魔法少女アギア・ケルベロス~俺は地獄の番犬ではない   作:dwwyakata@2024

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具体的なやり方を教わって。

精神修養開始です。

子供がやるにはちょっと早いですが、状況から言ってもそうも言っていられないのです。





2、修練と成果

精神修養のやり方は、人によって異なる。

 

いずれにしてもはっきりしたのは、空いた時間を無為に過ごさない事だ。正座をして、目を閉じて、集中する。

 

集中して、雑念を一切取り払う。

 

ただし、一切合切外部からの刺激を取り払ったらそれはそれでまずい。

 

必要なときはケルベロスに声を掛けてもらうのと。

 

スマホのアラームを入れておく。

 

そうして、無の境地に近づく。

 

勿論難しい。

 

仏教だとこの境地を悟りとかいうらしいけれど。実際に其処にたどり着いた仏僧なんて、どれだけいるのだろう。

 

ましてや始めたばかりの燐火なんかはまだまだ全然である。

 

ともかく。

 

黙々と座禅を組んで、集中する。

 

アラームが鳴った。

 

とりあえず、精神修養はここまで。以降は、実際に体を動かして、それで鍛えていく。また、宿題もおろそかにしない。

 

そうしていると、思った以上に時間は足りないのだとわかる。

 

素振りをする。

 

おとうさんからもらった棒を竹刀袋に包んだものを素振りに使うけれど。

 

おもりをいくつか乗せて、それで鉄パイプを振るうのと同等の条件へとそろえる。そうすることで、訓練を効率的にする。

 

進んで振る。下がって振る。

 

体重の移動、体幹の制御。

 

いずれも、怠らずにやる。

 

ケルベロスが褒めてくれる。

 

「剣筋がよくなってきたな。 この様子だと、充子には及ばないにしても、いずれそこに近づくことは出来るだろう」

 

「出来れば追いつきたいかな」

 

「そうだな。 それくらい求道そのものは貪欲でいていい。 ただでさえ燐火は無欲だから、強欲である部分もあっていい」

 

「そうだね……」

 

あまり無欲と言われても実感はない。

 

おいしい食べ物はそれなりにおいしいと思うし。

 

ただ、他の子は泣きわめいてもほしがるようなこともあるらしいから。そう考えると、なるほどなとも思う。

 

あれは強欲の結果なのだろう。

 

いずれにしても燐火は自分なりにやっていくだけだ。

 

道場主に言われたとおり。

 

このまま精神修養を続けていくと、普通からはどんどん離れていくだろう。だが、燐火は既に普通には興味を持てなくなっている。

 

だから、別にこれで構わない。

 

剣道の後は、柔道の鍛錬をやる。

 

次は空手。

 

さらには合気。

 

基礎をおかあさんに教わっているので、それを淡々と極めていく。

 

体を少しでも早く動かす。

 

腕だけで相手を投げるのではなく、全身を使って相手を投げる。

 

そうすることで、腕力だけで動いている素人を。燐火でも制圧することが出来る。

 

実際、日女さんが言っていた。

 

日女さんは今後もっと背が伸びて、力も強くなる。

 

だが、現状では中一の肉体で勝負しなければならない。

 

だったら、その時点で持っている力を全て生かし切る。

 

そうすることで、力の大半を遊ばせている男子程度だったら、だいたいどうにでも出来る。

 

ただし気配を常に研いでおいて。

 

勝てない相手からは逃げる。

 

まっとうに相手にはしない。

 

それが必要だそうだ。

 

あの日女さんでも、適当に空手をかじった程度の高校生男子が相手だともうかなり厳しいらしい。

 

それが何かしらの大会に出てくるような輩になってくると、相手にするには後三年いると言っていた。

 

そういうものだ。

 

更に戦闘は才能に依存する部分が大きいらしく。

 

それもあって、何もしていなくても強い奴は強いらしい。

 

そういう相手とは戦うのを避けるのも立派な判断。

 

