魔法少女アギア・ケルベロス~俺は地獄の番犬ではない 作:dwwyakata@2024
スペシャリストのドルイドが加わったことにより、反撃開始です。
今まで淫魔に近い悪神にやりたい放題されていたのを、ここから反撃して逆に追い詰めていくことになります。
やられ放題を許してやるわけにはいかないのです。
とりあえずエヴァンジェリンさんと連絡先を交換したあと、一度戻る。
流石に上位の悪神が相手となると、専門家でも対策が必要らしい。
エヴァンジェリンさんに、後でメールでいくつか話を聞く。
一応、今までわかったことについては、エヴァンジェリンさんにも展開はされているようで。
話が早くて助かる。
それによると。
やはり北欧神話における大地神……豊穣を司る奔放な神は、フレイヤだけではないという。
そもそもその兄のフレイもそうだし。
フレイヤが複数の役割を持たされ、いくつもの別の神が派生しているそうだ。
例えばオーディンの妻はフリッグという神だそうだが。
これも元はフレイヤだったものが、オーディンの妻としての神格として、別の名と役割を与えられ。
そのうち別の神として独立したものであるらしい。
そもそもオーディンにもオズという原型となった神が存在しているらしく。
北欧神話というのは、多数の割拠した神話、それが変遷していく過程を強引にまとめた結果。
別文化圏の神々を巨人として獰猛な神々の敵としながら。
その巨人と婚姻するような話が幾らでもあったり。
フレイとフレイヤもその巨人族がおそらく元祖であろうに。
今ではアース神族の一員づらをしていたりと。
あらゆる意味で意味がわからない代物になっているのだそうだ。
だから神話としては完成度が極めて低い。
ドルイドでありながら、エヴァンジェリンさんはそうとまで言い切っていた。
ケルベロスも苦笑い。
「ギリシャの神々も、それは同じではあるな」
「そうなんだね」
「元々ギリシャの神々は、ギリシャに割拠した様々な民族の神を強引にまとめて、一つの物語にしたものだ。 だからゼウスの性格などは神話がまとめられた時期によってだいぶ異なっている。 冷厳で圧倒的な最強であった時代もあるし、女とみれば自分の血縁者であろうが見境なしの色情狂の駄目親父だった時期もある」
凄まじい酷評だ。
例えばギリシャ神話最強の怪物としてテューポーンという存在がいるという。
これは台風を神格化した存在で、この名前からタイフーンという言葉が出来。更にそれがそのまま台風になったので。
現在日本にも、そのまま名前が影響を与えている神格だと言える。
ゼウスを一度は打ち破った邪神として名高いテューポーンだが、それも神話が書かれた時期によって状況が異なり。
古い時代の神話では、ゼウスは圧倒的な戦闘力を有しており。テューポーンを一瞬で倒してしまうようなものまであるという。
そういうものだ。
ただ、ギリシャでは、荒々しい暴力だけではなく。それはそれとして優れた文化も存在していた。
口伝ではなく、書物として物語を伝えることが行われ。
信仰の祖となる神々の物語をまとめる行動が盛んだった。
だから現在のギリシャ神話の話の流れになるように、多くの人々が工夫して。それでまとまっていった。
だからこそ、現在でも誰にも愛される物語として。
ギリシャ神話は残っているそうだ。
信仰が弾圧され。
否定された今でも、である。
まあ、ギリシャの後継国家とも言えるローマにて。その神話が輸入され。お行儀よく改編されたのも理由ではあると、ケルベロスはちょっと苦笑いしながら言っていた。
風呂に入ったあと、涼子に連絡を入れる。
メールでの連絡は、少し返事が遅れた。
あまり調子はよくなさそうだ。
明日は来られるかと聞くが、大丈夫だそうである。
しかし、北欧の悪神と化した何者かが悪さをしているのであれば、それは決して楽ではないだろう。
ビッチオブビッチとまで言われるフレイヤがもしもそのまま悪さをしているのであれば。
きっと涼子はいずれ精神を病んでしまうだろう。
医師に診察されたとおり。
本当にニンフォマニアになってしまうかもしれない。
