MODマシマシTSドヴァーキン(雌堕ち済)四方世界にて小鬼殺しと邂逅す 作:最初の仲間
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ウンブラを背負い、
「見たまえ、これが六百の多胞体なのだ」
「……綺麗なもんだな」
正二十面体にも似た外見とは裏腹に、いくつもの図形が複雑に絡み合い、巨大な図形を形成していた。
鍵が煌々と光を放つとともに、扉も既に開かれる。その先には、今までと同様に螺旋階段が続いているのが見えた。互いに健闘を労いながら、足を進める。
先の戦闘に関して、真っ先に口火を切ったのは孤電の術士だった。
「しかしきみも、まったく無茶をするものだよ」
「水攻め? 塔が崩れたらどうするつもりなんだ。洞窟でもそうさ、生き埋めだぞ?」
「……初めて試した。効果はあったが、多用は出来ないな」
「そうとも。不確定の切り札に命を懸けるのは、頂けないね」
彼女は軽やかな足取りで階段を駆け上がり、ゴブリンスレイヤーに指を突き付け、こう彼を諭した。
「無理や無茶をして勝てるなら、誰だって苦労はしないよ」
「ああ。気を付けよう」
「よろしい」
ううむ、ウワサ通りいい指導だ、ついていこう。俺には彼女のように理路整然とした説明はできないからな。彼女ほど効果のある諫言を交わすことは難しいだろう。さっきのもMAP兵器じゃん凄ぇーとしか思えなかったしな……。
「君もだよ」
続けて今度は俺に指を向けられる。……?
「えっ。俺なんかやっちゃいました……?」
「ハァ……」
そんなだめだこいつ……みたいな目をしてため息つかないでほしい。興奮するだけだぞ。
「
「真っ先に囮になる、なんてどういうつもりだい? あの場面ではまだ相談できる余地はあったはずだ。そうだろう?」
「むぅ……」
真面目に説教受けることになるとは思っていなかったから辛い。確かに今となっては早計だったと思うが……。
「そもそも、一人残ってどうするつもりだったんだい。私抜きで塔から出られるとでも?」
「……あっ」
「考えてなかったんだろう?」
「…………面目ない」
「わかったなら、いいよ」
ウンブラを倒せば、あとは何とかなると思い込んでたな……。これでは頭目のことを脳筋などとても呼べないではないか。反省します……。
「それで、結局なんなのだ。その剣は」
ゴブリンスレイヤーが、俺の背に担いだ大剣を見遣り、疑問を零した。当然の疑問だろう。
「そうだな……。いい機会だから君にも話しておこうか」
「俺は、この世界の住人じゃあないんだ」
「だろうな」
……え。
「……知っていたの?」
「お前のような規格外がそういてたまるか」
「えー……」
もっとこう、劇的な反応を求めていたんだけど。正体バレってこんなあっさり流していいものじゃないと思うんですが。
もしかして衝撃度や興味で言えば俺オダハヴィーングに負けてる……?
「そんなことより……何と言ったか。その黒い剣がなぜゴブリンに渡ったか、だ」
「塔の外でも、ここと同じことが起きるのなら面倒なことになる」
「そ、そんなこと……?」
「ほら、聞かれてるよ。界渡り君、続きがあるんだろう。話したらどうだい?」
「あっ、ああ……」
そんなこと……、そんなこと……。
―――と、いっても俺が話せることはそう多くない。まだわかっていないことが多すぎるからだ。あくまで俺の『恐らくこうだろう』という推論が多分に含まれていることを理解してほしい。
さっきも話した通り、俺はこの世界の住人じゃあない。最初に目覚めた時は雲の中だった。我が友……そう、君もよく知るオダハヴィーングに跨っていたのさ。……なにせその時は驚いたよ。まさか本当に
何?従えていたのはお前だろって? それは、その……俺であって俺ではないというか。……その説明をする前に今の銀河の状況を理解する必要がある、少し長くなるぞ。え、いい? 巻け?
