トリニティキツネモドキはエデン条約を破壊したい 作:ウガツホ村
こちらが各話の順番を入れ替えた関係で無効になってしまったものもあり、その点非常に申し訳ないのですが、ありがたく反映させていただいています。
タイトル通り、ミカモドキのお話です。
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皆さんは「曇らせ」というジャンルをご存じだろうか。主に創作物——特に二次創作において——登場人物が傷つき苦しむことで見せる曇り顔を楽しむという、ある種歪んだ愛情の発露とも言える罪深いジャンルだ。少し異なるが“他人の不幸は蜜の味”を地で往く「愉悦部」もこの仲間に入るだろう。
これだけ聞くと我々「曇らせ隊」はただただ人間の屑のように思われるかもしれない。だが待ってほしい。「曇らせ」を好む人間は、基本的には被害者たるキャラクターのことが嫌いではないのだ。むしろ好きだと言ってもいい。キュートアグレッションだの、小学生男子が好きな子に悪戯する
さて、これまでの語りでお察しかもしれないが、私も「曇らせ」の魅力に取りつかれたいちオタクであった。ネット上で「曇らせ」小説を読み漁り、笛吹きに流れ着いたあげく、ついには原作を知らない二次創作モノにも手を出したのが運の尽き。そのジャンルにおける曇らせ(愉悦)の金字塔とも言うべきとある作品に脳を焼かれ、ついには原作ゲームを始めてしまうほどに引き込まれた世界観に出会ってしまった。
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それまではインターネットを介してプレイヤーたる「先生」の変態性ばかりを拾ってしまっていたがために敬遠していたのだが、二次創作からにじみ出る原作ストーリーの味わい深さに大いに惹かれた。
曇らせの宝庫で一歩間違えば即BADENND行きのキヴォトスという地雷原を「先生」と生徒たちがより良い未来を目指し駆け抜けていくメインストーリー。「透き通った世界観」とは何だったのかと言いたくなるほど捻れに捻れた愛憎劇は、多くの登場キャラクターたちを魅力的に描いていた。
生憎、公式がプレイヤーの分身と位置付ける「先生」に感情移入することは終ぞ叶わなかったが……物語の外側から見ている分には、非常に面白いものだったと言えよう。数多の二次オリ主たちが「先生」への根拠なき信頼を抱いてきたのもよくわかる。
そんなブルアカくんだが、一説によると、物語の舞台となるキヴォトスは時間遡行を繰り返しているらしい。より正確には「先生」の就任を起点に滅亡と再走を反復横跳びしながら、どうにかTRUEENDに辿り着こうとしているのだとか。
数多の「先生」がハッピーエンドを目指しては夢破れ、そうして生まれた無数の失敗の世界線は剪定事象として切り捨てられる。原作におけるBADENDスチル群はそんな世界線での一幕なのだろう。つまり、仮に原作メインストーリーを
……ではなぜ急にこんな話をしたのか、聡明な読者様にはもうお分かりであろう。
こんなクソ田舎にあるにしては随分と立派な、お幾ら万円するのかもわからない巨大な姿見に映る自分の姿を見る。
短く切り揃えられているものの、どうにも見覚えしかないピンクの頭髪。
生まれた時からさも当たり前のように存在する、背中から伸びるまだ小さい純白の鳥翼。
そして何より……頭上で緩やかに瞬く、桃色の銀河の如き
えー、どう見ても幼少期の聖園ミカそのものです。異物混入で「捻れて歪んだ終着点」行き確定なんだが? はは……もし神様とやらがいるなら——キヴォトスで“神”の存在を疑うのも皮肉な話だが——そいつはきっと、とんでもない愉悦部なのだろうさ。
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『うわー! あなたがニカちゃん? ほんとにわたしとそっくりだね!』
『あっ、ごめんね。わたし、
