魔法少女アギア・ケルベロス~俺は地獄の番犬ではない   作:dwwyakata@2024

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振り返ってはいけない道というのは、神話で結構ある代物ですね。

この難しめの合宿コースは、そういう場所での訓練です。




2、魔と妖の道

午後、合計六人のグループに入れられた燐火。どうもエヴァンジェリンさんは日女さんと菖蒲さんと同じグループに。カトリイヌさんも、通常より一つ上のグループに入れられたようだ。

 

これは魔祓いとしての力量からして仕方がないのだろう。

 

ただエヴァンジェリンさんはどう考えても運動音痴なので、周りが支援しないと危ないが。

 

燐火はとりあえず、しっかり体をほぐしておいた。

 

それで、現地に連れて行かれたが。

 

これはさっきとは大分趣が違うな。

 

薄暗い森の中だが、道があって、前後に続いている。左右には森があるが、ケルベロスが警告してくる。

 

「この森には入るなよ」

 

「うん。 ちょっとまずいね」

 

森の中には、危険な魔の気配がびりびりとする。

 

これは今の燐火もできるだけ入りたくない。

 

監督役の人は、お坊さんだ。

 

林西さんとは別の人だが、とてもごっつい。また違う明王の加護を得ているらしい。数珠を持った手で祈りのポーズを取りながら、お坊さんはいう。

 

「この訓練は、雑念を祓う目的で行う。 この道を、とにかく進んでいけ。 二人一組でな」

 

「……」

 

「この組み分けに入った以上、ここがどれだけ危険かは分かっているだろう。 ここは南朝と北朝の軍がぶつかり合った古戦場で、今でも恨みを重ねた霊達がさまよっている。 拙僧達が成仏させて回ってはいるが、何しろ長年の悪霊達の跋扈もあって、魔が大量に集まってしまっていてな。 毎年ここで拙僧達は大規模な魔祓いをして、やっとここまで安全にしたのだ」

 

そうか。

 

この人は林西さんと同格の監督役とみていい。

 

この国でも一線級の魔祓いだろう。

 

それがここまで言うほどだ。

 

確かにケルベロスが気をつけるように促してくるのも分かる。

 

「最近では外来種も混じっている。 拙僧がいざというときは対処するが、それでも絶対はない。 ここからは命の危険があり得る。 それを念頭に、指定通りに動くように」

 

「はい」

 

「良い返事だ」

 

返事をしたのは燐火と輝さんだけか。

 

他の四人は、不満そうな顔である。

 

どうしてこんなのと一緒なのか。そんな風に顔に書いている。

 

ともかく、道を行くように。

 

そう言われたので、素直に従うことにする。

 

所々に看板があって、矢印が書かれているが。

 

これすら、魔がおいたものかもしれない。

 

隣にいる輝さんは、案外平気な顔をしている。これくらいの修羅場は、慣れっこなのかもしれない。

 

他の四人は、まとまって前を歩いている。

 

ぶちぶち不満が聞こえる。

 

「俺たちは実績も上げてるのにな。 あんなガキとアイドルもどきと一緒かよ」

 

「まったくよねー」

 

「途中で事故を装って始末する?」

 

「……おい、今の誰だ」

 

いきなり物騒なことを言い出したと思ったら、前の集団が不意に戦闘態勢に入る。

 

側に生首が浮かんでいて、ケタケタと笑っていた。

 

髪からして、古い時代の結い方だ。

 

慌てて前の四人が魔祓いに入ろうとするが、首筋を狙って噛みつきに掛かる生首。一瞬早く、燐火が踏み込んで魔法のステッキ(鉄パイプ)で一撃。

 

地面にたたき落とし、其処を輝さんが、凄まじい声量で歌い始める。

 

生歌配信とは声量が違うな。

 

おとうさんも防音室で仕事した後は、常に薬用ののど飴を口に放り込んでいるが。肺とかの鍛え方が違うのだろう。

 

悲鳴を上げてもがく魔に、慌てた四人のうち一人が、魔祓いを入れる。

 

その間も、燐火は鉄パイプを振り下ろして、相手の動きを止めていた。

 

やがて、じゅっと生首が消える。

 

それで、四人は青ざめていた。

 

「ひ、飛頭蛮だ……」

 

「嘘だろ。 いきなり殺しに来やがったぞ……!」

 

「本当に魔祓い出来ているのかよ」

 

