氷の天才のヴィクトリーロード   作:アキ1113

5 / 14
 どうも、作者です。今回はフットボールフロンティア予選決勝の話になります。

 いよいよ、零が試合に出るときが来ました。本領発揮させるのは本戦からになりますが、果たしてどのような試合になるのか……。

 そして星9評価をしてくださった、特撮オタク(にわか)さん、トウカ@12さん、本当にありがとうございます。

 それでは、どうぞご覧ください。



第5話 天才の初陣

 

 『北海道・東北エリア予選決勝戦!対戦カードは白恋中対林胆学園となっております!』

 

 実況の人の言う通り、今日は北海道・東北エリア代表を決める決勝戦であるのと同時に、僕がサッカー部に入ってから初めての公式戦となる。

 この日までにサッカー部みんなの武器や使う戦術をまとめたり、自身をレベルアップさせるための特訓や必殺技の習得もしてきた。因みに、課題だったオリジナルシュート技も完成させているが、この試合で使うつもりはない………もしここで出せば、勝ったとしても本戦までに他の学校に分析され、対策されることがあるからだ。だから本戦までは温存しておかないと―――

 

 「零!」

 

 「!何?」

 

 「今日は頼んだよ」

 

 僕が試合のことを考えていると、冬真がそう声を掛けてきた。

 

 「分かってる………みんなも作戦通りにお願い」

 

 『了解!』

 

 

 

 

 

    ◇

 

 

 

 

 

 『さぁやってまいりました!フットボールフロンティア北海道・東北エリア決勝!白恋中対林花学園の対戦カード、これに勝った学校がエリア代表となります!』

 

 『この試合ですが、白恋中からフットボールフロンティア初出場の選手がいるようですね?』

 

 『はい!背番号0番氷月零選手、ポジションはMFとなっていますが、果たしてどのような活躍をするのか注目です!』

 

 「……」

 

 実況が零について言う中、本人は集中してただ相手を見据えていた……そういえば、零ってサッカーする時は性格変わるけど、何でなんだろ……?

 

 「何だあいつ?」

 

 「この間までいなかったよな……?」

 

 「まぁ、気にする必要もないだろ?それよりも俺たちは、あの韋駄天を抑えることに集中すればいい」

 

 林花学園の選手たちは、少しの間零のことを見ていたが、すぐさまあちらのキャプテンの指示通りポジションについた。そして……

 

 『さぁ、林花学園のボールでのキックオフです!』

 

 審判のホイッスルにより、エリア代表を決める試合が始まった。ボールを持った林花学園のキャプテンは、その勢いのままこちらのディフェンスを躱しており、他の選手たちも白恋中の方へと駆け込んでくる。

 

 「行け!」

 

 林花学園のMFは俺たちのディフェンスを抜けると、先にゴールへ向かっていたFWへとパスを回す。そのパスは、FWの元に完璧に通ったと思われたが……

 

 「よし!ナイスパ―――」

 

 「もらうよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「………え?」

 

 パスルートが分かっていたかのように、零がパスをカットしたのだ。

 

 『おおっと!完璧に通ったと思われたパスでしたが、ここで氷月選手が見事にカット!』

 

 それを見た俺たちは、作戦通りに……

 

 「みんな!」

 

 『あぁ!』

 

 速攻カウンターを開始した。

 

 『それを合図に白恋中、選手たちが次々と敵陣になだれ込んで行くぞ!?』

 

 『これは……今までの白恋中にはない戦術ですね?』

 

 これは零がミニゲームに見せた戦術の完成版で、FWやMFが一気に敵陣へとなだれ込むというものだ。そして、それをされた相手はというと……

 

 「なっ!?」 

 

 「と、止めるんだ!ゴール前に行かせるな!」

 

 「こ、こんな一気に対処は無理だ!?」

 

 「データと全然違うぞ!?」

 

 こちらのパスの選択肢が多いのか、誰に人数を割けばいいのか分からず混乱に陥っていた。そんな相手を余所に、俺たちはゴール前に向かって進んでいく。

 

 「……そこ」

 

 零はそのキック精度で、まるで地面を這うようなパスを出した。それは寸分の狂いもなく、ほろかのところに向かっていく。

 

