終わりに向かう世界にクレイジーサイエンティストがログインしました 作:なぁ〜
◇1980年ソ連エヴェンスク対BETA防衛技術研究所増設棟地下研究室
増設棟が完成し第三オルタネイティブ計画の人員が合流して少し。リモフィンガント計画(仮称)は早くも軌道に乗り始めていた。
「大分形になりました。やはり先行データがあると研究速度も比になりませんね。」
「副主任、こちらが最新のデータです。」
「ありがとう、同志。バイタルは安定しているようで何よりです。私の遺伝子を用いていますし後は経過観察で異常がなければ技術継承能力を持った個体を製造しましょうか。」
「それが職務ですから。しかしよかったのですか?折角のリーディング能力を搭載しなくて。」
「それは構いません。これらに求められているのは確実な技術継承能力ですから。リーディング能力はその後でも間に合います。なんならリーディング能力に関しては第三オルタネイティブ計画の本体がメインでこちらに求められているのはより安定した素体の製造方法の確立ですから。それでも1983年あたりを目処にリーディング能力も載せた個体を試作しなければいけませんがね。」
「上からの圧力ですか。そういえばお聞きになりましたか。噂程度ですがMig社の新型、採用されたものの整備性や稼働率の問題で早い段階で調達が打ち切られるそうですよ。」
「それは例の整備士君からの情報ですか?」
「よくわかりましたね。そうですよ、彼女すごいですねあれ程の情報通はなかなかいませんよ。色々な話が出てくるものですからつい話し込んでしまうのです。」
「ふふふ、ほかの人と話すのは楽しいですからね。ああでも機密は漏らしちゃだめですよ。」
「わかってますとも。」
「では私は上がりますね。」
そう言って彼女は地下を後にした。彼女自身かなり多忙だ。あれで13歳というのだから世界は広い。私はまだ研究者になって6年目の比較的若手だがあれ程に優秀な人は見たことがない。国の先進大学を卒業し、生体科学分野で名を知られる主任ですら絶賛するほどの知識量と子供とは思えない卓越した技術がある。それに加えて彼女は既に衛士の資格と大学卒業認定を持っている。天は二物を与えずというが確かに荷物どころではないと思わされた。
………
早めに切り上げた私はコンピューター室に来ていた。先の話題に上がったMig-23に関する報告書の確認のためである。実は私役職故の情報閲覧権限が与えられている。そのため国内の戦術機事情やBATE関連の報告、第三オルタネイティブ計画に関する資料を閲覧できるのだ。
そして詳しい経緯や報告書を確認した結果色々とつかめてきた。今回のMig-23の早期調達打ち切りに関していうと一因は私たちだった。というのも私たちがMig-21の改修機として送り出したMig-21改のコスパが想像以上に高かったのが早期調達打ち切りの後押しとなったらしい。おかげでMig-23の初期ロットなどで作られた機体はデータ取得用の一部を残して東独や中国に売り払うそうだ。またここの研究所はMig-21の改修経験はあるが今回の件で半分凍結状態だったMig-21の改修計画が再開するらしくMig-23の改修を行うことはないだろう。
………
1カ月後
などと思っている時期が私にもありました。
確かにMig-23自体は来ませんでしたよ。それは良いのです。今この研究所はメインのリモフィンガント計画を始めMig-21のさらなる改修や爆撃機用の新型エンジンの設計開発など複数のタスクを抱えているのです。
ではなぜそこまで困っているのかって?簡単ですよ。確かにMig-23は来ません、しかしその試作機のYe140がデータとともに送りつけられたんですよ。どうしよ。しかも特に辞令も降りてないんだよこいつ。こいつはあれか?データ取りにでも使いなってことか?
………
「いや~壮観っすね、主任。」
「まあ試験機とはいえ新鋭機のMig-23だ。そんなのがバラライカⅡと並んでいるんだ。こんな片田舎だった街が立派な研究所を持つようになってこうして戦術機を研究している。本当何が起こるかわからんね。」
「まったくっす。」
整備士1…唐突に性別が女性になったキャラ。語尾が「っす」の元気系キャラっていいよね。異論は認める。
整備主任…脳内イメージは作業着をきた短い無精ひげ、タバコは吸わないがおそロシアよろしく酒はよく飲む。ウォッカよりもワインが好みなんだそう。