犠牲を無駄にする訳にはいかぬ

 

魔族を束ねる一軍の長として恥も外聞を捨てさり、一瞬の隙を突いて少年に詰め寄り、完遂後に使う予定だった転移の希石を砕いた

腹立たしいがこの場でこの冒険者を殺す事も、術式を完遂する事も出来ないと判断しての最善策、婿殿だけは連れ帰るのだ

「一緒に帰ろう、懐かしい未来へ」




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