それでは、どうぞご覧ください。
進化させたホワイトダブルインパクトで逆転し、スコアは3-2で俺たちがリードする形になった。
「やりましたね!」
「いつの間に2人で練習してたんだ?」
逆転したことに、みんな喜んでそう声を掛けてくれた。この技はある技の練習をするついでに習得したものだが、もう一段階進化したものを完成させることができた。すると……
『おっと、ここで雷門選手交代です。キーパー、暖冬屋選手に代わり、木下選手が入ります』
「女神シグリアの名の下に!!」
雷門が選手交代で、ある選手を投入してきた。それは初めてみる選手で、全く情報のないキーパーだった……。
「零、あのキーパーって……?」
「情報にはなかった選手だね………けど、やることは変わらない。何があっても、雷門を倒すだけだ」
「!あぁ……そうだな」
この状況になっても零は冷静で、雷門側を見据えてそう言ったのだ。それから試合が再開され、雷門は円堂を中心とした戦術で攻め込んでくる………が、
「そこでしょ?」
「「っ!?」」
パスしようとしたところで、零が完璧なタイミングでカットして攻守を反転させた。それからどんどん攻め上がる零に、雷門キャプテンの月影がスライディングでボールを奪おうと迫るが………
「!」
「くっ……!?」
零は月影の方を見ることなく、この動きを予測していたようにヒールリフトで回避したのだ。さらに零はその直後、俺の方を見ずに強烈なカーブを掛けたパスをしてきた。
「っ!」
俺はそれをトラップすると………
「行くぞ………パンサーブリザードV2ッ!!」
特訓で強化したパンサーブリザードを放ち、点を獲りに行く………が、
「女神大陸!!」
雷門のキーパー木下は、背後にギリシャ神話に出てくるような女神が出現させると、その手のひらでシュートを止めてしまった……。
「っ!?」
「ウソだろ……!」
まさかこれを止められるとはな………まだこんな選手がいるとは、さすが雷門と言うべきか………。
「やぁっ!!」
シュートを止めた木下は、すぐにボールを円堂に向かって投げた。そして、そのボールをトラップした円堂は………
「行くぞ………はぁあああああああ!!」
『こ、ここで化身!円堂ハルが化身を生み出しました!!』
『あの化身には、見覚えが……?』
叫び声を上げると、何と炎の魔神のような化身を生み出したのだ………まったく、サッカーモンスターっていうのは、何でもありなのかよ……!
『円堂ハル!そのまま白恋のゴールへと迫っていく!!』
そして……
「メテオッド・ファイヤートルネード
化身によって強化された必殺技を放った。
「!マジン・ザ―――うわああああああ!!」
一心も必殺技で止めようとしたが、それよりも速くシュートがゴールへと突き刺さった……そのゴールが決まった瞬間、スタジアムは割れんばかりの歓声に包まれた……。
『さぁ、一進一退の攻防!同点のまま、残り時間は1分となりました!』
『まさか準決勝でこんな熱い試合が見られるとは、どちらが勝ってもおかしくはありませんね!』
残り時間はあと僅か……どうす―――
「冬真、あれを使う」
「!?」
俺がここから逆転するための作戦を考えようとしたところで、零がそう言ってきたのだ。あれって………!まさか―――
「零、でもあれは―――」
まだ未完成―――そう言おうとしたが……
「今は同点、それに残り時間は僅か………この技に賭けて、一気に勝負を決める」
零は間髪入れずにそう返した。零の言う技こそ、俺と2人だけで特訓していた技なのだが、今まで納得のいく形で成功させたことはない………でもやるしかない、か……。
「……分かった。その技に賭ける」
◇
『さぁ、残り1分となった準決勝第2試合!果たして勝利の女神が微笑むのは、王者雷門か!それとも氷帝と韋駄天を擁する白恋か!』
帝国学園に勝利した僕たち南雲原中は、続いて行われる雷門中対白恋中の試合を観戦していた。その試合の前半は、『戦術の氷帝』氷月零と『白恋の韋駄天』吹雪冬真の圧倒的な実力と連携により、雷門を完全に圧倒していた………が、後半から出場したハルを加えた雷門もその実力を示し、新技や化身によって後半で一気に3点を獲ったのだ。それだけではなく、氷月零があんな動きができることにも驚いたが……。
「これ、どっちが勝つんだろ……」
「どっちが勝ったとしても、決勝の相手が今までにない強敵になるのは変わりないけどな」
「でも、それはそれで楽しみですね」
