魔法少女アギア・ケルベロス~俺は地獄の番犬ではない   作:dwwyakata@2024

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更に厄介な存在が出現したことにより、燐火はさらなる力を求めるようになります。

現在の母親に教わった人に会いに行って、精神修養に励むのもその一環。

尊敬する存在の足跡をたどって、少しでも早く成長しようとしている訳ですね。

そんなに背伸びしなくてもいい年なのに……





1、参考にして力にして

おかあさんに教わった人に、会いに行く。

 

何人か紹介してもらった人にそれぞれ会いに行くのだが。禅宗のお坊さんだったりと、いずれも魔祓いとはあまり関係がなかった。

 

ただ、それでも会ってみて意味がないとは思わない。

 

実際に会ってみると、なるほどと思わされることも多い。

 

話についても、相互で矛盾はしていない。

 

燐火は実際に話してみて、いずれもメモをとり、それぞれが有益だと思った。

 

最後にあったのは、様々な古流武術を研究している人だ。

 

燐火と軽く立ち会った上で、いくつかの細かい悪い癖を指摘してくれる。この人は精神修養はともかくとして、今後体をどう鍛えれば良いのかの、指針を示してくれた。

 

何人かにあってみて、どの人と話しても参考になった。

 

それにおかあさんの名前を出すと、いずれの人も懐かしそうにしていた。

 

きっと昔はおかあさんも。

 

こんな風にして、色々な人から色々教わったのだろう。

 

それを思うと、それを力に出来るのは誇りですらある。

 

そうの筈なのだが。

 

まだどうしても、その辺りは体で理解できるとは思えなかった。

 

とりあえず、これで参考に出来そうな人のところは一通り回ったか。

 

後は、実践するだけだ。

 

オーディンについては、今の時点では気にしなくていいとケルベロスが言う。燐火とは基本的に縁がない相手だし。

 

この国の神を弱いとスレイプニルは言っていたが。

 

実際にはそんなことはないとケルベロスは言う。

 

「神話が物語になってしまったのは北欧も同じだ。 それどころか、もっと実際はひどいことになっている」

 

「そうなの?」

 

「ああ、そうだ。 北欧では、現地の人間ですら神話を知らないことが多い。 それはギリシャよりもひどい状態で、所詮はオーディンが名前だけ格好良い神、くらいの認識でしかないことを示している。 一瞬でスレイプニルが腰砕けになっただろう。 あれは単純に、力が足りていないからだ」

 

なるほど、そういうものなのか。

 

この国では漠然とした信仰が各地の神社にあり。

 

決して侮れない力を神々に与えているという。

 

少なくともスレイプニルが言ったような平和ボケした惰弱な神、なんてことは全くないそうだ。

 

鍛錬をしながら、そんな話をする。

 

次は正拳突きだ。

 

最近は腰を落として、力を伝えるのを、無駄なくやれるようになってきた。

 

立て続けに拳をたたき込むが。

 

おかあさんが頑丈にした的は、前とはまるで別物の手応えだ。しかも、ぐんとしなる。

 

たちが悪い不良……空手とかを教わっている奴が相手だと、こういう感じになるのだろうと思う。

 

痛打が入っていない。

 

それがよくわかる。

 

まだ、体の使い方が不完全なのだ。

 

そう自己分析していると、ケルベロスがいくつもアドバイスをしてくれる。いずれもが的確なアドバイスだ。

 

ケルベロスのいうギリシャ時代にも、パンクラチオンという武術があったらしく。

 

レスリングなどと同じ系統で。

 

更に荒々しいものであったそうだ。

 

骨とかが折れるのも当たり前の武術であり。

 

それを考えると、近代的に整備された武術とも、実践で使うという観点では引けをとらないものだとか。

 

その知識があるから、ケルベロスはアドバイスを出来る。

 

燐火も素直にアドバイスを聞いて、そのまま練習を続ける。

 

百本正拳突きをした後は、素振りに移る。

 

これについても、頭の中で充子を作り出して、それを相手に試合をする。まず全然勝てないが。

 

それは勝てないと言うことを自覚して。

 

更に腕を磨くために必要だ。

 

素振りをしながら、体をとにかく磨き上げる。

 

肉も骨も無駄には一切しない。

 

しっかり動いた後は、食事にする。

 