ただし、逃げるだけではなく、戦術を選ばずに倒す手札も用意しておくべきだとも言っていた。

 

そういう相手とも戦わなければならないことが今後出てくるからだ。

 

燐火も、その言葉は正しいと思う。

 

金木の一家みたいな屑を相手にすることが、今後おきるかもしれない。

 

今の燐火では、戦いようがないのだ。

 

淡々と鍛錬をこなして、朝のノルマは終わり。

 

適当に汗を掻いたが、体力もついてきている。すぐに汗は引く。ご飯を食べるが、とてもおいしい。

 

ちなみに一人だ。

 

お父さんは長時間配信の最中。

 

おかあさんは、早番だ。

 

既に出来合を温めたりと、そういったことは一人で何の問題もなく出来る。最悪の場合はおとうさんに声を掛けるが、それは最後の最後だ。

 

おとうさんは家族がいることを公開していない。

 

そのお仕事を、燐火が台無しにするわけにはいかなかった。

 

何よりも、別に燐火は一人でいることが苦にならない。

 

寂しいのが駄目、という人もいるらしいが。

 

燐火はそれはないので、その点は色々な意味で有利だと自分では思っている。

 

食事を終えたら、学校に出る準備をする。

 

舐められないように身支度もしておく。

 

問題はないな。

 

確認を終えたので、そのまま学校に出る。

 

雑魚ダイモーンの気配があるらしい。

 

通学路の途中で軽く寄り道をして片付ける。時間的には余裕があるので、問題はない。これなら変身をする(着替えるだけだが)必要すらない。

 

ささっと文字を書いて、消し飛ばす。

 

それでケルベロスも、さっさと回収を終えていた。

 

「確実に力が上がっているな」

 

「ありがとう。 でもヘラクレスさんが倒したようなカコダイモーンを相手にするのはまだ無理だよ」

 

「それを自分で把握できていれば十分すぎるほどだ。 これからも鍛錬をしていけば、あれくらいなら倒せるようになる」

 

「……わかった」

 

ケルベロスは嘘をつかない。

 

これについては、ずっと話していてわかった。

 

言葉を濁すことはある。

 

どうしてもそういう事があるのは燐火もわかっていた。

 

ただ、燐火は子供が本来受けるべきではない刺激を、散々受けてきた。だから、今更ではある。

 

悪党も散々見てきた。

 

そして人間は簡単に悪党に転ぶことも、である。

 

燐火にとって普通は敵になりつつさえある。

 

だが、それでも。

 

ケルベロスが望むなら。

 

ダイモーンを倒して。無辜の民(無辜の民なんているのか燐火にはとても疑問ではあるけれど)を救うのは、仕事としてしっかりやる。

 

それだけである。

 

学校に着いた。

 

今日はいつもより少し遅めで、同じクラスの生徒も何人か既にきていた。まあ寄り道をしたのだから仕方がない。

 

机などをチェック。

 

丁寧にチェックをした後、鞄の中身なども確認しておく。

 

そろそろ消しゴムが減ってきたか。

 

補充がいる。

 

そう思いながら、教科書を出して、軽く復習をしておく。

 

予習は充分にしてある。

 

既に算数と理科は実のところ小学校ぶんは終わっていて、涼子と時々それについて話をする。

 

涼子は更に進んでいて、既に全科目で中学の予習をしているようだ。

 

燐火よりもずっと成績もいい。

 

武道の類をやってはいないが、代わりに勉強にそれだけ打ち込んでいる、ということである。

 

まあ全部の分野でトップになれると、燐火はうぬぼれてはいない。

 

いずれにしてもこのクラスでは、涼子と燐火で成績は既にツートップだ。

 

既にドリルに四苦八苦していた時代は終わった。

 

だが、あれは燐火の中で確実に力になっている。

 

軽く話した後、涼子に言われる。

 

「それで剣道はもう終わったの?」

 

「後二回ですね。 道場の充子さんとはアドレスを交換して、時々メールを送り合う仲になりました」

 

