氷の天才のヴィクトリーロード   作:アキ1113

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 今回は幕間のような話となり、いつもよりは短めになります。そして、次回からフットボールフロンティア本戦へと入っていきます。

 それでは、どうぞご覧ください。



第6話 本戦前に

 

 白恋中サッカー部が本戦進出を決めた試合から1週間後、俺はある場所へと向かっていた。その場所というのが……

 

 「ここが、零の家……」

 

 零が住んでいる家だった。以前から遊ぶ約束はしていたが、本戦前にリフレッシュを兼ねて、こうして今日お邪魔させてもらうわけだ。早速俺は、零の家のインターホンを鳴らした。すると……

 

 『はーい!』

 

 家の中から女の人の声がしたのだ。そして、中から出てきたのは……

 

 「もしかして……あなたが冬真君ね?」

 

 「は、はい!」

 

 零と同じ髪と目の色をしたショートカットの女性だったのだ。若いな……もしかして、零のお姉さんか……?

 

 「初めまして、零の母です」

 

 「こちらこそ初めまして、吹雪冬真で―――え!?お母さん!?」

 

 俺はその事実に声を出して驚愕していた………。

 

 「あら、もしかして驚いたかしら?」

 

 「は、はい……俺はてっきり、零のお姉さんかと……」

 

 俺は零からお姉さんがいることは聞いていたので、この人が零のお姉さんかと思ったんだけど……。

 

 「ふふふっ!さぁ、それよりも中に入って?」 

 

 「お、お邪魔します……」

 

 零のお母さんに招かれ、俺は家の中に入っていくと……

 

 「あっ、いらっしゃい!あなたが零の友達の冬真君ね?」

 

 零と同じ髪と目の色をしたセミロングの女性がいた……てことは、こっちが本当の……

 

 「えっと、こっちが……?」

 

 「えぇ、私の娘で零の姉の香蓮よ」

 

 「ど、どうも……」

 

 零の姉の香蓮さんは、俺に向かって笑顔で挨拶してきたのだ………あれ?香蓮さんって、何処かで見たことが……?

 

 「うーん………あっ!?」

 

 「あ、気がついた?」

 

 そう、零のお姉さんは有名なインフルエンサーの『Ren』だったのだ。Renは突如として現れ、短期間で人気を獲得したことから『超新星インフルエンサー』とも呼ばれている………というか零のお姉さんが、有名人だったなんて―――あと、零の家族って美形揃い過ぎないか……?

 

 「ん?そういえば、零は何処に―――」

 

 「お待たせ、冬真」

 

 すると、零が急いで2階から降りてきており……

 

 「あっ!れー君お疲れ様!」

 

 「打ち合わせは終わったの?」

 

 「うん、何とかね……」

 

 「そう……お疲れ様」

 

 零のお母さんとお姉さんから、労いの言葉を掛けられていた。というか『れー君』……?

 

 「零、打ち合わせっていうのは……?」

 

 「あぁ……今度、東京でやるイベントに呼ばれててさ、それの打ち合わせが朝からあったんだ」

 

 「へぇ……」

 

 そういえば、零自身も全国レベルの有名人だったけな……。

 

 「冬真、こっちだよ」

 

 声を掛けられた俺は、零の部屋へと案内された。そこには……

 

 「おぉ……!」

 

 eスポーツの大会で優勝した時のトロフィーや記念品が飾られていたり、さらには写真や動画でしか見たことのないような高スペックのゲーミングPCもあったのだ。そして、本棚には……

 

 「これ、見てもいいか?」

 

 「うん、いいよ」

 

 サッカー戦術の本や、それを零自身が纏めたと見られるノートが沢山あったのだ。俺はその中から、一冊のノートを手に取り、1ページずつめくった。そこには、相手の状況に応じた戦術やポジショニング、タクティクスの案がいくつも分かりやすいように書かれており、その中には前の試合で実際に使った『堅守速攻』の戦術も書いてあった。

 

 「これ、全部零が考えたのか?」

 

 「まぁ、ね。と言っても、冬真がサッカー部に誘ってくれなきゃ、実際に使う機会はなかっただろうけどね」

 

 「……」

 

 俺は零の言葉に、一種の戦慄を感じていた。もし……もし、俺がサッカー部に誘わなかったら―――いや、零が父さんに出会ってサッカーを続けてなきゃ、こんな天才が誰にも知られることなく埋もれてたのかよ……。

 

 「……ホント、凄いやつだよ」 

 

 「?」

 

 「それでさ零、特訓のことなんだけど……」

 

 今日零の家に来たのは、実はリフレッシュ以外にも目的があった。俺は今、本戦で切り札になるような新しい必殺技の特訓をしてるんだが、中々上手くいっていなかった………そのことを零に相談したところ……