 「ここだろ!」

 

 「ドドンパッ!?」

 

 相手もそれに反応してきたのか、零のパスをカットしようとほろかとボールの間に立った。ほろかはそれに驚ろ―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「―――なんてね?」

 

 「は?」

 

 くことはなく、むしろ作戦通りだという笑みを浮かべていた。そこに……

 

 「遅い!」

 

 「なっ!?」

 

 俺が走り込み、ボールが相手に取られる前に取り、パスがカットされることを防いだのだ。実はこれも、零の作戦の1つで……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『もしパスに反応する選手がいたら、冬真のスピードでボールを取って』

 

 『?何で―――!あぁ、なるほどな……』

 

 『え?どういうことなんですか?』

 

 『例えば、僕がほろかさんにパスをするとする。そのパスを相手がカットしようとパスコースに立ちはだかる』

 

 『ふむふむ』

 

 『その時、相手の目線は少なからずボールに注目している。そのパスを相手からは意識の外にいる冬真が取れば―――』 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「こうなる、わけだ!」

 

 「「!?」」

 

 零の作戦通りにボールを取った俺は、得意のスピードで相手を抜き去り、ゴール前でキーパーと1対1になった。

 

 「行くぞ……!」

 

 俺はボールを蹴り上げると、周りに吹雪を起こし……

 

 「エターナルブリザード!!」

 

 必殺技シュートであるエターナルブリザードを放った。この技は父さんの代名詞とも言えるシュートで、特訓をしてやっとの思いで習得した技だ。

 

 「シュートポケット!」 

 

 相手のキーパーも必殺技で俺のシュートを止めようとしたが……

 

 「ぐあっ!?」

 

 『ゴーーール!氷月選手を中心とした見事な速攻カウンターから、白恋の韋駄天こと吹雪選手のエターナルブリザードが炸裂したぞ!!』

 

 『試合開始僅か2分で、白恋中が先制点を挙げました!』

 

 止められることなくゴールに突き刺さり、先制点を獲ったのだ。

 

 「ナイスだ零!」

 

 「それはこっちのセリフだよ」

 

 俺たちは互いをたたえ合い、ハイタッチを交わす。

 

 「でも、喜ぶのはまだ早いよ」 

 

 「あぁ……もちろん、最後まで油断はしない。もっと点を獲ってみせる……!」

 

 喜ぶのも程々に、相手の次の攻撃に備えることにした。

 

 

 

 

 

    ◇

 

 

 

 

 

 「キャプテン……」

 

 「何だ……今までの白恋中とは何かが違う……」

 

 開始僅か2分という短時間で先制点を許したという事実に、林花学園の選手たちは混乱していた……が、

 

 「データとも動きが違ったし……」

 

 「いや、まだ1点取られただけだ。切り替えてまずはこちらも1点を獲る」

 

 『はい!』

 

 キャプテンの一声で、他の選手たちも次の攻撃に備えて散っていく。

 

 「よし、行くぞ!」

 

 それから林花学園のボールで試合が再開し、俺を含めた白恋中のFW陣やMF陣を林花学園が得意とするパスの技量の高さで次々と抜いていく。そして、DF陣が守る場所まで進んだが……

 

 「通しませんよ~!」

 

 そこにねねみが立ちはだかった。

 

 「アイスグランド~!」

 

 「っ!?」

 

 「零君!」

 

 「!」

 

 ねねみはすぐさまディフェンス技のアイスグランドで、相手FWを凍らせてボールを奪うと、それを零に向けてパスした。零はパスが通りやすい場所に予めいて、ボールは相手の隙を突いて零のところまで飛んでいく。零はそのボールをほとんど見ずにトラップすると、フィールドの右側から敵陣へと駆け出していった。

 

 「くそっ!」

 

 「あいつを止めろ!」

 

 どんどん進んでいく零を、相手は2人がかりで止めに来ていたのだが……

 

 「「は……?」」

 

 零はスピードを落とさずにその場でボールを浮かせると、完璧なコントロールで蹴って2人の間に通し、零自身は左側へと抜けていった。さらにもう1人、相手が零を止めに来ていたものの……

 

 「!?」

 