「それもそうだな」
みんなも決勝戦の相手が決まる試合ということで、注目して見ていた。
「行くぞ……!」
ホイッスルが鳴り、白恋ボールで試合が再開した。試合が再開して吹雪冬真にボールが渡ると、吹雪冬真はトップスピードで敵陣に突っ込んでいく。
「いきなり!?」
「来るぞ!」
雷門はすぐさまそれを止めに走る………が、
「っ!」
『!?』
吹雪冬真は背後にいる氷月零にバックパスを出したのだ。その行動に驚いたのか、雷門の選手たちは一瞬ボールを目で追った。その隙に……
「っ!」
「!しまっ―――」
吹雪冬真は雷門の選手たちを躱し、深く攻め込むことに成功したのだ。そして……
「はぁあああああああ!!」
ボールを受け取った氷月零は、雄叫びのように声を上げながら、今までにない強烈なブリザードを伴ったシュートを放った。
『なんと!ここで氷月選手の新必殺シュートが雷門ゴールに迫る!』
そのシュートは、そのままゴールに向かっていくかと思われたが……
『いや!これは!?』
そこに吹雪冬真が、脚に赤黒いオーラを纏いながら猛スピードでそのシュートに追い付いてきたのだ。そして……
「これで決める!!」
吹雪冬真は氷月零のシュートに向け、今まで見たどのシュートよりも速く脚を振り抜き……
「「氷結のグングニルッ!!」」
威力をさらに上乗せさせた、巨大な氷の槍の必殺技を放ったのだ。
「「「パーフェクト・タワー!!」」」
それに対し、雷門のDFたちは必殺技でシュートを止めようとしてくるが……
「「「っ!?」」」
「い、威力が……!」
「落ちない……!?」
放たれたシュートは、その威力を落とすことなく雷門のゴールに迫っていく。
「止めろ!!」
「女神大陸!!」
雷門のキーパー木下まつのも、さっきの必殺技でそのシュートを止めようとした。
「ぐぅっ!?」
それは一瞬受け止められたものの………
「なっ!?」
シュートの威力が勝っていたのか、そのままゴールに―――
「はぁあああああああ!!」
入ろうとしていたが、そこにギリギリのところでハルがシュートを何とかキックで跳ね返そうとしていた。
『行っけぇえええええええ!!』
『止まれぇえええええええ!!』
そして……
『ゴーーーーーーール!!』
シュートはゴールへと突き刺さり……
『ここで試合終了!!準決勝第2試合、番狂わせが起きました!!』
『スコア3-4で、白恋中が王者雷門を打ち倒し、決勝進出を決めました!!』
白恋中が決勝進出を決めたのだった……。
◇
「か、勝ったの……?」
「リベンジ、できたってこと……?」
試合が終わった直後、俺たちは呆然としていたが……
『や………や………
やったぁあああああああああ!!』
雷門にリベンジを果たしたという事実を理解し、喜びの声を上げた。
「ふぅ―――っ!?」
「やったな!零!」
俺も零のところに行って肩を組み、喜びを分かち合った。
「っ……うん、そうだね。あとは―――」
零はそう言うと、観客席のある場所に目を向けた。そこにはこの試合を見ていた南雲原中がおり、零は特に笹波雲明のことを見ていた。
「あぁ、次は決勝………絶対に勝つ。そして、その先に行く―――だろ?」
「もちろん」
すると……
「零さん」
「「!」」
円堂ハルが零に声を掛けてきたのだ。その顔は負けたというのに、どこか清々しい表情をしていた。
「久し振りに負けましたよ……流石、氷の天才と呼ばれただけのことはありますね」
「!」
「氷の天才……?」
その言葉に、俺は思わず首を傾げた。
「もしかして零さん……教えてないんですか?」
「昔のことだからね……それにその名前にはあまりいい思い出はないから」
「!それって――――いや、分かりました。ならこれ以上は訊きません」
氷の天才……かつての零の二つ名のようだが、零がそう言っているから俺もこの話題には触れないようにしよう。
「正直気にはなるけど……零が嫌がるなら、俺も訊かないでおくよ」
「……ありがとう、冬真。それにハル君も」
そして……
「2人とも……次の決勝、雲明に勝ってくださいよ?応援してますから」
「分かってるよ」
「言われなくても」
俺たちはそう言い、それぞれがハルと握手するのだった。
読んで下さり、ありがとうございます。
この小説の世界線では、白恋が雷門に勝ってリベンジを果たして決勝に駒を進めました。決勝は白恋VS南雲原となりましたが、ここからどうなるのか……。
それでは、次回の話もどうぞよろしくお願いいたします。