MODマシマシTSドヴァーキン(雌堕ち済)四方世界にて小鬼殺しと邂逅す 作:最初の仲間
感想、評価、誤字報告、いつもありがとうございます。楽しく読ませていただいております。
孤電の術士との書き分け、気にして書いてみました。多少なりとも読みやすくなっているといいな、と思います。ご指摘ありがとうございました。
「つまるところは角なのさ。四つに限らないが四方の一つと言って良い。まぁ概念的なものだけど」
そう言って、
「
「……三辺?」
「三面だろう」
「まさに。山の頂に至らんとする際、目的地は
「登山家かぁ? わかるような、わからんような……」
ようするにあの骰子の面、その一つ一つがこの四方世界のような次元を指し、彼女の言う『角』とはそれぞれの世界のどこかに存在している、隣り合う次元への境界……という解釈で合っているだろうか。彼女の目的は『角』そのものに無く、その向こう側にあると。
頭痛くなってきたな……。ただでさえこの世界が球体なのかも怪しく感じていたところに補強する材料が飛んでくるとは。
「そうか。そこにゴブリンがいるわけだな」
「
「そこが彼の良いところだろう? ……やっと見いだしたというのにね。心が折れそうになるというもの―――見たまえよ」
孤電の術士はデイドラの馬から降り、宙を指す。
―――それは
何もなかった空間に、突如として蒼天を支えるかのような巨大構造物が姿を現した。馬上からは何も見えなかった、まるでたった今出現したかのようだ。
「……見えなかったな」
「さもありなん。知れるものしか見えぬもの」
「だからここで説明してくれたのか」
身をかがませ、入口らしき門に目を向ければ……なるほど、居る。ゴブリンの夜警―――ゴブリンにとって昼は夜―――だ。しかし何故……。
「連中が何故どうしてここにいるのか、などという事は考えるだけ無駄だよ」
トス、という布が擦れる音に目を向ければ、いつのまにか孤電の術士はゴブリンスレイヤーの肩にもたれ、体重を預けていた。かーっ! 見んね牛飼娘! 卑しか女ばい!
「どこか東方で合戦でもあったかな。小鬼の死の影がこちらまで伸びているのさ」
「……影?」
あの、なんだろう。ここに来て知らない概念増やすのやめてもらってもいいですか? ……とはいえ確かに妙だ。彼女に言われてはじめて気づいたが、夕日を背にした塔も、その下で欠伸を漏らす二匹のゴブリンの足元にも本来あるはずの影が存在しない。
き、気持ち悪い……。ここだけ全く異なる雰囲気のテクスチャの建物導入したみたいだ……。しかも多分バグってる感じの……。
「あれはね。全てが影だからなのさ。影に影は出来ない、当然の理。わかるかい?」
「わからん。……影とはなんだ」
「魔術師が追いかけるものさ」
「えっそうなんだ」
おう、知らんのか? みたいな顔でこっちを見ても知らんものは知らん。ウィンターホールド大学でまともな講義を受けずアークメイジに至るのがドラゴンボーンだぞ。
「考えるだけ無駄さ。どっかの合戦場から
「すげぇしっくり来た。けど現実で聞くことになるとは思わなかったな……」
時間経過でゴブリンが自然と湧くとは俄かに信じがたいが……彼女の言葉が真ならば四方世界が神々の遊戯場、という伝説もあながち間違いではないのか。はたまたそれに準えて簡略化した説明をしてくれたのか。
いや、違うか。その全てが神の采配によって生み出されている、というだけではないはずだ。あれらに物理的な影が存在しない理由にはならないはずだ。《生命探知》は確かに機能している。アンデッドではない、確かな生命だ。それが物理的でない、とするならば……。
「立体に見えるけど、そう目に写っているだけ?」
ムンダスに揺蕩う、神々の次元たるエセリウスや、デイドラロードが支配する領域たるオブリビオンを人間の持つ感覚や精神では正常に認識できないように。
ここにあるのは確かに実在するナニカと、人間の理解できる範疇で作り出した虚像。それらが混ざった結果、ゴブリンや巨大な塔に見えている、ということなのだろう。