もしもそうなったら、治るのだろうか。
少し不安になってくる。
涼子のことだから大丈夫だとは思うが、カスみたいな男に引っかかって、身を持ち崩さないと良いのだが。
ともかく、今は。
自称天才のエヴァンジェリンさんが頼りだ。
翌日。
疲れ果てている様子の涼子はちゃんと学校に来ていた。
ほとんど学習塾などの習い事はしていないらしいが、それでも十分すぎる成績を上げている。
中学受験をするとしても。
先生の話によると、現時点の実力であれば問題はないという。
興味があるので、燐火もそういった中学受験の問題を見せてもらったが。
これは駄目だなと思った。
どれもこれも、「やり方を知っている」事が前提になるテストばかりだ。
頭を使って解く問題なんかほとんど存在しない。
特に数学が顕著で、これらを一から考えて解ける子供なんているのかと、燐火は何度も小首をかしげた。
要するに高い金を払って受ける学習塾でやり方を教え。
その前提で生徒を振り分ける。
それが中学受験、というわけだ。
最初から普通の学習をしている生徒は、IQが高かろうと門前払いと言うことであって。
色々な意味で、非常に悪辣な試験だなと燐火は思った。
それを見て、涼子は苦笑いする。
「それで涼子ちゃん。 これ、受けるんですか?」
「受けるにしても、いわゆるお嬢様学校とか、資産家が行くような学校にはしないつもりだよ」
「なるほど」
「ふざけた話で、学閥とかそういうのって、中学どころか下手をすると幼稚園の頃からそういう学歴を見るんだって。 それでさぞやすごく優秀な人が選抜されるのかっていうと。 そういうのを通ってきた政治家とか官僚とか見れば、違うことが一発でわかるでしょ?」
その通りだ。
この国でむしろ優秀なのは、アホな連中が「幾らでも代わりはいる」とかいって切り捨ててきた人たちである。
上層部はむしろゴミの山だ。
それを考えると、燐火は涼子の気持ちがわかる。
おそらく学閥だの家閥だの、そんなのに頼らず自活したいのだ。
これでも日本は民主主義国家の筈だ。
それは燐火も勉強していく過程で知った。
それなのに、昔の封建主義国家みたいな馬鹿げたものがこうして残っているし。
むしろ今のスクールカーストなんて代物に身を率先して委ねている者達は。
その愚行に加担しているとも言える。
馬鹿らしい話だな。
そう思って、燐火はげっそりした。
ともかく。一応問題は見せてもらう。
解き方なども聞くが。
やはり涼子は大分先を行っている。
話によると、普通の高校だったら、もう受験だって受かるそうだ。
すごい話ではあるな。
そう思う。
ともかく黙々と勉強をして、学校は終わり。
この間から仲良くなった市原さんと一緒に三人で帰る。
これは、見ていてわかったからだ。
市原さんは明らかにスクールカーストからはじかれている。
現在のこういった学校で、スクールカーストからはじかれるというのは。燐火みたいに孤独を苦にしないタイプではないと致命的だ。
スクールカーストでは、カースト上位の人間は何をやっても許される。これは殺人も同じである。
故に「いじめ」と称してしばしば殺人が行われるし。
やった奴は自分が悪いなんて事はみじんも思わない。
何しろスクールカーストの上位者様であるから、何をしてもいいと本気で思っているし。何よりも自分が悪いかもしれないと思考する知能を持っていないからだ。
明らかに市原さんはそのはじかれるタイプだとみたので、涼子をさそって一緒に帰るようにした。
何人かの女子が、それで恨めしそうにこちらを見ていた。
痛めつけるためのおもちゃだったのにとられた。
そういう目だった。
金木の一族の件で、あの手の連中は社会に幾らでもいる事は燐火も理解しているつもりであったが。
いずれにしても許されることではない。
燐火と涼子が一緒にいることで、ふざけた「いじめ」と称する犯罪から守れるのであれば。
そうするのが妥当だ。
既に知っていたが、、市原さんは趣味もちょっと変わっている。
雑学全般に詳しいが、特に生物が好きらしくて、色々細かい事を知っていた。
