「パーティメンバーを募集しましょ」
僕がアクアさんとカズマくんのパーティに入って数日が経過した頃、アクアさんが突然そんなことを言った
「え………僕クビですか?」
「誰がクビにするって言ったのよ、そうじゃなくて、パーティバランスが悪いのよ」
「というと?」
「カズマは言わずもがな底辺職の冒険者、唯一頼りになるレンも時間制限がある特典、私たちには一撃の火力が足りないのよ!」
確かにアクアさんの言うことは一理ある、クビにされないことに胸を撫で下ろしつつアクアさんに聞く
「ではパーティメンバーの募集要項など貼り出しますか?」
「そう言うと思ってもう作って貼ってきたのよ!ほら私ってばできる女神でしょ?もっと崇めていいのよ?」
グイグイと僕に顔を近づけてくるアクアさん、苦笑いしか出来ない僕を横目にカズマくんはジャイアントトードのお肉を食べている
「けど中々こねぇぞ?お前本当にちゃんと作ったのか?」
「んーおかしいわねぇ……」
「募集条件は何にしたんですか?」
「決まってるじゃない、上級職以上よ!」
それを聞くや否やカズマくんは項垂れる
「お前誰が冒険者2人もいるパーティに入りてぇ奴がいんだよ……」
「そんなの千も承知よ!!だから水の女神アクアの加護がつくって文言も」「もっと来るわけねぇだろ!!」
僕の目の前でまたやいのやいのと言い争いが始まる。そろそろ仲裁に入ろうかと思ったその時だった
「パーティメンバー募集の紙を見させて頂きました。あなたがたで間違いないでしょうか」
声のした方を見ると、風貌からして魔女っぽい女の子がそこにいた
「はいそうですよ、貴女の名前は?」
無意識に目線をその子に合わせて話す、一瞬ムッとした様子を見せたが女の子はマントを靡かせ自己紹介をする
「我が名はめぐみん!!アークウィザードを生業とし、最強の攻撃魔法、爆裂魔法を操りし者!!」
「冷やかしか?」
「か、カズマくん…」
「ち、ちがわい!!」
「その赤い瞳、もしかして紅魔族?」
そうアクアさんがめぐみんさんに問いかけると、めぐみんさんは再びポーズを決める
「如何にも!我は紅魔族随一の使い手めぐみん!我が爆裂魔法は山をも崩し…岩をも……くだ、く………」
途中で倒れてしまう、咄嗟のことで対応できなかったが僕はめぐみんさんの肩を揺らす
「めぐみんさん!?大丈夫ですか!?一体何が…」
「もう三日も何も食べていないのです……図々しいとは思いますが、何か食べさせてくれませんか?」
「ああ構わないよ」
少々不安は残るものの、めぐみんさんを席に座らせ食べ物と飲み物を注文する
「飯を奢るのはいいけどさ、その眼帯はどうしたんだ?怪我してるならこいつに治してもらったらどうだ?回復"だけ"は取り柄だし」
「ちょっとカズマさん!?私回復以外にも取り柄いっぱいあるから!」
「フッ、これは我が強大なる魔力を抑えるためのマジックアイテム………もし外されることがあれば、この世に大いなる厄災がもたらされるであろう」
その発言に、カズマくんはゴクリと唾を飲む
「ふ、封印……みたいなものか…?」
仰々しい雰囲気の中、めぐみんさんは口を開く
「……………まぁ嘘ですが、単にお洒落でつけてるだ、アーごめんなさい!引っ張らないでください!やめ、ヤメロー!」
「カズマとレンに説明すると、彼女達紅魔族は、生まれつき高い知力と強い魔力を持ち、大抵は魔法使いのエキスパートになる素質を秘めているわ。紅魔族は、名前の由来になっている赤い瞳と……そして、大抵変な名前を持っているわ」
「へー」
そんな凄い種族なのか紅魔族、カズマくんは手を離すと眼帯が思いっきり戻りパァンと音が鳴る
「ア゙ア゙イッタイメガー!」
痛いところをさすりながらめぐみんさんはアクアさんの説明の最後の部分について抗議する
「変な名前とは失礼な!私から言わせればですね、街の人たちの名前の方がよほど変わってると思いますよ!」
「ちなみになんだけど、ご両親のお名前は?」
「母はゆいゆい。父はひょいざぶろー」
なんとも言えない空気が流れる
「………………とりあえず、めぐみんさんの種族は質のいい魔法使いが多いんですね?パーティメンバーに加えてもよいのでは?」
「おい私の両親の名前について言いたいことがあるなら聞こうじゃないか」
僕はめぐみんさんを宥めながら2人に問う
「まぁいいんじゃねぇかな、この後ジャイアントトードの討伐依頼受けてるし、そこで実力を見てって感じで」
「フフフ、いいでしょう!我が爆裂魔法の威力をしかとその目に焼き付けてください!」
料理も食べてすっかり上機嫌なめぐみんさんを連れて、僕らは平原に向かうのだった
-このすば-
「我が爆裂魔法は強大な威力の代わりに詠唱に時間がかかります、すみませんがそれまでお願いいたします」
「よし、分かった」
僕はオムニトリックスを叩き、体が鉱物で出来たエイリアンヒーローに変身する