 

 

 

 

 

 『……じゃあ、今週末少し特訓しようか』

 

 『え?零の家に行く日に……?』

 

 『そう―――あ、何も準備はいらないからね。内容も来てからのお楽しみだよ』

 

 

 

 

 

 そう言われたため、零の言う通りに何も準備せずに来たのだ。

 

 「必殺技のことだね………というわけで、はいこれ」

 

 「え?コントローラー……?」

 

 零から渡されたのは、ゲームのコントローラーでゲーム画面にはFPSゲームのタイトルが映し出されていた。

 

 「今からやるのって、FPSゲーム……?」

 

 「そうだよ。因みに冬真の武器はスナイパーライフル限定ね」

 

 「え、何で!?」

 

 その言葉に俺が驚いていると、零がその理由を話し始めた。 

 

 「冬真の編み出そうとしている必殺技って、スピードを落とさないまま一撃でゴールを狙う技―――で、いいんだよね?」

 

 「あ、あぁ……」

 

 「だからこれで、その感覚を掴んでもらう」

 

 「つまり……キーパーの隙を狙う感覚を身に付けるってことでいいんだよな?」

 

 「そんなところだよ」

 

 だからFPSゲームか……確かに、うってつけかもしれない。それに特訓相手はその道のプロときた……必ずやり遂げて、必殺技完成に近づいてみせる……!

 そう心の中で意気込み、零を1度でもいいから倒すという特訓を始めたのだが……

 

 

 

 

 

 「そこ」

 

 「え?」

 

 どこからともなく現れた零に、至近距離から撃たれたり……

 

 「隙あり」

 

 「は?」

 

 俺と同じ武器を使った零に遠くから狙撃されたり……

 

 (よし!零のこと見つけ―――)

 

 『ドカーーーーン!!』

 

 「おっ、倒せた」

 

 「……」

 

 仕掛けられていた地雷で倒されたりした………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 いや全っっっっっっっっっっっ然、倒せないんだけど!!?

 

 確かに零は全国大会で優勝するレベルの実力者で、俺よりも遥かに上手いのは分かる………けど、ここまで一方的だとは……。

 

 「零さ………いくら何でも強すぎない?」

 

 「そう言われても……これくらい強くないとプロの世界で戦っていけないから」 

 

 「ぐ……」

 

 俺は休憩中にそう言ったのだが、正論過ぎる理由で言い返されていた……。

 

 「でもさ冬真………最高レベルのNPC相手なら、余裕で倒せてるよ」

 

 「え?さ、最高レベル……?」

 

 俺はその言葉を聞き、衝撃を受けて固まってしまった。

 

 「やっぱり気付いてなかったか………実は試合の度に、NPCのレベル上げてたんだよ?」

 

 「……マジで?」

 

 「ほら」  

 

 「あっ……!」

 

 零に見せられた設定の画面には、NPCのレベルの欄が最高レベルになっているのが映っていたのだ。 

 

 「さっきの試合もNPC倒す時に一発で仕留めてたし、冬真は確実に感覚を掴めてるよ。それに狙撃のときの位置取りも上手くなってるし、隙を見つける目も鍛えられてるんじゃないかな?」

 

 「……」

 

 零は話した以外のことも鍛えるためにこの特訓を……やっぱり、零は凄いやつだ……!

 そして、休憩後にやった試合で俺は……

 

 「!」

 

 「あ……やった……!」

 

 「おめでとう、冬真」

 

 初めて零を倒すことができたのだった。

 

 

 

 

 

    ◇

 

 

 

 

 

 特訓の後で夕飯もご馳走になった俺は、零と一緒にいつものサッカーコートへ来ていた。そこに着いた俺は、ボールを自分の目の前に置くと……

 

 「じゃあ……行くぞ!」

 

 零がキーパー役をしているゴールに、ボールをドリブルしながら走り出した。俺はどんどん加速していき……

 

 (隙は―――そこだ!!)

 

 「はぁっ!!」

 

 「っ!?」

 

 ゴールに向けて一直線にシュートを放った。そのシュートは放った次の瞬間にはゴールに突き刺さっており、キーパー役の零も驚いた表情をしていた。その後、少しの沈黙が流れ……

 

 「零、今のって………」

 

 「うん……完成、だね」

 

 「!………よしっ!!」

 

 俺は喜びの声を上げるのだった。それから数日経ち………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「冬真、行くよ」

 

 「あぁ、今行く!」

 

 俺たち白恋中サッカー部は、本戦が行われる地に旅立っていった。

 

 

 

 

 




 読んで下さり、ありがとうございます。冬真が習得した必殺技とは、一体何なんでしょうか………それは登場してからのお楽しみになります。

 それでは、次回の話もどうぞよろしくお願いいたします。
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