この素晴らしいスーパーヒーローに祝福を!   作:神崎ナツヤ

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物語は2章へ


この素晴らしい取り調べに祝福を!

デストロイヤーの討伐から数日が警戒した頃、僕らは当分はクエストはいいかと思いたち普通の生活を送っていた

 

「何も無い日常というのも悪くはないですね」

 

「まぁね、正直今日までが色々ありすぎただけだと思うけどね」

 

「フフッ違いありません」

 

僕は今めぐみんと一緒にそこら辺の平原を散歩していた。そろそろ帰ろうかと、ギルドに帰ってきた時のことだった

 

「サトウカズマ!並びにシロサキレン!貴様らには国家転覆罪の容疑がかけられている!自分と共に来てもらおうか!」

 

「はい?」

 

「ほえ?」

 

なんとも物騒な罪をかけられていた。間違いでなければ目の前の女性は僕たちを国家転覆罪の容疑者として連行するとの事だった

 

「ええっと……一応内容をお聞きしてもよろしいでしょうか」

 

「構いません、自分は王国検察官のセナ。貴様らには今、テロリストもしくは魔王軍の手先ではないかという疑いがかけられている」

 

正直心当たりが無さすぎて怖い、僕はカズマくんと顔を見合わせる

 

「えと、人違いじゃないっすかね…自分で言うのもなんですけど、デストロイヤーを討伐した英雄ですよ?逆に感謝して欲しいくらいですわぁ!」

 

少し強い口調でセナさんに話すカズマくん、それに同調するかのようにギルドの人達が騒ぐ、しかし態度を崩すことなくセナさんは口を開く

 

「貴様らが討伐したというデストロイヤー、その動力源であるコロナタイトが外出していた領主殿の周辺地域にテレポートしました」

 

しん……とギルドの全員が静まり返る、確かにランダムテレポートの懸念点はあった。しかしランダムなので意図的に送ったわけではない

 

「ちなみになんですが…怪我人などは」

 

「幸い領主殿は衝撃で吹き飛ばされたのみで、怪我人はいませんでした」

 

それならひとまずよかった

 

「でしたら、いくらなんでも国家転覆罪は該当しないのではないですか?賠償しろと言うのならまだ理解出来ますが……」

 

「彼女の言う通りです」

 

めぐみんの言葉にミツルギくんも立ち上がる

 

「それに、領主様がその近辺にいたというのも少し引っかかります。それに今回の件はランダム性を秘めた魔法を詠唱したがために起こったことです。意図的にテロ行為を働いた事にはなりません」

 

その言葉に静まり返っていたギルドがまたもや声が上がり始める

 

「ちなみに、国家転覆罪は犯行を行った主犯以外にも適用される場合がある。裁判が終わるまでは自らの振る舞いに注意した方がいい、この男らと共に牢獄に入れられたいのなら止めないがな」

 

またもや静まり返ってしまう。そりゃ捕まりたくはないだろう

 

「分かりました、しかしその作戦を指示したのは自分です。なので全ての責任は自分にあります」

 

「おいレン!」

 

カズマくんがこちらを見るが、僕の答えは変わらない

 

「ほう、つまり貴様1人を裁判にかけろと、そう言いたいのだな?」

 

「はい」

 

セナさんは納得したのか、僕の手に手錠をかける

 

「ま、待ってくださいよレン…!」

 

めぐみんが泣きそうな顔でこちらを見つめる、僕はセナさんに少し待ってもらうよう言い、めぐみんの方をむく

 

「大丈夫だよ、だから泣いちゃダメだよ」

 

優しく微笑み、僕はセナさんに連行されるのだった

 

 

 

-このすば-

 

 

 

「詳しい話は明日聞く。今日はここで過ごすがいい」

 

「はい」

 

セナさんに促され牢屋の中に入る。さてどうしたものかと考えていると、聞き覚えのある声が聞こえてくる

 

「抵抗しねーからもうちょっと丁重に扱えや!お得意様相手になんて態度してんだよ!」

 

「黙れ!それにこれはお前がお得意様だからこその扱いだ!いいからとっとと歩け!」

 

まさかと思い顔を上げる

 

「お?レンじゃねーか、なんでこんな所にいるんだよ」

 

予想通りと言うべきか、ダストくんがいた

 

「ほれ、こいつと話があるからお前はさっさと出てけ!」

 

連れてきた看守に横柄な態度を取りながら、ダストくんは牢屋に入ってくる

 

「んで?何やらかしたんだよお前、別に金になんか困ってねぇだろ?」

 

「あー、コロナタイトのランダムテレポート先に領主様がいたらしくて、国家転覆罪にかけられたんだ」

 

そう言うとダストくんは大笑いする

 

「やるじゃねーかレン!あのクソッタレな領主に一泡吹かせてやったのか!大したやつだぜ!」

 

「そ、そんなに嫌われてるの…?領主だよね?」

 

「あ?そっかお前領主のこと知らねぇのか…じゃあついでに話しといてやるよ」

 

ダストくんに領主のことを聞く、それはあまりにも領地を収める者の行いなのかどうか疑問を感じるものだった

 

「そんな人が領主を続けれているだなんて……何か裏があるのかな」

 

「さぁな、こんなにも悪事をやってんのに証拠がないとなると悪魔でもついてんのかねぇ」

 