「お、おおおお!?な、なんですかそれは!初めて見ますよ!」
「コイツか?エイリアンヒーローだ」
「エイリアン、というのが何か分かりませんがカッコイイことだけは分かります!名前はないんですか!」
「名前…は決めてない」
「では、ダイアモンドヘッドというのはどうでしょうか!」
「ダイヤモンドヘッド、か………なぜだか知らないがしっくりくる気がするな」
僕は鉱物のエイリアンヒーロー_改めダイヤモンドヘッドに変身し、ジャイアントトードに鉱物の手裏剣を投げる
「カズマくん!あくまで時間稼ぎだ!無理は禁物だ!」
「分かってる!」
カズマくんはほぼ丸腰なためジャイアントトードに丸呑みされりゃひとたまりもないだろう、今回の主役はめぐみんさんだから時間稼ぎさえ出来れば大丈夫だろう
そんなことを考えていると、空気がビリビリと張り詰める雰囲気を感じる
「黒より黒く闇より暗き漆黒に我が深紅の混淆を望みたもう。覚醒のとき来たれり。無謬の境界に落ちし理。無行の歪みとなりて現出せよ!踊れ踊れ踊れ、我が力の奔流に望むは崩壊なり。並ぶ者なき崩壊なり。万象等しく灰塵に帰し、深淵より来たれ!これが人類最大の威力の攻撃手段、これこそが究極の攻撃魔法!」
僕は直感でヤバいと感じ、咄嗟にカズマくんを抱え鉱物でシールドを形成する
「エクスプロージョン!!」
轟音と共に爆炎と爆風がジャイアントトードを中心に巻き起こる、余波の爆風だけで展開したシールドが半分吹っ飛んだ
「す………っごいな……」
感想にもならん言葉が、僕の口から溢れ出た
僕が爆裂魔法の威力に関心していると、地中からジャイアントトードが数匹出てくる
「っべ、今ので起こしたっぽいな、めぐみん!一旦引いてもう1発今の………」
カズマくんの言葉がだんだん尻すぼみになっていく、どうしたと思いめぐみんさんの方を振り向くと、めぐみんさんは地に伏していた
「フ、我が奥義である爆裂魔法は、その絶大な威力ゆえに、消費魔力もまた絶大。……要約すると、限界を超えた魔力を消費したので、身動き一つ取れません。すみません、誰かおぶっていただけないでしょうか」
なるほどそういう弱点があるのか、僕はカズマくんを下ろしめぐみんさんの元に跳躍する
「ゴツゴツしてて悪いが我慢してくれ」
そう言いめぐみんさんをおぶる
「丁度収まりがいいので助かります」
そう言ってめぐみんさんは器用に僕の背中に引っ付く
「じゃああと少しだ、カズマくん気合い入れていくぞ!」
「お、おう!」
ちなみに僕らの活躍の影でアクアさんはジャイアントトードに食べられていた
-このすば-
「いやぁマジでスゲェ威力だったな爆裂魔法」
「フフン、そうでしょうとも!」
今僕らは帰路についていた、変わらずめぐみんさんは僕が背負ってる
「でも打ったあと倒れるのはなぁ…悪くはねぇんだけどな、今度から緊急時以外爆裂魔法は使わないでくれ」
「………きません」
「ん?」
「できません…私は爆裂魔法以外の魔法を扱えないので」
そんなことがあるのか?
「……マジ?」
「……はい」
ジャイアントトードに食べられ泣いていたアクアさんが会話に参加する
「爆裂魔法しか使えないってどういうこと?爆裂魔法を習得できるほどのスキルポイントがあればほかの魔法なんて簡単に習得できるでしょ?」
恐らくアクアさんの疑問は最もなものだ、カズマくんにスキルポイントとは何ぞやということを教えてる中、僕は背中におぶってるめぐみんさんに聞く
「って言われてるけど、めぐみんさんはどうして爆裂魔法だけを?」
「……私は、爆裂魔法をこよなく愛するアークウィザード、爆発系統の魔法が好きなのではなく、爆裂魔法が好きなのです」
ぽつりぽつりと、めぐみんさんは語る
「もちろん、ほかの魔法を覚えれば楽に冒険できるでしょう。………でも、ダメなのです。例え一日一回しか撃てないとしても、例え使ったあとは倒れるとしても、それでも私は爆裂魔法しか愛せない!なぜなら私は、爆裂魔法を覚えるためだけにアークウィザードになったのだから!」
僕はそう言うめぐみんさんを…………とてもカッコイイと思った。今まで出会ってきた人達は少なからず自身の夢を妥協して生きてきた人達だった。
でもめぐみんさんは違う
例え茨の道だと分かっていても、めぐみんさんは自分の夢を追いたいと確固たる意志を持っている。僕はその姿勢に敬意と憧れを持った
「……その夢、僕にも手伝わさせてほしい」
「え、それって……」
「うん、このパーティで一緒に、最強の爆裂魔法使いを目指そう」
パァァっと、めぐみんさんの表情が明るくなる(実際には見えないが雰囲気で何となくわかる)
「ま、マジ?」
カズマくんは不安そうな目をしている
「大丈夫、全責任は僕がとる」
「貴方は私の保護者ですか」
めぐみんさんの冷静なツッコミが入るが、気にしないことにする
こうして爆裂魔法大好きなめぐみんさんが我らのパーティに加わったのだった