TS美少女観察日記   作:スーパー爽

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無知を非常識で綾なす

 

「プリントは行き渡りましたか?」

 

これは芽瑠との作戦会議の翌日の話。

太陽が真上を通りすぎた時間帯ぐらいでまだそわそわとした教室の中、先生の声が響く。

そして私は――とても寝不足だった。

 

なぜかと言えば、私はあの後芽瑠に思い付いたらしい作戦を一切伝えられずに家から追い出されたからである。

普通に謎だった。関係者であるどころか実行する張本人なのになんで教えてくれないのか甚だ疑問である。

私がどれだけ伝えてほしいと懇願しても芽瑠は

 

「いや邪魔しないでほしいんだけど」

 

の一言で私を跳ね除けてしまった。

どうやら芽瑠の判断では私は言われたことすらこなすことが出来ないと見なされているらしい。

言われて納得してしまった。残念ながら正しい判断だと思うから。自分の立場になって考えてみれば、私だって私が言われたことを完璧にこなせる自信があるとは露ほども思わない。

 

そんな訳で、不安を抱えて夜も十分に眠れなかった私は今日も今日とて早起きてやたらと元気な芽瑠に引き摺られて登校してきたのだ。

 

「……行き渡りましたね。今日は事前に通達した通り健康診断を行います。今渡したプリントに結果を書いてもらうので無くさないように。書いてある項目が全て終わったら教室に戻って私にプリントを提出してください。終わったら今日はそれで解散です」

 

先生が話すように、今日は健康診断が行われる。

芽瑠のお陰で心身共に絶賛体調不良である私にはお誂え向きのイベントだ。私がいつもそこまで調子が良くないだろうと言われれば否定できないが。

 

流されてきたプリントを手に取って眺める。

健康診断の項目と結果を記入する空欄が3つ。どうやら身長と体重と心音の3項目を検査するらしい。

……言われても、特には、といった感じの内容だ。

 

身長は確か去年の時点で頭打ちだった記憶があるので期待は出来ないだろうし、体重に関してはそこまで気にするような自分ではない。心音はよく分からないが余程のことでもないと引っかからないだろう。本当に、基本的なことの確認ぐらいの感じで。

だから粛々と受けるだけだ。

 

ちなみに、この健康診断を受けることが課外授業なんかの参加資格でもあるらしいとは芽瑠の言葉。この結果が安全証明の意味も兼ねているわけだ。

別に外部で受診して証明書を発効するのでも構わないらしいが。別途費用を支払ってまでする人はたぶん居ないのだろう。現に教室の席は大体埋まっているように見える。

当然、昨日の今日で私が全員を把握している訳ではないから大雑把な確認だが。

 

「それと、各教室回る順番はそれぞれ自由です。最終的にプリントを提出するのだけは忘れずにお願いします」

 

順番に、流されていくように。そんな感じでもっと堅苦しくて機械的なものを予想していたから驚いた。

自分で決めて、自分で行動して。

これを責任感だなんて言ったら大袈裟だが。中学生から高校生になって、こうして目に見える形でこちら側の裁量が大きくなってくると、また一歩と自分は着実に大人に近づいているんだなと否が応でも感じさせられる。

 

それに見合う成長をしているかなんて決して言葉にできないが。

 

「あぁ、あと……持ってきてると思いますがジャージに着替えてから受けてくださいね。もし仮に忘れた人がいたらこの後私のところに来てください。説明は以上です」

 

先生の言葉が切れるのと同時に、ガラガラと椅子を動かす音とそれぞれの話し声で教室が埋まる。

仲良く語り合いながら教室を出ていくグループだとか、さっと立ち上がって出ていく人とか。

早速行動を起こす人達を見て、もう仲良く話してるとか、素直に凄いなと感じた。

 

「何ぼーっとしてるの?」

 

「っ!?」

 