出来合だけれど、これは仕方がない。たまにおとうさんが焼いてくれるクッキーを楽しみにするくらいでいい。

 

そういえば、そろそろ誕生日か。

 

実は誕生日を祝う習慣なんてものは存在しなかった。

 

おかあさんが孤児院で回収した戸籍謄本だとかで誕生日がわかったらしいのだけれども。実際の両親については知らない方がいいと言われている。

 

知るつもりはない。

 

孤児院時代でもヤク中で二人そろって死んだと言っていた。

 

それがどういう意味なのか燐火にはあまりよくわからなかったけれど。

 

今はわかる。

 

どっちもカスであり。

 

世間一般で尊ぶような愛とは無縁で、性欲のまま子供を作ったあげく。

 

燐火を放置して、そして死んだろくでなしだ。

 

更におかあさんが知らない方が良いと言うことは、ろくでもない事情が色々とあるのだと思う。

 

だから知らないでいい。

 

ともかく、誕生日にはおとうさんがケーキを焼いてくれるらしい。

 

ちなみに西洋料理だと思っていたのだが。

 

特にイチゴがのったショートケーキというものは、あまり西洋でにたものは見られないそうだ。

 

ケルベロスも見たとき、なんだこれはとぼやいていた。

 

甘みに関しても悪くはないが、蜂蜜の方が好きだなとぼやいていたので。蜂蜜についてはおとうさんに相談しておく。

 

ケルベロスもなんとなく燐火が辛党であることには気づき始めているようだが。

 

いつも世話になっているケルベロスのためだ。

 

それくらいは我慢しなければならないと、燐火は思っていた。

 

体を鍛えるの、一通り終わり。

 

それが終わったら、次は勉強だ。

 

遅れている勉強はないが、とりあえず出来れば小学生分は五年生のうちにしっかり終わらせておきたい。

 

今後燐火は、ケルベロスの幸運の支援が得られなくなる。

 

それはわかっている。

 

最悪、高校くらいで自立できるくらいの事を考えておきたい。

 

ケルベロスも、迷子を見つけたら、いつまでも燐火と一緒にはいられない。

 

そして今までの極めて都合が良い、孤児院を出てからの人生展開。ケルベロスの支援だと言うことは燐火もわかっている。

 

だからそれがつきたときのために。

 

燐火は今のうちから、自身を自立できるようにしておかなければならないのだ。

 

それには無駄など一つもない。

 

かりかりと集中して勉強する。

 

精神修養は非常に役立っている。

 

凄まじい集中力で、今までとは比較にならない精度で勉強が出来ている。

 

涼子は何でも有名な中学に進学するらしい。

 

母親とあらゆる意味で縁を切りたいと、前にぼそりとこぼしたことがある。

 

愛がどうのこうので何の落ち度もない父親を裏切ったような腐れ売女にならないためにも。

 

あらゆる意味で自立した人間になりたいそうだ。

 

現時点では弁護士か医者になることを考えているそうである。

 

それには現時点での学力でもまだ心許ない、ということだった。

 

燐火もそれくらいの事を目指しても良いかもしれない。

 

司法試験は過酷だが、通ってしまえば裁く側だ。

 

弁護士には悪徳な奴も多いと聞く。

 

勝てる裁判しかやらないようなゲスも結構いるそうだ。

 

そういうのを片っ端からぶちのめして、経歴に泥をたたきつけてやるのも痛快かもしれないが。

 

いずれにしても、今はまだその段階にはない。

 

勉強終わり。

 

出来た時間で効率よく休憩をし。

 

正座して、精神を集中する。

 

無駄にショート動画なんてものはみない。

 

あれはいくつか見てみたが、刹那の快楽を指摘するだけの堕落ツールだ。そう燐火は評価している。

 

精神をひたすら錬磨する。

 

その後、ケルベロスがいくつかピックアップしてくれた動画を見る。

 

ゲロ甘のラブロマンスとかだ。

 

そういうのを見て、恋愛脳の人間が憧れるような愛がどういうものかを、知っておくのも良いだろう。

 

そういう話だ。

 

林西さんが言ったように、堕落について知っておくべき。

 

そういう意図もある。

 

己の中に、こういうありもしないものに憧れる部分があったとしたら、それは明確に堕落である。

 