「急がないともっと襲ってくるのではないですか」

 

冷静に燐火がいうと、ぞっとした様子で前の四人は燐火を見る。

 

それで、そそくさと前を歩き始めていた。

 

今の飛頭蛮……確かろくろ首の事だ。

 

祓ったのは、多分輝さんだな。

 

一人混じっていた日本系の魔祓いは大慌てで、対応できていなかった。あの四人だけだったら、お坊さんが介入して、早速研修終わりだったかもしれない。

 

さて、次だ。

 

鉄パイプをハンカチで拭って、輝さんと合流する。

 

そのまま。周囲を警戒しながら歩く。

 

輝さんはのど飴を放り込んでしばらく舐めていたが、険しい山道でも音を上げてはいなかった。

 

「さっきの対応、早かったね。 実戦経験もあるんだ」

 

「はい。 この間何人かで連携して悪神を仕留めました」

 

「凄いねそれは」

 

「ただ連携した人たちが凄かっただけですよ」

 

これは本音だ。

 

燐火だけだったら、フリッグには絶対に勝てなかっただろう。それが現実というものである。

 

輝さんと一緒に歩きながら、いくつか話をする。

 

魔というのは、隙を突いて襲って来るものであるらしい。

 

心が弱っている人や、或いは油断している人。

 

それに元々邪悪な人。

 

最近は駆除が進んでいるが、こういう魔の住処になっている場所はまだまだ幾らでもあって。

 

そういう場所にアホが入り込むと、あっという間に心に滑り込むのだとか。

 

だから心霊スポットなどと言われるような場所のうち、本当に危険な場所は政府で封鎖してしまい。

 

魔祓いが何年も掛けて浄化するのだとか。

 

「さっき康応さんが言っていたけれど」

 

お坊さんのことだ。

 

康応さんの話は本当で、悪霊を祓っても、その悪霊が撒いた負の思念におびき寄せられる魔が本番だとか。

 

この魔をどうにかしないと、加速度的に魔が増えて。

 

最終的に魔界になる。

 

この森は魔界になっている場所だとか。

 

くわしいですねと聞くと。

 

ほろ苦そうな顔をされる。

 

何か昔、あったのかもしれなかった。

 

無言で歩いていると、不意に声がする。

 

康応さんのものと似ていた。

 

「全員止まれ! 修練は中止だ!」

 

「!」

 

「危険な魔が出た! すぐに道を戻れ!」

 

「ど、どうする?」

 

前の四人が、ひそひそと話し始めるが、燐火は全無視。輝さんも、それについては同じである。

 

今の声。

 

あのお坊さん、康応さんじゃない。

 

追いついたので、そのまま追い越そうとすると。

 

四人は慌てた。

 

「ちょ、ちょっと待て!」

 

「ここがやばいこと、知ってるでしょ! 慎重に動かないと!」

 

「早く行かないと本当に危ないと思いますよ」

 

「何でだよ!」

 

四人組に一人混じっている女性の魔祓いは腰砕け気味だ。

 

とにかく、こいつらも放ってはおけないか。高校生なのに情けない連中だな。そう思っていたら、後ろからぞわっと猛烈な気配が来た。

 

「今のは山彦。 後ろにも何かいるみたいだね」

 

「ひっ!」

 

「多分振り返ったりすると襲いかかっている魔だよ。 急がないと四人まとめてぱくりって行かれるんじゃないのかな」

 

涼しい顔で輝さんがいうと、泣きそうになった女子も併せて、四人が慌てて歩き始める。

 

止まれ止まれと喚いている声。

 

だんだん康応さんと似てこなくなってきた。

 

それで、すうと息を吸い込むと、輝さんが一喝。

 

どんと、周囲が揺れた。

 

それで、おそらく消し飛んでしまったのだろう。

 

山彦はたいしたことがない魔だと聞く。そもそもそれほど邪悪な存在でもないという話である。

 

だとすれば、ちょっと邪悪になった程度で。

 

後ろから迫ってきている魔と連携して、獲物を仕留めるつもりだったのかもしれない。

 

さて、問題は後ろにいるやつだが。

 

完全に無視して歩いている燐火と輝さんに対していらだったのだろう。さっと動く。ケルベロスが、苦笑していた。

 

「こらえ性がない輩だ。 俺と同じ犬系統とみたが、これは猟犬にはなれぬな」

 

