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それでは、どうぞご覧ください。
前半を3-0で終えた僕たちは、ベンチで後半の作戦会議をしていた。
「それで、後半はどうするんだ?」
「点を獲られないように守りを固めるのか?」
僕にみんながそう言ってきたが……
「いや、後半も前半と同じ―――いや、それよりも攻めて行く。あと、DFのみんなにはあの技を使ってもらう」
『!』
その言葉に、みんなは声に出さないものの少し驚いた表情をした。
「あの技って、まだ未完成なんじゃ……?」
「それに、ここでわざわざリスクを冒す必要もなくないか?」
「それも分かるけど、今後のことも考えてここで色々試したいんだ。無理を言っていることは承知の上だけど、あの技もここで完成させたい。だから………お願い」
僕はそう言って頭を下げた。すると……
「わざわざ頭下げなくてもいいよ~?」
「えっ?」
「まぁ、俺たちもそのつもりだったし」
「そうですね!」
「俺もあぁは言ったけど、正直こうなると思ってたよ」
「ゴールは絶対に守ってやるから、思い切り暴れてこい」
みんなは同意するようにそう言ってくれた………ホント、僕には勿体ないくらいのいいチームメイトだよ。
「……分かった。みんな、後半も頼んだよ」
『了解!』
そうして冬真以外は、フィールドに戻っていく。すると、隣に残っていた冬真が……
「零、色々試したいっていうのは俺も同じだけど……それ以外にも理由、あるんじゃないか?」
そう笑みを浮かべながら訊いてきたのだ………冬真にはバレてたか……。
「冬真の言う通りだよ。どの試合も全力で、そして………
やるなら徹底的にやる」
そう……点差が開いてるからといって、その後は守りに徹する―――なんて有り得ない。もっと自分で考えた戦術を試したい。もっと必殺技を試したい。そして………絶対相手に勝つ……!!
「だよな……俺も同じだよ」
そんなやり取りをして、僕と冬真もフィールドへと戻っていった。
◇
後半は俺たち白恋中のボールから再開した。すると、俺とほろかは2人で零の前に出ると……
「冬真君!」
「っ!」
零からパスを受け取り、俺とほろかのワンツーで一気に敵陣に攻め込んでいく。そんな俺たちの後ろには、零が相手に悟られることなく、一定の距離をとりながら付いてきていた……これは3人でゴール前まで攻め込んでいくという戦術で、基本は前の2人でパスを回していき、獲られそうになった時は後ろにいる零に渡すこともできるのだ。
「このっ!」
「はいっ!」
「よしっ!」
「!?止められない……!」
その戦術によって、俺たちは相手の意識をこちらに向けながら、2人でボールを獲られることなく敵陣へと攻め込んでいき……
「よっ!」
「なっ!?」
「後ろに……!?」
その瞬間に、バックパスを零に出したのだ……相手から見れば、いつの間にか零がここに来ていたように思えるだろう。それによって、相手はボールと零の方に視線が向き……
「「っ!」」
「あっ!?」
「くそっ!」
「抜けられた!」
俺たち2人はいとも簡単にゴール前へと抜け出すことができた。そうして相手が戸惑っている間に……
「そこ」
零が俺たちの方にパスを出したのだ。
「ほろか!」
「了解です!」
そのパスを受け取った俺がボールを上に打ち上げ、それをほろかが下に向けて蹴った。そして、ボールに冷気が集まっていき、俺たちはそこに向かって飛び上がり……
「「ホワイトダブルインパクト!!」」
エターナルブリザードの2人バージョンの技である、ホワイトダブルインパクトを放った。
「っ!?フェンス・オブ・ガイ―――ぐあっ!?」
『ゴーーール!!またもや氷月選手の戦術と神業パスから、白恋の韋駄天とキャプテンが新必殺技を決めたぞ!!』
『今の戦術は上手かったですね!法令館中、完全に翻弄されてしまっています!!』
「よしっ!」
「決まりました!」
またもや零の戦術が上手くはまり、俺たちは4点目を獲ることができた。
◇
『……アリス、氷月零のことどう見るよ?』
「……」
帝国学園の天才少年監督、不破アリスをはじめとしたファーストジェネラルのメンバーもこの試合を観戦していた。
「思考は俺と同じで、先を読むことに長けている………サッカー技能―――特にパスやキック精度が群を抜いている。それに加えてあの得点能力……もし対戦相手となれば、我々にとっての障壁となるのは確実だろうな」
