MODマシマシTSドヴァーキン(雌堕ち済)四方世界にて小鬼殺しと邂逅す   作:最初の仲間

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 感想も楽しく拝見させて頂いてます……!



言葉持つ者(Prayer) / 遊び人(Player)

 

 ぱちぱち、と薪が音を立てて燃え、火の粉を散らす。暗闇の中、揺れる炎が三人の顔を赤く照らしていた。一人は兜だが。

 

 片方の中身はともかく……見目麗しい女性達の誘いをすげなく躱すねぇ、ゴブリンスレイヤー。将来色んな女泣かせてそうだ。彼の頑なな態度に、俺も孤電の術士(アークメイジ)も自然と顔を見合わせ、苦笑を隠せない。ふ、おもしれー男……!

 

 君も知っているかもしれないが……。そう口火を切ったのは孤電の術士。林檎酒(シードル)の蓋を開け、一口二口とゆっくりと飲んでから、彼女は言葉を続けた。

 

「寒地に暮らす生物は大柄になるんだ。熊や狼……あとは北方、山向いの蛮族とかさ」

 

 その言葉に、スカイリムに現生する野生動物の面々が脳裏に浮かぶ。ユキグマ、アイスウルフ、ホーカー……そしてマンモス。なるほど、道理だ。このことは世界が変わっても共通している点の一つらしい。

 

 というか、この世界にもノルドみたいな人種居るんだな。いや、考えてみれば当たり前か。生きる環境が似ていれば、暮らしや食生活も似通ったものになるだろう。自然、体格も同様に近いものとなる。

 

 今までに気付かなかったのは……森人(エルフ)や獣人種族、蜥蜴人(リザードマン)とか、目に見えてタムリエルの種族に似た人々ばかりに目を向けていたということなのだろう。今度、只人(ヒューム)についても触れた本を探すとしよう。

 

「これは師匠の……蜥蜴人の受け売りなんだけどね。大昔は酷く寒かった時期があるらしい―――伝説だよ?」

 

「小鬼がその時代から存在している以上、きみが言う田舎者(ホブ)は先祖返りなのかもしれないね」

 

「先祖返り……そういうのもあるのか」

 

「つまり、筋力が増しているのは体格が変化した結果にすぎない……と?」

 

「かもね。だから、小鬼どもの先祖は穴蔵で暮らさずに平原を渡る生活をしていたのかも」

 

「ファルメル同様、狭い環境に適応していった、か……」

 

 小鬼(ゴブリン)と大小鬼(ホブゴブリン)。片や小さな子供ほどの怪物に、片やオークと見紛う筋肉質な体格を持つ怪物。一見すると別種ともとれる見た目だが、彼女には確かに、同種である確信を持っているようだ。

 

 俺には視界にさえ入れれば自然と怪物(モンスター)の名称が浮かんで判別がつくから、何となくで流してきたところだが、そういった学術的な知見から説明してくれるのは聞いていて楽しい。上位種になると装備の質が良かったり、見た目に変化が現れたりするような、よくあるファンタジーのお約束(テンプレート)への考察は聞いていてためになる。

 

 ふと思い立ち、下した背嚢(インベントリ)の中から、先の腑分けの際に手に入った素材を取り出した。

 

 ……ゴブリンの耳である。

 

 解体された臓器の中から孤電の術士に分けてもらったものだ。錬金スキルの賜物か、唯一この部位のみ、錬金素材としての価値があるように感じられた。小鬼呪術師(ゴブリンシャーマン)も田舎者(ホブ)もその他大勢の有象無象も、同じドロップ品を残していくことで、こいつらが同種なのだと俺は判断している。錬金術師としてのスキル頼りで、感覚的なものにすぎないため、あくまで考察材料の一つに過ぎないが。

 

 味も見ておこう。

 

「ブフッ!!」

 

 鼻に抜ける濁った血の香りと、グニュッとした脂っぽい食感、舌に残る不快なエグみ。うーんまずい。もう一杯とはならんな。

 

 それより彼女は大丈夫だろうか。林檎酒でむせたのだろう、むせこんで止まらない。落ち着いて飲めばいいのに。ここに居る誰も取りはしないし、何より酒は逃げたりしない。

 

「誰の……せいだとッ……! ゲホッゲホ」

 

 えーと薬効は……っと。

 

 『体力減退』、『麻痺』に、『毒耐性』、『スタミナ上昇』……?