こんなものを喜んでいるから、金のためだけに体を売ったり、甘い言葉をささやくホストだかに入れ込んだりする。

 

刹那の快楽のために、平気でクスリに手を出したりもする。

 

休憩がてらに見ていくが。

 

馬鹿馬鹿しい代物だと燐火はそうとしか思えなかった。

 

「くだらないね」

 

「おまえの年で其処まで一刀両断する奴は初めて見たぞ。 白馬の王子様とかにどうしても憧れるものなのだが」

 

「そんな自分に都合が良い異性なんかいるわけないでしょ。 甘い言葉をささやいて近づいてくるような奴なんか、どうせだまそうとしているに決まっているんだし」

 

「手厳しいな。 まあ、相手をだますことに特化した人間がもてるのは事実だ。 実際昔の話に出てくるような「ヒロイン」は、いずれもがどちらかというと傾国の類であるしな」

 

傾国とは。

 

王様とかをたぶらかして、国を傾けるような輩であるらしい。

 

それを聞いていると、なるほどと思う。

 

誰もが褒められるのには弱いんだな。

 

性欲にも。

 

燐火ももう少し大人になったら、性欲は当然生じるだろう。それをどう制御するかを、今から考えておかないといけないだろう。

 

それを、「メロドラマ」とやらを見ていて思う。

 

少なくともこういうものに出てくるような、脳みそに砂糖だけが詰まっているような女と燐火は一緒になるつもりはない。

 

ただ、林西さんがいうように、もう少し楽しみを覚えても良いだろう。

 

だが、燐火は何が楽しいのだろうか。

 

それは、今でもよくわかっていなかった。

 

 

 

そろそろ五年生が終わる。

 

今日もダイモーンを始末する。かなり強力に育ったダイモーンだが、燐火の力も上がってきている。

 

文字を書く。

 

力強く。

 

それで、一発で爆ぜる。

 

まだだ。

 

爆ぜて悲鳴を上げても、ビルくらいあるダイモーンは、その程度で倒れることはない。こちらを見るが、その時には二つ目の文字。

 

それで、破裂していた。

 

悲鳴が消えていく。

 

息も乱れていない。

 

前だったら五回くらいは文字を書かないと倒せなかった。ケルベロスの話だと、聖印というらしいが。

 

「見事。 倒せる相手の幅も広がっているな」

 

「もっとペースを上げても良いよ」

 

「……そうだな」

 

ケルベロスはダイモーンを集めてくれている。

 

それは倒しやすいようにするためもある。

 

ヘラクレスさんが本当に危険なカコダイモーンは倒して回ってくれているようだが。それらのうち、弱めのだったら燐火が対応できるようにしたい。

 

そうなれば、奴らが不幸にする人だって減る。

 

ダイモーンを撒いている人だって、悪意があってやっているわけではないらしいのだ。

 

だったら、できるだけ、不幸なんかない方がいいに決まっている。

 

燐火の正義感は、前より強くなっている。

 

周囲では如何に人をだますか、サボるか、そんなことばっかり考えている人間の方が多いことがわかってきた。

 

燐火は今の学校でも、教師陣がしっかりしていなかったらいじめられていたかもしれない。

 

ただ、いじめを受けても、全て反撃していただろうが。

 

しかしながら今においても、いじめは加害者側に異常に有利な仕組みが続けられている。いじめを行ってきた奴をぶちのめしたら、燐火の方が退学させられるかもしれない。反吐が出る話だ。

 

いじめは楽しいという理屈がある。いじめをする連中にとってはそれが真理なのである。

 

事実、いじめをしている奴はこれ以上もないほど嬉しそうに笑っている。それを前のあの金木が支配していた学校で燐火はずっと見ていた。

 

何より自分が正しいと思っている。実際、武道を習い始めて、いじめをしている男子をぶちのめしたとき。なんでこんな理不尽なことをと顔に書いていた。

 

そして、いじめを楽しいと思う人間の方が多数派だ。

 

だから子供はいじめをする側でなんぼ、みたいな恥知らずな思考をする大人も出てくるし。

 

屑教師の中には、いじめに加担するような輩すらいる。

 

大人の会社でもいじめは行われる。

 

そういった「普通」を、燐火は徹底的に軽蔑する。

 

軽蔑しても生きていけるように、今から更に更に鍛えておく必要がある。普通などに潰されないように。

 