気持ち悪がられると思ったのか、最初はこわごわだったが。
今は燐火が知らない知識にどんどん興味を持つタイプだと理解したのか。いくつも話をしてくれる。
道にいるトカゲには、主にニホントカゲとニホンカナヘビがいる事などを教えてくれて。その見分け方も教えてくれた。
面白いな。
そう燐火は思ったし。
雄のニホントカゲの美しさは、なるほどと関心もさせられた。
そういうものだ。
は虫類だから気持ち悪い。
そんなカスみたいなレッテルを貼ることが、どれだけくだらないか。ある程度知っている人間と接することで。
燐火はまた知ることが出来て、有意義だった。
三人帰路で別れる。
さて、ここからだ。
まず一つ。
ケルベロスに言われている。
ダイモーンである。
それを片付けるのに、エヴァンジェリンさんが同行したいらしい。
ささっと物陰で変身(着替え)すると。
燐火は、現地にケルベロスが言うまま向かった。
幸い、ダイモーンはたいした相手ではなかった。最初の頃だったらそれなりに苦労したかもしれないが。
今だったら、さほど苦労もしない。
数度の聖印で叩き潰すことが出来たので、それでよし。見ていたエヴァンジェリンさんが、おーと感心していた。
「すごいな! 天才である私ほどではないが、基礎を極めて、それを磨き抜いていくスタイルか! 魔祓いとしてはいわゆる「すとろんぐすたいる」であるのだな!」
「ストロングスタイル? なんですかそれ」
「よくは知らん! だが天才たる私が、ネットの海から見つけた言葉だ!」
ふふんと胸を張るエヴァンジェリンさん。
やはり魔女っぽい格好をしているが、燐火より年下に見えることもあって、周囲の人が通りがかると物珍しげに見ている。
仮装かなとかいう声もあるが。
本人にとっては正装なのだ。
ちなみにこの人、カトリイヌさんと同年代らしい。
まあ、西洋でもとても発育が悪い人もいるので、それは仕方がない。それに、同年代では屈指の魔祓いだという話だし。
才覚があるだけ、それで十分だと言えるだろう。
「燐火殿の実力は見せてもらった! それでは天才たる私の力を見せる時だな!」
「お願いします」
「ふふふ、任せろ! そして天才である私を褒めろ! 褒めろー!」
「アホにしか見えん」
ケルベロスが呆れ気味にいうが。
それはできるだけ、聞こえないようにするべきだろう。
とりあえず、涼子の家の近くに行くことにする。
勿論着替えは済ませてあるが。問題はエヴァンジェリンさんだ。
こっちは滅茶苦茶目立つ。
それで、仕方がないので、一度日女さんの家に行って、服を貸してもらった。
兄弟姉妹従兄弟がそれなりにいるらしく、家がそれなりに大きいこともあって、お古の服は結構ある。
エヴァンジェリンさんは、多分男物だろう古い服をもらって、喜んでいた。
魔女っぽい帽子を脱ぐと、栗色のくせっ毛と、大きめの目が目立つ随分とかわいい子である。
これはちょっと危ない人に誘拐されるかもしれないなと思って、少し燐火は心配になった。
一応社会人だし、自衛手段は持っていると思いたいが。
そして普通のズボンとシャツに変えたエヴァンジェリンさんは。
発育の悪さが、露骨に出ていた。
色々と遠い目で見ている日女さん。
カトリイヌさんほどではないにしても、中二としては発育が早すぎることもある。
それもあって、複雑な気分なのだろう。
「俺も行こうか?」
「そうですね、万が一があると困るのでお願いします」
「おお、本職の巫女の力、見せてもらうぞ! 天才たる私が、是非見定めたい!」
「そうか、そうしてくれ」
日女さんは若干塩対応だが。
日女さんと燐火とエヴァンジェリンさんで歩くと、目つきが悪い日女さんと、目が死者の燐火と。
やたらまばゆく生を謳歌しているエヴァンジェリンさんで、ちょっと濃すぎるかもしれない。
まあそれはいい。
とりあえず涼子の家の近くに行き。
それから、すっとエヴァンジェリンさんが目を細めていた
トネリコで作ったという杖を取り出し、何やら唱えている。
ぶわりと、何かの力が吹き上がるのを感じた。
これは。
なんだか魔法少女っぽいなと、燐火は思う。