 

 おお、おお!!

 

「毒だこれ!」

 

 しかもとびきり優秀な!!

 

「何嬉しそうに言ってるんだ馬鹿!? 死にたいの!!?!?」

 

「吐け」

 

「わぁ、ちょっと待って待って」

 

 なんか誤解が生じている気がする。ゴブリンスレイヤーが俺を捕まえようと手を伸ばしてきた。毒と聞いて吐かせようとしているのだろう。

 

 甘いな! その程度の体捌きでこの俺を捕まえることは出来ぬゥ! ふはは力量(レベル)が違うのだよ力量(レベル)が!

 

 俺を押し倒したいのならもうちょっと場所とタイミングを選ぶことだな! あと手を出すなら散々誘って来てた孤電の術士を先にするんだな!

 

 …………向こうは大真面目にやってるし早めにネタばらししておくか。

 

 

 

 

 

「本当に大丈夫なんだろうね?」

 

「見ての通り、だ。鍛えてますから。……というか、一口含んだだけで毒が回るような血を小鬼が持っているのなら、とうの昔にもっと危険視されててもおかしくないと思うんだけど」

 

「まぁ……それもそうか。とはいえ、あまり冷や汗をかかせるようなことはしないでほしいところだねぇ……」

 

 まぁ、俺の場合、吸血鬼化によるカット率百パーセントの毒耐性の賜物なのだが。生身の肉体で育てられる毒耐性は種族特性やパーク、付呪装備を合わせても精々八十五パーセント。死体に毒が回るものか。

 

「……で、毒というのは? ゴブリンが武器に塗る糞便とは違うのか」

 

「えっこいつらそんな真似すんの? ヤバ……」

 

 申し訳ないがスカトロは守備範囲外なんで……。そういう趣味のゴブリンと出くわした時には流石に採掘中断してリセかな……。

 

「おっと、話が逸れたな。とにかく、俺は口に入れればだいたいどんな薬効があるか判別出来て、その結果ゴブリンの耳には毒薬として優秀な効果があるってわかったってこと」

 

 効果もさることながら、強力な毒薬、入手先の素材として優秀すぎる。体力減退と麻痺、双方揃っている錬金素材といえばじんに……奇妙な肉くらいなものだ。人n……もとい奇妙な肉の入手難度や違法性を鑑みれば、ゴブリンはそこら中に湧いて出てきて合法的に狩る事が出来る怪物だ。これは革命といってもいいだろう。

 

「毒茸(木椅子キノコ)とか、毒草(スケイスクロー)あたりと組み合わせたら最悪だね。筋肉が麻痺して、動けないまま一気に毒で体力を持っていかれる」

 

「破傷風も怖いが……。洞窟には君の言う毒茸が生えていてもなんらおかしくないね、これも調査対象に加えておくことにしよう」

 

「怪物辞典(モンスターマニュアル)に載ったりする?」

 

「載せられるのは毒を使う、ってところまでかな。薬効まで書くのは逸脱した内容だし、何より……」

 

 彼女は一度言葉を止め、少し逡巡してから口を開いた。

 

「……もし本当に君の言う組み合わせで強力な毒薬が作れるのならば、それは秘されるべきだ。危険すぎる知識を、そう簡単に公に広めることは出来ない」

 

「それはそう」

 

 今回の場合、冒険者ギルドで誰でも読めるような書物だもんな。毒薬の使い方とそのレシピが公然と載せられていいはずがないのだ。低位の冒険者ってならず者多いからな……、色町で騒ぎ起こすのだいたい白磁だし……。