『それにあの戦況によって変化するタクティクス………確か『氷結の陣』っていったか?あれと今までの戦術の全てが、あいつの発案であることは違いないだろうな』
アリスの言葉に同意するように、うさぎもそう分析していた。
「だが、白恋が王者雷門に勝てるのか?」
そんな2人に、帝国学園のキャプテンである穂村英輔が疑問を口にしたのだが……
『お前この状況を見てまだ分かんねぇのか!?』
「は?」
「ここで断言しておこう………氷月零は円堂ハルとは別ベクトルのかいぶつ―――サッカーモンスターだと」
『!?』
アリスの言葉に、帝国学園の面々は驚愕の表情を浮かべるのだった。
◇
試合が再開した直後、法令館中はオフェンス技を駆使して一気にこちらへ攻め込んできた。それに対し……
「いきますよ~?せ~のっ!」
『はぁっ!!』
DFのみんなが、一斉にアイスグランドを発動させた。すると、それが合わさって氷の壁が形作られ……
「こ、これは……!?」
『氷の城壁!!』
1つの城壁となったのだ。それは行く手を阻むだけではなく、冷気を出して周りを凍らせており……
「!まず―――」
そのままボールを持っていた選手の動きを封じてしまったのだ。
『何とここで白恋中、DF陣の力を合わせて氷の壁を作り出したぞ!!』
『さらに相手の足止めまでもするとは……これは厄介ですね!』
「くっ!?まだこんなものを―――」
「はぁっ!」
「あっ!?」
「キャプテン!」
動けなくなった選手からボールを奪い取った薄荷が、ほろかへとボールを渡した。
「これ以上点を獲られせるな!」
「「はい!」」
「っ……!」
そこに法令館中の選手が3人がかりでプレスをかけてきており、ほろかは足を止められてしまう……が、
「……!」
「!」
零は相手を躱して前に出ながら、ボールを持っているほろかにアイコンタクトをしていた。その意図を察したのか……
「氷の矢!」
「「「!?」」」
ほろかは新必殺技で、零のところまでパスを通したのだ………さすがキャプテン!
「ふっ!」
それを見た零は自身のところに来ているボールへと飛び上がり……
「彗星ブレードV2!!」
ダイレクトで進化した彗星ブレードを撃ったのだ。だが、その彗星ブレードは前半見せたものとは違い……
「何っ!?」
「どこに撃って―――」
「いや、待て!」
ジャイロシュートを撃った時のように、カーブを掛けながら急に下へと落ちていく。
「!今度こそ止める……無頼ハンド!!」
それに反応した相手キーパーも、必殺技で止めようとしたが……
「ぐわぁ!?」
『ゴーーール!!最後の最後に、氷月選手の進化した必殺技がゴールに突き刺さった!!』
一瞬も止められず、シュートはゴールへと入っていった。そして……
『ここで試合終了!スコア5-0で白恋中の勝利となりました!』
『とくに今回のMVPは氷月零選手!相手の想定を超える戦術だけではなく、その圧倒的な実力!白恋のサッカーモンスターといっても過言ではない実力を見せつけました!』
試合は俺たちの勝ちとなり、白恋中は準決勝―――雷門との戦いの舞台に駒を進めた。
◇
法令館中との試合後、SNSは零のことで持ち切りになっていた。
「凄い反応だな……」
俺はSNSを見ながら、思わずそう呟いていた。そこには……
『戦術と高いサッカー技能で法令館中を圧倒!』
『白恋の韋駄天との最強コンビデビュー!』
『新たなサッカーモンスター誕生!』
『白恋中対雷門中の試合予想!』
………などの記事が既に出ていた。その記事の内容やSNSの投稿で、特に目立っていた言葉が……
「なぁ零、これ見てみろよ!」
「ん?
『戦術の氷帝』……?」
戦術の氷帝という零の二つ名だったのだ。
『おぉ~!』
「零君に早くも二つ名かー!」
零以外のみんなは、俺を含めて零に二つ名がついたことを喜んでいたが……
「い、いくらなんでも早くない……?それにサッカーモンスターって………」
付けられた本人は数々の記事に戸惑った様子でいた。
「ここは素直に喜んでおけよ?」
「零にはそれだけの実力があるんだからさ」
「カッコイイじゃないですか~!」
そんな話をしていると……
「零君ですか?はい、いますよ―――分かりました。みんなー!零君にお客さん!」
「おっ?」
「客……?」
マネージャーの八雲がそう言ってきたのだ。その客というのは……
「初めまして、氷月零君」
零を取材しに来たという、スポーツ雑誌の編集者の人だった。
読んで下さり、ありがとうございます。
次回は雷門までの話の前に、零が取材される話を挟んでいきます。
それでは、次回の話もどうぞよろしくお願いいたします。