「あの剣道小町と。 あの子、将来ものすごくもてると思うよ」

 

「そうですね。 文武両道に容姿も優れていて、家も太いですからね」

 

そう現実的な話をすると。

 

涼子は苦笑い。

 

燐火もその手の話には興味がない。

 

というか、あの孤児院の時のことが、今になってわかってきたから。それで嫌悪感すらある。

 

充子が異性をどう思っているかはよくわからない。

 

ただ実のところ。

 

周囲の女子がアイドルの話をしているのに対して。

 

涼子がそれに乗るような事は一切ないので。

 

実は涼子も燐火と同じ穴の狢ではないかとも思っている。

 

それにだ。

 

涼子の家に何度か遊びに行ったが、母親が既にいないという話もあるのだが。その痕跡が一切ない。

 

意図的に遠ざけている雰囲気さえある。

 

それを見ていると、燐火はそれに触れてはいけないことを毎度強く思うのだ。

 

少なくとも、涼子は他の女子が喜ぶような、愛だの恋だのを尊んでいないのだろうなとは理解できる。

 

軽く話をした後、ホームルームが始まる。

 

その後は授業だ。

 

淡々と授業をこなしていく。

 

最近は授業中の空気が静謐で、とてもいい。

 

燐火としてもやりやすい。

 

既に学んだ学問は退屈、なんてのはまだまだである。

 

既にやったところだからこそ、復習が出来ていい。復習をして、ミスがないかを確認することが出来る。

 

いずれにしても問題はない。

 

燐火は淡々と授業をこなす。

 

前の方で授業について行けていない、興味もない男子が退屈そうにしているが。

 

そいつ自身に燐火は興味がない。

 

名前も覚えていなかった。

 

昼休みになって給食を食べたあと、軽く外で体を動かす。

 

ボールが飛んできたので、即座に受け止める。

 

ほとんど死角からだったが。

 

五感を研いでいるので、これくらいは難しくない。

 

飛んできた方を確認する。

 

少なくとも女子が投げた威力ではなかったが。

 

「おい、ボール返せよ」

 

「まず先に言うことはありませんか? 頭に当たるところでしたが」

 

「返せって言ってんだろ!」

 

此奴、確か以前ぶちのめした事がある六年の男子だ。喧嘩で、ではない。かけっこが得意で、それを自慢にしていた。

 

足が速ければ小学生の間はもてる。

 

それがどんなカスでもだ。

 

それを体現しているような奴で、勉強なんか一切出来ないのに、六年の女子の間では「かっこいい」とされているようだった。

 

ただしそれが燐火に公開処刑同然で、かけっこに負けた。

 

まぐれだというので、十五本、五十m走を連続でやった。

 

最後の方は完全にバテて、顔を真っ赤にして、それで。

 

以降、燐火に逆恨みをしていた。

 

飛んできたサッカーボールがきしむ。

 

握力は強くなくとも、これくらいは出来る。みしみしと、恐らくは自分の私物だろうサッカーボールが悲鳴を上げていること。

 

それに燐火にまっすぐ見られていること。

 

それで明らかに、その「足が速かった」男子はひるんでいた。

 

「お、俺のボールだぞ!」

 

「後ろから頭にぶつけようとしましたね。 何か言うことは」

 

「お、おいけんちゃん、やばいよ! こいつりっくんをぶん投げて、りっくん手も足も出なかったんだぞ」

 

「う、うるせえ!」

 

取り巻きらしい男子の方は完全に引いている。

 

燐火が一歩を踏み出すと、「けんちゃん」は明らかにひるんで、二歩下がった。他の男子は、もっと下がった。

 

燐火としても、こんなサッカーボールはドブにでもと思ったが。

 

そこで、ぽんと燐火の肩に体育の先生が手を置いた。

 

笑顔だが、目は笑っていなかった。

 

「其処までだ。 中山。 お前がわざとやったのは見ていた。 謝りなさい」

 