 

 

 

 

 

「……お前の……お前たちの語り口は随分と奇妙なように見える」

 

「……そう聞こえるか? 孤電の術士には前にも話したが、俺は地元がここからうんと離れててね。使われているのもここの共通語と違うものだったんだわ、来てから練習したけど、まだ変なところあんのかもな……」

 

 使いこなすのにそう時間はかからなかった。発音も覚えるのも簡単な不思議な言語だ。あれだけMODの翻訳作業には苦労したのに……。

 

「口調のことなら、俺がTS転生者だからだな。聞き苦しかったら悪いがそういうもんだと流してくれ。俺はブレトンで、バイで、タロス信者だ」

 

「まともに話す気がないのは分かった」

 

 なんでや結構真面目に喋ったぞ、後半はともかく。タロス信者云々は……ストームクロークは滅ぼしたけど、帝国のタイタス・ミード二世は暗殺しておいたのでチャラにしてほしい。

 

「私かい? 言ったろ、師匠が蜥蜴人(リザードマン)でね。蜥蜴人流さ。つまり、立派な異端学徒なのだよ、私は」

 

「……でも蜥蜴人は記録なんて遺したがらないから私が覚えておこうと思ってさ。圃人(レーア)は好き勝手書くし、鉱人(ドワーフ)は話したがらず、森人(エルフ)は『当たり前』で止まっている。不死(イモータル)の魔術師は自分用の覚え書きで済ませてしまうし、脳が腐っているんだ」

 

 半分は当たっている、耳が痛い。……呪文書やスクロールの作成用のMODは入っているはずだが、確かにまともに使った試しないな……。

 

「竜に至っては記録せずとも記憶出来るからね。あれは死なないし忘れないから」

 

「……そうか」

 

「そうとも」

 

 おう二人ともこっち見るんじゃないよ。

 

 誰も自分で名乗ったわけじゃないし、なんなら竜血魔女(ドヴァーキン)ってあだ名だって彼女がつけたものだぞ。……安易に町の前までオダハヴィーングで飛んでいくのはやりすぎだったと今は反省している。あの時はすげぇ騒ぎになった。思い返せばゴブリンスレイヤー送り届けた時も大騒ぎだった。

 

 まるで成長していない……!

 

「竜は蓄財するもの、知識とてまた同じく宝―――無償で人に分け与えるわけもなし、さりとて殺せば知識は消える。竜の頭の中から盗むなど……灰狐面のものとて為せぬもの」

 

「仮に、竜から知識を分け与えられる機会があるとして……それで小鬼の知識なんてのを求める奴も、そいつに興味本位で小鬼退治に同道する竜も。『本当に変なの』だけさ」

 

「そうか」

 

 そうかじゃないが。

 

 変なの呼びだぞ君。いいのかそれで。俺? 今やドラゴンボーンだぞ変で当たり前だろ。

 

 木の皿壁抜け、殴りリロード、馬やレイロフハドバルでバックスタブ利用した隠密スキル上げ等々の行為をしたことのない奴だけ石を投げなさい。

 

 

 

 

 

「ま、調べるべきは生態、習性、由来、亜種、生息区域、知覚、知能、文化……くらいかな。私はこれ以上自分で調べる気はないけどね」

 

「いやそれだけ調べられりゃあ充分だと思うぜ。ゴブリン退治に赴くのは多くが白磁か黒曜くらいだろ? 読者層も然り、それ以上の高尚な専門書の作成ともなれば学院とかの仕事だろ。うん? それ以上だと何になるんだ……?」

 

「例えば言語とかさ。ゴブリン語、あると思う?」

 

「ある。奴らが捕虜を指差し嘲るのを見た」

 

「あー、それは俺も何度かあるな」

 

 主に捕虜視点で。

 

「つまり、ゴブリンには冗談という文化があるわけだ。……どうしたんだい? 新発見じゃあないか。きみの知りたがっていたゴブリンの知識だぜ」

 