後ろから両肩を抑え込まれて、漏れ出そうになった声にならない声と視線が共に沈んだ。

当然それしたのは後ろの席の芽瑠で。抗議の意味も込めて首を倒すと逆さまの芽瑠と視線があった。

 

「あ、危ないんだけど……」

 

「いやさ?今日の主役がそんなんじゃあたしも不安になるんだけど」

 

不安にさせた張本人がそんなことを言うがたまったものではない。何も言わずに眠れない夜を過ごさせたのはそっちだというのに。悪魔のような発言である。

だがそれでも、どんな理不尽に晒されようとも私は粛々と頷く他にない。

私は悪魔の手をも握ってみせようと、そのぐらいの覚悟をもって今この場に立っているのだから。

 

「大丈夫なの?言っとくけど作戦は既に始まってるからね?」

 

「……え?」

 

前言を撤回する。

やはり人間は悪いことなんかせずに清く正しく生きるべきだと思う。だから一刻も早くこの泥舟から降りる必要があるだろう。

 

呆然としていたら若干教室が静かになっているのに気づいた。

周囲を意識すれば、いつの間にか教室の中に残っている人も疎らになっていた。

慌てて神宮寺さんの姿を探してみれば……今まさに席を立とうとしているところだった。

 

「あの、もう出ていきそうなんだけど……」

 

「ん?……マジだ。おーい神宮寺さーん!」

 

これも作戦?だなんて揶揄してやろうと思ったら突然響いた芽瑠の大声で思考が止まった。

私から見たら、芽瑠のそれはまるで場当たり的な対応にしか思えないが私には分からない何かがあるのだろうか。

懐疑と少しの期待を持って横目で芽瑠の顔を見やる。いつも通りニコニコとした表情。

……勘でしかないがこれは多分、アドリブだ。

 

「……えっと、私、ですか?」

 

「そうそう。ごめんね?いきなり呼び掛けて」

 

突然声をかけられた神宮寺さんは、まさか自分が呼ばれるだなんて思ってもみなかったのだろう。少し硬直した後、目を丸くしてこちらに振り返る。

それはそうだ。初対面の相手にいきなり大声で名前を呼ばれるなんて、私が同じ立場だったら反射的にその場から急いで離れるか倒れるかしてあらゆる手段で逃避を行っているだろう。

 

「その、橘さん?ですよね……私に何か用事が……?」

 

とにかく疑問に思っているのか言葉はたどたどしく。怯えと不安が半分ずつぐらいの表情で。

自分が話しかけられた理由が全くもって分からないといった様子の神宮寺さん。

私もたぶん似たようなものだ。芽瑠が今からどう行動をする起こすのか見当もつかないから、こうして背に隠れて覗き見るようなことしかできない。

 

「いやー実はさ……あたしら更衣室の場所まだ分かってなくてさ、一緒に行かないかなって提案なんだけど」

 

更衣室の場所は私も知らない。まだこの学校に通い始めて片手で数えられるほどだし、使ってすらいない教室の場所を知っている方が凄いと思う。

私なんて、1年生の教室がある3階についてもまだ満足に理解できていないし、これから先理解するつもりも特にないような心構えなのに。

 

「えっと……」

 

「あぁ他に一緒に行く人とかいたら全然断ってくれてもいいよー」

 

「いえその、私もまだちゃんと場所を理解してないので、大丈夫かなって……。それに、後ろの田井中さんの許可も必要じゃ……」

 

ちらりと。少し首を傾けて芽瑠を飛び越えた神宮寺さんの視線がレンズ越しに真っ直ぐ刺さった。

私は目を逸らした。

 

「あー大丈夫大丈夫。場所なら3人で探せば早く見つかると思うし。こっちの麻音も大丈夫だから。ね、麻音!」

 

「あ、はい……」

 

突然壁が退けられ視界が開いて、私の姿が目前に晒されて。私の視界にも神宮寺さんの姿が入ってきて。

急な展開で何も心の準備ができていなかった私は――目があって、逃げるように、いっそ丁寧すぎるぐらいに頭を下げた。

 

