魔法少女アギア・ケルベロス~俺は地獄の番犬ではない   作:dwwyakata@2024

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4、天罰は別の形で

ガルドヴィ神父は、舌打ちしていた。

 

燐火とかいう小娘に多少思い知らせてやるつもりであったのだが。予想以上に反撃が大きかったからだ。

 

既にガルドヴィが裏にいることは、捕まれたとみて良い。

 

それも動いているのはあのカトリイヌの実家だ。

 

あれだけは、まずい。

 

どちらかというと燐火とか言う小娘と、カトリイヌとか言う小娘はバチバチにやりあっていると聞いていたが。

 

どうしてか憤激しているらしく、ずっと本気での調査をしているようだ。

 

そしてバチカンからわざわざドミニオンを数体借りたこともばれている。

 

既に居場所が危ないと判断したガルドヴィは、発展途上国に逃げるべく、空港に。それもこの国最大の空港ではなく、敢えて辺鄙なところにある空港へ来ていた。

 

ここから一旦いくつかの国を経由して、最終的に現在極めて治安が悪い発展途上国に雲隠れする。

 

其処では唸るほど金を持っているガルドヴィが断然有利だ。

 

金さえあれば、人を殺しても無罪放免。

 

そういう場所である。

 

勿論異教徒に襲われることは警戒しなければならないが。ボディーガードを雇えば良いだけ。

 

近代兵器と魔祓いは相性が最悪である。

 

どんなに優れた魔祓いでも、アサルトライフルで武装した兵士にはとても勝ち目がない。神おろしが出来るような人間でも例外ではない。

 

それを紛争地域などで見知っているガルドヴィは、むしろリラックスしていた。

 

だが。

 

ぞくりとした。

 

顔をのぞき込んできたのは、上級三位ソロネ。

 

そしてそれを連れているのは。

 

空港の長椅子から飛び上がったガルドヴィは、見た。

 

既に囲まれている。

 

その中に、あのセバスティアンがいるのも見て取っていた。

 

こいつの恐ろしさは、同業者であれば知らないものなどいない。

 

昔は狂犬とまで言われていたほどの男だ。

 

同世代では最強のエクソシストであり、ガルドヴィはいつもその凄まじい手腕に戦慄させられていた。

 

バチカンでも上級天使を守護天使にしている魔祓いは多くないが。

 

それだけ神に認められているエクソシストということである。

 

そして周囲には、明らかに公安か何かの、国際犯罪に対応する警官が並んでいた。それも普通の公安ではなく、魔祓い対策をした者達だろう。

 

接近に気づけなかった。

 

「ガルドヴィ神父。 悪漢の処理に乗じて、ただの私怨で人を殺させようとした事、既に判明しています。 おとなしく同行していただきましょう。 私も手荒な真似はしたくありませんのでね」

 

「お、おのれ……!」

 

「逮捕してください」

 

「駄犬に成り下がったか、元狂犬!」

 

喚くガルドヴィを、即座に警官達が取り押さえた。慣れた様子で、さっとドミニオンの制御札も取り上げられてしまう。

 

既に衰え始めているガルドヴィは、なすすべなく制圧された。

 

守護天使が幸運を授けてくれるはずだが。

 

残念ながら、ガルドヴィの守護天使では、ソロネには勝てっこない。

 

それに、どうやら分が悪いと判断したのだろう。

 

守護天使が離れたようだった。

 

そのまま手錠を掛けられ、空港から連れ出される。強力な魔祓い対策をされた護送車に乗せられ、扉を閉められた。

 

おそらくこれは、バチカンにすら帰れない。

 

この国で、何かしらの罰を受けて、一生牢屋だろう。

 

北欧だと「犯罪者の人権」を重視して、まるでホテルのスイートルームのような牢屋があったりする。

 

金があればそこに入れたりもするが。

 

残念ながら、この国の刑務所はそういう「先進性」とは無意味と聞く。

 

金を積んでも、裁判所を買収するのは難しい。

 

くそっ。

 

悪態をついたガルドヴィが、最後に思考したのはそれだけだった。

 

次の瞬間。

 

ガルドヴィの肉体が破裂していた。

 

 

 

完全に破裂して飛び散った背教者の肉体から得られた怨念を受けて。舌なめずりするその存在は。

 

北欧の神の一角であった。

 

元々北欧の神は荒々しい者ばかりだが。

 

その中でも異質な存在。

 

今ではすっかり悪神と成り果てているそれは、みずみずしい怨念に歓喜していた。

 

家にしている小娘は、ちょっと体を刺激してやるだけで散々苦しむ。

 

あの燐火とか言う小娘も、ケルベロスが離れたらその時には次のすみかにしてやってもいい。

 

あれを堕とすのはさぞや面白いだろう。

 

聖人を今まで何人も堕落させてきたが。

 

どれだけ精神を強烈に修養したとしても、人間なんてちょっとしたことで簡単に壊れるのだ。

 

大騒ぎしている連中から、さっさと離れる。

 

オーディンの奴は、この国を征服しようと本気で考えているようだが。

 

今ではこざかしいだけの老神となったオーディンなどに興味はない。

 

すっかり牙を抜かれてただのいたずらの神と認識されているロキや。ヒーローか何かと勘違いされて、解釈が混乱しているトールもこの様子では姿を見せないだろう。

 

だったら、後は好きにさせてもらうだけだ。

 

今、この国だけではなく、世界中が混乱している。

 

その原因は全て人間にある。

 

魔は人間から生じる。

 

魔祓いというのは、人間の邪悪の尻拭いをしているのと同じだ。

 

今ダイモーンをばらまいている奴も、人間がまともだったら、災害の中心になどなっていない。

 

ダイモーンはみなアガトダイモーンとなって、人に福を与えている筈だ。

 

そうではないことが、人間が如何にくだらないかを証明しているといえる。

 

さて、食事を楽しんだので、戻るとする。

 

しばらくは楽しめそうだ。

 

舌なめずりしたその神格は、さっさと戻る。

 

どうせ今現存しているドルイド程度には、その神格を抑えることなど出来はしない。

 

それを知っているからこそ。

 

ただ、鼻で笑っていられるのだった。

 

 

 

(続)







燐火にカスみたいな理由で金木の馬鹿息子2をけしかけた屑神父、爆発四散!南無三(違う)!

本作では悪事を行えばそれが戻ってきます。

現実世界では自業自得というのはなかなか起きませんが。本作では基本起きるようにしています。

それがこの過酷な世界での救いであるとも言えますね。




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