「さみぃんだよ!」
ギルドで朝食を取っていると、カズマくんがそんなことを言った
「いきなりどうしたんですかカズマ」
「いやさみぃ!今朝なんてまつ毛が凍ってたんだぞ!?今年の冬乗り越える前に凍死するわ!」
なるほど、確かにカズマくんは馬小屋で宿泊しているから防寒は対策しきれないだろう
「お前らはいいよな暖かそうで」
「実際そうでもないよ、めぐみんは暖かいだろうけど」
「それはレンが布団を多めにかけるからでしょう、私は気にしないと言っているのに」
「あーあー朝からイチャつきなんて見たくねぇよ、こっちは肌も懐も寒い思いしてるっつーのに」
「イチャついてなんていません!」
「というより、以前の賞金はどうしたの?」
「いや……何も聞くな」
カズマくんはアクアさんの方を見る、どうやらツケなどを返していたら無くなったみたいだ
「何よ、だから稼げるクエストを選んできたところでしょ?」
そう言ってアクアさんは雪精討伐というクエストを持ってくる
「雪精?どんなモンスターなんだい?」
僕が雪精に疑問を持つと、めぐみんが説明してくれる
「雪精は白くてふわふわしてる人に害のないモンスターです。雪精を1匹倒す事に春が半日早く来ると言われています」
「へぇー」
カズマくんはそう言い頷く。そうして僕とカズマくんは報酬金額を確認する。その金額はやたらと高額で、害のないモンスターのはずなのになぜ高額なのか疑問を感じていた。
「雪精討伐か…腕がなるな」
「おいダクネスがアップ始めてるぞ…これヤバいクエストなんじゃないか?」
「んー……いざとなれば何とかするよ」
今回は大変なクエストになるだろうなと思いながら、僕らは準備をするのだった
まさかあんなことになろうとは、この時の僕らは知る由もない。
-このすば!-
「って思ったがなんだかんだ普通にいいクエストだな」
カズマくんはそう言いながらどんどんと雪精を狩っていってる。僕は既に爆裂魔法を打ち魔力切れになっためぐみんを背負っていた
「なんならアクアさんは捕まえてるよね」
「なぁに言ってんのよ!雪精って冷えてるからこれでお酒を冷やすのよー!」
「別に雪精じゃなくてもいいんじゃないか?」
ダクネスさんがマトモなツッコミをするが知らぬ存ぜぬな顔でどんどんと捕まえるアクアさん。
そうして雪精を数十匹討伐、捕獲した時だった。辺りの吹雪が少し強くなる
「来たか…!」
「何がだよ!?」
「来ましたよレン!」
「え、何がだい?」
吹雪の中に、巨大な武士がいた
「カズマ、レン、教えてあげるわ…どうして他の冒険者がこのクエストを受けないのかを」
アクアさんは僕とカズマくんに巨大な武士の説明をする
「日本に住んでた貴方たちならニュースで聞いたことがあるでしょ?この時期になると訪れる冬の風物詩……殺された同胞の仇を討たんとする雪精の主、そう冬将軍の到来よ!」
「バカしかねぇ!!この世界のやつはバカしかいねぇぇええ!!!!」
カズマくんの悲痛な叫びが吹雪の中に木霊する。そんな叫びを知らぬと言わんばかりに、冬将軍は自前の刀を抜刀しカズマくんに斬りかかる
「カズマ!」「カズマくん!」
僕はめぐみんをアクアさんに預け、オムニトリックスを叩きダイヤモンドヘッドに変身、ダクネスさんと一緒にカズマくんに振り下ろされた刀を受け止める。
しかしダクネスさんの剣はひび割れ折れてしまい、僕の受け止めた腕も少し深いところまで斬れてしまう。
「わ、私の剣が!」
「いっ………」
「レン!?」
「おいアクア!アイツ何とかしろよ!?」
「無理よ!あの冬将軍は決まった実態を持たないの!」
「じゃあどうすんだよ!?」
そう言うとアクアさんは土下座する
「冬将軍は寛大なのよ!つまり土下座よ!DOGEZA!!何してるの早く!」
冬将軍はまだ刀を握ったままだ、その前にダクネスさんが飛び出す
「ダクネスさん!?」「バカダクネス!」
「私の仲間に指一本も触れさせない!」
クルセイダーらしくダクネスさんは僕らを守ろうと手を広げる、でもダイヤモンドヘッドですら斬られた冬将軍の刀をダクネスさんの鎧が受け切れるかは分からない。だから…
「バカダクネス!んな事言ってる場合か!」
カズマくんはダクネスの頭を地面に押し付ける
「カズマ!」
その時、冬将軍の刀がカズマくんに振り下ろされ
「………………あ?な、なんともない…?」
俺は目を開けると、冬将軍は何処かに消えていた
「た、助かったのか……はぁぁぁ生きた心地がしねぇ……」
俺は安堵から後ろに手をつく、するとなにかゴツゴツしたものが手に当たる
「んぁ?なんだ?」
俺は手に当たったものを見る
それは 冬将軍の刀で斬られたであろうダイヤモンドヘッド_レンの上半身だった