唱えている言葉も全くわからない。
ケルベロスも、黙ってさっきとはまるで様子が違うエヴァンジェリンさんを見守る。
日女さんは、周囲を警戒してくれる。
素で生半可な男を寄せ付けないくらい強い上、いざとなれば神おろしで超人的な力を発揮できる日女さんだ。
見張りをしてくれるだけで、大変に心強い。
何か、鋭い一喝をエヴァンジェリンさんが放つ。
それからしばししして。
何かの力は、収まっていた。
「これは、前のドルイドが恐れて逃げ出すのも当然だ。 天才である私でなければ、危険極まりない」
「それで何があったんですか」
「結論からいうと、涼子という娘は端末とされていたようである。 現在のPCがクラウドを利用しているように、一台のサーバや複合システムに多数の端末からアクセスできるように。 奴は多数の端末を作り、それらを介して移動し、悪事を働いているようであるな」
その端末を。
今断ち切ったらしい。
それは助かる。
涼子はずっと体調を崩していた。それが一気に回復してくれれば。
だが、首を横に振るエヴァンジェリンさん。
「残念だが、体と魂に大きな傷を涼子という娘はつけられてしまっているようだ。 回復はこれから、自分で、時間を掛けてやっていかなければならないだろう」
「影響を断ち切っても、簡単にはいかないんですね」
「そうだ。 手足を切り落とされたら元には戻らないようにだ。 ただ、本人の努力次第では、きっとある程度克服も出来るはずだ」
大きく嘆息するエヴァンジェリンさん。
大量に汗を掻いていた。
とにかく移動する。
近場のファミレスに移動する。
というのも、お子様ランチに興味津々らしいので、是非注文したかったそうなのだ。
カトリイヌさんと同年代と言うことは高校生の筈だが。
まあ。その辺は別に良いだろう。
このファミレスでは、お子様ランチは扱っている。
日女さんがお金を出すという体裁にしたのは、子供が金を出すのではまずいという体面があるからだ。
さっそくお子様ランチが出てくる。
何の疑問も店員は持たなかったようだが。
それについて、エヴァンジェリンさんも気づかなかったようだった。
「おお、これが! この国の子供らが愛するのも当然であるな! 実に楽しげな!」
「良いからさっさと食べろ。 声が大きい」
エヴァンジェリンさんの大げさな声と言葉に、苦笑と視線が集まっている。
日女さんもげんなりしているようだが。
それはそれとして、周囲を警戒してくれている。
おそらく悪神は涼子の体で遊んでいた。
それを打ち砕かれたのだ。
おそらく頭にきているはず。
しかもエヴァンジェリンさんの話によると、もう接続は出来ないようにしたらしい。
そうなると、なおさら怒りを募らせるだろう。
いつ仕掛けてくるかわからない。
そういうことだ。
満面の笑みでお子様ランチを食べるエヴァンジェリンさん。
燐火は蜂蜜入りの紅茶だけ頼んだ。
ケルベロスもそれで喜んでくれる。
「それでエヴァンジェリン。 悪神の正体はわかりそうか」
「今までのヒントからしておそらくヴァン神族だろうが、そもそもヴァン神族は霜の巨人と同一視されている。 女巨人も多く、それらは決して醜い存在ではない。 北欧神話でも人気があるフレイは女巨人の一人を手に入れるため、己の最強の武器である絶対に勝利できる剣を手放して、ラグナロクでそれが原因で敗れるくらいでな」
「それについては勉強しました。 あのスルト相手に、鹿の角で戦いを挑んで敗れるんですよね」
「そうだそうだ。 うむうむ、子供向けではあるが子供だましではないな! 実に美味!」
まあ、エヴァンジェリンさんが嬉しそうで何よりである。
それはともかくとして、話を聞いていく。
まずフレイヤかという点だが。
まだ確証は持てないという。
というかだが。多分違うのではないかとエヴァンジェリンさんは言うのだ。
「フレイヤは性欲の権化のような神格だが、それはそれとしてヴァルキリーの頭目として考えられることもある、戦神としての顔も持っている。 それにフレイヤの性欲は桁外れで、正直子供を痛めつけてもてあそぶだけで満足するとは思えない。 やり方がヴァルキリーの頭目としては手ぬるいし、何よりフレイヤとしてははっきりいって禁欲的であるな」