まあそれから街に着いたはいいけど困ったよね。言葉通じないんだもの。知っての通り、この世界で人類かそれ以外かを大きく分けるのは共通言語だ。これを扱えるか否かで
拘束される前に逃げるか……って時に出会ったのが彼女、孤電の術士さ。
―――《
【
本当に感謝してるよ。文字教えてくれたし、衛兵にもとりなしてくれたしね。
それからは街で冒険者として糊口を凌いで……今に至るってわけ。
問題なのは俺以外にもどういうわけかこの世界に来ているものがあった、ってことさ。このウンブラもそうだが……家だよ。俺の家。ミルウォッチ。似た建物じゃあなかったんだ。中身も間違いなく各種コレクションを収納した、スカイリムでの拠点、その一つが街のすぐそばにあったんだ。
そう、
各種デイドラアーティファクトを飾ってある俺の拠点が、この四方世界のどこかに点在しているとみている。持ち主も執政からも遠く離れて、ね。
普段使いする装備はミルウォッチにあるけど……それ以外は主に各地で飾ってたんだよね。
ウンブラも恐らく、次元を越えて俺の手を離れた結果なのだろう。先も話したようにこの剣には意思もあれば、単体で転移も出来る。他のアーティファクトに先駆けて回収できたのはそれこそ幸運だったね。
他のアーティファクトはこれ程自由ではないと思うが……だいたいエイドラかデイドラロードもとい神々の加護を賜った武具だ。今回みたいに悪用される前に回収しなければならない。
「それで……自分のせいだって言ってたのか」
「ああ……。知らなかったとはいえ、劇物をこの世界に持ち込んじまったことには変わりないからな」
どんな手段を使っても、この世界に散らばった拠点、アーティファクトの全てを回収しなければならない。それがけじめだ。
「で? ゴブリンがそれを手に入れる可能性は?」
「ない……とは言えない。数もあるしな」
秩序混沌問わず、誰であれ渡すわけにはいかない。どんなアーティファクトを手に入れようが、デイドラロードと関わって碌な末路を遂げられるはずがないのだ。俺とて、死後も三度目の生もとうに諦めている。ショール様、マーラ様、ディベラ様、キナレス様、アカトシュ様、とにかく神様お助けあれ、だ。
「……だから、全部俺のせいなんだ。巻き込んで、二人を危険に晒した。許されないことをしたのは、わかってる」
三角帽子を外し、頭を深々と下げる。俺が。関らなければ―――
「あのね」
コツコツ、と彼女が近づいてくるのが聞こえる。グイっと頭を肩を掴まれ、頭を上げさせられ―――鼻をつままれる。
……鼻?
「自罰的になるのは構わないがね。冷静でいろって言った傍から、こうも鬱々とされるのはこちらとしても気分は良くないのだよ」
「あ、あの鼻が……」
「今言ったことは全て、君の想像でしかないのだろう? もっと論理立てて話したまえ」
「君がこの世界に来ることになった理由も定かではないのに、今の段階で君に責任能力が生じるとでも?」
「関らなければ、だって? その場合私達、最初の炎で死んでいたと思うんだが、そこのところどう考えているのかな?」
「いひゃい、いひゃいです……」
彼女の硬く、険しい言葉が鋭く突き刺さる。指に入れられた力も相当なものだ。魔術師の腕力か?これが……!
「これだけは言わせてもらおうか。これは私の
「君が居たことで、これが苦難の道へと変じたとしても……それが私にとって友と過ごした時間であることに変わりはない」
「自分が居なければ良かった、なんて。金輪際口にしないでもらおうか」
―――それは。
望んでいた言葉で。けれど望んではいけないと思っていた言葉で。
心を占めていた蟠りがすっと軽くなるのを感じる。
彼女の言葉には幻惑魔法などなくとも、心を溶かす温かみをもっていた。
「…………すまなかった。本当に」
「わかれば、よろしい!」
「痛ッ!?」
返事とともに勢いよく離された。鼻、歪んでないだろうね……!? 吸血鬼だから顔面改造医のお世話にはなれないんだぞ……?