自宅に戻る。

 

退院したばかりだが、涼子が連絡をしてきていた。

 

明日あたり、遊ばないかと言うことだ

 

涼子のお父さんは、涼子が最近明るくなったと言っているらしい。燐火の影響だとするとそれは嬉しい話だ。

 

燐火としても、涼子が喜んでくれるのなら嬉しい。

 

ただ。まだ林西さんがいうような、楽しいは見つけられていないが。

 

涼子に遊びに行く旨を伝えると、

 

今度は意外な相手から連絡が来ていた。

 

カトリイヌさんである。

 

「元気にしていますか。 少し用事があって連絡をいれました」

 

「!?」

 

ケルベロスが驚いている。

 

実はメールで連絡をするとき、カトリイヌさんはやたら丁寧な日本語を使うのである。普段は見るのもいや、という感じで目にも入れないのだが。

 

今日はたまたまみてしまったらしく、ケルベロスが唖然としていた。

 

まあ、気持ちはわかる。

 

普段のカトリイヌさんを見ていると、冗談にしか思えないだろう。

 

「オーディンの件について、教会で少し会合があります。 異教の存在であるとはいえ、燐火さんにも同席していただきたく。 勿論主の信仰に誘ったりはしませんので、ご安心ください」

 

「……どうする燐火」

 

「一度カトリイヌさんのご同輩には会ってみてもいいと思う」

 

堕落について知るには。

 

色々知識を得ておく必要がある。あらゆる方向について、だ。

 

カルトに対して漠然とした嫌悪感は誰でも持っている。

 

だが、どうして危険なのかは、ほとんど誰も知らない。それを燐火は、既にわかっていた。

 

ケルベロスも教えてくれたが。

 

自分でも調べてみて、驚くほどカルトへの批判が漠然としているのである。

 

二十年だかもっと前だったか。

 

とんでもないカルトが、地下鉄などに毒ガスを撒いたりして多数の人の命を奪い。あげくに国の転覆まで謀っていた事件があった。

 

そのカルトの背後には外国の陰までちらついていて。

 

極めて危険な存在だった。

 

問題は、そのカルトにこの国最高の学府の人間が何人も幹部として所属していた事。

 

この国では、賢い人は偏った思想を持つのが正しいと考えるような、変な風潮があるらしい。

 

それもあって、ころっと賢いはずの人たちが、凶悪カルト集団にはまってしまったのだそうだ。

 

そういう事件もある。

 

しかもいい年をした大人が、この凶悪事件を、「体制への反抗」などと褒め称えているケースまで見ている。

 

人は簡単にカルトに転ぶ。

 

現在だとワクチンを否定したり、実際にはなんの論拠もない本とかを根拠にした「えせ科学」というカルトがはやっているようだが。

 

こういうので裏で糸を引いているのは邪悪でろくでもない人間であるが。

 

引っかかるのは知識がない人間だ。

 

更に言えば、詐欺師は知識がある人間でもだます方法を心得ている。これはケルベロスに、何度も教えてもらった事だった。

 

だから、色々な思想を見ておいて。

 

本物の悪意についても、知るべきだと考えている。

 

燐火は時間を見て様々な凶悪犯罪について調べているが、燐火が身で味わったあの金木家からみの街の私物化も、今では凶悪事件にカウントされているそうだ。

 

それらで耐性をつけておく

 

当然、カルトに転ばないようにしておく必要もある。

 

カトリイヌさんがそういう事を仕掛けてくる可能性は低いと判断しているが。

 

そのご同輩についてはわからない。

 

というわけで、行ってみることにする。

 

そう説明すると、ケルベロスは呆れていた。

 

「色々と子供らしくないな。 将来設計がしっかりしすぎている」

 

「おかげさまで」

 

「だが、今のうちからしっかり足下を固めておいて損はないだろう。 とりあえず、下手なことを言われたりされそうになったら強行突破して逃げろ。 俺がサポートする」

 

「わかった」

 

カトリイヌさんがそういうことを考えているとは思えないが。

 

それでも油断はするべきではない。

 

燐火はとりあえず、出かけてくることにする。

 

ケルベロスが嫌悪している一神教についても。

 

知っておくべきだと考えたからだ。

 

 

 

カトリイヌは青ざめていた。

 

カトリイヌは顔役の娘だ。

 