「……そうなのか」

 

「そうさ。研究っていうのは本来地道な実地調査の積み重ねだよ」

 

「竜の書(ドラコノミコン)、悪魔の書(デモノミコン)、変わり種なら鼠人の書(スケイブン)。きみ、そのうち『殺しの手引き(スレイヤーズガイド)』が書けるぜ」

 

「ふーん、そりゃいいぜ。最近少なくなってきているが、攻略本はあるに越したことは―――」

 

「興味がない」

 

 バッサリと俺たちの言葉を切り捨てるゴブリンスレイヤー。強い語調に釣られて、ふと彼に視線を向けてみれば―――。

 

「そんな事をしている間にゴブリンは村を滅ぼすからだ」

 

 彼の口ぶりには、まるで見て来たかのように確信めいた強い響きが載せられていた。……本人は無意識なのかもしれないが、立膝の上に乗せられた拳が強く握りしめられていた。

 

 革製の手袋が、強い力で歪み、ミチミチと音を立てている。

 

 なるほど、彼の様相を見るにおおよその推測を立てられるが……それを訳知り顔で語るには、この少年の姿はあまりにも痛ましい。

 

 そんな彼の目に、俺はどう映っていたのだろうか。降って得た力をひけらかすような軽薄な姿を、幾度見せただろうか。……あまつさえ、採掘などと憎きゴブリンを利用するような真似を。増えることはないのだから心配はない、などと。

 

 彼は何も語らない。ただ、赤い炎が、彼の兜の下でゆらめいているのが見えた。

 

「なぁ、ゴブリンスレイヤー、お前は―――」

 

「―――それに、ゴブリンがどこから来るのかは知っている」

 

 反射的に、口を閉じる。彼が何を言うのか、罵倒か糾弾かと思うと、怖くて二の句を継げなかった。

 

 ……何に? 俺は今何に恐怖を感じたんだ?

 

「緑の月だ。そう、教わった」

 

 誰に教わったのか、何を教わったのか。一つ一つ噛み締めるように、彼は呟いた。

 

 ニルンの夜空に浮かぶセクンダとマッサーとも、地球のたった一つの衛星とも異なる星々。

 

 この世界の宙に浮かぶ、赤と緑の双子月、その一つ。

 

「それは作り話―――子どものしつけ話、笑い話のたぐ……」

 

「笑わねぇ」

 

 彼女の言葉を遮ったと気付いた時には、既に言葉が口を衝いて出ていた。すまん孤電の術士。

 

 笑われるべきではないと思った。彼の決意を。彼が辿ろうとする道筋を。

 

 俺は、彼の拳に手を重ねていた。

 

 この世界に来て……いや生まれて初めて他人のために祈る。

 

 どうか彼の行くであろう長い旅路の果てに、その心願が果たされんことを。

 

 願わくば、その道中で流されるであろう、彼の血が最少のものであることを。

 

「…………何をする」

 

「見ての通りさ、祈ってる。これでも聖職者だからな」

 

 そうとも、吸血鬼だって聖職者になれぬ道理などないのだ。特にスカイリム育ちなのであれば。祈りが届く先が秩序(エイドラ)だろうが混沌(デイドラ)だろうが知るものか。なにせ生まれが日本人なのだから。神仏習合、なんでもござれだ。それに―――。

 

「何しろ俺たちは言葉持つ者(Prayer)らしいからな。誰が祈ったって……遊び人(Player)が祈ったって何の問題があろうかね」

 

「……わからん、なぜお前が祈る」

 

「なぜって、お前……そうだな」

 

 顔を見上げてゴブリンスレイヤーに目を合わせる。少し前に感じていた、得体のしれない恐怖は不思議と収まっていた。

 

「成し遂げられる人物だと思ったから、気に入った。ただそれだけだよ」

 

シャウトの表記方法について

  • アルファベット表記
  • ドラゴン文字
  • どちらでも良い
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