メトロイド、オモロイド

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銀河の小鳥

 どうしてまだ私は生きてるのだろう

 炎の中に消えていくわたしたちの街、パパも、ママも動かなくなって、目の前にいるのは知らないエイリアンたち

 

 パパたちが毎日働いて掘り出してた石なんかを勝手に持って船に積み込んで、盗んでいくのを動かない体で見ていた

 

「ケェ~!まだ生き残りがいるぜ!」

「ほっておけ、死にかけのガキに構ってる暇があるならアフロラールタイトを積み込む手伝いをしろよ」

「メカノイドどもに任せりゃいいだろそんなの?それよりも腹が減って仕方ねえんだ、連邦のパトロールどもに補給船落とされたせいで飯の量が足りねえんだよ」

「ヒューマノイドのくせ―肉なんざ要らねえよ、食うなら勝手に食ってろ。出発時刻を過ぎたら置いてくからな」

 

 ああ……そういえば思い出した、ママが散々いってたなぁ……悪い子にしてたらスペースパイレーツが来て食べちゃうだなんて……私は悪い子だったんだ、いつも夜更かしばっかりしてたから……

 

「クケケッヒューマノイドでも女子供ならうめえのにもったいねえなあ……まあ独り占めさせてくれるならありがたくいただくさ……さあお嬢ちゃん、大人しくしな。そうすりゃ痛いのも一瞬だあ」

 

 私の首を掴んで、持ち上げる……息ができない…苦しい……

 誰か……誰か助けて……

 

 

 パンと何かが弾ける音がして、投げ出されたわたしを誰かが受け止めた

 その赤いヘルメットの奥に、ママとおなじ優しい目が見えた

 

「ぎゃああああああ!!俺の腕がああああ!!」

「敵襲!?」「馬鹿な!あいつは!!」「索敵班……通信が繋がらねえ!?まさか!」

 

「安心して、もう大丈夫だから」

 

「緊急事態!!奴だ!!サムス、サムス・アランが現れた!応戦しろ!」

 

 そこからは一瞬だった、あんなに怖かったエイリアンたちが瞬く間に弾けて、倒れて、消えていく

 いろいろな声が聞こえる、私を抱えながら「サムス」は走って、エイリアンたちをやっつけていく

 

 音が遠くなっていき、目が開けていられない

 

 

『まずい、サムス。その子は有毒ガスを多く吸って極めて危険なラインにある、このままでは3分と持たずに死ぬ、シップの設備でも助かる確率は1割もない』

「アダム……だが私はこの子を決して見捨てる事はしない!」

『……そういうと思っていた。サムス、メトロイドスーツの機能を部分開放する事を許可する。生命エネルギーを分け与えれば生存確率は50%を超える、ログに関しては……後で考えるとしよう』

「ありがとう、アダム」

 

 何を話しているのかはわからなかった、けれど温かいものが体の中に流れ込んできて、私はゆっくりと眠った。

 

 

 

 それは悲劇のフラッシュバック……走馬灯、あれから銀河連邦に保護されて、孤児院に預けられ、学園に通う様になった私は、最強のバウンティハンター……サムス・アランに憧れる様になった。

 脳裏に焼き付いたあの日の光景は、パパとママを失ったあの日の事は何度も夢に見る、苦しくて悲しい、けれどその記憶の最後は必ずサムスが助けてくれて終わる。

 

「メアリーくん、君のサイキック能力は確かに素晴らしいが授業でズルをする事に使うのはよくない」

「これは才能!体の一部だって言ったの先生じゃないですか~!精神も頭脳も変わりませんよ!」

「しかしねぇ、スキャンシステムを使って問題を解いてばかりだとスキャンできなくなったら分からない事ばかりになる。だからそのヘルメットを消しなさい」

 

 オーロラユニット先生の指示に従って緑のクラゲみたいなヘルメットを消す、これは私のサイキック能力で具現化させた「スーツ」。強いイメージによって作り出せる体の延長上のもの。

 でも今はまだ未完成、私の目指すのはあの日見た……あの日触れたサムスと同じもの。

 

 焼き付いたのは記憶だけじゃない、あの時のサムスの感情や戦いの記憶、そしてスーツのパワードスーツのデータ、そのごく一部がサイキック能力によって私の中にも流れ込んで、今もここにある。

 まあでも鳥人族の遺伝子は持ってないし、メトロイドのDNAだってないからそのものにはなれやしない。

 それに私がそうなることをサムスは絶対に望んだりしない。

 

 だから憧れ、憧れだけで終わらせて、私は私の道を探さなきゃいけない。

 

「やはりまだ進路は決まらないようだね、けれど慌てなくてもいい。銀河に生まれた命の一つ一つに、同じ輝きは一つとしてない、自分の輝きを探しなさい」

 