「そうとも言えるね。塔と同じく、どこかからゴブリンたちの影が落ちているわけだよ。……例えば、緑の月とかね」
この次元かはたまたその先のどこかか。けれど確かに存在する本体を映す一種の鏡。なるほど確かに影法師だ。
「……で、あれは殺せるのか?」
「愚問だぜゴブリンスレイヤー。お前らしくもない」
二体のゴブリンに向け杖を振るう。杖に込められた《チェインライトニング》が迸り、緑色の肌を刺し貫く。連鎖する紫電が小鬼の身躯を原子へと分解させた。
「んなもん殺してから考えればいいのさ」
死亡確認! ヨシ!(現場カジート)
「……確かに。道理だ」
「やれやれ。きみたちは本当に物騒だな……」
―――暗黒の塔、その内部は巨大な外装に似合わず、実に単調な作りだった。真っ黒な
「GOOOOOOBUAAAAAAAAAA!!」
「五……」
「いやぁ、中々に立派な叫びだね。これで塔全体に我々の存在が響き渡ったわけだ」
「遅かれ早かれだろ。……とはいえ、この狭い中で前衛が一人というのは万が一が怖いか」
と、言うは易いがこうも狭いと術でのサポートとなるとちと面倒だ。既に誤射による怪我の心配がないことは共有してあるとはいえ、乱戦になると幻惑魔法によるバフもゴブリンに掛かりかねない。
戦闘スタイル切り替えて俺も前線で露払いを……というのも厳しい。この通路の狭さでは二人で切った張ったは難しいし、何より視界が確保できない。どういうわけかこの空間は光源による視界の確保が利かないのだ。
《灯明》を前方に飛ばしてみてわかったのだが、光球が手から放たれしばらく進み、一定の距離離れた途端に、闇に包まれて確認出来なくなるのだ。進んだ先の曲がり角に至り、壁に留まっていたのを見るに、光源そのものはこの迷宮に存在できるが、一定の距離とともに認識できなくなるのだろう。よって俺が斥候として活路を切り開くのもナシだ。離れたあとそう簡単に合流できるとは思えない。
じゃあどうするか。喪っても惜しくない手札を切ればいい。ゴブリンスレイヤーが進むのを一度止めさせ、進行方向に呪文を放った。次元を越え、鉄の鎧と大剣を携えた、大柄の骸骨が虚空より現れる。
「とりあえず一体で十分だろ。《スケルトン・チャンピオン》、こいつに先行させよう」
精鋭クラスの召喚魔法。死霊術にて呼び出される骸骨戦士、その真価は対多数戦においてこそ発揮される。……とはいえ死体もなく突然ポンと出てくるのは死霊術として呼んでいいものか。召喚術と死霊術、カテゴリ同じになってるだけで別物だと思うんだよなぁ……。
「
「一応地元じゃアンデッド扱いなんだけど、そこのところどうなの孤電の術士。これ魔法生物扱いになるの?」
「後にしろ。急ぐぞ」
「うーっす。そういうわけだ―――行け。ああでも離れすぎるなよ。……うんうん、それくらいの距離を保て」
俺の指示に従い、骸骨戦士は先陣を切って進む。骸骨戦士最前列に、次列に頭目、最後尾に並んで俺と孤電の術士だ。一・一・二のポジションに戦列を組む。
骸骨戦士がグレートソードで小鬼の群れを薙ぎ払い、運よく抜けてきた傷だらけのゴブリンに、頭目の投擲で止めを刺していく。
ゴブリンスレイヤーにたどり着けるだけ運が良いのだろう。精鋭クラスに分類されるスケルトン・チャンピオンは全体の中位、こちらの冒険者でいう銀等級に値する戦力だ。貧相な外見と低級の装備に、勘違いされがちだが……。強力な戦力だ、この分だと二体三体も呼び出す必要はないな。何よりここ狭いし。
俺は後方に目を光らせつつ……時折二人にバフや回復を飛ばす。《アンデッド治癒》はこういうとき便利だ。アンデッドの体力しか回復させないから、小鬼に誤射ってもゴブリンスレイヤーの邪魔にならない。
「行き先はわかるのか。迷ったらコトだぞ」
「なぁに、脳内マップも機能しちゃあいないが……こういう時のために左手法がある」
塔の中であるにもかかわらず、ソウルケルンのようにマップも見辛く、靄の中のようだ。建物に見えるが、ここも異界の一種なのだということをまざまざと認識させられる。
