いよいよ、零が試合に出るときが来ました。本領発揮させるのは本戦からになりますが、果たしてどのような試合になるのか……。
そして星9評価をしてくださった、特撮オタク(にわか)さん、トウカ@12さん、本当にありがとうございます。
それでは、どうぞご覧ください。
『北海道・東北エリア予選決勝戦!対戦カードは白恋中対林胆学園となっております!』
実況の人の言う通り、今日は北海道・東北エリア代表を決める決勝戦であるのと同時に、僕がサッカー部に入ってから初めての公式戦となる。
この日までにサッカー部みんなの武器や使う戦術をまとめたり、自身をレベルアップさせるための特訓や必殺技の習得もしてきた。因みに、課題だったオリジナルシュート技も完成させているが、この試合で使うつもりはない………もしここで出せば、勝ったとしても本戦までに他の学校に分析され、対策されることがあるからだ。だから本戦までは温存しておかないと―――
「零!」
「!何?」
「今日は頼んだよ」
僕が試合のことを考えていると、冬真がそう声を掛けてきた。
「分かってる………みんなも作戦通りにお願い」
『了解!』
◇
『さぁやってまいりました!フットボールフロンティア北海道・東北エリア決勝!白恋中対林花学園の対戦カード、これに勝った学校がエリア代表となります!』
『この試合ですが、白恋中からフットボールフロンティア初出場の選手がいるようですね?』
『はい!背番号0番氷月零選手、ポジションはMFとなっていますが、果たしてどのような活躍をするのか注目です!』
「……」
実況が零について言う中、本人は集中してただ相手を見据えていた……そういえば、零ってサッカーする時は性格変わるけど、何でなんだろ……?
「何だあいつ?」
「この間までいなかったよな……?」
「まぁ、気にする必要もないだろ?それよりも俺たちは、あの韋駄天を抑えることに集中すればいい」
林花学園の選手たちは、少しの間零のことを見ていたが、すぐさまあちらのキャプテンの指示通りポジションについた。そして……
『さぁ、林花学園のボールでのキックオフです!』
審判のホイッスルにより、エリア代表を決める試合が始まった。ボールを持った林花学園のキャプテンは、その勢いのままこちらのディフェンスを躱しており、他の選手たちも白恋中の方へと駆け込んでくる。
「行け!」
林花学園のMFは俺たちのディフェンスを抜けると、先にゴールへ向かっていたFWへとパスを回す。そのパスは、FWの元に完璧に通ったと思われたが……
「よし!ナイスパ―――」
「もらうよ」
「………え?」
パスルートが分かっていたかのように、零がパスをカットしたのだ。
『おおっと!完璧に通ったと思われたパスでしたが、ここで氷月選手が見事にカット!』
それを見た俺たちは、作戦通りに……
「みんな!」
『あぁ!』
速攻カウンターを開始した。
『それを合図に白恋中、選手たちが次々と敵陣になだれ込んで行くぞ!?』
『これは……今までの白恋中にはない戦術ですね?』
これは零がミニゲームに見せた戦術の完成版で、FWやMFが一気に敵陣へとなだれ込むというものだ。そして、それをされた相手はというと……
「なっ!?」
「と、止めるんだ!ゴール前に行かせるな!」
「こ、こんな一気に対処は無理だ!?」
「データと全然違うぞ!?」
こちらのパスの選択肢が多いのか、誰に人数を割けばいいのか分からず混乱に陥っていた。そんな相手を余所に、俺たちはゴール前に向かって進んでいく。
「……そこ」
零はそのキック精度で、まるで地面を這うようなパスを出した。それは寸分の狂いもなく、ほろかのところに向かっていく。
「ここだろ!」
「ドドンパッ!?」
相手もそれに反応してきたのか、零のパスをカットしようとほろかとボールの間に立った。ほろかはそれに驚ろ―――
「―――なんてね?」
「は?」
くことはなく、むしろ作戦通りだという笑みを浮かべていた。そこに……
「遅い!」
「なっ!?」
俺が走り込み、ボールが相手に取られる前に取り、パスがカットされることを防いだのだ。実はこれも、零の作戦の1つで……
『もしパスに反応する選手がいたら、冬真のスピードでボールを取って』
『?何で―――!あぁ、なるほどな……』
『え?どういうことなんですか?』
『例えば、僕がほろかさんにパスをするとする。そのパスを相手がカットしようとパスコースに立ちはだかる』
『ふむふむ』
『その時、相手の目線は少なからずボールに注目している。そのパスを相手からは意識の外にいる冬真が取れば―――』
「こうなる、わけだ!」
「「!?」」
零の作戦通りにボールを取った俺は、得意のスピードで相手を抜き去り、ゴール前でキーパーと1対1になった。
「行くぞ……!」
俺はボールを蹴り上げると、周りに吹雪を起こし……
「エターナルブリザード!!」
必殺技シュートであるエターナルブリザードを放った。この技は父さんの代名詞とも言えるシュートで、特訓をしてやっとの思いで習得した技だ。
「シュートポケット!」
相手のキーパーも必殺技で俺のシュートを止めようとしたが……
「ぐあっ!?」
『ゴーーール!氷月選手を中心とした見事な速攻カウンターから、白恋の韋駄天こと吹雪選手のエターナルブリザードが炸裂したぞ!!』
『試合開始僅か2分で、白恋中が先制点を挙げました!』
止められることなくゴールに突き刺さり、先制点を獲ったのだ。
