欠陥神器使い戦記   作:久号

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今度はブレスオブファイア4をやっていました。
弱冠開き直っていますがお気になさらず。


第4話

陽の光を受けて輝く湖、くすんだ色の壁。

動くものは水面の他にない。

 

黎明の亡都、と呼ばれるフェンリル極東支部が防衛ラインの一つだ。

その近く、何メートルかの岩壁の上アラガミが出現しにくい安全な高台に人影が三つ。

 

ここには低いとはいえ、近くにアラガミが比較的高い頻度で出没する。故にこの場所を訪れるのは自殺志願者か、アラガミを崇拝する集団か、フェンリルのゴッドイーターか。

 

三人の内、二人はアラガミ対する唯一の武器、神器を平然と手に持っている。

神器は重い。最低でも20キロを上回る。その上、二つの神器の刀身は、分厚い刃と長いリーチを持つバスターブレードと、重さと遠心力を武器にするブースとハンマー。

一般人が楽々と持ち続けられる重さではない。

 

何よりも、神器に素手で触れていることがゴッドイーターの証だ。その神器に適合し、そして制御するための腕輪をつけなければ神器は持てない。無理に持ち使おうとすれば、神器に喰われる。

 

残る一人も、神器こそ持っていないがその腕にはゴツい腕輪がある。

 

「隊長さん、遅いですね」

 

神器を持たない少年、玄がそう呟いた。

 

二人も同意する。

 

「だよね。何かあったのかな」

「あいつ、真面目そうに見えて実はそうでもないんだよなあ……」

 

ブーストハンマーを持つ、ナナは絶賛遅刻記録を更新中の隊長、ジュリウスを心配しているが、バスターブレードを持つロミオの顔には心配など一切浮かんではいない。

あるのはどことなく疲れたような微妙な表情だ。

 

「フランさーん?……ダメですね。何か分かるかと思ったんですが」

 

通信機に話しかけるも、返事はない。

 

それにしても、遅い。

三人の間には暫く沈黙が漂っていた。が、始めは三人とも楽しげに会話をしていた。

あまりの待ち時間の長さに話のタネも尽きたのだ。

 

「そうなの?」

「ああ、そうなんだよ。遅刻はしょっちゅうだし、探しに行けば庭園で『ああ、すまん』としか言わないし、何してたんだよ、って聞いたら『寝てた』って言うんだぜ⁉︎」

 

そしてジュリウスにの普段の行動を怒りに任せて語りだす。

 

「そうなんですか?」

「しんじらんないよ……な……」

 

いた。

 

玄の疑問は、ロミオへのものではなかった。

いつの間にかいた、ジュリウス本人へのものだった。

 

「ロミオ、それはいつの話だ?」

「うぇっ、と、わ、忘れたのかよ!」

 

多少、盛ったのだろう。強気に言い返しながらも動揺している。

 

「ああ、忘れた」

 

一切悪びれもせず、欠片の躊躇いもなく言い切った。

玄とナナはロミオの話が真実であると確信した。

 

「お前……もういい。それより、なんでこんなに遅かったんだよ」

 

寝てたとか言ったらぶん殴るぞ!と息巻いて問い詰める。

 

「確かに、随分重役出勤でしたね」

 

玄も皮肉る。しかしジュリウスは真面目な表情を作り、

 

「ラケル博士からこれについての説明を受けていた」

 

と、左手の大きなケースをロミオに見せる。

神器が適合者以外のの手に触れないようにするためのケースだ。必然的に中身は神器。しかしジュリウスは自分の神器を右手に持っている。

 

「僕の神器ですか?」

 

頷いて、ケースを手渡す。開いて神器を取り出した。ケースは放り投げる。ロミオの物と形は同じだが、色違いのバスターブレードだ。

 

握ってすぐに素振りを始める。

 

「うわ、危ないよ!」

 

ロミオが咎めるもお構いなし。

だが、暫くすると首を傾げて動きを止める。

 

見れば、玄の神器を制御するコア、アーティフィシャルCNSには青い針が数本突き立っている。

 