「てことで、一緒に行かないかな?」

 

「あ、はい……その、よろしくお願いします」

 

それを見た神宮寺さんも応じるように頭を下げられて。

私たちは共に行動することになった。

 

 

 

 

 

 

探すだなんて大袈裟なことをせずとも、教室を出たら遠くに更衣室の看板が小さく見えた。更衣室は3階の一番奥に位置していた。

更衣室へと向かう廊下でジャージを着た他の生徒と多くすれ違う。思えば教室を出る時、もう既に教室の中には私たち以外の人は見当たらず、私たちが最後だった気がする。

この分では帰るのも大多数から少し遅れてしまいそうだ。

 

「更衣室近いの便利だなぁ」

 

「そうですね……」

 

割と広めな作りの廊下を今、神宮寺さん、芽瑠、私と横並びに歩いているわけだが。

真ん中に芽瑠が立つと私との背のギャップもあって、威圧感というか。

少しだけ、乗り越えて声を出しづらいなと感じてしまう。

芽瑠が悪いという話でなく、私がそう勝手に思ってしまうだけの話。だから私は自分から話すこともなく傾聴の姿勢。

 

そんな風に二人の雑談を聞き入っていたらもう既に更衣室の前までたどり着いていた。

教室の扉とは違って少し重たい更衣室の扉を開けると、壁沿いにずらりと並んだロッカーが視界に入った。

それとこの空間から感じる無機質な感じとはまるで合わない、フローラルな香りが鼻腔に届く。

そのちぐはぐさに、少し困惑した。

 

ぐるりと周囲を見渡せば、思った通りほとんどの人は着替え終わって出ていったらしく私たちが最後だった。

 

「結構広いね」

 

「クラス全員入っても余裕そうですね」

 

なんとなく三人とも奥の方のロッカーを選んで。扉から少し歩いて辿り着いて、結構広いんだなと思った。

私も神宮寺さんも、持ってきた手提げ袋の中からジャージを取り出して着替え始めようとして――ふと、違和感に気づいた。

そういえばここに来るまでに、芽瑠がジャージを持ってきている様子がなかった。思い返せば、芽瑠は歩いているとき手を前に組んだり後ろに組んだりと文字通りの手持ち無沙汰状態で。

まさか、芽瑠に限って忘れたのか。なんて思って芽瑠を見やれば既に意気揚々とブレザーを脱いでワイシャツに手をかけて――

 

 

 

 

 

 

――その下から覗いたのは芽瑠の眩しいぐらい健康的な肌色ではなく、紺色。

 

学校指定のジャージだった。

 

「……え?」

 

「……あぁ!そうだったぁ!」

 

この一瞬で、今耳に入ってきたのは幻聴だったと脳が勝手に理解して――芽瑠の表情を見て現実だと分からされる。

その辺りの機微に疎い私でも分かるぐらい、声も態度も、あまりにもあざといし、演技くさく。

わざとらしく、本当にわざとらしく芽瑠が声をあげた。

 

「あたし、今日が待ちきれなくて朝から中にジャージ着てきたんだった!いやーうっかりしてた!」

 

言動も内容も、その表情も。

まるで冬でも長袖を着ないわんぱくすぎる小学生男児みたいで。

 

「てことで!ここにいてもしょうがないし、あたし先に外で待ってるから!」

 

じゃねーと、ニコニコと笑顔で軽く手を振って芽瑠が扉へと駆け寄って。

扉を閉める最後に――憎たらしいほどに真っ直ぐ立てられた親指が見えた。

 

「………………」

 

「………………」

 

お互い自然と顔を見合わせて。二人の間に、沈黙が満ちる。

 

詰まるところ。

芽瑠の作戦は――有無を言わせないパッションによる力押しだった。

 

(それを、作戦とは言わない……!)