「____は?」
俺はわけがわからずただ座り込むしか無かった。
「レン!レン!!」
めぐみんが近づいてきてレンの上半身を揺らす
「いや…嫌ですよレン……!こんな……嫌だ……最強のヒーローになるんじゃなかったんですか!!私と……最強を目指すって……言って……」
めぐみんの目からは大粒の涙が溢れていた
「シロサキレンさん…残念ながら、貴方の冒険はもう終わってしまいました…」
1番最初、僕が転生してくる前の部屋にまた僕はいた
「…貴方は……」
「申し遅れました、私は幸運の女神エリスと言います」
「エリスさん……あの後カズマくんたちは」
「大丈夫です、貴方の仲間は全員無事です」
よかった、僕は胸を撫で下ろす
「あの、僕はもう生き返ることは出来ないんですか…?」
僕は恐る恐るエリスさんに確認をとる、エリスさんは申し訳なさそうな顔で告げる
「貴方は既に1度生き返っています。天界の規定により生き返ることはもうできません…折角この世界に転生してくれたのに申し訳ありませんが、規則は規則ですので……」
「……そう、ですか………」
僕の脳裏に浮かんだのは、以外にもカズマくんでもダクネスさんでもなかった。
もし僕がいなくなったら、彼女はどうするのだろう……僕抜きで最強を目指せるのだろうか……約束を守れない僕のことをどう思うのだろうか、そんな後悔が僕の頭の中を駆け巡る、その時だった
《レンー!!!あんたの死体再生してあげたから早く戻ってきなさいー!》
「え、あ、その声アクアさん?僕また生き返れるの?」
《私を誰だと思ってんのよ!水の女神アクアよ?この私にかかれば死にたてほやほやの死体なら蘇生させることくらい簡単よ!》
「えーっと……そっちに戻りたいのは山々なんですけど、天界の規定でも生き返れないそうで…」
《はーー!?そんな事言ってんの何処の誰よ!?》
僕はエリスさんの顔を見る、青ざめていた
「エリスさんです…」
《エリスー??あの胸パッド女神のエリスのこと!?あんな奴の言う通りにする必要ないわよ!そんな辺境女神よりも地球担当の私の方が偉くてエリートだからなんの問題もないのよ!》
「そんな暴論……」
《それともここでエリスの秘密諸々暴露しても》「わわわ分かりました!分かりましたよ!」
アクアさんの暴論に屈したエリスさんがため息をつく
「はぁ……分かりました。先輩に免じて特別に下界に戻します」
そう言ってエリスさんが手をかざすと僕の足元に魔法陣が現れ僕の体が宙に舞う
「ま、待ってくださいエリスさん!」
「は、はい?」
「最後に一つだけ教えてください!」
僕はとある質問をエリスさんに投げかけ、下界へ戻るのだった
「………んっ?」
目を覚ますと、めぐみんの顔が見えた……いやそれしか見えない
「れん………」
涙目になりながらめぐみんは僕の顔を触る
「…迷惑かけてごめんね、ただいま」
「っレン!!」
そのままめぐみんは抱きつき泣きじゃくる
「レン!」
カズマくんとダクネスさんもそばに居た
「すまないレン…お前を守ることができなかったなんてクルセイダー失格だ」
「いや、結局斬られてたのが僕がダクネスさんかの違いだから………ダクネスさんが気に病む必要はないよ」
「レン、すまねぇ…俺がもっと気をつけてりゃ」
「何言ってるんだカズマくん、カズマくんが謝る必要なんてないよ」
「私のおかげよねーレン」
「まぁアクアさんのお陰ではあるね、ありがとう」
「そもそもお前がこのクエストに行くって言わなけりゃ!」
「なによ!お金が欲しいって言ったのはカズマさんもでしょ!?」
「ちょっと2人とも!レンも回復したばかりですので喧嘩はやめてください!」
めぐみんが2人を叱る
「お、おうわりぃ……」
「どの道これ以上は無理ね、帰りましょ」
こうして僕らはクエストを中止し、街へと帰るのだった
「それにしても、どうしてレンさんはあんなことを聞いたのでしょうか…」
天界にて、エリスはレンからの質問を思い返す
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「最後に一つだけ教えてください!」
「どうしました?」
「女神に、ペンダントという女神はいますか?」
「______どなたでしょうか、そんな女神居ないはずです」
「っ…………ありがとう、ございます!」
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「女神ペンダント……果たしてレンさんを担当したのは本当に女神なのでしょうか…」
エリスは疑問に思いながらも、一旦後回しにするのだった
冬将軍のDNAをオムニトリックスに吸わせて変身させたいなぁ(今のところ実現しない)