……だが、まぁ。
「禊も済んだところで、行くぞ、二人とも!」
「ああ」
「…………開ける、よ?」
階段の踊り場。塔の終着点。最後の扉には今までのように鍵は必要ないようだ。
孤電の術士が軽く押すだけで、その門は開かれる。
―――空だ。
青い空、白い雲。摩天楼、とはよくいったものだ。天を貫くもの。扉の先は紛れもなく天へと繋がっていた。
「ここ……が?」
「満足か?」
「ああ。うん。いや……まだだね」
彼女は眼鏡を外し、目元を拭って、言葉を続けた。
「行きたいのはこの先だから。まだ、これからなんだよ」
「そうか」
道半ば、か。賢者たる彼女でさえ、そうなのだから、果たして俺の旅もいつ終わることになるやら。
「すまないね。どうやら私の
「ゴブリン退治の
ハッキリ言うね、ゴブリンスレイヤー。ふむ。じゃあ俺はそうだな……。
「友と過ごした時間に変わりはない、引っ張り回した、なんて。金輪際口にしないでもらおうか……なんてのはどうだい?」
彼女は言葉を詰まらせたかと思えば、フッと笑みを浮かばせ……次第にその笑みを大きくさせていく。
いつか、三人が初めて揃ったあの日のように。
「なぁ。古い神話、湖の水を貝殻で汲もうと、果てしない時をかけた巨人を知っているかい?」
「巨人はついには底まで汲み干して、水底の珍しい宝を手に入れたそうだよ」
「そうか。……それがどうした」
孤電の術士は、俺達に目を合わせ、穏やかな声で言葉を続けた。
「だから……私も笑わない。きみが
「私は不可能だとは思わない。君が
「前に言ったね。知識は灯の一つであると。あるいはきみは灯を燃やすことなく、つつがなく一生を終えるかもしれない」
「あるいは冒険の最中、君でさえ道半ばで倒れることになるかもしれない」
「それでも灯はある。きみ達それぞれに、それぞれの灯があるんだよ」
「…………お前のそれは、どうなんだ」
「私は……わからないから。確かめに行くんだよ」
一歩先に辿り着いたが故の、孤電の術士の言葉。万感の思いが込められていると分かった。
「短い間だったが、世話になったな」
「本当だよ。君はいっつも滅茶苦茶な事するんだから。変なの二人、あまり無茶なことはしないように」
「そうか?」
「ぐぅ……」
うーん。耳が痛い。彼女のお説教を受けた回数は数知れず……。
彼女は指から
「それよりも、本当に良かったのか? この先では使わないの?」
「この灯は、あくまでこの地点を指すものだからね。彼の小鬼退治に役立てば良いな、と思うよ」
「そうだったのか……じゃあ別に指輪にしてもよかったかな……」
「……何の話だい?」
「ほれ、餞別」
空になった彼女の手に、水銀製の首飾りを渡す。この世界の水銀と異なり……常温で固体として形作られるものだ。タムリエル産の水銀で作られ、その中央には魔法で出来た
「スカイリムもといソルスセイムで学んだ、お手製ノルドのアミュレットだ。付呪効果もバッチリ施してあるから、なんかあったら使ってくれよな」
「付呪って……君、これ……」
ああ、鑑定した? その様子だと真言魔法にもやっぱり効果ありそうだね。消費マジカ百パーセント軽減の付呪は。
気づいたんだ。真言魔法の回数制限が、本人の負担に、消費によるものなら、この付呪で補えるんじゃないかってね。
とりあえず彼女が得意そうな破壊と幻惑の二種にしたけどお気に召したなら何より。
「君、いつもこんなものを……?」
「いつもは無理だわ。手持ちの魂入り極大魂石は尽きたし、超錬金連打するための貯蓄もあんまないしな」
超錬金。回復上昇薬の薬効がなぜか全身の付呪効果まで強化する仕様を悪用したグリッチ。回復上昇薬で錬金術上昇のついた付呪装備を強化、その装備で回復上昇薬を作り、それでまた装備を強化……の繰り返しにより天文学的な効能を誇る薬を作成することを可能とするテクニックだ。最後に何の薬を作るのかは人それぞれだが……。