「犬系統なんだね」

 

「ああ。 妖怪の勉強はしたな。 思い当たる存在はいるか」

 

「……特定した」

 

燐火も今後、ケルベロスの助けを借りられない時が来る事は分かっている。だから、自分で魔祓いの勉強もしている。

 

おそらく合致するのは。

 

それが、横から飛びかかってくる。

 

人間より二回りも大きい犬。

 

古くには、ニホンオオカミは神格化されることもあり、その性質は様々な妖怪にもされた。

 

その一つ。

 

送り狼。

 

迷子になった人間を案内して里に帰してくれるが、もしも振り返ってきたら即座に襲いかかる。

 

そういう習性から生じた怪異。

 

オオカミの習性を良く理解していた昔の人たちだから、そういうことがあることは知っていて。

 

送り狼が妖怪として成立したのだ。

 

燐火は即応。

 

真正面から、鉄パイプで直撃を入れる。

 

勿論本来の燐火の体格では、これを押し返す事など不可能だ。だが、この鉄パイプは、フリッグを倒したことで、更に聖なる魔法のステッキとしてパワーアップしているのである。

 

強烈な打撃を受けた送り狼が、吹っ飛んで森の中に。

 

絶対に追撃は入れない。

 

「背後を取る絶対の態勢が崩れた! 円陣を作って! どこから来るか分からない!」

 

「ひっ!」

 

「な、なんなんだよっ!」

 

駄目だなこの四人。

 

高校生の魔祓いというと菖蒲さんと比較してしまうけれど。どうしても見劣りしまくってしまう。

 

菖蒲さんは単騎で悪神を祓うほどの実力があるようなのに。

 

この四人は、多分燐火より実力が落ちる。

 

情けない。

 

輝さんがリーダーシップを見かねて取るのも、仕方がないことだと感じた。

 

即座に燐火も円陣に加わり、第二撃を待ち構える。

 

背後を取って狙いに来る必殺の態勢を崩した送り狼。その時点で、力は半減してしまっている。

 

それにだ。

 

輝さんが、凄まじい声量で魔祓いの歌を歌っている。

 

普段聞くのとは違って、かなり祝詞に近いものだ。

 

おそらく声自体に魔祓いの性質があって、それに更に祝詞による魔祓いの力を上乗せする。

 

そうなれば、どうなるか。

 

たまりかねたらしく、送り狼が襲いかかってくる。

 

だが、顔面には燐火が入れた一撃の跡が残っている。反応が遅れたもう一人の女性魔祓いの足下に襲いかかるが。

 

すり足で前に出た燐火が、今度はたたき伏せるように、上からの一撃。

 

それで地面にぶち込まれる送り狼。

 

燐火のパワーだけではこうはならない。

 

多数のダイモーンを打ち倒して、更にフリッグも倒した。それが鉄パイプに、神器としての力を与えてくれている。

 

「く、くそっ!」

 

「押さえ込んで!」

 

それで、やっと四人も動く。

 

一人がなんだか札みたいなのを大量に展開。それが逃れようとした送り狼に絡みつく。だが、それだけだと簡単に引き剥がされるだろう。

 

一人が針を投げつけ。

 

一人が読経を開始。

 

それで、動きが鈍った送り狼の腹を、燐火がしたから抉り上げる。

 

上空に浮き上がった送り狼に。

 

すっと息を吸い込んだ輝さんが、指向させた魔祓いの声をたたき込む。それで、送り狼がぼんと爆ぜ割れていた。

 

凄いな。

 

燐火より魔祓いとしては完全に格上だ。

 

ケルベロスも驚いたようで、褒めている。

 

「なるほど、これがあちこちで流されれば、魔祓いとして実に有効だろう。 この国の政府は必ずしも有能ではないようだが、こういうところはしっかりしているのだな」

 

「た、助かった! あ、ありがとうな」

 

「いえ……」

 

ようやく前の四人が態度を変えた。

 

輝さんが、のど飴をまた入れている。やはり相当に厳しいのだろうと思う。

 

まだ道は長そうだ。

 

情けない様子でうなだれている四人に、輝さんが咳払いすると。四人はびくりと恐怖で身を震わせていた。

 

「これから私が指揮を執ります」

 

「ア、ハイ」

 

「お願いします」

 

「皆より燐火ちゃんがよっぽど動けているのを見ていたよね。 小学生だよ相手は。 反省して」

 