「だ、だってこいつが! 下級生のくせに生意気で!」

 

「お前のどこが偉い。 少なくとも、この子にお前は全てで負けている。 何か勝てる点でもあるのか? それに不意打ちをした時点で、あらゆる点でお前を擁護は出来ないぞ。 それに悪いことをして謝れないのは、幼稚園児以下だ」

 

「けんちゃん」の名前は中山というのか。

 

まあどうでもいい。

 

幼稚園児以下と言われて、流石に噴火した中山。

 

だが。

 

先生はサッカーボールを燐火から取り上げる。

 

「謝ればすぐに返してやる」

 

「た、た、体罰だ!」

 

「悪いが、一部始終は全て録画してある。 お前が意図的にサッカーボールを平坂の後頭部めがけて蹴ったところからな。 親を介入させるなら、この映像を公開するだけだ」

 

「……っ」

 

真っ青になって、ついに顔をくしゃくしゃにすると。

 

中山は泣きながら、燐火にごめんなさいと言った。

 

周囲の女子がひそひそと言っている。

 

これであれのプライドは完全に終わりだな。それに、クラスで偉そうにしていたのももう出来なくなる。

 

女子にもてたのも、文字通り過去の話になるだろう。

 

先生がひょいとサッカーボールを投げて返してやる。

 

中山が泣きながら戻っていくのを見て、先生は嘆息していた。

 

「平坂、スペックが根本的に違うんだから、多少は手加減をしてやりなさい」

 

「身を守っただけです」

 

「そうだな。 それでもあれだと、以降中山の生活に色々と支障が出るだろう。 とりあえず、担任の教師には言っておく。 中山は今後いじめられるかもしれないな。 だが、いじめはこの学校では絶対に許さん」

 

先生の言葉には、強い意志がある。

 

こんな大人がもう少しいてくれればな。そう燐火は思った。

 

 

 

今日は涼子の家にお邪魔させてもらう。家に戻って、宿題を片付けてからだ。ただ、途中でダイモーンが出た。

 

それもかなり強い奴だ。

 

これは、ちょっと遅れるかもしれないな。

 

涼子にはさっとメールを打って。

 

それで物陰で変身(着替え)して。すぐにケルベロスの指示で走る。

 

ブロック塀を蹴って、とんぼを切って乗り越える。

 

身体能力はどんどん上がっている。

 

更に先に行ける。

 

着地も問題ない。

 

かなりの高さから着地したが、柔らかく衝撃を殺せるようにどんどん進歩している。更に進歩がいる。

 

「まずいな。 今回のはギリギリの相手だ。 涼子の家に行く前に疲弊してしまうだろうな」

 

「大丈夫。 必要なことだから」

 

「そうだな」

 

走る。一気にショートカットルートを走り抜ける。

 

そして、藪を突っ切って躍り出る。道路を走り抜ける。白仮面だ。そういう声が聞こえたけれど。

 

振り返ることはしない。

 

白仮面は見かけもあって、それほど怪異的なものとは見なされていないようだ。

 

それどころか、赤マントが出なくなってから出るようになったという噂から。

 

白仮面が赤マントを倒したのではないか、という噂まであるらしい。

 

どっちも同一人物なのだが。

 

まあ、それはいい。

 

ともかく走る。

 

カコダイモーンは悪運をばらまく。

 

放っておけば、悪人がますます増長する。

 

悪人の被害を受けてきた燐火は、やはりそれを許せない。ただ、今は精神を集中する。精神修養をしてわかってきたことがある。

 

道場主……師範は内向きの武道を、強さに変えている。

 

それは効率が悪いようにも思うけれど。

 

実際には、確かに強さに変わる。

 

燐火より年下の充子が、高校生相手に剣道で全くひけをとっていないのと同じ事である。遠回りのようにも見えて、実はこれが近道なのかもしれない。

 

だけれども、もっと精神修養については、色々な意見を聞きたい。

 