自分が推定“聖園ミカ”だと判断して、推し云々以前にひとりの少女を
いつもはやれ「古の聖パテル様に連なる、いと
「あっ、これ出荷されるやつだ」と思い至ったのも束の間、ドアを蹴破らん勢いで——お付きの人であろう大人の必死な懇願をBGMに——
結構頑張って手入れしてるつもりのアタシのとは比べ物にならないほどに艶やかな桃色の長髪。可愛らしい編み込みの一つ一つからも、
中身がスレてるアタシじゃ絶対に出来ない、見るものを魅了する天真爛漫な立ち振る舞い。溢れる好奇心のままにパタパタとはためく白翼も実にあざとい。
そして頭上で王冠のように、あるいはティアラのように輝く、桃色の銀河の如き
正真正銘——世界を跨いだくらいで我が最推しを見間違えることなどあるわけがなく——我らが“お姫様”が、すぐ目の前に立っていたのだ。
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『わたしね! ほんとは
『だってわたし、おねえちゃんだから! いもうとをまもるのがおねえちゃんのやくめだって、ナギちゃんもいってたんだよ!』
幼ミカの年相応に可愛らしい言葉遣いに和み、これまた年相応に取っ散らかった会話に相槌を打ちながら現状把握に努めることしばらく。ミカがお花摘みに行った一瞬の隙を突いて
とはいえ両親の法螺も全くの間違いではないらしく、傍流も傍流だがアタシにも聖園家の血は流れている——つまるところ聖パテル様とやらの血縁——なんだとか。トリニティ建国神話の三雄が一人で、その武勇に並ぶものなしと謳われた歴史上の人物。その血を濃く継ぐものは伝承に伝わる聖パテルの姿に似るそうで、ミカは歴代でも極めてソレに近いらしい。原作ミカの非常識な強さのカラクリがこんな形で判明するとは思わなかったぜ。
ところで、“先祖返り”という言葉がある。これは隔世遺伝を大袈裟に言ったり、ビジネスにおいてシステム等が古い状態に戻ることを揶揄するものであったりするが……今回は前者の意味で、大昔のご先祖の形質が突如として復活することだと思ってくれればいい。人間に尻尾が生えるとかそういうやつだ。
まあなんだ……大人たちに言わせれば、アタシが直系の中でも
『そら見ろ、だから言っただろう?あんなバケモノでも、案外利用価値があるもんさ。面だけはお前に似て整っているしなぁ』
『ええ、ええ。いくらヘイローがあろうと、人喰い熊*1を素手で仕留めるような5歳児など……バケモノ以外何者でもありませんわ。それが厄介払いどころか、まさか本家とのコネクションが手に入るなんて!』
『あの髪色を見た時はお前の不貞すら疑ったが、結果的にワシらの青き血の証明になるとはな。世の中、何があるか分からんものだ』
大人たちの方に目を向ければ、既に両親は
『改めまして、
『だ~め! わたしたちはかぞくになるんだから、そんなよそよそしい?のはだめだよ! はい、やりなおし!』
『ミカさ『だめっ! ミカ!!』
『えっと……よ、よろしく……み、ミカねぇ?』
『うんっ! よろしくね、ニカちゃん!!』
この日アタシは、前世の記憶を頼りに聖園ミカを演じる
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さて、時が経つのは早いもので……アタシらが中等部に上がって半年が過ぎた。そう、アタシ“ら”。姉さんにとってのナギサやセイアみたいに、アタシにも親友と呼ぶべきお友達が出来たのだ。……奇しくも、そっくりさん同士で。
桐藤ナギサの義妹、桐藤ナギナ。
境遇としてはアタシと似たようなもんだが、ほぼ平民みたいなアタシとは違ってちゃんと上流貴族の出身だ。ナギサとは従姉妹ぐらいの関係だったっけな。双子のようにそっくりだが、普段は胡散臭い糸目をしてるからまだ区別はつく。ただ、別に開眼できないわけでもないし、本人が本気で寄せてきたらアタシでも判別できるか怪しい。トリニティではかなり異端な珈琲党で、本人のその性根も煮詰めたエスプレッソの如くドス黒くてバカ苦い。
