魔王軍幹部_ベルディアの襲来から早数週間が経過した頃であった。僕はウィズさんが経営する魔導具店へ足を運んでいた。
「お疲れ様ですウィズさん」
「ああレンさん!依頼していた魔晶石の受け取りですね!」
僕はとある実験のため魔晶石を必要としていたのだ、ただ集める方法の知識がまるで皆無なのだった。そこで頼ることにしたのがウィズさんだった。魔晶石の仕入れ料や手間賃など上乗せしてお支払い致しますという旨を告げたところ二つ返事でOKしてくれた。
「それにしても、レンさんどうして魔晶石が必要に?エイリアンヒーローに変身するなら必要ないと思ってましたが……ああ!めぐみんさんへのプレゼントですか?」
「へ?」
値段を支払おうとした時、ウィズさんがそう口にし僕はキョトンとする。
「え?違うんですか?てっきりそうだと…」
「残念ながら、めぐみんには多分別のものの方が喜びそうですしね」
そう言いながら僕は料金を支払う
「はい確かに、ありがとうございます」
僕はウィズさんにお礼を言い、店をあとにした。そうしてギルドに顔を出した時だった。
「おんぶに抱っことかふざけたこと抜かしてんじゃねぇぞコラァー!!」
カズマくんと金髪の男が喧嘩をしていた。何をしているんだ、とりあえず僕は仲裁に入ることにした
「そこまでだよ2人とも、喧嘩はよしなさい」
「レン!聞いてくれよ!」
「ハン!ヒーロー様のご到着か!やっぱおんぶにだっこだなぁ!」
「んだと!」
「やめなって2人ともー!」
僕は必死に2人を引き剥がしながは事情を聞くと、どうやら金髪の男_ダストくんがカズマくんに「上級職におんぶにだっことはいいご身分だな最弱職さんよ」と煽り、そこから先は売り言葉に買い言葉らしい
「だからって周りの迷惑になることしちゃダメだよ」
僕は呆れながらそういうと、カズマくんもダストくんも口を尖らせている
「んー…………あ、そうだ…じゃあ交換してみるってのはどう?」
「「交換?」」
「そ、お互いにパーティメンバーを交換してクエストを受けてみるんだ、そうすればお互いの気持ちが理解出来るかもしれないよ」
「そりゃいいぜ!是非ともお願いしたいもんだ!」
「こっちのセリフだ!」
こうしてダストくんとカズマくんのパーティは1日交代することにした
「さてじゃあ僕はダストくんのところに」
「レン頼むこっち来てくれ」
カズマくんがそう提案してきた
「え、それはどうして」
「アイツが望んでんのは上級職のパーティ…つまりアクアたちだけだ。お前が向こうのパーティに行くなんて交換の内容に入ってねぇんだ」
それはそうかもしれないが、めぐみんの事が心配だしなぁ、と思っているとめぐみんがこちらに耳打ちしてくる
「問題ありませんよレン、カズマたちの方に行ってあげてください」
「え、でも……」
「大丈夫です、逆にレンがいるとレンの力に頼ってしまうかもしれないので」
めぐみんは優しくそういうと、ダストくんの方へと向かった
「んじゃ行くかレン」
「う、うん…」
こうして僕らは別のクエストへ向かっていくこととなった
-このすばーん-
「俺カズマ、今日1日よろしくな」
「僕はレン、よろしくお願いしますね」
僕とカズマくんはダストくんのパーティメンバー3人に挨拶をする。
「俺はテイラーだ」
「俺はキース、よろしくな」
「私はリーン!ダストが迷惑かけてごめんね」
クルセイダーのテイラーくん、アーチャーのキースくん、そしてウィザードのリーンさんという3人だった。リーンさんがこちらに謝罪をしてきたが、僕自身は別に気にしてはいない。なおカズマくんはそれでも少しご立腹のようだった
「今回のクエストはゴブリン退治なんだよね、だからレンの変身も大丈夫かな」
「そうですか」