こればかりはネットで会うのではなく、実際にあって、だ。

 

そうしなければ、見極めは難しいだろう。

 

近い。そう言われて、さっと木陰に隠れる。

 

さて、あいつか。

 

かなり大きなカコダイモーンだ。まるで巨大なナメクジである。

 

カコダイモーンが狙っている人は見当たらない。

 

いや、人はいないというか。

 

何かの雑居ビルを飲み込むようにしてカコダイモーンが張り付いている。おそらくだが、あの雑居ビルの中の人間全てに悪運を提供しているのだ。

 

ろくでもない連中が中にいる。

 

それはわかった。

 

即座に文字を書く。

 

今までにないほど、心が研がれていて。それで、文字の作り出す魔祓いの力が、段違いになるのがわかった。

 

ばつんと音がして、カコダイモーンの体がはぜる。

 

悲鳴が上がる。

 

あのカコダイモーン、近くで見ていて即座にわかった。おそらくだが、以前六回文字を書いて、やっと倒せたのと同格くらいの相手だ。

 

だが、今は、一度でかなりのダメージを与えることが出来た。

 

これならば。

 

そのまま、連続して文字を書く。

 

二度目。

 

全身が派手にはぜて、真っ黒い液体が噴き出す。辺りに広がっていくカコダイモーンの体液は、タールのようだ。

 

悲鳴も凄まじい。

 

これで誰にも聞こえていないというのだから、おかしな話だが。

 

そのまま、第三撃。

 

カコダイモーンが、苦しげにこちらを見る。

 

ナメクジそっくりだと思ったが、それにいびつな形で人間そっくりな目と、それに歯をむき出しにした口がついていた。

 

極めておぞましい造形、なのかもしれないが。

 

燐火にはどうでもいいことだ。

 

そのまま打ち倒す。

 

四回目の文字で、ばつんとカコダイモーンがはぜた。

 

後は、周囲の空気が一気に変わっていく。嘆息。ケルベロスが、驚いていた。

 

「これは。 俺が想像していた以上に進歩が早いな。 最後の聖印はオーバーキルも良いところだった。 以前までの倍にまで力が増しているな。 それも体力をほとんど消費していない」

 

「とりあえず、悪運は晴らされたよね、あれは」

 

「ああ、着替えてしまえ。 見つかると面倒だ」

 

「うん」

 

すぐに着替える。

 

ささっと着替えるのは、もう相当に習熟した。

 

それから、日女さんに連絡を入れておく。住所をスマホのアプリで確認して、それで送ると。

 

そこかと、苦々しげに日女さんはいう。

 

なんでも違法カジノとやらをやっている場所らしい。

 

それで警察がそろそろ踏み込むつもりだったそうだ。

 

いずれにしても、悪運がなくなった以上、連中が好きかって出来ていたのもこれまでだ。さっさと捕まればいい。

 

後は、何事もなかったかのように涼子の家に向かう。

 

涼子もパーティーゲームを用意してくれている。

 

まだ全然面白いとは思えないけれど。

 

まあ、興味深く遊ぶことは出来るだろう。

 

「多少自分にご褒美をくれてやってもいいのではないか」

 

「自分にご褒美か……」

 

「ああ。 今のは、立派な成果だ。 勿論まだ先は長いが、それでもいずれ、ヘラクレスが対処しているようなレベルのカコダイモーンに対応できるようになるやもしれん」

 

そうなったら、ちょっと嬉しい。

 

ヘラクレスさんが叩き潰したカコダイモーンなんて、燐火がどうこうできる相手ではなかった。

 

あれをどうにか出来るのであれば。

 

確かに、とてもケルベロスにとっての助けになるはずだ。

 

涼子の家には、ギリギリでついた。

 

既に上がっていた息は、平常に戻っていた。

 

体力も気力もついてきたということだ。

 

それは、好ましいことの筈だ。そう、燐火は思った。







確実にできあがり始める体と心。

成果が出始めています。

まだ先は長いとしても。


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