この素晴らしいスーパーヒーローに祝福を!   作:神崎ナツヤ

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主人公にはね、闇を負わせたいんですよ……
それをヒロインと一緒に乗り越える様がまさに美しい


この素晴らしい裁判に祝福を!

「すまんレン、こいつらどうしてもって言って聞かなくてな」

 

「レン!必ずあなたの無実は証明してみせます!この私の頭脳を持って!」

 

「ふふん!女神の私がついてるのよ?無罪一択じゃない!」

 

「大丈夫だレン、もしもの時は私が何とかする」

 

「僕も一応来たんだが……場違いではないだろうか…」

 

「ううん、来てくれて嬉しいよミツルギくん」

 

それぞれ思い思いの言葉を口にしている、どうやらこの世界には弁護士という職業はいないみたいだ。某王国を連想したが兎も角、僕の弁護はカズマくんたちに一任されたのだった

 

「ねぇミツルギくん、領主さんの悪い噂って」

 

「ああ、レンも誰かに聞いたのか……実は僕も知っていてね、だから今回の件は怪しいと思っている」

 

やはりミツルギくんもそうか……

 

「にしたって何がしてぇんだその領主は、せっかくデストロイヤーから守ってやったってのによ」

 

カズマくんがそんなことを愚痴る

 

「さぁな、だがそれも時期に分かるんじゃないのか」

 

ミツルギくんの目線の先には、ふくよかな男性がいた。どうやらあの人が領主のようだ

 

「うわなんだ、こっちみてねぇか?」

 

「男の僕も嫌悪感を抱くな……」

 

「……ねぇ、ダクネスさんを執拗に見てない?」

 

「うわマジか、やべぇな…ダクネスあんなのと知り合いか?」

 

「いや…まぁそうだな……色々な」

 

何か歯切れが悪い、そんなことを話しているとどうやら準備が整ったようだ

 

 

 

-このすば!-

 

 

 

「これより、国家転覆罪に問われている被告人、シロサキレンの裁判を始める。告発人はアレクセイ・バーネス・アダプール」

 

裁判長の呼び掛けに領主は立ち上がる、アダプールというのかあの人

 

「では検察官は前に。この魔導具があるということを肝に命じ、起訴状を読み上げるように」

 

裁判長の指の先には、昨日見た嘘発見器があった。それを確認した後木槌が振り下ろされ、セナさんが立ち上がる

 

「それでは読ませていただきます。被告人は、機動要塞デストロイヤーを他の冒険者と共に討伐する際、爆発寸前であったコロナタイトをテレポートするように指示しました。結果、コロナタイトは被害者の付近へとテレポートし爆発。アルダープ殿はそれによって危うく命を落とすところでした。領主という地位の人間の命を脅かしたことは、国家を揺るがしかねない事件です。よって、検察官の立場として、彼に国家転覆罪の適用を求めます」

 

完全に無表情のまま、セナさんは読み終える

 

「続いて、被告人と弁護人に発言を許可する。では、陳述を」

 

「異議あり!」

 

アクアさんがそう叫ぶ、それを殴ってカズマさんは黙らせる

 

「すみません、改めて述べさせていただきます」

 

カズマくんが立ち上がる

 

「まずそもそも、コロナタイトの処理にテレポートを使ったのは事実です。ですがそれはランダムテレポートなのです、テレポート先が完全にランダムである以上、領主を意図的に狙うことなど不可能なのです。これはただの事故であったと主張します!」

 

そうカズマくんが主張する。無論ベルは鳴らない。

 

「なるほど、如何ですかアダプール殿」

 

裁判長は領主に伺うと、領主はふんぞり返ったまま口を開く

 

「だがワシの命を奪おうとしたことは事実、ワシはこいつの死刑を望むが」

 

「し_!?」

 

めぐみんが驚愕した様子で僕を見つめる

 

「死刑、ですか……ではアダプール殿は僕が魔王軍に関与していると?」

 

「だからそう言っているだろう!いいからさっさとこいつを死刑にしろ!こいつは魔王軍の関係者だ!」

 

その言葉に僕は反論する

 

「いいえ!僕は魔王軍の味方でも、テロリストでもありません!僕が今日まで冒険者を続けていたのは魔王を討伐するため、そして大切な人を守るためです!!」

 

僕の心からの叫びを受けても、ベルは音を鳴らさなかった。これは決定的な証拠であった

 

セナさんは満足気な顔をしている。逆にアダプール殿は焦りの表情をしている

 

「もういいでしょう。被告人が意図してコロナタイトを原告に送り付けたとする根拠があまりにも薄すぎる。原告がテレポート地点の付近に居たとしても、物的被害も怪我を負うこともなく済んだのです。よって、被告人、シロサキレン。あなたへの嫌疑は不十分と見なし――」

 

裁判長が判決を下そうとした時だった

 

「おい、その男は魔王軍の関係者であり手先だ。今すぐに死刑にしろ」

 

「ですが_」

 

「何かね?ワシに意見をしようというのかね」

 

「__いえ、そうですね。被告人には死刑が妥当です。検察は死刑を求めます!」

 

_なんだ、この感覚_何かがおかしい

 

「えー、主文を後とし、まず判決理由から述べます。被告人は反社会的行為を度々_」

 