「おう、だから荷物持ちでもやっていてくれ」
「え、いいのか?」
「ああ、どうせ元のパーティでも荷物持ちだったんだろ?1人くらい増えてもどうってことないさ」
なんだかカズマくんが幸せそうな顔をしている。たしかにいつものパーティなら大半カズマくんが考え、カズマくんが指示し、カズマくんが頭を悩ませていたのがマルっとなくなる訳だからそりゃ幸せか
「一応僕も荷物持つよ」
「いや、レンはもしものために備えてくれ、それにこういうのは"最弱職"の仕事だからな」
そこを強調されると何も言えなくなってしまう。僕らはゴブリン退治へと進んでいくのだった
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「……お?敵感知に反応?けど1匹だけだな」
「カズマ、そんなスキル持ってたのか、1匹だとするとゴブリンじゃないな……一本道じゃすぐ見つかっちまうし迎え撃つか?」
そうテイラーが提案するが、僕は進言する
「いや、カズマの潜伏スキルでそこの茂みに隠れてやり過ごした方がいいと思う」
「たしかにそれもそうか」
「私も問題ないよ」
「安全に行った方がいいしな」
3人はそれに賛成し、僕らは茂みに隠れ様子を見る。
しばらく隠れていると、虎やライオンよりも大きな体、サーベルタイガーのように鋭く伸びた牙を持つモンスターが現れた。先程まで自分たちがいた場所を注意深く観察するも、やがて僕たちが通ってきた道を歩いていった
「…………っぶねぇ!初心者殺しじゃねぇか!?」
「初心者殺し…?」
「知らないのか、賢くて頭が回る危険なモンスターだ、なんでも雑魚モンスターの住処付近で冒険者たちを襲ったり、パーティを分断して戦力を削いできたりするらしい」
「えぇなんだそれ、モンスターもそんな知恵あんのか……」
「…カズマくん一瞬アクアさんにその爪の垢を煎じて飲ませたいと思った?」
「なんで分かったんだよ……まぁそうだけどさ」
「……とりあえずゴブリン退治を優先しよう、どちらにせよここに隠れていても埒が明かない」
テイラーくんの案に皆が賛成する。するとリーンさんがカズマくんに預けた荷物をとる
「た、頼りにしてるね2人とも」
テイラーとキースも慌てて荷物をとる
「「べ、別に2人に頼りきってるわけじゃないんだからな!?」」
僕はあははと苦笑いし、ゴブリン退治に向かうのだった
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「そろそろか……カズマ、敵感知に反応は?」
「…おう、うじゃうじゃいるぞ」
ゴブリンの住処についた僕らはカズマくんの敵感知で様子を見ていた
「さっきの初心者殺しが引き返してくる気配もない…でも気は抜けない、やるなら今のうちかも」
僕がそう言うと、キースとテイラーが意気揚々と駆け出す
「たくさん群れてるってことはゴブリンだな!早いとこ片付けるか!」
しかしカズマくんが不味そうな口ぶりで話す
「なぁ、探知したやつらだけでも数え切れないくらいいたんだが……ゴブリンの群れってそんなたくさんいんのか?」
その言葉に青ざめながらリーンさんは首を横に振る。慌てて僕らも後に続く
「「多!?」」
そこに居たのはゆうに30匹を超える数のゴブリンだった
「テイラーくん!キースくん!」
僕はオムニトリックスを叩き、ダイヤモンドヘッドに変身する
「フンっ!」
2人を狙う弓持ちゴブリンに鉱物を飛ばし攻撃、出来る限り援護をする
「大丈夫か2人とも」
「すまないレン」
「助かったぜ…」
「あーー…悪いが礼は後で受け取るとするか」
見上げるとうじゃうじゃとゴブリンがこちらを見下ろしていた
「カズマくん!」
「おう!ウインドブレス!」