一体なんのカラクリがあるのか、それは分からないがとりあえず今言える事としては

 

「恐らく本当に僕は国家転覆罪にかけられ有罪になるだろうね」

 

「はぁ?流石にんなことには」

 

「気に入らない人を消すのがその人のやり方だとしたら、僕は邪魔な人間だと思うよ?それなら消すのが当然かな」

 

「………まぁそうなるか…でもお前にはカズマたちがいるだろ?なら大丈夫じゃねぇのか?」

 

「分からない、そうなるといいんだけどね」

 

僕はダストくんとそのまま他愛もない話を続け、明日の取り調べに備え早めに寝るのだった

 

 

 

-このすば-

 

 

 

「今から取り調べを行う、貴様の言い分しだいで裁判における貴様の立場が不利になる可能性もある。よく考えて発言するように」

 

「分かりました、よろしくお願いします」

 

僕とセナさん、記録担当らしき人と監視担当の人の合計4人で取調室にいた。少しでもわかって貰えるよう努力はしよう、そう思っているとセナさんは小さなベルのようなものを取り出す

 

「それは…?」

 

「これは嘘発見器だ、我々を騙し通せるなどと思わないことだ」

 

「僕は女です」

 

--チリーン

 

試しに嘘を言うとベルはなる、なるほどたしかにこれは便利だ

 

「では始める、シロサキレン年齢は18歳、職業もクラスも冒険者…では出身地と、冒険者になる前は何をしていたのか答えて貰おうか」

 

別に誤魔化す必要もないだろう、逆に誤魔化すと怪しく見えてしまう

 

「出身地は日本、冒険者になる前は学生でした」

 

無論ベルはならない、セナさんは口を開く

 

「ニホン……聞き覚えがない地名だが嘘は言っていないようだな、まぁいい…次に貴様はなぜ冒険者になった」

 

「理由……魔王を討伐するためですかね」

 

ベルは鳴らない、冒険者になった理由はそれしかないから仕方ない

 

「では、領主殿に恨みはなかったか」

 

「恨みはありません、そもそも接点もありませんでしたから、ですが昨日ダストくんに話を聞いて疑問点は何個か湧いてきましたね」

 

「ほう、疑問点か」

 

「はい、領主というのは普通収める領地を豊かにするため行動するものでしょう?ですけど話を伺ってる限りだと私利私欲のため権力を行使しているとしか思えないのです」

 

セナさんが何も言えない顔をしている

 

「セナさんはどうなのですか?領主に疑問や疑念は抱かないのですか?」

 

「い、いえ私は公平な立場から物事を判断する人間なので、領主殿に対して思うところなどありま」

 

--チリーン

 

セナさんの発言にベルがなり、セナさんは硬直する。

 

「………失礼しました。正直に申しますと、私も領主殿には良い印象は持っていません」

 

「いえ大丈夫ですよ、気にしてませんので」

 

まさか王国の検察官にすら良く思われていないだなんて……一体どんな人なんだろう

 

「あのセナさん、提案があるのですが……単刀直入に魔王軍の手先であるかどうか、意図的に領主殿に向かってコロナタイトをテレポートしたのか、とは聞かないんですか?その質問さえしてくれば、僕は魔王の味方にもなっていませんし、コロナタイトだって意図的に領主殿にテレポートしたわけではありません」

 

僕の発言にベルはならなかった、セナさんは呼吸を整え僕に向き直る

 

「……どうやら自分が間違っていたようですね、仕事柄相手を疑うのが第一にありましたので……申し訳ありません」

 

丁寧な口調となったセナさんがこちらに謝罪をしてくる

 

「いえ大丈夫ですよ、セナさんの仕事の都合上仕方ないではありませんか、逆に立派だと思いますよ」

 

笑顔で肯定すると、セナさんの強ばっていた顔も少し解ける

 

「そうですか……やはり貴方は噂通りの人らしいですね」

 

「ん、噂通り?」

 

「ええ、貴方の噂は何件かお聞きしております、誰にでも手を差し伸べる心優しい人だと」

 

僕を調べる時に噂が耳に入ったのだろう

 

「そうなんですね…」

 

少し複雑だが、嬉しい気持ちになる

 

「しかし大変ですね…これほど魔王軍討伐に貢献しているというのに、このような裁判にかけられるなんて」

 

「まぁ……疑いがあるなら仕方ないんじゃないですかね、僕は別に何とも思いませんよ」

 

そうだ、少し気になったことをセナさんに質問してみよう

 

「セナさん、ひとつ質問しても宜しいでしょうか」

 

「ええ構いませんが…」

 

「……単刀直入にお聞きします、領主殿の悪行全てを認識しておられますか?」

 

「…その質問に関しては、いいえとお答えすべきでしょうか」

 

ベルは鳴らない、やはりそうなのか

 

「それは証拠がないからですか?」

 

「それもあります、ですがその他は気づいたらそうなっていたという認識なのです」

 

「どういうことですか?」

 

「言葉通りです、まるで辻褄を無理やり合わせられてるような気がするのです」

 

そんなことが可能なのだろうか、だがしかし悪魔がいるのなら話は別か

 

「すみません急に質問してしまって」

 

「いえ、疑問に答えられたのなら何よりです」

 

取り調べを終えた僕は、明日の裁判に備えるのだった

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