「ナイスだ零!」
「それはこっちのセリフだよ」
俺たちは互いをたたえ合い、ハイタッチを交わす。
「でも、喜ぶのはまだ早いよ」
「あぁ……もちろん、最後まで油断はしない。もっと点を獲ってみせる……!」
喜ぶのも程々に、相手の次の攻撃に備えることにした。
◇
「キャプテン……」
「何だ……今までの白恋中とは何かが違う……」
開始僅か2分という短時間で先制点を許したという事実に、林花学園の選手たちは混乱していた……が、
「データとも動きが違ったし……」
「いや、まだ1点取られただけだ。切り替えてまずはこちらも1点を獲る」
『はい!』
キャプテンの一声で、他の選手たちも次の攻撃に備えて散っていく。
「よし、行くぞ!」
それから林花学園のボールで試合が再開し、俺を含めた白恋中のFW陣やMF陣を林花学園が得意とするパスの技量の高さで次々と抜いていく。そして、DF陣が守る場所まで進んだが……
「通しませんよ~!」
そこにねねみが立ちはだかった。
「アイスグランド~!」
「っ!?」
「零君!」
「!」
ねねみはすぐさまディフェンス技のアイスグランドで、相手FWを凍らせてボールを奪うと、それを零に向けてパスした。零はパスが通りやすい場所に予めいて、ボールは相手の隙を突いて零のところまで飛んでいく。零はそのボールをほとんど見ずにトラップすると、フィールドの右側から敵陣へと駆け出していった。
「くそっ!」
「あいつを止めろ!」
どんどん進んでいく零を、相手は2人がかりで止めに来ていたのだが……
「「は……?」」
零はスピードを落とさずにその場でボールを浮かせると、完璧なコントロールで蹴って2人の間に通し、零自身は左側へと抜けていった。さらにもう1人、相手が零を止めに来ていたものの……
「!?」
それをヒールリフトで躱すと、コーナーへと走り込んだ。
「何であそこに……!?」
「なんにせよチャンスだ!」
相手はそれを見て
「シュートコースはな―――」
「っ!」
零はその位置から右足で、弧を描くようにノーマルシュートを撃ったのだ。
「ちょ、待―――」
そこから撃つとは想像していなかったのか、相手キーパーは反応が遅れてしまっていた。それでも、ボールに手を伸ばしたのだが……
『ゴーーール!氷月選手、自陣から1人で一気にドリブルで駆け上がり、そのままゴールを決めてしまったぞ!!』
『それにまさかあの位置からシュートを撃つとは、林花学園の選手たちも想像だにしていなかったでしょうね……』
零のシュートに手は届かず、点を決められてしまったのだ。
「ナイスだ零!」
「おっと……ありがとう。ねねみさんもナイスディフェンスだったよ」
「いえいえ~、零君もナイスシュートです~!」
俺たちは駆け寄り、零の初得点が入ったことを喜んだ。決めた本人は俺たちが来るまではサッカーしてる時の冷たい表情だったが、俺たちが来た後はあまり表情には出ていないものの、どこか照れ臭そうにしていた。その後、相手ボールで始まった後半だったが……
「アイスグランド!」
「っ!?」
「またかよ……!」
俺たち自慢のDF陣やキーパーの防御によって、相手に得点させることはなく……
「冬真!」
「行くぞ……パンサーブリザード!」
「!ゴッドハン―――ぐあっ!?」
零の戦術や完璧なパスが相手に刺さり、俺たちは追加点を挙げることが出来た。そして……
「零!最後に決めてこい!」
「!了解……!」
俺はDF陣から受け取ったボールを、フリーの場所にいる零にパスした。零はフィールドの半分手前あたりまで進むと、そこでボールを高く打ち上げ……
「流星……ブレード!」
ロングシュートを放ったのだ。零の流星ブレードは、その必殺技の名の通り………
「!?は、速―――」
相手に必殺技を出させる隙も与えず、ゴールへと突き刺さった。
『ゴーーール!そして同時に試合終了!最後に決めたのは、今試合のMVPと言っても過言ではない氷月選手だ!』
『そしてスコア4-0により、白恋中の勝利!堅守速攻とも言うべき戦術により、見事エリア代表の座を勝ち取りました!』
『これは本戦での活躍も注目ですね!』
それと同時に試合が終了し、俺たちはフットボールフロンティア本戦への進出を決めた。
◇
「やったな零!」
「!冬真……作戦が上手く刺さって良かったよ」
試合が終わった後、僕たちはベンチでそんなやり取りをしていた。
「やっぱり零君は凄いですね!」
「冬真が凄いやつを見つけたって言った時は、正直信じられなかったけど……ミニゲームの立ち回りや今日の試合を見せられたら、信じるしかないよな」
「……」
こんな風に言われるのは久し振り―――いや、初めてかもしれない……前までだったら、陰で何かを言われるか、直接文句を言われるかだったから……。
「……冬真、ありがとう」
「えっ?急にどうしたんだ?」
「礼を言っておこうと思ってさ。今は……
ここが僕のチームだって、自信を持って言えるから」
「!……なら、あの時あの場所に行って良かったよ」
そして……
「零」
「ん?」
「絶対に勝とうな!」
「!……もちろんだよ、冬真」
僕たちは拳を合わせるのだった。
読んで下さり、ありがとうございます。
今回は、ブルーロックをオマージュした場面が多くありましたが、いかがだったでしょうか?
次回の話の後で、いよいよフットボールフロンティア本戦の話に入っていきます。
それでは、次回の話もどうぞよろしくお願いいたします。