魔法少女アギア・ケルベロス~俺は地獄の番犬ではない   作:dwwyakata@2024

105 / 110








4、後片付け

数日掛けて、青森を回る。

 

少しずつ魔祓いが復帰しているが、それでも今回の戦いで引退する人員は多い。だから、復帰者に負担を掛けないように、燐火達が頑張らなければならないのだ。

 

青森では大きな根の国の者達との戦いがあり。

 

多くの魔祓いや関係者が亡くなった。

 

悪運も全て祓いきれた訳ではない。

 

公安の秘匿部署が手を回してくれて。

 

旅行という形で、燐火のスケジュールを作ってくれた。今回はもう調子もばっちり回復した日女さんとの合同任務だ。

 

恐山に入ると。

 

順番に悪運を祓っていく。

 

日女さんも、天照大神を下ろす奴は珍しいと言いながら、八幡で連携して悪運を祓ってくれる。

 

手分けして悪運を祓って回り。

 

自衛隊と連携して、まだ残っている魔の残党をねじ伏せる。

 

タフネスは上がる一方だ。

 

魔祓いは問題なく出来ている。

 

天照大神を下ろすのは負担が大きいが。

 

天照大神も根の国由来の魔がのさばっているのは気分が悪いらしく、力は問題なく貸してくれる。

 

後は、あちこちを回っていくだけ。

 

観光をしている暇はない。

 

片付けをしていると、連絡が来ていた。

 

菖蒲さんからだ。

 

退院してリハビリを続けていた菖蒲さんも近々復帰するらしい。

 

ただ林西さんは、復帰まで長引くそうだ。

 

何しろ年が年である。

 

入院のついでに色々検査をしたらしいのだが、年が年だ。いくつか良くない病気が見つかったらしく。

 

一度は退院したものの。また入院が決定。

 

しばらくは入院して、治療に専念するそうである。

 

これは仕方がない。

 

ただ、菖蒲さんは大丈夫。

 

燐火の上の世代の星として、この国の魔祓いを引っ張っていくだろう。

 

燐火は公安の秘匿部署に入り。

 

其処のトップになって。

 

人材発掘と、最前線での魔祓いを、自分でスケジュールを組んでやりたかった。

 

一通り片付けた後、公安が用意した宿舎に。

 

鉄パイプを丁寧に手入れする。

 

それを見て、日女さんが呆れていた。

 

「やっぱりそれを使い続けるんだな」

 

「当然です。 これは燐火にとっての最強の武器ですし、あまたの魔を打ち破った神器なので」

 

「まあ、魔祓いにとっては自分にとっての「最強」が最強だ。 しかしタッパがあるから、威圧感が出てきたな」

 

「そうですか?」

 

身長はまだ伸びている。

 

中学生の間に、170㎝に届くかもしれないと言われている。

 

既に大半の女性よりも背が高く。

 

おかあさんも追い越した。

 

そして体の方もがっつり鍛えている。

 

この間、空手部として一度で良いから大会にでておいてほしいと小川先輩に言われたので。

 

仕方なく出たのだが。

 

あっさり地区大会で優勝してしまい、今度は全国大会に出ることになった。

 

空手の技量そのものは、どうしても限界があるが。

 

合気、柔道、剣道と連携しての動きが、他の空手一筋の人間に比べて大きなアドバンテージになっているし。

 

何より科学的なトレーニングを続けているのも大きい。

 

ずっとケルベロスの指導を受けて、最高効率の訓練を続けてきた事もある。

 

今の燐火は、同世代に戦闘技術という観点では敵なしだ。

 

相手が男性でも関係ない。

 

ただ、プロの格闘家が相手になってくると、厳しいケースもある。

 

今の燐火は大人が相手になる事も想定しなければならないから。

 

同世代最強、程度では満足していてはいけなかった。

 

後は衣装だ。

 

今後、ちゃんと金を掛けた白仮面の衣服を作ろうと思っている。それを言うと、皆口をつぐむ。

 

最強の武器に最強の格好。

 

それに、だ。

 

白仮面が、正義の味方としてあちこちで活躍しているという都市伝説を、公安の方で流すつもりらしい。

 

問題はそれを真似する人間が出てくる可能性で。

 

それを排除できる算段がついたら、白仮面の衣服を纏って、魔祓いをしてほしいと燐火は言われていた。

 

つまり、しばらくは駄目だと言うことだ。

 

星神がまきちらした災厄の後片付け。

 

それを終えるには、まだしばらく時間が掛かってしまう。

 

「!」

 

連絡だ。

 

どうやら魔が出たらしい。

 

日女さんと頷きあうと、即座に出る。

 

日女さんの強さは、今なら分かる。

 

神おろしをした状態だと、肉弾戦ではとても勝ち目はない。

 

日女さんは素でも同年代の人間だったら一ひねりにするくらいは強いのだ。それに凄まじいバフが掛かるのだから、まあ当然だと言える。

 

燐火は移動中、軽く打ち合わせをする。

 

相手は黄泉軍や予母都志許売ではなく、もっと下級の雑多な魔だ。

 

それでも現地の自衛隊員は、渡されている札などで、相手の攻撃を防ぐのでやっとである。

 

立ち入り禁止になっていた地域がかなり多くなっていた。

 

だが、今回魔を叩き潰すことで。

 

膨大な悪運も排除できる。

 

その悪運を排除することで、周囲で蠢いていた悪党どもも、一網打尽に出来る。

 

ともかく、急がなければならないだろう。

 

「なあ、燐火」

 

「どうしたんですか、日女さん」

 

「もうすぐ二年の三学期だ。 三年になると、更に出来ることが増える。 国としても、おまえを重宝する。 海外遠征も出てくるかもしれない」

 

「そうですね」

 

海外だと日本神話系の魔祓いは役に立てないように思えるが。

 

神仏混淆を利用して、天照大神を大日如来として活用すれば、仏教系の魔には対応できる。

 

ただ、海外の犯罪者なんかは、ガタイからして違う。

 

治安も良くない。

 

更に鍛えなければならないだろう。

 

「とにかく、過信だけはするなよ」

 

「分かっています。 世界は広い。 それは理解しているつもりです」

 

「そうだな……」

 

現地に着く。

 

そして、日女さんと一緒に。

 

燐火は魔祓いを開始していた。

 

 

 

(続)







新しい力を手に、燐火は魔祓いとして進み始めます。

ケルベロスはもういません。

だからこそ燐火は自分の足で歩かなければなりません。

最高の教師であり最高の親であるケルベロスがいなくても。

燐火は生きていかなければならないのです。




感想評価などよろしくお願いいたします。励みになります。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。