 銀河連邦軍への入隊の為に軍学校に行く、科学者として、研究者としてアカデミーを目指す……あの日の私が助けられた様に誰かを助ける為の仕事をしたいとは思っていても、いろんな道がある。

 そんなある日だった。

 

 校外学習の一貫として銀河連邦の科学アカデミーコロニーへ向かう途中、私達の乗った大型船はパイレーツの襲撃に遭った。

 スペースパイレーツ、というのはあくまで総称でしかない。壊滅させても銀河の支配をもくろむテロリストや社会からつまはじきにされるような悪人がまたあつまればそれはスペースパイレーツと呼ばれる様になる。

 

 私の故郷を襲ったのとはまた違うタイプの、両手が鋏みたいなデバイスになったパイレーツが私達を人質として、そのまま科学アカデミーコロニーに乗り込む、そういう計画なのだと私の読心能力が解き明かす。

 

 警備の人が応戦したから現在船内にいるパイレーツたちは15体、でも警備の人達は全滅している。

 私は狭いスペースに丸まって隠れていて、誰もその存在に気付いていない。

 

 船の制御AIのハッキングに失敗してエラー、このままではコロニーに辿り着く以前にデブリにぶつかる可能性の方が高い、しかもパイレーツも突入スパイクの片道仕様……私達が生き残るには脱出ポッドを使うしかない。

 連邦軍の人達の助けも間に合うかわからない、それにあの時みたいにサムスが偶然近くにいるわけがない。

 

 やるしかない、今度は私がみんなを助ける番なんだ。

 

 ボール状態のスーツで空調ダクトの中をゴロゴロと宇宙ハムスターが車を回す様に進んで、まず一番片付けやすい警備室のモニターを見ているパイレーツの頭上を取って、変形を解除、白と水色の宇宙服に緑のメトロイド幼体みたいなメットのスーツに変身。右手のひらと指の内側についたビームパネルを調整して作るのはウェイブビーム。

 床をすり抜けた紫の光がパイレーツの頭を吹っ飛ばした。

 

 何が起きたかすら気づく事なく倒れる、これで一体目、心臓の鼓動が強く聞こえてくる。

 誰も居なくなった警備室に降りると死んだ人達の残留思念を感じる、それを受け取ってエネルギーに変えながら監視端末をスキャンしてヘルメットにマップとパイレーツの位置情報をマーク、再びダクトの中を通って次はエンジンルームで航行システムをどうにかしようとしている工作員、4体。

 

 しかし戦闘の余波で脆くなってた天井を踏み抜いてしまい部屋の中に落ちてしまう。

「なんだ!?」

「ガキだ!」

「構わん一人ぐらい減った所で他にも人質はいる、撃ち殺せ」

 

 こちらにレーザー砲を向けてくる、よりも早く私は右手からパワービームを2発ずつ、計8発パイレーツたちに浴びせて撃ち抜く、痛みが、侮っていた相手に倒される驚愕の感情が流れ込んでくる。けれど慣れた、まだ息がある一体にもう一発パワービームを打ち込んでトドメを刺す。

 

 これで残り10体、広場で皆を人質に立てこもってるのが5体、残り5体はコントロールルーム。ならば先に目指すのはコントロールルーム、封鎖されたハッチを解放するのに非常用のガレキ除去用の手持ちミサイルを見つけ出して担ぎ、息を整える。

 

 ハッチを破壊すると同時に煙も晴れないままビームがスローモーションで飛んでくる、そのまま真っ直ぐ飛び込む形で回避して、アイスビームのチャージショットをコントロールルームに放つ。冷気の爆風で5体のパイレーツは瞬く間に凍結、そこに残ったもう一発の手持ちミサイルを放ち全滅させる。

 

 ここまでくればもう向こうもこちらに気付いている、困惑と、警戒と、恐怖の感情が伝わって来る。

 

 

「てめぇ……よくもやってくれたな……」

 人質に武器を向ける4体のパイレーツ、私は広場に正面から入っていく。

 一体は指揮官、なんだろう。他のパイレーツと違った格好をしている。

 

「だがもう終わりだ、こっちには人質がいる。お前が変な動きをしたら、全員お陀仏だ」

 

 皆、怯えている……けれど少しだけ、まだ少しだけ希望を持っている。

 目の前の私が、助けてくれると。

 

 ならば答えなくちゃいけない。

 

「死ね!クソガキが!」

 パイレーツの放つビーム、何発かは私のヘルメットを直撃するけれど柔軟なシールドが防ぐ。ノーダメージ。

 随分ヘタクソな射撃なのかあんまり当たらない。

 

 まだだ、タイミングを見計らえ、既にパイレーツたちは全員ロックオン済みだ。

「ちぃ!お前らも撃て!」

 

