転生魔術師(記憶喪失中)ですが、周りから激重感情を向けられている件   作:究極の闇に焼かれた男

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お気に入りが100を超えたので更新します。
それとアンケートを見る限り、魔眼蒐集列車がぶっちぎりで多いいですね。 今回も短めとなります。


第2話:思い出の場所

 

 

 

グレイside

 

 

ルークさんと共に立ち寄った喫茶店で偶然にもライネスさんと会い、少しの間だけ会話を楽しんで後、拙はルークさんを連れてある場所へと訪れていた。

 

 

「グレイ、此処は?」

 

「ルークさんは覚えてませんよね。 ここは拙がルークさんに連れて来て貰った、とても大切な思い出の場所ですよ」

 

 

そう言って視線を向けると、美しいロンドンの街並みと雲一つない青空が広がっていた。

 

数年前、拙が時計塔に来て間も無い頃の事で、故郷の外の事を何一つ知らなかった拙は新しい環境での生活に中々慣れず不安を覚え無意識の内にストレスを抱えていた時に、そんな拙を見兼ねたルークさんが連れて行ってくれた展望台。 拙にとって大切な思い出の場所。

 

あの時は真夜中で、空には満天の星空が浮かんでいたのを今でも覚えている。

 

今は昼間という事もありロンドンの街は沢山の人々が行き交っていて、何時もとは全く違う景色が広がっていた。

 

 

「以前の俺は、こんな良い場所を知ってたのか」

 

「はい。 師匠とルークさんに連れられて故郷のブラックモアの村から出て間も無い頃、新しい環境での暮らしに拙が不安を感じていたのを知ったルークさんが気晴らしに連れて来てくれた場所なんです」

 

「道理で、懐かしいと感じる訳だ。 それに何となくだが心が落ち着くな」

 

「拙も同じです。 此処に来ると不思議と心が落ち着きます」

 

「……ごめんな、グレイ」

 

「え?」

 

 

不意にルークさんが謝罪をしてきた、どうして謝ってきたのかが分からずに困惑しているとルークさんは言葉を続けた。

 

 

「そんなに大切な思い出があったのに、それすらも忘れてしまって」

 

「い、いえ!? ルークさんが覚えていないのは仕方のない事ですし、拙は気にしてませんから」

 

「それでもだよ。 此処に来てから懐かしい感覚がするのに、それでも思い出せないのが悲しいんだ。 此処はきっと、俺にとっても凄く大切な場所だったんだと思う」

 

 

そう語るルークの表情は懐かしいと感じているのに、思い出す事が出来ない罪悪感と悲しみで色付いていた。

こんなにも悲しそうな表情をするルークさんに、拙はどんな言葉を掛ければ良いのか分からずに居ると、そんな拙の内心を悟ったのかルークさんは謝ってくる。

 

 

「ごめん、せっかく此処に連れて来てくれたのに詰まらない事を言ったな」

 

「そんな事はありません!」

 

 

その言葉を聞いた瞬間、拙は自分でも吃驚する程に声を張り上げながら口にしていた。

 

 

「ぐ、グレイ…?」

 

「大切な思い出を忘れてしまって辛いのに、そんな悲しい事を言わないで下さい」

 

 

大切な思い出を、自分という存在を喪う恐怖が拙には痛い程に分かる。 ましてや両親に刻み込まれた刻印の影響で戦う度に自分という存在が、別の誰かに書き換えられていく不安や恐怖に苛まれながらも戦ってきたであろうルークさんの気持ちが詰まらない筈が無いと、拙の心が叫んでいた。

 

 

「忘れてしまった事が辛くない訳がないじゃないですか」

 

「……嗚呼、本当にごめん」

 

「大丈夫です。 例えルークさんが忘れていても、拙は絶対に忘れません。 師匠もライネスさんも同じ気持ちの筈です」

 

 

少しでもルークさんの不安を取り除きたい、大切な人の支えになりたい────そんな想いを込めながら拙はルークさんを抱きしめた。

 

 

「グレイ……ありがとう」

 

 

そう言ってルークさんも抱き返してくる。

決して力を入れ過ぎず、決して相手を傷付けないように気にかけながら。

 

こうして、その日のデートは終わりを迎えた。

 

学生寮に戻った拙は展望台でルークさんに対して取った大胆な行動を思い出してはベッドの上で悶絶するのだった。




グレイだからこそ、自分の中から大切な何かが喪われる辛さが分かると書いてて思いました。

如何でしたでしょうか? 楽しんで頂けたなら幸いです。
次回の更新についてですが、過去編か本編の続きの何方にするか自分の方で決めてから更新しようと思うので暫くは休みとなります。 とは言っても、時間は掛からないと思うので気を楽にしてお待ちして下さい。

では、また次回の話でお会いしましょう。

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