「それも悪くないが……迷路の内側に、外周の壁から独立した出口がある場合は無意味だ。延々と迷い続ける羽目になるから、過信はしない方がいいよ」
「……確かに!」
なるほど、勉強になる。ラビリンシアンのごとく入口と出口の壁がつながっている場合はともかく、そう上手くはいかないらしい。考えてみればそんな簡単なつくりなら彼女が俺達を連れ立って来るはずがない。普通の理解力があれば不要の提言だった。
「心配することはない、
「どこに行くかは
「至言だぁ……」
経路わからなくなった挙句、山道かっとばして目的地に直行。結果、脚踏み外し落馬して自滅……なんてこともしばしば。クエストマーカーに頼りすぎる身としては良く刺さる言葉だ。見習っていこう。
八、九と道中現れるゴブリンを切り払いながら道を突き進んでいくと、一つの小部屋にたどり着いた。通路と同様に壁は黒く無機質で、あるのは奇妙な扉のようなものただ一つ。……ようなもの、と評したのは両開きの見た目に反して、扉のつなぎ目も蝶番もない不可思議な物体だったからだ。
……なんだこの、なんだ。ここに来て竜の爪でも探せってか? 鍵穴もないからロックピックも刺さらない。扉の前には黒い靄のようなものが浮かんでいる。持ち込んだロックピックをガチャガチャ押し込んだり、鍵開け効果のある《フェンリクの歓迎》も効果がない。……となると何かしらのギミックを解かなければ開かないタイプの扉。
孤電の術士が靄に触れ、口を開いた。
「うーん。とすれば、これが要とみるべきかな。投影されたせいで正しい形を失った立体。……つまりは鍵、だとは思うのだよ」
「鍵ィ? これが?」
「さっき自分でも言っていただろう? 私たちの目に正しく写っていないだけさ。だからこれを正しい形に組み立てなおせば良い……のかな?」
疑問符を浮かべながらも、靄に手を伸ばす彼女の目は真剣だ。と、すれば。俺達に出来ることは彼女の邪魔をさせないことだろう。
俺たちが進んできた通路、その奥から耳障りな鳴き声が響いてくる。
「まぁ、気長にやってくれ」
響いてくる、ので黙らせた。
闇で見通せないが、確かに存在することに変わりはない、その方向に《
「通路がこの一つしかないなら、この道に仕掛けておく。そうすりゃあ、勝手に死んでいくだろ」
距離が生まれた今のうちに通路の壁に床に、《炎の壁》と《氷の壁》を広げていく。離れたところには《解き放たれた炎》を飛ばして念入りに。炎上ダメに、歩行速度低下、極冷凍のパークによる
これ抜けても、スケルトン・チャンピオン、ゴブリンスレイヤー、最後に俺と、ジェットストリームアタックが待ち構えているんだよな。
威勢のいい唸り声が、悲鳴と苦痛の喘ぎに変わるまでそう時間は掛からなかった。すまんが今回は仕事中なんで遊んでやれない、また別の機会にしてもらおう。だから安心して死ね。
「あ、いいこと思いついたわ。ゴブリンスレイヤー、いい機会だしここで投擲教えてくれない? 的あてにはちょうどいいだろ」
「……武器なら今、お前が全部焼いているだろう。まだ先があるのに、手持ちを無為に消費させるわけにもいくまい」
ガーンだな。出鼻をくじかれた。道中面倒だからと死体漁りをサボったツケか。一直線の空間で的が向こうからやってくる、練習にちょうどいいと思ったんだがな……。
「五つの頂点! 五つの
「わかってしまえばなんてこたぁない! 子供だましだ! ふたりとも!」
扉に目を向けてみれば確かに開いている。宙に浮いていた靄は消え、幾何学的な図形が光を放っていた。うーん、早い。流石は賢者を自称するだけのことはある。多分俺だったら詰んでたな。
普段クール美女な彼女が、ああも歓喜の声を上げ、はにかむ姿は実に可愛らしい。
「どうだい? 私とて中々……。うわっ……なんだいこれ」
「ゴブリンホイホイ。餌は俺ら」
「他にもっと何かいい例えはなかったのかい?」
歌詞の引用ってこんな感じで合っていますかね? スカイリム作中の詩歌とかは登録なかったのでそのままにしてるんですが……。
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