アフタータイムでオルガマリー所長とぐだマシュが愛し合う話 作:ぐだこ
再びの南極カルデア生活が始まってしばらくした頃、2人で話がしたいと頼まれたオルガマリーは所長室で藤丸と対面していた。
「それで、話というのは?ずいぶん深刻そうな顔をしちゃって、アナタらしくないわね」
カルデア奪還の日。カルデアス宙域、次元孔の上で彼女の手を離してしまった罪悪感を告白する藤丸。
「あの時、マリス・カルデアスを倒したあと」
「また目の前で所長が消えていった……」
最初に冬木でカルデアスに落ちる姿を見ていることしかできなかった後悔や、人理修復中や異聞帯攻略中も所長のことが心のどこかにあったこと、ゴルドルフをマシュと2人頑なに新所長と呼んでいたことなど、ぽつりぽつりと話すうちに涙が滲む。
最期に所長は笑っていたからと、なんとか自分を納得させていたけれど。もう一度会えたことで抑えていた気持ちが溢れ、あんな結末なんてあんまりだ、もっと報われてほしい、所長には幸せになって欲しかったと泣く藤丸。
「(ちょっとー!!!あの時藤丸を救うために手を離したのに身体はともかく心が全然救われてないじゃない!!トラウマ?PTSDってやつ?こういうのは専門の医官が処置を……ってロマニもネモ・ナースもいない!あわわ…………こほん、落ち着きなさいオルガマリー・アニムスフィア……これもカルデアが残した不良債権のひとつ。……いや違うわね?!どう見ても私のやらかしによるもの!せ、責任を……)」
「あ、わ、藤丸!わ、私も愛しているのだわ!?」
「なぜそこで愛!?」
「しょちょー、嬉しい!相思相愛だね♡」
「急に涙引っ込めるんじゃないわよ!ええと……慌てて色々すっ飛ばしてしまったことは認めます。ちょっと順番にいきましょう」
赤面を抑え、真面目モードになるオルガマリー。
「まず……当時の私の判断で貴方を傷つける結果になったこと、謝罪します。そんな意図は無かったとはいえ、実際に貴方が苦しんでいる以上言い訳でしかないわ。分かっているとは思うけれど、あれは貴方が手を離してしまったのではなく、私が手を解いたの。罪悪感を負う必要はないわ……、と言っても気にするのでしょうね」
「そして、ここからは少し言語化が難しいのだけど……、さっき教えてくれた貴方の思い、あの手を掴んでくれた瞬間に全部伝わったわ。あのとき私の心は救われた。今度は間に合ったの、貴方は私を救ったのよ」
「自分でこれ説明するのすっごく恥ずかしいけど……メンタルケアの一環と判断して、やるわ。聞き逃さないこと!」
「貴方が抱いていた思い……相手を思いやり、幸せを願う。一般的に『愛』と呼ばれるものと言って差し支えないでしょう。……なんでこんな言い方をするのかって?手を掴まれたあの瞬間に貴方の愛を感じてしまったからよ」
ふ、と笑って藤丸の手を包み込むように握る。
「マリス・カルデアスから投棄され、次元孔に落ちる私の手を掴んでくれたとき。アナタ自分が何て言ったか覚えてる?
……命綱のマシュがいるとはいえ、全身を投げ出した文字通りの命懸け。人の身で地球を持ち上げようとするほどの思い。貴方の手が私の生を肯定してくれた。わたし、いま、愛されてる……!って感じたわ」
「手を掴まれたとき、私の人生の報酬はこれだと思った。地球は持ち上げられなくても、私の心は抱えてもらったわ。あの瞬間、私は満足してしまったのよ」
「それから、これも言葉にしておくべきね……。私に二度も目の前で消えて欲しくないと、どうか幸せになって欲しいと貴方は手を伸ばした。己の身を顧みずにね。……同じよ。私も、ずっと見ていた貴方たちにこんなところで死んで欲しくなかった。健やかに、幸せな未来を歩んで欲しいと思っていた。そんなとき、貴方のためにしてあげられることは?……己の身を顧みずにね」
「ッ……」
「……手を、離すこと……」
「そう。貴方は貴方の愛ゆえに手を掴んだ。私は私の愛ゆえに手を離した。貴方の愛に救われた私は、手を離すことで貴方を救って、愛も伝えたつもりだったのだけど……」
ゆっくりと握った手をほどくオルガマリー。
その掌にぽとり、と雫が落ちる。
「それでも、いっしょに生きてほしかった」
「貴方の気持ちより、貴方の無事を優先した私の我儘よ……みちづれなんて御免だもの。……でも貴方の心に傷を残したことは、反省点ね」
静かに涙する藤丸をオルガマリーがそっと慰める。
数分後…
「……そろそろ落ち着いた?ともあれ、これで貴方の苦しみを和らげる一助にはなったかしら。貴方に救われた私は、同じことをして貴方の心も救った気になっていた、ということよ。まったく、首じゃなくて腹を割るハメになったじゃない」
「……」
「……ん?」
「しょちょー」
「愛してる、ぜっ」
「ぶッ!あ、貴方ねぇ……!いつものノリが戻ってきたじゃないの……!(見え見えの強がりなのは、まあ黙っておきましょう)」
「……フン。だいたい貴方にはマシュがいるでしょ。他の女に愛を囁いていていいわけ?浮気よ浮気」
「ま、マシュはそういうのじゃないし」
「大事な大事な後輩です!!」
「見てたから知ってるわ……。ほら、マシュの部屋に行きましょ。あの子の心も救ってあげなきゃ」
「そうだ、マシュ!!」
「ご一緒します!!」
当然よ、という顔で笑うオルガマリー。
自室にいるマシュの元に来客の通知が届く。
「はい。……先輩と、オルガマリー所長?どうぞ、お入りください」
部屋の外から"……こーいうのはインパクトが……"とか"……タイミングを……"という声が僅かに聞こえる。
「どうかなさいましたか……?なにやら、おふたりとも息の合った気配が……」
マシュが扉を開け、3人が顔を合わせる。
2人は一瞬視線を交わし、同時に叫ぶ。
「マシュ、キミ(貴方)を愛している(わ)!!」
「……??!!」
しばらくして…
「な、なるほど……お話は分かりました。あのとき所長は先輩の愛によって救われ、またご自身の愛によって先輩を救おうとし、その結果みずから手を離すことを選んだと……。私も、所長を助けられなかったことを悔いていました……。私たちのために……ありがとうございます、オルガマリー所長」
「気にしないで、自分で蒔いた種だもの。……ひとまずこれで、あのときの尻拭いはできたかしら」
「それでは……その……おふたりとも!」
もじもじしているマシュ。
「先輩、そしてオルガマリー所長。私も、おふたりを、とーっても、愛しています!!」
その後
藤丸の手を握ったり離したりするオルガマリー。
「所長、これは……?」
「ええ、何か出来ることはないかと思って……。こうやって落ち着いた環境で当時と似た行動を繰り返すことで、少しずつ馴化していく効果を狙って……みたいな」
「ちょっと、はずかしい……」
「いやあ所長の愛を感じるなあ」
「アナタね……。いえ、むしろそれくらいの方が気負わなくていいかもしれないわ……」
次は私が!と横で待機しているマシュ
この後も時々3人でやってる次元孔ごっこ
おててにぎにぎがいやらしい行為だと言われる可能性を考慮してR-15です