「ああ、お前も説明は受けている筈だがな。念のため、と言うことで説明を受けてきた」

「……知りませんけど」

 

怪訝そうに見つめるジュリウスに玄は言葉を重ねる。

 

「自分でも驚いたんですが?」

「昨日の晩に説明したと聞いたが……」

 

昨日の晩に。そのキーワードは、玄のある記憶を呼び起こさせた。それは、キーワードと同じ昨日の晩のこと。

 

玄は、ラケルの研究室に呼び出されていた。

 

「あー、あれかー。眠くて殆ど聞いてませんでしたね!」

 

先程のジュリウスと同じレベルの能天気さだ。

 

ロミオは思う。

コイツら、同類だ……‼︎

 

「そうか、まあ良くあることだな。俺から説明しておこう」

「良くあるんですか⁉︎」

 

ナナが思わずといった様子で叫ぶように尋ねた。しかし叫んだ後にナナ自身が、あーでも私もたまに……、と言ってしまった。

ロミオはもう放っておくか、とばかりに美しい水面を眺めている。

 

「強すぎる力はやがて主の身を滅ぼすとかどうとか……それしか覚えてません」

「俺が聞いたのも概ねそんな感じだな。お前はどうも神器との適合率が異常に高いらしい」

 

神器との適合率が高い。これはそのまま、身体能力が高いことに繋がる。

適合率が低ければ低い程普通の人間に近く、低過ぎれば神器に喰われる。

高ければ、神器を手にした時には人間離れした能力を得られる。本当に人間から離れていっていると言ってもいい。

 

神器は言わば、人為的に調整されたアラガミだ。これと密接に繋がり能力を向上させるのならば、神器を扱うゴッドイーターが純粋に人間である、とは言い切れない。

これはあまり知られていないが、知る者にはゴッドイーターを毛嫌いする者も多い。

 

適合率が高い程、アラガミに近づく。

 

玄も腕輪の管理を受けてはいるが、神器のオラクル細胞が活性化した時、つまりバースト状態では偏食因子の効力を上回りかねない。

 

「アラガミ化を防ぐためのリミッターらしい。副作用で神器の性能にも影響が出ているが、まあ気にするな」

「めちゃくちゃ重いんですけどこれ」

「バスターブレードだからな。そろそろ行くぞ」

 

そう言うと、一人で先に行ってしまった。ナナも二人も早くー、と言って駆け出した。

 

「あああ、重いです……」

「ははは……まあ頑張れよ」

 

情けない玄の言葉にロミオが苦笑いしながら励ました。

急にいたずらっぽい笑みを浮かべる。

 

「それよりさー、お前も結構隅に置けないのなー。まだここ来てから三日も経ってないんだろ?」

「何の話ですか?」

「またまたー、分かってんだろ?」

 

本気で分からず首を傾げる玄がロミオにはとぼけている様に見えたらしい。

 

「オペレーターのフランだよ!一緒に飯食ってたらしいじゃん?いつの間に仲良くなったんだよ」

「え、ああ。フランさんですか?」

 

確かに玄はフランの案内の元食堂へ辿り着き、その後席が無かった、と言う理由で一緒にいた。

ロミオが見たのか、人づてに聞いたのか。誰か、恐らくロミオがそれを邪推した。

そしてそれを尋ねてしまった。

 

「えーと、あれは……」

 

遠く、あの人の怒りを買うとも知らずに。

 

『じきに作戦が開始します。私語は慎んでください』

 

通信機越しの声は、至って普段通りに聞こえたが、ロミオはビクッと硬直した。

 

『それと、ロミオさんはご存知の筈ですが私はそういった話をコソコソと噂するのは好みません』

「はい、了解しました」

 

ロミオの少し機械的な声。すぐさま駆け出した。

 

『玄さんもお急ぎになられたら如何です?』

「いやあ、神器が重くて……」




ゴッドイーター2レイジバーストの体験版にさっき気づきました。投稿後にやります。
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