そう言われて、四人がぺしょぺしょになる。

 

燐火はどう形容して良いのだろうと思ったが。

 

ともかく、今はこの危険な道を乗り切ることだ。

 

 

 

道の真ん中に、何か丸いのがいる。蛇のような体をしているが、明確に中央部分が丸い。

 

四人組の一人が言った。

 

「あ、あれは野槌だ……!」

 

「山奥にしかもういないって話だったのに!」

 

「山奥だからいるだけでしょ」

 

呆れ気味に輝さんが突っ込みを入れる。

 

あれから六回、魔に襲撃された。

 

一度は脇道に一人が引っ張り込まれかけた。何か伸びてきて、燐火がひょいと回避したら。もう一人に絡みついて、引っ張り込もうとしたので。鉄パイプで絡め取りながら一撃を入れた。

 

そうしたら、出てきたのは巨大なカエルだった。

 

どうにか祓ったが、日本系の魔ではなかったらしく。道教系の力を使っていた四人の中の一人が効きづらいお札をわんさか投げて、その間に燐火達が押さえ込んで、やっと倒した。

 

そんな調子で、燐火はずっと前衛として活躍して。

 

魔祓いもダイモーンがいないので出来ず。

 

とにかく歯がゆかった。

 

ただ。包丁を振りかざして襲いかかってきた山姥の顔面に蹴りをたたき込み。

 

倒れたところにチョークスリーパーを掛けて包丁を落とさせたのを見て、高校生達は明確に引いていたが。

 

まあ、どうでもいい。

 

全員無事で乗り切った。

 

野槌というのがいるが。

 

とにかくこれを退ければ、恐らくは最後だ。

 

「ええと、ツチノコと同一視される存在でしたね」

 

「それならかわいいんだけれどねー。 あれは見つかるだけで呪われて、転がっているところに当たると即死するっていう面倒な伝承があるの。 つまり立派なたたり神。 ツチノコの正体は今でも謎とされていて、どうして日本中に目撃例があるのかは不思議な話ではあるのだけれども。 あの野槌は、妖怪化した挙げ句、祟るようになった危険存在なんだよ」

 

「ならば、祓わなければならないですね」

 

前に出て、青眼に構える。

 

それを見て、生唾を飲み込む四人に、輝さんが叱咤する。

 

「小六の子に前衛を任せて、何をやってるの! 少しは気概を見せなさい! 魔祓いとして仕事をしているならなおさらでしょ!」

 

「わ、分かったよ!」

 

「声が大きくて怖い……」

 

情けない声を出す四人組の一人の女性。

 

今までの様子からして巫女のようだけれど、本当に頼りにならない。これで本職だというのだから、研修があるのも納得だ。

 

野槌は敵対行動とみたのだろう。

 

しばらく首を伸ばしてこちらを伺っていたが。

 

やがて丸くなると、転がってくる。

 

ケルベロスが警告した。

 

「先の話が本当だとすると、食い止めれなければ全滅だ。 気合いを入れろ。 余力はあるな」

 

「分かってる」

 

すっと集中。

 

充子や師範と比べれば、ゴミみたいな相手だ。

 

転がってくる相手は、死の権化。

 

だが、それでも。師範の凄まじい気迫を思い出せ。師範が真剣を持っていたら。その殺傷力は、今目の前にいる野槌なんて、問題にもならない筈だ。

 

あのくらいの剣術使いになると、魔にも有効打を入れられる。

 

そう日女さんから聞いた。

 

そういう意味では、ずっと格上の相手とやりあってきたのである。今更この程度の相手に臆するものか。

 

突っ込んで来る野槌。

 

タイミングを合わせて、燐火は面を入れていた。

 

 

 

道を抜けると、不意に空気が穏やかになった。

 

へとへとのぺしょぺしょになっている四人は、そこで膝から崩れ落ちてしまった。泣いているのもいる。

 

情けないなと思ったけれど。

 

燐火も結構疲れた。

 

輝さんは、名刺をくれる。

 

「ありがとう燐火ちゃん。 多分燐火ちゃんがいなかったら、私だけではどうにもできなくて、研修でもっとしごかれていたと思う。 何かあるようだったら、いつでも呼んで。 助けになるからね」

 

「分かりました。 頼りにさせていただきます。 後ファンになりますね」

 