 

まるで自然災害のように。ただ勢い良く場を荒らされて。

神宮寺さんはきょとんとして、何が起きたのか理解できてなさそうにしていた。

 

(………………)

 

そんな彼女の表情を見て。

巻き込んでしまって、迷惑をかけてしまって申し訳ないとか。

いろんなことが胸の中でぐるぐると渦巻いているけど。

それ以上に、こうして同じ瞬間を感じ取れたことが。

少しだけ、うれしく感じてしまったのもまた事実だった。

 

「着替えま、しょうか」

 

「そ、そうですね……」

 

 

 

 

 

 

事実、今この場には私と神宮寺さんの二人しかいない状況だが。

だからといってそこで会話が弾むわけでもなく。

依然として更衣室の中は沈黙で満ちていた。

 

芽瑠の懸念した通りである。

 

(き、気まずいかも……)

 

……まあ、ここには着替える目的できたわけなのだからこれが正しい状況であるのだが。

気まずいと、そう感じる要因は他にもあって。

私たちは現状隣り合って着替えている。私の左側に神宮寺さんがいる状況。

体は正面に、お互い前面にあるロッカーの方向を向いているのだが。

 

(………………)

 

ちらりと横を盗み見れば。神宮寺さんも私と同じようにワイシャツに手をかけている。

その神宮寺さんの顔は若干左斜め前の方向を向いていて、私からは横顔が見えている状況。

 

要はつまり。私の反対方向を向いている。

 

神宮寺さんは、私を視認することを露骨に避けているのだ。

 

(いや気まずすぎる……)

 

それはどう考えても言外の拒絶であって。

いきなりこんな状況に陥ったらそういった態度も頷けるわけで。

そんな状況で話しかけられる勇気を持っているはずもなく。他者からの否定という始めて受けた傷に臆した私は粛々と着替えに勤しむ他なかった。

 

そんな私は。

とにかくこの憂鬱な気持ちを意識しないように、何かしら行動して気を紛らわせようとして。

こう言ってはなんだが――神宮寺さんが私に視線を向けないことをいいことに。

あなたのせいだ、なんてそんなある種の他責思考を携えて――着替えている彼女を盗み見て観察しようと思った。

 

(……やっぱり、綺麗だな)

 

顔が綺麗なのは初めて見た時からよく理解しているが。

その体全体は華奢で、どことなく遠くの存在のように感じて。

人の夢と書いて儚いとはよくいったもので、私みたいなのが触れたら空気に溶けていってしまうんじゃないかなんて感じた。

 

そんな何も描かれていない真っ白なキャンバスのような、汚れを知らないような無垢な肌には私もよく使う量産的な普通の下着。

似合っていないわけではなく、ただ少しちぐはぐな感じで。それでも私が着けているのとは受ける印象は全然違う。

彼女は素で美しいからと。無地の白い下着が、彼女を飾り付けるなんて無粋だと言っているような気がした。

手が届きそうで届かない。近いようで遠い。

その均整のとれたアンバランスな光景が、より彼女という存在を際立たせていた。

 

「……なにか、気になりますか?」

 

「――え?あ、えっと」

 

彼女の声が耳に届いて、我に返る。

神宮寺さんは、未だにこちらに目を向けることはないが意識はこちらを向いていた。

 

「あ、困らせるつもりはなくて……その、少し視線を感じたので、なにかあるのかなと」

 

そんなに、気づかれるぐらいに無遠慮に見つめていたのだろうか。だとしたら、それが気づかれてしまった事実と、見惚れてそれをしでかした私自身が……相当、恥ずかしい。

 

「……その、綺麗だなって」

 

お世辞ではなく、本当に心からそう思ったから。思考よりも先に思わず言葉が漏れ出てしまった。

神宮寺さんを見やれば私の言葉に特に反応を示すわけでもなく、ああ、なるほどと。

ただ純粋に彼女が納得して。

 