百合園セイアの実妹、百合園セチア。
例によって、見た目だけはセイアそっくりだ。こっちはアタシやナギナと違って直系だが、双子でもないのにこんなに似るものだろうかと勘繰ってしまう。とはいえこっちはまあ、口を開けば大体すぐに判別がつく。セイアみたいな小難しい喋り方はしないし、そのナリに反してやることなすこと結構大雑把だ。セイア共々病弱だが、知り合ったばかりの頃よりはマシになっている。セイアが病弱なのは予知夢のせいだったはずだから、こいつも何かヤバいのを隠し持ってるのかもしれない。
知り合うきっかけはそれぞれの姉に連れられてだったが、それぞれの立場を抜きにしてもいずれは友達になれたのではないかと思えるほどに気の合う奴らだ。まあもちろん、お互い立場から来る打算なんかは当然あるのだが、それを加味しても居心地は悪くない。
それに初等部の頃はあまり意識していなかったが、中等部ともなると
例えば姉組ことティーパーティー三人組は当然として、サクラコ様やミネ団長も初等部の頃からトリニティにいるとか。幼サクラコ様と幼ミネ団長は別に険悪ではなく、普通にお友達だったりとか。サクラコ様に関しては例の誤解が誤解を呼ぶ面白……不器用な言動の片鱗が既に見える一方、ミネ団長の方は医療系に興味を持ちつつもまだ“救護”モンスター要素は皆無であるとか。
中等部からこんにちは組だと、アタシが観測した範囲で言えばツルギ、ハスミ、ウイ、ヒナタと……あと同期にラブっぽい人がいた気がする。なんか真っ当にお嬢様してるせいで、どうも確証が得られなかった。どのタイミング自主退学するのかは知らないが、中等部からいるとはね。そりゃ、トリニティにうんざりもするわけだ。
『あら、ニカさん。これから訓練場の方へ?』
『あら、ハスミ先輩……ごきげんよう。ええ、正義実現委員会の所属となれば、家柄などさほど役には立たないものですから』
『既に高等部の先輩方と渡り合える力があるというのに、貴女は本当に勤勉ですね。……ふふ、分かっていますよ、ツルギ。私たちご一緒しても?』
『ええ、構いませんわ。ツルギ先輩も、よろしくお願いいたします』
『(控え目に頷く)』
自分でやっといて何だが、お嬢様言葉ってのはどうにもむずがゆくて仕方ない。でも、アタシの見た目は羽根が黒い以外はぱっと見ミカそのものなわけで。ミカの顔から汚い言葉を放つわけにもいかず、渋々、精一杯お清楚ぶってるのが現状だ。……前世云々で外向けの言葉遣いには多少心得があったつもりだったが、聖園家の厳しい淑女教育の前ではそんな自信など一瞬で砕け散った。田舎でガキ大将やってるような小娘にゃ無理だったわ。
ああ、そうだ。アタシは今、正義実現委員会の下部組織に所属している。中等部正義実現委員会とでも言うべき組織で、基本的には高等部正義実現委員会の真似事をしている。学区が国に相当するキヴォトスにおいて、治安維持組織は時に正規軍と同等の扱いになるが、私らはその訓練兵のようなものだ。それ故に訓練はお嬢様方にやらせるにしては随分と厳しく、半年も経ってまだ続けてるような奴はそこそこ戦える。実際、大体の連中は高等部に上がってもそのまま正実に所属するし、叩き上げの多少使える生徒は高等部でも歓迎される。
隣を歩くハスミとツルギを見る。容姿こそまだ幼さが残るものの、原作における正実のツートップは既に頭角を現しており、このままいけばその未来も変わらないだろうと思わせるだけの実力がある。次の中等部正実の委員長はハスミで確定だと言われているし、ツルギの方も先輩方からの評価は高い。正実は家柄に忖度しない実力主義な上に縦の関係に厳しいので、まだ1年のアタシがうっかり二人の間に挟まることもないはずだ。