「ありがとう。 あ、そうだ。 サインもあげるよ。 転売は絶対にしたら駄目だよ」

 

「絶対にしません」

 

おとうさんが、自分のグッズを出したとき。転売をする心ない人に怒っていたのを見た事がある。

 

ほしい人のところに届かない。

 

それがこんなに悲しいことなのだとは思わなかった。

 

そう嘆いていた。

 

それもあって、燐火も転売は絶対にやらないと決めている。あれは立派な犯罪である。

 

ともかく、色紙にぱぱっと輝さんがサインをくれたので、ありがたく鞄に入れさせて貰う。

 

ビニールで覆うようにしてくれたので、まあ汚れたりすることもないだろう。

 

ありがたい話だ。

 

とりあえず、夕方になって、皆と合流する。

 

エヴァンジェリンさんが、机で溶けていた。

 

午後も大変だったんだなと、同情する。体力がないのだったら、なおさら大変だっただろう。

 

日女さんが余裕で、菖蒲さんと何か雑談をしていたが。

 

カトリイヌさんは、トイレから戻ってくると、エヴァンジェリンさんの横で机に突っ伏して、微動だにしなくなった。

 

カトリイヌさんにも相当きつかったようだ。

 

燐火は日女さんと菖蒲さんに、どういう研修をしたのか話す。日女さんが、去年やったわと、懐かしそうに言う。

 

「あの研修、イキった半端者に魔の怖さをたたき込むために、出来る奴二人と半端者四人で組むらしくてな。 燐火は出来る方だと見なされたんだな。 今後、もっと大きな仕事が来ると思うぞ」

 

「そうだったんですね。 ただ、燐火はずっと魔祓いでいられるんでしょうか」

 

「俺が見たところ、燐火は加齢で魔祓いの力が消えるタイプではないな」

 

ケルベロスが付け加えてくれる。

 

だとすれば、何かしら負担が小さな仕事を表向きやりながら、魔祓いとして活躍すると言う手もある。

 

それとも。

 

或いはだけれども。公務員になった後。

 

魔祓いを統括する部署に入るのも良いかもしれない。それには、今から実績を上げておく方が良いだろう。

 

「燐火ちゃんは良く出来た子だし、今は其処まで考えなくていいと思うわよ」

 

菖蒲さんは笑顔でそういう。

 

疲れ果てているエヴァンジェリンさんと同じ研修をしてきたとは思えないくらい元気だが。

 

まあそれは鍛え方が違うからなのだろう。

 

それから、林西さんが来て。

 

夕食の前に色々と話をされる。

 

それぞれの得点が配られる。燐火も採点を貰ったが、細かいところで何カ所か減点されていた。

 

まあ燐火も魔祓いとしてはまだ未熟なのだ。

 

別にここで満点を取れるとは思っていない。

 

そして、明日の午前中で最後となる。午前中の研修について、説明を受けた。

 

「明日の午前は、それぞれ単独で、魔祓いをして貰う。 相手はそれぞれに合った実力の魔を用意した。 負けたら死ぬとまでは言わないが、勝てないようならば大きく減点が入る。 今日の研修で、実際の魔が如何に危険かは各自理解したと思う。 普段町中で対処するような雑魚ばかりと接しているとそうとは思えないかもしれないがな。 明日が本番だ。 いつ強力な魔と、この仕事をしていると相対するか分からない。 それを常に肝に銘じておくように」

 

林西さんの口調は厳しい。

 

そして、説明が終わると、夕食が運ばれてきた。

 

とてもおいしかった。

 

疲れがたまっていたから、だと思う。特にかなり高級な蜂蜜が掛かったアイスが出てきたので、ケルベロスも喜んでいた。

 

燐火としても、ケルベロスが喜んでくれるのは嬉しい。

 

それで充分だ。







※輝さんについて

説明したとおり、現役で活躍している配信者です。テレビアイドルではなく、動画配信専門で、それで食って行けている人間ですね。

声に魔祓いの効果があるのは本当で、弱めの魔だと声を聞いているだけで祓えるほどなので、国が支援して大々的に動画配信をさせています。それで魔による被害が減らせるなら安いものですので。

本作世界では、過去には似たような経緯でテレビアイドルになり、あちこちのスーパーとかでその曲が流れる人がいました。結構効率的に魔祓いを出来るので、魔祓い効果を持つ声の持ち主はこうして国から支援を受けているわけですね。



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