神の暇潰し 作:私は最強
暖かい目で見守ってくれると嬉しいです
1話:死後の世界
──────死んだ。
唐突に、そう思った。首に掛けられた絞縄が喉を圧迫し、拘束された四肢は動かすことすらままならない。無慈悲にも俺の身体は宙に浮き、そして脳を中心とした身体に血液が回らなくなる。
ふぅっと意識が遠のき、俺はこの世を離れることになった。
─────「起きろ」
いきなりそう声を掛けられ、俺は戸惑う。目の前にいるのは、綺麗な顔立ちをした大人の女性………だが、衣服は白銀色や金色色が使われ神々しい。
周りを見渡せば、全く何もない真っ白な空間だ。ここが現実…………というのはあり得ないだろう。俺は確実に、あそこで死んだからな。
となると、ここは死後の世界だろうか。そんなものに興味はないが、今はあの不快感がまだ体を支配していて声を出す気にはならない。
「…………もういいか?」
「────誰だよあんた。あとここ何処だ?」
俺は話しかけてきた奴に言葉を返す。まず、ここが死後の世界だとしてもコイツは誰だ?ここの住人か?
「まぁ、そういう反応にもなるか。…………感謝しろ、‘‘水無瀬真一’’、お前は〈ゲーム〉の参加者に選ばれた」
少し間を開けていったと思えば、理解できないことを言われる。ゲーム?参加者?何言ってるんだコイツは。頭がおかしいのか?まず名乗るだろ。
「………そう、だな。私の名前はとりあえず‘‘アカルヒメ’’とでも呼べ。そして〈ゲーム〉ついての話をしよう」
そう言い、徐にアカルヒメは口を開ける。すると周囲には光が満ち、質素な周囲は幻想的な環境へと姿を変えた。
俺は死んだときと同じグレーの上下を着、立ったまま話を聞く姿勢を整える。こんな意味不明な場所に連れてこられた上に超常的な力まで誇示されれば、従うほかない。
「水無瀬真一。お前が参加する〈ゲーム〉とは、私たち『神』が不定期的に行う暇潰しの一つだ。お前を含めここ一週間以内に日本国で死亡した人間1万人が参加することになっている」
「………続けろ」
「〈ゲーム〉の内容は、大体私たち神が各々好きに決める。そしてお前たち〈
何を言っているのかは理解できる。つまり、コイツらはこの世界の支配者であり、俺らを好きにできる。そして、そのゲームとやらに強制参加ってことだ。
何も言うまい。最早、俺に拒否権などないからな。だが、聞きたいことならある、山ほどな。
「…………質問だ」
「許可しよう」
「一つ目はここは何処か。二つ目は勝てば何を得、負ければ何を失うのか。三つ目は、ゲームが終わることはあるのか?」
ここが現実世界ではないにしろ、どういった世界なのかは重要だ。日本に未練がないわけじゃないが、切り替えは大事だ。特に、俺みたいなタイプにとってはな。
「一つ目の答だが、【死後の世界】だな。ここは私たちの意のままで、お前らを地球でゴミ虫として転生させることも、地獄に叩き落すことも可能な全知全能だと思え」
「………続きは」
「二つ目の答は、勝てば〈ポイント〉を得られる。負ければ当然〈ポイント〉を失う。最後にこの〈ゲーム〉の終わりについてだが、確実に終わりはある。だが、都合上お前らにいつ終わるのかを告げることはない」
…………要するに、最近の漫画やアニメでよく見るチートだな。直接手に取ったことはないが、元人間である俺が立ち向かうには少々無謀すぎる相手でもある。
「………要約すれば、ゲームに勝ってポイントを得ればこれからの生活ウハウハ。負ければ地獄かゴミかの二択ってことか」
「その通りだ。どうだ、嬉しいだろ?」
「嬉しいわけあるかよ」
「…………いや、嬉しいはずだ。──────何故なら、人との争いは
「少し違うな。俺が得意なのは
少し反論すると、彼女は興味深そうに俺を見つめる。その視線が妙に気色悪く、俺は久しぶりに身震いをした。それも、また見つめられるのだが。
「…………気に入った。お前のプレイヤー名は‘‘信一’’にしようか。人を信じることが一番、どうだ。素晴らしい皮肉だろ?」
「プレイヤー名ってのは?」
「お前たちプレイヤーは基本本名で呼ばれることも書かれることもない。その際に代用する仮名だとでも思っておけばいい」
「………あんまり変わらないと思うけどな。好きにしろ」
俺は投げやりに答える。これから意味の分からないコイツらの暇潰しに付き合わされると思うと憂鬱だが、仕方ない。流石に地獄も来世虫も御免被りたいからな。
「期限の一週間までは残り二日ほどある。言い忘れていたがここでの経過時間は地球と同じだ。だから、ここで二日間過ごしてもらうぞ」
「この何もない真っ白な空間でか?」
突然そんなことを言われる。当然と言えば当然だが、きついな。いやまぁ、変わらない景色と狭い空間には慣れてるが。もう一度経験はしたくない。
「…………安心しろ、飽きられない設計になってる。ほら…………これでどうだ」
アカルヒメが指を鳴らすと、当たりの景色が変化する。真っ白だった空間は森林の上空へと姿を変え、まるで空中に滞在しているような感覚に陥る。床は透明だ。
「アマゾンを再現した空間だ。衣食住は死んでいても実体があるから必要だ。衣はゲーム開始までそのまま、食はこの棚の中、住はこの空間で良いだろう。私と他の神以外干渉できないプライベートゾーンだ」
そう言いながら、彼女はぽつんと空中に置かれた木製の棚を撫でる。二日間分の水分や食料が用意されてるらしい。
「…………最後に助言だ。〈ポイント〉を消費すれば、交渉が出来る。だが、勝ちたいのなら使い道を誤らないことだ。交渉にも、色々あるからな」
それだけを言い残すと、彼女は姿を消した。
──────残ったのは俺と、小さな木製棚、あとは最高の景色だけ。
いきなりで追いつかないところもあるが、一つだけは決めたことがある。
それは…………
──────〈ゲーム〉とやらで、俺は必ず生き残る。