 指揮官の命令には逆らえない様で残りの四人も武器をこちらに向けてビームを放ってくる、シールドのエネルギーがどんどん減っていくが、まだ耐えらえる。

 皆の不安がどんどん高まっていく、けれどまだ倒れない私にパイレーツ達の焦りが最高潮に達したその瞬間。私は高くジャンプをする。

 パイレーツ達には突然消えた様に見えただろう、驚愕の感情が流れ込んできた。

 

 すかさず寸分の狂いもなく、スローモーションの世界の中でパワービームがパイレーツ達を貫く。

 最後の一体の頭を吹き飛ばすと同時にスローモーションは途切れ、私は床に着地する。

 

 一瞬の沈黙、困惑と驚愕、そこからワッと歓喜の爆発を感じた。

 自分達は救われたのだと皆、理解したのだ。

 

 だがまだだ、船はいまなお制御不能になりいつデブリに衝突するか不明。

 非常用ポッドへ急ぐように指示を出し、私が案内して、120人いる乗組員をいくつかに分けて脱出させて救難信号を出させる。

 そして最後の一組を脱出させた瞬間、船が衝撃に揺られる。

 

 何かがぶつかって来た、デブリか?そう思った瞬間天井を破り叫び声が聞こえる。

 私は見た、その獰猛な姿、翼を持つ恐竜の様な巨大なエイリアン。

 

 知っている、資料で見た事がある。

 スペースパイレーツの指揮官「リドリー」、凄まじい知能と宇宙空間さえも飛行できる恐ろしい身体能力を持った怪物。

 

 あまりにも強力が故に何度も何度もクローンが生み出されて、銀河を脅かす悪の化身。

 それが今私の目の前にいる。

 

 甲高い叫び声は凄まじい憤怒、たかが子供ごときに、全滅させられた役立たずの部下に対する侮蔑。

 パイレーツの死体を踏みにじり、私を消し飛ばそうと炎を吐く。

 

 とても、とても敵う相手じゃない!おまけにリドリーが突入してきたせいで船が崩壊を始め、警告が鳴り響く。

 けれど……けれど諦める訳にはいかない!

 

 サイキックエネルギーを全力でチャージした右手に緑の輝きが広がる。

 私が使える最後の手札、まさかリドリーもこんな子供が、まさか「プラズマビーム」を放つだなんて思ってもみなかっただろう。

 突然、片翼を吹き飛ばされてよろめいて、激痛に喚き叫ぶ、そしてそれ以上の怒りが、憎悪が私に向けて放たれようとした……その瞬間だった。

 

 もう誰もいない筈の船の中、私ではない誰かが放ったミサイルが……いや「スーパーミサイル」がリドリーの首を吹き飛ばした。

 そこにいるのが誰なのかはそれだけでわかった。

 

「サムス……サムス!」

「よく、よく頑張った。早く脱出しよう」

 

 あの日見た時とはまた別のスーツだったけれど、間違いなくサムス・アランがそこにはいた。私はまた救われたんだ。

 

 デブリ群に突っ込んで崩壊していく船をスターシップから見送り、連邦軍の救助隊が無事に脱出ポッドを回収していくのを眺める。

 

『まだ子供だというのに、大したものだな……まさかスペースパイレーツの野望を一人で挫き、出涸らしの様なクローンとはいえあのリドリーにすら一矢報いてしまう……銀河連邦からの勧誘の声はしばらくやまないだろう』

「ああ、私もまさかここまでとは思っていなかった、むしろ間に合わないかもしれないと焦っていたが……」

「それは……サムスさんのおかげです、覚えていますか?あの日……アフローラルタイト採掘場で私にエネルギーを分けてくれた事……あの時の力のおかげです……むしろ勝手に力を使っちゃって……」

「だとしても、だ。それを使って正しい事を、君が信じた事を成せたのは君自身の功績だ……世の中には力を持っていても間違った事に使ってしまう者が沢山いる……パイレーツ達だってその一つだ。君の正義が皆を救ったんだ」

 サムスさんが、私の右手に触れる。

 

「パワードスーツを再現したそのサイキック能力も、君の両親が、その先祖が君に残した希望だ。それに私のこのパワードスーツを作ったチョウゾの者達だって誇りに思うだろう。それほどに君は善き事を成したんだ」

 

 

 銀河に広がる静かな闇の中、その中に一際大きな輝きがある、それがサムス・アランだ。

 ……だが輝きは一つだけではない、数多の輝きが今日も新たに生まれる……

 

 メアリーという少女もまたその一つ、受け継がれる平和への祈りは絶えず、続いていく。




メトロイドシリーズの世界観が好きなのでスピンオフでももっと出て欲しい(欲望)

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