三人で——とはいっても口を開くのはアタシとハスミだけだが——で駄弁りながら歩くことしばらく。既に爆音が響き渡る、広大な開けた空地のような場所に到着する。中等部正実本部どころか中等部校舎からも幾分か離れたこの場所が今日の目的地、正実隔離訓練場だ。ここは高等部と共用で、変な言い方をすれば規格外の生徒が大暴れできる場所である。アタシが正実に入るにあたって、ミカと大喧嘩を繰り広げたのもこの場所だ。……辺り一面更地になって、後から見に来た野次馬どもが絶句してたっけな。懐かしい。
『おお、お前らか。……今日も“狂犬”どものお散歩か、次期委員長?』
『お疲れ様です、ナナシ委員長。ふふ、二人とも戦闘中以外はお行儀良いのですから……そんな言い方なさると手を噛まれてしまいますよ』
『ハッ、違いねぇや。……んで?あいつらがタイマンならお前も手ェ空くだろ。今日こそ凸砂の稽古つけてやろうか?』
『いえ、今回は遠慮しておきます。いざという時に、二人を止める仕事がありますので』
『まあ、お前の長所は後方からの戦場俯瞰と的確な支援だからな。無理は言わねェが……こいつらと組むなら、いずれ近接の心得は必要になるだろうさ』
『はい、ご助言痛み入ります』
アタシらは羽根付きのトリカスなのだから“凶鳥”と呼ぶのが正しいのでは……という冗談はさておき。ハスミに凸砂を勧めやがるこの変態は今代の正実の委員長だ。もちろん高等部の三年生で、見たところ最上位勢とは言わずともその一つ下くらいの戦闘力がある。
考えてみれば当然の話で、仮にも三大校に数えられるトリニティという大国の軍隊のトップが弱い訳がない。毎年ツルギ並みの生徒を輩出するのは厳しいかもしれないが、この規模の組織なのだから特記戦力の一人や二人在籍していても何ら不思議ではないのだ。
ちなみに、彼女がスナイパーライフルを愛銃としながらも前線に出るようになったのは、己の肉体の異常性を自覚したからだと言われている。そもそもの耐久力が異常に高く、そこまで極端ではないが傷の治りが早い。ちょうどアタシとツルギを足して2で割ったような体質。まあ本人に言わせれば、背中で鼓舞するような戦い方が性に合っていただけらしいが。
その戦いぶりを見ていれば、彼女こそが原作ツルギの若干アレな戦い方のオリジンであろうことは想像に難くない。いや、ツルギと知り合ってからずっと疑問だったのだ。基本的にずっとハスミの陰に隠れている虫も殺せなさそうなこの少女が、どうすれば最終兵器と言われるようにな存在になるのかと。一度武器を持てば“狂犬”へと豹変するスイッチこそあれど、ある種二重人格とも呼べる内なるソレを恐れて臆病にならざるを得なかった心優しい少女が。ソレを自分の力の一つとして認めることが出来たのはきっと、先達の背中を見て学んだからなのだ。
まあ、そんな感傷は一旦どうでも良いんだよ。戦場に立ってアタシに銃を向けた時点で……訓練だろうが何だろうが、全力で潰すべき敵対者だ。
先輩とハスミが訓練場の隅に退避したのを確認して、アタシも配置につく。定期的に更地になるこのフィールドに大層な遮蔽物は設置されていないが、アタシもツルギもそんなものは使わないので問題ない。互いに射線が通る位置でツルギが構えたのを見て、こちらも両手に
互いに武器は同じ。戦い方も同じ。必要であれば小技も使うが、基本的にはどちらかが倒れるまで全力で殴り合うだけ。やり過ぎてもハスミがヘッショ怯みで止めてくれるのが暗黙のルールだから、互いに遠慮することは何もない。
『さァ、憂さ晴らしの時間だ!……簡単にくたばってくれんなよ、パイセン?』
『キキ……クケケケケェェェェ!!!』
『なあ、あいつら本当に二重人格とかじゃないんだよな……?』
『ふふ……二人とも、少しばかりはしゃいでいるだけですよ』
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空が燃えている。否、目に映る全てが赤く黒く焼け焦げている。
それはまるで、色彩の齎す滅びの予言のように。あまりにも突然に、されど予定調和のように……無慈悲にも、アタシの日常をぶち壊しやがったのだ。