「ふむ、一理あるな」
「この天才である私が見る限り……」
意外としっかりした動作でハンカチで口を拭いて、ケチャップライスの汚れを取るエヴァンジェリンさん。
こういうところは、随分としっかりしているので。
色々とギャップが大きい。
カトリイヌさん達に天才として知られていたという事は、あるいは良いところの出なのか。
いや、違うな。
色々言動がちぐはぐだし、そういうことは別にないだろう。
「ええと、この天才である私が見る限り、北欧では珍しい戦闘神格ではない存在。 女神。 ヴァン神族。 それに……」
「それに?」
「おそらくだがそいつは、オーディンとは無関係に動いている。 先に顕現したスレイプニルと、連携している様子がない。 だとすると……」
何人か、名前を挙げるエヴァンジェリンさん。
おそらくだが、それほど強力な神格ではないか。
或いは強力であっても、人気がない神格か。
いずれにしても、オーディンとは距離をとっているとみて良さそうだ、という話だった。
とても参考になった。
ともかく、涼子はこれで一段落ついたはずだ。
ファミレスを出ると、満足げなエヴァンジェリンさんが、何かくれる。
小さな人形だった。
「菖蒲とカトリイヌには既に渡してある。 二人とも、念のために持っていてくれ」
「これはなんですか」
「アイドルだ。 この国では違う意味の言葉の使われ方をしているが、本来は騎士などが魔除けに身につけるものだった。 これも一神教起源のものではない。 ただ、一神教徒の騎士達が愛好していたこともあり、一神教とは相性も悪くはない。 悪神と化した相手は、逆恨みして二人、それにこの天才たる私を狙ってくるはずだ。 これがあれば簡単にはやられない筈だが、気をつけてほしい」
「わかりました。 ありがとうございます」
アイドルか。
現在だときらびやかな光の中で踊る人たちをそう言うが、元はこれが語源であったわけだな。
それで解散。
後は帰路についた。
アイドルを見ていると、ケルベロスが言う。
「なるほど、これは確かに力があるものだ。 俺がついている限り、燐火には好き勝手はさせないが。 それでも身につけておいた方が良いだろう」
「わかった。 それにしても、個性的な人だね」
「燐火も大概だがな。 ただ、魔祓いとしての実力は確かだ。 かなり消耗したとは言え、悪神の根を一つ断ち切った。 それで……今のうちに話しておくか」
「うん」
ケルベロスが言うには。
あの複合魔。
おそらくだが、涼子に悪さをしていた悪神の仕業だという。
気配が一致していたらしい。
あの魔は、各地の魔を無理矢理継ぎ合わせたようないびつさで、その中核に何かあった。
魔というのは、所詮は魔にすぎない。
人間の中では、闇が先にあって、そこから光が生まれる。これについては一つの例外もない。
だが神話では、基本的に光が先にあって、魔が後にある。
魔王などと言う存在がよく知られているが。
魔王は所詮は神にとってのかませにすぎず。
邪神であれば神に対応できる。
そういう存在なのだそうだ。
つまり、魔は所詮邪神の下にある存在。
北欧神話のように、神々を滅ぼしてしまう魔が存在する世界観を持つ神話もあるにはあるのだが。
それは例外中の例外。
むしろ北欧の悪神であれば、北欧の魔に極めて近い存在ともいえ。
各地の魔を束ねて、人間に向けるには適しているのかもしれないと。
「俺もテューポーンとエキドナの子として、最初は神々の敵として作り出された。 だがテューポーンにしても、ガイア神が作り出した魔……そういうものなのだ。 燐火、気をつけろ。 俺が探す迷子と、悪神が何かで関わっているとしたら、それは極めて面倒な問題につながるかもしれない」
ケルベロスの言葉は深刻だ。
燐火も、それを聞くと、頷くしかなかった。
エヴァンジェリンさんの推理は当たっています。
というか、今までの情報で、悪神の正体は既に分かる人もいるかもしれませんね。