魔法少女アギア・ケルベロス~俺は地獄の番犬ではない   作:dwwyakata@2024

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4、夏休みは終わりて

朝からもう暑い中、ルーチンの鍛錬をこなす。

 

日焼けして仕方がない。

 

これでも連日ダイモーンを祓いに、燐火は走り回っていたのだから。

 

ただ、別にそれ自体は問題ではない。

 

肌を白く保つとか、そういうことに燐火はほとんど興味を持てなかった。身繕いについてはケルベロスの方がうるさいくらいである。

 

それもあって、燐火は最低限の舐められない身繕いはするが。

 

それ以上はしないとも決めていた。

 

黙々と体を動かして、それで宿題のチェックをしておく。

 

内容のチェックから、成果物まで丁寧にチェックしたあと、間違っていないか見直しておく。

 

ケルベロスと話し合いながら、漏れがないかを確認。

 

まあ、問題はないな。

 

夏休みが終わるまで、一週間を切った。

 

ずっと遊んでいた子は、これから地獄を見ることになるだろう。

 

良くしたもので、涼子はもう終わっている。

 

二度、市原さんの家にお邪魔して。宿題を手伝った。毎年宿題をギリギリで終わらせていたらしいので。

 

さっさと終わるように手伝いをして。

 

それで今年は、随分楽になりそうだと言ってはいたが。

 

一応念のために、もう終わったか声を掛けておく。

 

まだ少しあると言われたので、出かけることにした。終わらせる方が良いだろう。

 

燐火は理解したのだが、前倒しで終わらせられるものは、そうしてしまった方がいい。これは精神衛生的な問題でだ。

 

激甚なストレスにさらされ続けると、人間は簡単に壊れる。

 

燐火だってそうだ。

 

だから、他の人間をそんな目に遭わせてはいけない。

 

燐火はそれを知っている。

 

ケルベロスもそれは分かっているようなので、燐火がそういう話をすると、その通りだとだけ言う。

 

ともかく、さっさと市原さんの家に行くが。

 

途中でまたダイモーンが出る。

 

まるで燐火を挑発しているようだった。

 

それほど強くもないダイモーンなので、さっさと着替えて。さっさと聖印を切って消し飛ばす。

 

カコダイモーンとしてはそれほど成長していなかった。

 

しかし、だ。

 

「最初の頃なら十度は聖印を切らなければ倒せなかった相手だ。 今は一度で打ち倒せるな」

 

「成長したと考えて良いのかな」

 

「ああ、充分な成長だ」

 

「良かった」

 

ケルベロスが褒めてくれれば、それは嬉しい。

 

とりあえず着替え直して、市原さんの家に行く。

 

市原さんの家は、ごく普通の家だが。

 

若干潔癖症気味だなと感じる。

 

知っている。

 

親と子供は真逆になる。

 

潔癖症気味の親がいると、子供は雑な性格になりやすい、

 

市原さんは頭が悪い訳ではない。むしろ良い方だ。だが、とにかく全体的に散漫な印象がある。特にこの病的な清潔さ、恐らくは母親の方だろう。

 

そうなると、子供が不衛生なのはなぜか理解できないで。子供に対してつらく当たっているとみて良い。

 

そして要領よくやっている兄の方だけを溺愛しているようで。

 

市原さんは、時々それについて寂しいのだとこぼす。

 

そんな親に対しても、構ってほしいと思うのが、本来のこの年の子供だ。

 

そう考えると、燐火はちょっと異質なのだと、客観的に思い知らされるのである。

 

ともかく、一緒に勉強をする。

 

綺麗に見かけをまとめている母親が、燐火のことはあまり好んでいないのが分かる。一応菓子などは持ち込んでいるが、それを良く思っていないようである。

 

燐火自身の事が気にくわないのだろう。

 

市原さんが孤独で惨めでいればいい。

 

そういう心理が働いているのかもしれない。

 

勉強の方はそれなりに出来る方だし。

 

体育についても、訓練メニューをケルベロスと一緒に組んで、実践して見せて。それで少しずつ出来るようになっている。

 

だが、その努力を認めている様子すらない。

 

もしも魔祓いの才能がありそうなら勧誘するのだが。

 

ケルベロスは何も言わない。

 

ということは、ないのだろう。

 

だとすると、自立するまで針のむしろか。

 

どんなに頑張っても、今の時代は高校を出るくらいまでは自立なんて出来ない。今年の残りを考えると、後六年半以上。

 

市原さんもつらい状態だな。

 

これでクラスでスクールカーストにより虐げられるのまで加わっていたら。

 

或いは壊れてしまっていたかもしれない。

 

夏休みの宿題を、一緒に片付けると、市原さんはやっと終わったと疲れ切った様子でぼやく。

 

やっぱりまだ残っていた。

 

「燐火ちゃん、どこの中学にいくんだっけ」

 

「一応私立のに行く予定です」

 

「私も其処に行きたいな」

 

「……」

 

ちょっと厳しいかもしれない。

 

成績は充分だが、あの親が金を出すかどうか。

 

明らかに娘を虐待するのを楽しみ始めているし、不幸であることを喜んでいる節まである。

 

そういう親は実在している。

 

燐火もそれは、嫌になるほど知っていた。

 

それが、どんどん成績を伸ばして、運動も出来るようになってきた。

 

自分で馬鹿に出来る屑ではなくなりつつある。

 

その原因が燐火だと気づいているとなれば。

 

燐火の行っている学校に行くことなんか、同意なんてしないだろう。酷い話ではあるのだが。

 

ちなみに父親の方はほぼ家庭に無関心らしい。

 

それなりに給金を稼いでいる人間らしいのだが。燐火のおとうさんとは全く違う。立派さの欠片もない。

 

母親も父親もそろって屑。

 

はっきりいって典型的な崩壊家庭だ。

 

前に市原さんが、父親がどうやら水商売の女に入れ込んでいるらしい節があるとぼやいていたのだが。

 

それはおそらく勘だけではないだろう。

 

実際問題、この母親を見ていると、それは納得が出来る。

 

勿論浮気する方が悪いに決まっているが。

 

良くしたもので、母親の方も、「知らない男の人」と遊んでいるようだ。

 

市原さんですらそれを知っている。

 

この家が破綻するのも、そう遠くはないのかもしれない。

 

「ありがとう燐火ちゃん。 助かったよ。 中学一緒になると良いんだけどな」

 

「……そうですね」

 

ダメ元で、おとうさんとおかあさんに相談してみるか。

 

これは大人が介入しないと駄目な問題だ。

 

おかあさんはでも今はちょっと動けない。

 

早ければ来月には子供が生まれるのだから。

 

しかしおとうさんも表だっては動けない身だ。さて、どうするか。

 

何人かの大人に相談してみよう。

 

そう、燐火は思った。

 

幸いケルベロスのおかげで、平坂家に引き取られて以降、まともな大人に接することが増えたのだから。

 

 

 

(続)






戻ってきて早速知ることになる事。

それは友人である市原さんの家庭が終わっている。

その事実でした。

燐火は友人を助けるために。大人の手を借ります。

幸い側には、頼りになる大人がいるのです。





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