_まるで何者かに辻褄を合わせられてるかのような__いや確実にいる悪魔が

 

「_では、主文被告人を」

 

「待ってください!納得のできる説明をお願いします!その魔導具でも僕が魔王軍に関与していないことは事実だと証明されました!なのに何故!」

 

僕は必死に無実を証明する。だがしかしアダプールはほくそ笑む

 

「ワシが死刑と言えば死刑になる、領主とはそういうものなのだよ、貴様は黙って判決に従うがいい」

 

「そんなのがまかり通るわけが_」

 

「全くわからんやつだな」

 

納得できるわけが無い、それじゃ何も変わらない

 

「お前はただ黙って従えば良いのだ!ワシが正しいのだからな!」

 

アダプールはその場にあった瓶を僕に投げつける

 

__その言葉態度に僕は、幼い頃受けたことが脳裏に蘇る、途端に足に力が入らなくなる

 

「レン!?」

 

めぐみんが僕の所に駆け寄る

 

「ふん、続きを読め裁判長」

 

「いや、待ってもらおう」

 

ダクネスさんが何かをアダプールに見せる

 

「な……!」

 

「この裁判、このダスティネス=フォード=ララティーナが預からせて貰う」

 

「ダスティネス……?」

 

ダクネスさんって名前じゃなかったのか…素敵な名前だな、そう思いながら僕は意識を失った

 

 

 

 

 

 

 

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○月✕日

今日もお父さんに殴られました。お父さんはお酒を飲むと人が変わってしまいます。でも普段は普通なんです、だから謝れば許してくれるはずです

ごめんなさい

ごめんなさい

ごめんなさい

ごめんなさい

ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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目を覚ますと、僕の自室だった

 

「__あれ、僕は……」

 

起き上がると、ちょうどめぐみんが入ってくる

 

「っレン!」

 

僕が起き上がってるのを確認しためぐみんは駆け寄ってくる

 

「も、もう大丈夫なのですか…?」

 

「うん、心配かけてごめんね」

 

「いえ大丈夫です、レンが無事ならそれで」

 

僕はめぐみんにあの後何があったのかを聞く、どうやらダクネスさんはダスティネス家の人らしく、僕の死刑を先送りにしその間僕にかかった魔王軍スパイの容疑を晴らすこととなった。

 

しかしダクネスさんに幼い頃から目をつけていたアダプールの願いを何でもひとつ聞くとダクネスさんが言ったらしく、ここ3日戻ってきてないらしい

 

「え、というかあの裁判から3日たったの!?」

 

「そうなんです、だから尚更心配で……ホントに…ひぐっ………無事で……えぐっ……」

 

安堵からめぐみんは泣き出してしまう、僕はワタワタと慌てながらもめぐみんを抱きしめる

 

「心配かけてごめんね…もう大丈夫、大丈夫だから……」

 

僕はめぐみんを慰める

 

「……許しません、一つだけ私のお願いを聞いてもらいますよ」

 

泣き止んだめぐみんが僕を睨みつける、言う通りにしようと僕は頷く

 

「……でしたら夜、一緒に寝てください」

 

「え""!?」

 

僕は驚くが、めぐみんは真剣な様子

 

「わ、わかった…」

 

そうして夜、僕はめぐみんと寝ることになる

 

「だからって近くない?」

 

「こうしないとレンを近くで感じれませんからね」

 

凄く積極的なめぐみんにタジタジになる。

 

「………あの時僕に何があったのか、気になるんだね」

 

僕は薄々めぐみんが、あの時僕に何があったのかを聞きたいのだと思った

 

「_えぇ、まるで何かに怯えるような顔をしていたので」

 

やはりそうか……まだ僕はあの時のことを引きずっているみたいだ

 

「そうだな……簡潔に言うと僕は親から虐待されていたんだ」

 

「_え?」

 

めぐみんは驚愕したような顔をする。まぁ普通はそんなこと無いから仕方がない

 

「毎日が辛くて、過酷で……生きるのに疲れた時期もあった」

 

「そんなことが……」

 

「それで毎日のように、俺が正しい、黙って従えと言われ生活していたんだ」

 

それがあの時、アダプールの言葉に怯えた真相だ

 

「……すみません、話したくもないことなのに…」

 

「いやいいんだ、いつかは言うべきだと思ってはいた。それが早まっただけだよ」

 

僕は不安そうな顔をするめぐみんの頭を撫でる

 

「それに今はめぐみんたちと出会えたから、僕はそれだけで満足さ」

 

「そう、ですか……」

 

「さ、もう寝ようめぐみん」

 

「…はい、おやすみなさいレン」

 

「ああ、おやすみ」

 

僕はめぐみんの頭を撫でながら考える

 

あの裁判の異質さ、アダプールは悪魔の力を使っているのは確定で間違いないだろう。ウィズさんあたりなら何か知ってるかもしれない。

 

しかし、もしアダプールを何とかしようとするのなら悪魔の対処法は頭に入れておいた方がいいだろう

 

僕はダクネスさんのことを心配しながら眠りにつくのだった




本編と違って罪らしい罪が無いので正直書くのに苦労した思い出
やはり罪を背負わせておくべきでしたね(無限敗)
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