夢日記(リアルガチ)   作:廃棄された提言

2 / 3
不安、ごくシンプルな悪魔 2026/02/14

 まさかまさかの第二弾。そして今回はホラー系。だけど夢ってのは本来そういうものでしょう?

 

 

 

 

 

 


 

 

 新幹線を乗り間違えた。

 

 始まりの絶望感はそんなところから始まる。私が降りた駅は望んでいた場所とはまるで違うものだった。……ただ、どこを目指していたかはもうよく分からない。

 

 だが、少なくともそこは半島で、海岸に面していて、坂が多かった。尾道のどこかだったのかもしれない。

 

 ――私は今回、それらを夢と自覚することはなかった。

 

 私は暫く駅を離れて辺りを散策する事にした。どうしてかは分からない。目的地を間違えた現実逃避のように辺りをぶらついて見たかったとかそんなところだろう。

 

 

 ふと、気付けば周囲は夜だった。

 

 

 500mか1kmか、新幹線の停車駅からだいたいそれぐらいの範囲に留まっていた私は住宅街のある坂の上でそれに出くわした。

 

 何があったのか、それはもう覚えていない。残念なことに今回の夢は前話ほど鮮明に記憶できたわけではない。

 

 確かなことは追跡されたこと、私がそれから逃げていたことだけだ。

 

 私は下り坂を駆け抜けた。だが、戻る道の半分も行き着く事はなかった。

 

 

 暗転。

 

 

 私はまだ目覚めない。

 

 

 

 

 


 

 ふと気づくと、懐かしい気配がした。嗚呼、そこは小学校だった。自分の通っていた小学校に限りなくにていた何かだった。

 

 私は学生で、大人しく席の一つに座っていた。そんな私に6年生の頃の担任に似ているナニカが声を掛ける。

 

「(本名)さん、先週返して貰った学校のパソコン、充電切れてたよ」

 

 この台詞の意味を説明するには随分と前に見た夢を説明する必要がある。

 

 その夢の中で私は最近よくある『学校が授業用に支給するタブレット』のような感覚でノートパソコンを受け取った。しかし返却間近になって何か緊急で行う必要のあるタスクが生じ、何とかそれを完了させてパソコンを学校に返却したという背景がある。

 

 ――この夢は随分前に見て、昼間の記憶からはもう完全に消えていた。起きている今では既に当時何があったかは思い出せない。だが、不思議と同じ世界線の続きを見ている今夜の夢の中では昨日のことのように容易く思い出せた。

 

 何のためにパソコンを使ったかは覚えていない。だが、一つだけ確かなことがあった。

 

「先生、私はきちんと充電を満タンにした上で電源を切り返却しました」

 

「君のせいで下級生の一人が充電切れでパソコンが使えなかったからね。後で謝りに行きなさい」

 

 話が通じねえ。とにかくそれは確実に私のせいではなかったが、教師目線では容疑者が私しかいなかったため必然的に私が犯人扱いされていた。

 

 小学校のくせに中学生向けの数学の授業を展開しやがる小学校6年生担任の背中とはこんなにも理不尽だっただろうか。

 

 項垂れる私に後ろの席の同級生が声を掛ける。

 

「…大丈夫?」

 

 あっ、優しい。

 

「君、涙脆いよね」

 

 何で上げて落とすのかな君は!?

 

 

 

 失意の中で授業は過ぎ、掃除時間が始まった。教室には数えるほどの人数しかいなかったが、これは掃除担当が分散していてトイレとか校庭に駆り出されているからだろう。

 

 

[ERROR]

 

 

 比較的穏やかだったこの夢で、何があったかは分からない。現在の私にはその記憶が欠けている。

 

 だが傾向として、私の夢が中途半端に断ち切れる時。

 

 

 

 夢の私は何かに殺されている。

 

 

 

 


 

 

 一つ前の夢での出来事を忘れ、あるいはそもそも体験していない私は実家に帰省していた。帰省した記憶はない。

 母親が冬に嬉しい魚介と白菜の豊富な鍋を作ってくれて、食卓の正面には妹がいた。

 

 他愛無い時間が流れていたと思う。私はすっかり騙されていた。

 

「(本名)、もうすぐ大学卒業だね」

 

 母親の姿をしたソレが言う。

 

「だけど(本名)、お前高校ちゃんと卒業していないから卒業出来ないんじゃない?」

 

 妹らしきソレが言う。いや失礼な。ちゃんと卒業しとるわ。

 

 

 

 ―――待て。

 

 

 

 やっと私は違和感に気付いた。実家に帰省した記憶など無い。……そもそも此処はどこだ???

 

 実家ではなかった。知らない天井、床、家具の配置だった。

 

 私はその場を飛び出して玄関の外に出た。果たしてそこは自分の住んでいるアパートの隣の部屋だった。

 

 慌てて自分の部屋に戻って鍵を掛ける。この状況に際してアレらが母親と妹でないことは確定していた。

 

 

 

 チェーンロックが砕け散った。

 

「…は?」

 

 何かが激しく扉を叩く。それは母親の声にとてもよく似ていた。扉を開けるように迫ってくる。

 

 聞けない望みだった。

 

 いい加減、目を覚ます必要がある。

 

 

 


 

 2026/02/14、午前11:49、起床。ここからは少し現実の話をします。

 

 結果として13時間も眠っていた。健康的な8時間睡眠を旨とする私にとってこれは少々長い。いつもそうだとは限りませんが、多くの場合で私が目覚めるには自分が夢の中にいると自覚する必要があります。

 夢だと自覚すれば私はチャンネルを切り替えるように夢の内容を意図的に遷移させることが出来るようになりますし、そのチャンネル切り替えを短時間に連続して行うと強制的に覚醒も行えます。もう15年近く前に習得した技能です。

 

 

 今回の夢の根源はずばり、不安です。

 私はもうすぐ大学を卒業し、完全な社会人として就職します。それによって現在の生活から全てが変わっていくことでしょう。

 

 一つ目の夢は私が現在暮らしている地域への郷愁から発生しました。もうすぐ離れなくてはならない第二の故郷によく似た場所を巡りたかったのでしょう。

 二つ目の夢は後悔とやりなおし。もっと過去、もっと以前に戻りたい。やりなおしたい。そんな考えから生じました。現在でも苦手な数学はちゃんと学び直したい。

 三つ目の夢は現在の不安。このまま卒業し、就職してちゃんとやって行けるのかという未来への不安。だからこそ夢の住人は「お前はそもそも卒業出来ないから就職も何もないよ」と誘いの妄言を掛けて来たのです。

 

 ただ結局、私はどの夢にも馴染めなかった。

 

 一つ目の私は、恐らく自分自身に殺されました。自分の顔や声を第三者視点から記憶できないのは当然のことです。二つ目では不明な第三者から。三つ目からは自分の意志で立ち去る事を選びました。

 

 

 

 随分なバレンタインでした。おはようございます。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。