カズマくんの初級魔法で風を起こし、その風に僕の鉱物を乗せゴブリンたちに巻き起こす
「リーンさん!」
「うん!ウインドカーテン!」
次いでリーンさんの支援魔法が発動、周りを風が吹き荒ぶ
「次はこいつだ!クリエイト・ウォーター!からのフリーズ!」
そしてカズマくんのクリエイト・ウォーターがゴブリンたちの足元に飛び、それをフリーズで凍らせることによりゴブリンたちの動きを封じる
「よっしゃ今だ!このままやるぞ!」
「でかしたカズマ!これならどれだけいようが関係ない!」
「うひゃひゃなんだこれ!楽勝じゃねーか!」
「どんどん行くよー!」
こうして僕たちはゴブリンの群れを討伐することに成功した
-こ・の・す・ぶぁ!-
「おいおいカズマ!あんなに凄いことができるなら最初に言えよ!」
「初級魔法をあんなふうに使えるなんてな、そりゃ最強職の間違いかもしれねぇなぁ!」
テイラーくんとキースくんがカズマくんを持て囃している。カズマくんは満更でも無い様子
「レンもありがとうね」
「いや、ヒーローとして当然のことをしたまでですよ」
「流石はヒーローだな、心構えというかなんというか…ダストにも見習って欲しいものだ」
「でもダストが急にレンみたいになったら真っ先に病気を疑っちゃうけどね」
「違いない」
そう言って笑い合うテイラーくんとリーンさん、しかしキースくんの一言で状況は一変する
「ヤバい!初心者殺しだ!」
「っ!カズマくん!3人を連れて早く街に!」
「レン!?」
僕はオムニトリックスを叩き、獣のエイリアンヒーロー_ワイルドマットに変身する
「グォォォン!!」
僕は駆け出し、初心者殺しに飛びかかる、そのまま手に噛みつき足で腹を蹴りあげる
「グォ!!」
それに一瞬怯んだが、初心者殺しは勢いよく僕を木や岩に叩きつける
「グォ!」
とてつもない荒々しさに僕は思わず飛び退く、初心者殺しがどういうふうに攻撃してくるかは発達した聴覚と嗅覚で判別できる。
「グォオオオオ!!」
ワイルドマットでは決定打にかけるのか埒が明かない、そんな時に変身が解除される
「っ!」
初心者殺しが目の前まで来る、その時
「ウインドブレス!からのクリエイト・アース!」
カズマくんの初級魔法で初心者殺しの目潰しに成功する
「カズマくん!?逃げろって…!」
「馬鹿野郎!仲間見捨てて逃げれるわけねぇだろ!」
カズマくんの言葉に嬉しさを感じる
「今のうちに早くこい!もう変身出来ねぇだろ!?」
「いや大丈夫」
僕は魔晶石をオムニトリックスに近づける、すると魔晶石は消え、代わりにオムニトリックスが緑色に光り使用可能になる
「ここでこいつは倒す!」
僕はオムニトリックスを叩き、ダイヤモンドヘッドに変身する
「フン!」
僕は手を刃物に変形させ初心者殺しを斬りつける
「フッ!ハァッ!」
斬りつけはどんどんと初心者殺しにダメージを蓄積してく、しかしタダでは倒れんと言わんばかりに僕のことを持ち上げ木に投げつける
「グオッ!?」
「レン!」
「いや大丈夫だ!」
僕はカズマくんを制止し、初心者殺しを眼前に捉える
「たしかに普通のモンスターより十分以上の知性も力もある、こりゃ普通の冒険者が脅威に感じるのも納得だ」
初心者殺しは僕に手を振り下ろす
「だが生憎僕は普通じゃないんでな」
僕は地面から鉱物を生やし初心者殺しを串刺しにする、唐突かつ突然の攻撃に対応できなかった初心者殺しは断末魔を上げ息絶えた
「……ふぅ……」
そうして丁度良いタイミングで変身が解除される
「何とかなったか…」
「レン!」
「カズマくん、他の3人は無事?」
「ああ、レンのお陰でな」
「それはよかった、じゃあ僕らも戻ろっか」
僕とカズマくんは無事街に帰るのだった
ちなみにダストくんはとても大変だったようだ