「……別に、大丈夫です。気にしませんから。綺麗とか、かわいいとか。よく、言われたので」

 

無感動にそんなことを口にした。

その声は、言葉に対しての謙遜とか、控えめに自慢してるだとか、羞恥に悶える私に対する配慮とかではなく。

太陽が東から昇って西に沈むことみたいな、そんな変わりようのないただの事実を正直に伝えただけのような感じで。

その声が、なんだか少し遠くに聞こえた。

 

 

 

 

 

 

「……気になるなら、触りますか?」

 

「へ?」

 

耳に入ってきた言葉は私が使うものと同じで、その言葉が指す内容も理解できて。

だからこそ、彼女が何を言っているのか余計に意味が分からなかった。

 

「さ、触る?」

 

「その、気になってるですよね?胸とか」

 

「む、胸……」

 

「はい。その、胸くらいなら別に……」

 

「……胸、くらい、なら?」

 

他人事みたいな感じで。私と彼女が二人きりの更衣室に。

その言葉は――まるでその中身が空っぽのように驚くほどよく響いた。

 

「………………」

 

もしこれがただの冗談であって、真に受けて触ったりなんてして軽蔑されるかもしれないし。

逆に、臆して触れずにいたらそれが彼女の意に沿わない結果で呆れられてしまうかもしれない。

だって初対面で、同性だろうとしても。そんなに気安く自分に触れさせるのは違うと頭のどこかでぼんやりと思っているから。

 

けれども、私は何も知らないのだ。未知が未知であることさえも分からないぐらいに。何が正しくて間違ってるなんて判断できない。

だから、それが例え世間的に言うまでもなく非常識であることで、私自身がどれだけ滑稽に映って後ろ指刺されようとも。

私はただ遮二無二行動しなければ、分かるものも分からないのだ。

 

「あの……」

 

「はい」

 

「……触り、ます」

 

「……分かりました」

 

彼女が半歩ずれて私に背中を見せる。無防備な背中。彼女自身でも届かない場所。

その非日常に対面して、ごくりと唾を飲み込んだ音が彼女に聞こえないよう祈った。

 

……だからといって、こんな経験はもちろん今までにないわけで。

どうすればいいんだろうと考えに考え抜いて。

 

最終的に。私の誠意を見せるために。

こういうのは正面からでないと失礼なんじゃないかと、困惑と羞恥に茹だった思考の中で精一杯の結論に至った私は。

 

 

 

 

 

 

ぐるりと。

彼女の肩を両手で掴んで、私に対面させるように回転させた。

 

「………………え?」

 

まるで想像してなかったと。

ぽかんと口を開けて、きょとんと目を丸くして。私は真っ直ぐと、彼女は呆けたように。お互いの視線が交わる。

お互いに下着姿のままで。そんな非日常の中。

少しして、彼女の視線がゆっくりと下に向かって――

 

 

 

 

 

 

「っ!?ご、ごめんなさいっ!」

 

――肩に置いた手を振り払われ、勢い良く私に背を向けた。

 

 

 

 

 

 

「……神宮寺、さん?」

 

「……着替えましょう、か」

 

「……は、はい」

 

なんで急に謝ったんだろうとか、触るって話はどこにいったんだろうとか。

言いたいこととか、思ったこととかがぐるぐると渦巻いていたが。

 

 

 

 

 

 

(耳、真っ赤だ……)

 

真っ赤に染まった彼女の耳を見ては、黙って頷くしかなかった。

……だってそれは、私もそうだろうから。

 

「………………」

 

「………………」

 

さっきよりもずっと重い沈黙の中。

心なしかほんの少し赤みを帯びた彼女の背中を横目に見て。

 

(………………)

 

知ろうと思って、近づいて……なぜか、触れようとして。

私は、ますます彼女のことが分からなくなったし――

 

 

 

 

 

 

 

――ますます、彼女を知りたいと思った。

 

 

 

 

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