 それをヒールリフトで躱すと、コーナーへと走り込んだ。 

 

 「何であそこに……!?」

 

 「なんにせよチャンスだ!」

 

 相手はそれを見て

 

 「シュートコースはな―――」

 

 「っ!」

 

 零はその位置から右足で、弧を描くようにノーマルシュートを撃ったのだ。

 

 「ちょ、待―――」

 

 そこから撃つとは想像していなかったのか、相手キーパーは反応が遅れてしまっていた。それでも、ボールに手を伸ばしたのだが……

 

 『ゴーーール!氷月選手、自陣から1人で一気にドリブルで駆け上がり、そのままゴールを決めてしまったぞ!!』

 

 『それにまさかあの位置からシュートを撃つとは、林花学園の選手たちも想像だにしていなかったでしょうね……』

 

 零のシュートに手は届かず、点を決められてしまったのだ。 

 

 「ナイスだ零!」

 

 「おっと……ありがとう。ねねみさんもナイスディフェンスだったよ」

 

 「いえいえ~、零君もナイスシュートです~!」

 

 俺たちは駆け寄り、零の初得点が入ったことを喜んだ。決めた本人は俺たちが来るまではサッカーしてる時の冷たい表情だったが、俺たちが来た後はあまり表情には出ていないものの、どこか照れ臭そうにしていた。その後、相手ボールで始まった後半だったが……

 

 「アイスグランド!」

 

 「っ!?」

 

 「またかよ……!」

 

 俺たち自慢のDF陣やキーパーの防御によって、相手に得点させることはなく…… 

 

 「冬真!」

 

 「行くぞ……パンサーブリザード!」 

 

 「!ゴッドハン―――ぐあっ!?」

 

 零の戦術や完璧なパスが相手に刺さり、俺たちは追加点を挙げることが出来た。そして……

 

 「零!最後に決めてこい!」

 

 「!了解……!」

 

 俺はDF陣から受け取ったボールを、フリーの場所にいる零にパスした。零はフィールドの半分手前あたりまで進むと、そこでボールを高く打ち上げ……

   

 「流星……ブレード!」

 

 ロングシュートを放ったのだ。零の流星ブレードは、その必殺技の名の通り………

 

 「!?は、速―――」

 

 相手に必殺技を出させる隙も与えず、ゴールへと突き刺さった。

 

 『ゴーーール!そして同時に試合終了!最後に決めたのは、今試合のMVPと言っても過言ではない氷月選手だ!』

 

 『そしてスコア4-0により、白恋中の勝利!堅守速攻とも言うべき戦術により、見事エリア代表の座を勝ち取りました!』

 

 『これは本戦での活躍も注目ですね!』

 

 それと同時に試合が終了し、俺たちはフットボールフロンティア本戦への進出を決めた。

 

 

 

 

 

    ◇

 

 

 

 

 

 「やったな零!」

 

 「!冬真……作戦が上手く刺さって良かったよ」

 

 試合が終わった後、僕たちはベンチでそんなやり取りをしていた。

 

 「やっぱり零君は凄いですね!」

 

 「冬真が凄いやつを見つけたって言った時は、正直信じられなかったけど……ミニゲームの立ち回りや今日の試合を見せられたら、信じるしかないよな」

 

 「……」

 

 こんな風に言われるのは久し振り―――いや、初めてかもしれない……前までだったら、陰で何かを言われるか、直接文句を言われるかだったから……。

 

 「……冬真、ありがとう」

 

 「えっ?急にどうしたんだ?」

 

 「礼を言っておこうと思ってさ。今は……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ここが僕のチームだって、自信を持って言えるから」

 

 「!……なら、あの時あの場所に行って良かったよ」 

 

 そして……

 

 「零」

 

 「ん?」

 

 「絶対に勝とうな!」

 

 「!……もちろんだよ、冬真」

 

 僕たちは拳を合わせるのだった。

 

 

 

 

 




 読んで下さり、ありがとうございます。

 今回は、ブルーロックをオマージュした場面が多くありましたが、いかがだったでしょうか?

 次回の話の後で、いよいよフットボールフロンティア本戦の話に入っていきます。

 それでは、次回の話もどうぞよろしくお願いいたします。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。