一族の権威は長年にわたって蓄積されてきたもので、カトリイヌも英才教育を受けてきた。

 

大学を飛び級で出て。

 

それで今では立派に現役の魔祓いである。

 

だが、だ。

 

実際に現役の魔祓いになってみて悟らされたのは、上には上がいるということばかり。

 

実際年下の日女は明らかにカトリイヌよりも才覚でも実力でも上。

 

多分頭のできもあっちの方が上だ。

 

勉学ではカトリイヌの方が出来る自信があるのだが。

 

日女はあれは、戦闘に頭のリソースを全部割り振っている。実際問題、魔祓いの時の手際の良さを見て、思わず瞠目してしまったほどだ。

 

それに、燐火。

 

あの子はまだ小五。

 

本来だったら馬鹿みたいなアイドルだのを見て、キャッキャと喜んでいるような年である。

 

実際にはカトリイヌだって世間一般的にはそれと大差ないのだが。

 

ただ既に自立している年齢だ。

 

そうあってはならないと、自戒を常に欠かさなかった。

 

それでも色々と見てしまう。

 

現在教会で会合しているが。

 

ここに集まっている魔祓いは、文字通り魑魅魍魎だ。日本に来て覚えた言葉だが、それ以外にない。

 

魔祓いとしての力は、どいつもこいつもたいしたことがない。

 

一番出来る奴でもカトリイヌとどっこい。

 

来年には確定で追い越す。

 

こいつらが優れているのは政治工作で。

 

くだらない根回しだので権力を得てきた、ろくでもないオオカミ……この国では狸というのだったか。

 

そういう連中だ。

 

カトリイヌは、ここに燐火を連れてくることに不安を感じている。

 

こいつらが勝手に接触するよりも、燐火を先にここに連れてきて、それで現実を見てほしいというのがあった。

 

だから連れてくることに決めたのだ。

 

日本では、一神教の神父や牧師は、ほとんどがまともだ。

 

これはカトリイヌの母国であるバチカンや、欧州のほとんどの国と違う。

 

毎年子供に手を出す聖職が山ほど出る欧州と違って、真面目と言われる日本人の聖職は、一部を除くとカスではない。

 

ましてや欧州では、聖職が完全に聖域となっている。

 

これは中東も同じであるが。

 

聖域は簡単に人間を腐敗させる。

 

そして魔祓いもそれは同じ。

 

魔祓いの能力よりも、悪辣さが出世につながる。こういうよくない世界があることを、知っておくべきである。

 

「それにしてもその燐火という子供、使えそうですな」

 

「悪魔の犬を祓えば、誰かしらの天使を降臨させて、それでこちら側に引き込むことも出来ましょう」

 

「良いのですかな。 そうすると味見が出来なくなりますが」

 

「はっはっは、それもそうだ。 洗脳していいように……」

 

咳払い。

 

カトリイヌの護衛の一人。

 

カトリイヌの実家にずっと仕えている魔祓いの一族。

 

セバスティアンの咳払いだった。

 

それを聞いて、皆が黙り込む。クソじじいどもを一発で黙らせるのに十分な威圧感があった。

 

「その辺にしていただこう。 カトリイヌ様に憑いておられるドミニオンがずっと貴殿等を見ているのを忘れたか」

 

「は、ははは。 そうでしたな」

 

「それに貴方の……」

 

「私のは別にどうでもよろしい。 燐火様はカトリイヌ様のご友人でおられる。 侮辱を働くことは、ユグヌス家への宣戦布告と知られる方が良いでしょうな」

 

それで黙り込む狸ども。

 

こんなのが聖職だ。

 

神が絶対で公平なら、こんな連中をどうして野放しにしているのか。時々カトリイヌは疑問を感じてしまう。

 

ドミニオンは何も言わない。悲しんでくれていると思いたい。

 

ともかく、こいつらを一度見せておくべきだ。

 

そう、カトリイヌは、もう一度思うのだった。







ギャグキャラのような言動を見せるカトリイヌさんですが、割と腐ってる一神教系魔祓いの実態を見て、実のところ心を痛めている一人です。

燐火については短時間で結構できる奴だと認識して勝手にライバル扱いしていることもあり。

カスみたいな同類から、変な唾をつけられたら困る。

そう考え始めている訳ですね。



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