アフタータイムでオルガマリー所長とぐだマシュが愛し合う話 作:ぐだこ
夜中に食堂いく所長かわいい
ある日のカルデア、マシュと所長でお茶してる。
「オルガマリー所長は、手を掴まれた時に先輩の愛を感じたと仰られていましたが……!」
「ええ、マシュも似たような経験があるのかしら。貴方たち付き合い長いものね」
「はい。その……レフ教授がカルデアを爆破した際のことです。所長は直下で爆弾が起動したとお聞きしていますので、ご存じないと思うのですが……」
「(なんだかお前は死んでたから知らないだろうけどって新しいタイプの煽りみたい)」
「爆発で崩壊し、炎と煙が充満する司令部……。私は落ちてきた瓦礫に下半身を押し潰され、身動きもとれず死を待つのみでした」
当時を思い返し、カップの水面に視線を落とすマシュ。
「冬木で状況報告を受けた時はそのあたりさらっと流してたのよね……。デミ・サーヴァント化したことの方が重要だったから」
マシュは語る。瓦礫の下敷きとなった彼女を藤丸が発見し、そうこうしているうちに隔壁が降り閉じ込められたこと。成功率の低い生身でのレイシフトが始まるなか、死にゆく自分の手を握っていてくれたこと。
「あのときは自分の命の使い道を決めた、と先輩に話して頂いたことがあります。もちろん今では違うけど、とも」
閉じた隔壁と始まるレイシフト、進むも退くもない中で自分にできることは……。彼女の最期にほんの少しでも安らぎを……何かの足しになれば。
「この人は……私がもう助からないことも、自分が助からないこともすべて分かった上で、残された時間を私にくれたんだ、と。あのとき感じた気持ちのすべては、今でも表現し切れません。言葉のカタチに整えると、端から零れてしまうようで……」
あの日、マシュ・キリエライトは先輩に守られた。それはまだ返し切れていない。きっと、この記憶がある限り、ずっとーー。
懸命に言葉を紡ぐ彼女に微笑みを返すオルガマリー。
「藤丸に救われて、お返しをしようとして、……なんだか似てるわね私たち」
「はい!なんといっても姉妹ですから!ノウム・カルデア首脳陣の共通見解です!」
「し、姉妹!?」
「はい!オルガマリー所長、オルガマリー…お姉さま?マリー…お姉ちゃん、でしょうか」
「…………(宇宙猫)」
「カルデアが外界と隔離されていなければ、この説をすぐにでも時計塔へ提出するところでしたが……」
「絶対やめてね!?時計塔にそんな怪文書送りつけるの!!」
慌てる姿を見て残念です、と諦めるマシュ。そんなものを提出されたifを思い描いてしまい、オルガマリーは自らの想像を振り払う。
「(他のロードにどれだけつつかれることか……。いえ外ではカルデアのあれこれが無かったことになっている以上無用の心配なのだけど)」
ふう、と息を吐いたオルガマリーが話題を変えようと口を開く。
「そういえば、まだきちんと礼をしていなかったわね。前回は藤丸と一緒に説明って感じだったし。……ありがとう、あのとき私を助けてくれて」
「そんな!とんでもありません!私は、先輩の後を追うので精一杯で……」
「そんなことないわ。実質貴女が支えてたようなものよ、アイツは綱引きの綱みたいなもん。それに藤丸だけじゃない、必死な顔して引っ張ってる貴女を見て、私は救われた。本当よ?」
「所長……」
「あとレポート読んだわ、パラディーンですってね。英霊ギャラハッドから借り受けたシールダーとは少し違う、貴女だけの姿。言うなればサーヴァントとしてのクラスに縛られない、英霊の生前に近しいのかしら。短時間とはいえあの規模の霊基(わたし)を支えられるわけよね」
地球を支えるだなんてまるでアトラスかヘラクレス……まあ彼らが支えたのはギリシャ世界の天空であって地球そのものって訳じゃないけど……などと呟いているオルガマリー。
「膂力もパラディーンですので!いえ、冗談はさておき、ステータスとしては筋力Bですが、耐久A+なので耐えられた理由はそちらかと」
少し間を空けて、オルガマリーの纏う雰囲気が変わる。
「……ねえ、マシュ。貴女が私を姉と呼んだ理由、おおよそ察しがつくわ。デミ・サーヴァント実験(自分)の前にサーヴァント化実験(私)があったから、ね」
「デミ・サーヴァントの行きつく先が生きる境界記録帯(あんなもの)だなんて、父はともかく、私を含めたカルデア職員は想像もしていなかった」
「カルデアを代表して謝罪するわ。そうならなかったのは貴女の決意と努力があればこそ。責任を取らなくていい理由にはならない。……といっても、できることなんてほとんど無いのだけど」
ふるふると頭を振るマシュ。
「デミ・サーヴァントとしてカルデアに生まれなければ、先輩や所長、私たちの旅で出会った多くの人々。それらすべてと出会うことはきっと無くて。そしてこう考える自分自身もいなかったと思うと……とてもそんな気にはなれません」
「それに、所長ご自身こそ、第三魔法の実験体としてマリスビリー氏に……!」
「子が何かしらの実験体となるのは、魔術師の家系ではよくあることよ。……ほんと、よくできた妹だこと」
「……! はい、お姉ちゃん……!!」
「言っておくけど、作戦行動中や周りに人がいる状況では許可しません。所長の威厳が台無しじゃない……私的な場所でだけ!いいわね?」
穏やかな空気が部屋に流れる。すっかり冷めてしまったお茶を淹れなおしたり、軽食をつまんだりしている。
「そういえば、さっき話題に出したギリシャ……なーんか引っかかるのよね。なにかしら……異星の巫女として覗いてた異聞帯?オリュンポス…アトランティス…ヘラクレス…アルテミ……あっ」
瞬間、オルガマリーの脳裏に浮かぶ、異聞アルテミスと彼女に命を懸けて愛を放ったオリオン。その2人に、ストームボーダーから身を投げ出し自らの腕を掴む藤丸の姿が重なる。
すました顔をしているがどんどん赤くなっていく所長
直前の言動と赤面になんとなく察しがついてしまうマシュ
「(ギリシャ神話の登場人物になぞらえた愛……とってもロマンチックですね!)」
部屋の外から聞こえてくる逃げる音と追いかける声
「馬鹿野郎なんで俺にくっついてんだ俺!こっちまで逃げる羽目になってんじゃねーか!」
「ぬいぐるみの体じゃすぐ捕まっちまうだろーが!いいからここは力を合わせてだな…」
「だーりーんー!また浮気したー?」
「「うわあこっち来たあ!!」」
「……いつもこうなの?」
「……日常茶飯事といって良いかと」
「わ、私はああはならないわよ……!」
後日…
「藤丸ー!こないだの特異点のレポートまだ書いてないでしょー!待ちなさーい!」
「所長……」
主人公が本編で言ってないことを言ったことにしたので独自設定タグを追加