今回は付呪上昇の薬だ。この状態で付呪を施せば……限度なく強化を施した装備を作成することができる。上昇率は倍々ゲームで増えていくのでやりすぎるとだいたいPCが落ちる。そしてゲームバランスも容易に壊れる。
「その
ハーシーンのハンティング・グラウンドとかモラグ・バルのコールド・ハーバーに繋がってたらやばいだろ。召喚魔法が機能している以上、オブリビオンとこの四方世界は何らかの形で繋がっていることには疑いようはない。
……足りるか? ちょっと不安になってきたな。
今手持ちで渡せそうなのは各種回復薬と、杖と、帽子と、ピ、ピアスはここで外すのはちょっと……。いやしかし万全を期すにはやはり渡しておくべきか……?
「親か君は!?」
「良いだろ親友だぞ」
「充分!充分だから!」
むぅ。殆ど断られてしまった。
「わかったよ。じゃあそのアミュレットだけでも受け取ってくれよ。嫌なら貸しておくからさ」
「……貸し?」
孤電の術士はきょとんとした顔で疑問を浮かべる。何をそんなに不思議そうな顔をしているのか。
「そうだよ。どうせ
「……俺もか?」
なんで頭目まで首傾げてるんだ。言いだしっぺは君じゃあないか。
「何言ってんだよ。ゴブリンは緑の月から来るんだろ? 全滅させるなら大本叩きに行かなくちゃあな。何時まで経っても終わらないぞ?」
「俺はそもそも外から来たし、何よりアーティファクトがこの四方世界だけに落ちたかどうかなんてまだわからないから。まずはここから探して、その次になるけどな」
今すぐは無理でも。この塔からじゃなくても。いずれは彼女の居るところまで行くことになるだろう。彼女に出来たんだ。俺だって追いつかなくちゃな。
「ふっ、くくくく!! そうか! そうきたか! はっはっはっはっは!!!!
「なにわろ」
「ふふふふふ……いやすまない。そうだね。君の言う通りだ」
「それじゃあ、ありがたくこれは借りていくよ」
「おう。素材さえあればいつでも作れるからあんま気にすんなよ。次会うときには、また別の作って用意しておくわ」
「それとも素材や宝石、効果のリクエストがあるなら今のうち聞いておくけど」
「ふふふ……じゃあまた今回みたいなサプライズを楽しみにしておこうかな」
「難しい事を言うなぁ」
喜んでもらえたようで何よりだ。友の門出だ。盛大に祝わねば男が廃るというもの。TS済みだが。
首にアミュレットを掛けると、彼女は別れの言葉を告げた。
「それじゃあ、またね」
「ああ。また。……ほら、ゴブリンスレイヤー」
「…………そうだな。武運を祈る」
「堅いなぁ」
孤電の術士は笑みを浮かべながら、振り返り、目の前に広がる雲の中へと消えていった。
それがどこなのか。この先がどこに繋がっているのか、今の俺にはわからない。
今は、友の旅路の安全を祈るばかりだ。
「……孤電の術士に祝福あれ、だ」
歩く先々で地面が揺れるほどの喝采。それに値する偉業を、彼女は間違いなく成し遂げたのだから。
シャウトの表記方法について
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アルファベット表記
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ドラゴン文字
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どちらでも良い
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その他