いつか死ぬのだろうとは漠然と思っていた。このキヴォトスにおいて“死”は禁忌だが、それは
ミカの“妹”ポジに収まった時は正直、適度に曇らせ振りまいて退場するつもりだったんだよな。「この世界に根付いた」とかカッコつけて言ってみたものの、結局アタシは異物なんだって意識は抜けやしないんだし。なまじ前世の知識があるせいで——もう前世のことなんてブルアカに関することくらいしか思い出せないのに——今この時を、ちゃんと地に足付けて生きてる感じがしなかったのだ。
ならせめて、聖園ニカというキャラクターが存在した意義を見出そう。そう思えば自ずと“スペア”としての役割に目が行くわけで……。アタシだけは人生2周目で、ある意味ボーナスタイムを与えられたようなもの。だから、当然その命は軽くて然るべき。この命がミカの役に立つのなら、喜んで差し出すつもりだった。ついでにちょ~っと、アタシの死を悼んでくれたらそれで満足ってことで。
その時はまあ、アタシというイレギュラーがいても「先生」がいる限りは——原作ルートにさえ入ってしまえば——大筋は変わらないと思ってた。ならば来たるエデン条約編で、原作通りにミカが苦しむ可能性は高く……介入すべきはそこだろうと。
そういうわけで、エデン条約編を引っ掻き回して、みんなの罪を背負って退場するのが理想だった。セイアの狂言暗殺に始まるティーパーティーの不和も、補習授業部のあれやこれやも、ミカのクーデターも……全部アタシのせい。アタシこそがトリニティの魔女で、全ての黒幕だったのさ!さあ、アタシを吊るせばハッピーエンドだぜ!って感じにな。
だから、アタシが死ぬこと自体は別にどうでも良かったんだ。こんな混ざり物にはもったいないくらいの姉が出来て、素を曝け出せる親友が出来て、肩を並べる戦友が出来て……死ぬのが惜しいと思えるようにはなったけれど、それでも。
でもさぁ……これは違うだろ?
何でナギナが、セチアが死ななきゃなんねぇんだ。
原作には存在しないから?
アタシという異物と関わってしまったから?
アタシが……
もしこれが世界の修正力なんてモノのせいだというのなら……アタシは絶対に、この世界を許さない。この期に及んで、理由なんて何だって構わない。ただ、アタシは
だから、アタシの全部をくれてやる。
セチアの手を握ったまま動かないナギナに触れる。その物言わぬ身体に、死に瀕してかつてないほどに燃え盛るアタシの神秘を注ぎ続ける。なぜそうしたのかはわからない。だが不思議と、そうせねばならないという確信があった。
アタシの神秘がナギナを通じて、セチアの身体に注がれてゆくのを感じる。荒れ狂う神秘が静謐な流れとなって、風前の灯火のようだった彼女の神秘に合流していくのが伝わってくる。反面、自身の存在がどんどん希薄になっていくのもわかる。……わかってしまう。
どれぐらいそうしていたのかわからない。ただ、ついにその時はやって来て……。寿命を迎えた蛍光灯のように、不規則に明滅する銀河のヘイロー。ソレが最期に一際強く瞬いた瞬間——消えゆく意識の片端で、光り輝く金色を捉えた。
『全てはただの悪い夢。こんなの現実じゃない……現実であってはならない』
『夢は現に、現は夢に。私は、これを
『だから、もう……おやすみなさい、
再生を告げる鐘の音が、厳かに響き渡る。
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『ふむ……
『クックック……私と取引を致しませんか、百合園セチアさん。ええ、心配はいりません。“大人”として責任を持って“契約”させていただきますので……』
以前オリキャラたちの名前の伏せ方に対してご意見をいただいたことがありましたが、それもあって少し表記の仕方を変えてみました。
この書き方だとコピペ等々で知りたい方は名前を見ることが出来ますが、普通に読む分には区別が付きにくい気もします。
ご意見お待ちしております。