魔法少女アギア・ケルベロス~俺は地獄の番犬ではない   作:dwwyakata@2024

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燐火の母親は入院開始です。

まあ子供の安全を守るためには仕方がないことですね。

その分父親に更に負担が掛かりますが。

幸い燐火は、その負担を減らせる出来る子です。





1、邪悪死すべし

数日して。

 

おかあさんが長期入院に入った。

 

今までは入退院を繰り返していたのだが、もうこれからは生まれるまでは出てこない状態だ。

 

おなかの子供の状態は悪くないらしく、異常はないようだ。

 

逆子とかでもないらしく、病院でしっかり処置をすれば問題なく生まれてくるだろう、ということだった。

 

ただおかあさんの消耗が激しい。

 

これほど頑健な人でも、子供を産むとなるとそれほど消耗してしまうのか。

 

大変だな。

 

燐火はそう思いながら、学校帰りにおかあさんのところに寄る。

 

それでいくつかの話をしておく。

 

おかあさんも、市原さんの事は心配しているようだった。

 

「市原日根見さんと言ったね。 その子は大丈夫そう?」

 

「児相で今手続きをしているみたいだけれど、そっちは本当に何の問題もないみたい……だ、よ」

 

「そう」

 

なんとか敬語を踏みとどまった。

 

色々難しいが、まだまだだ。

 

もっと自然に話せるようにならないと、生まれてくる妹に悪影響が出るだろう。

 

おかあさんは警官だったのだ。

 

詳しい話を、いくつもしてくれる。

 

「後は学校だね。 その子がいじめられないように、しっかりついていてあげて」

 

「分かっていま……るよ」

 

「うん。 もうちょっと自然にね」

 

こくりと頷く。

 

ともかくだ。

 

市原さんについては、燐火と涼子でしっかり見張る。

 

案の定、「エリートサラリーマン」であり、ルックスも優れているらしいため、世間的には「スパダリ」だとか言われていたらしい市原さんの父は逮捕された。粉飾決算だとかをして、会社のお金をごまかして懐に入れていた上、四股もしていたそうだ。

 

ビジネス誌で出来る男とか特集を組まれたらしく、その記事を見たが。

 

なんとも軽薄そうな上っ面だけの男だなと燐火は思い。

 

ケルベロスも、これは口だけ野郎だと断言していた。

 

ともかくそいつが詐欺師と、上役にこびを売る才能だけはあって。

 

それで会社の中で真面目に働いている人間を押しのけ。

 

重役のお気に入りと言うだけで出世し。

 

体育会系とか言う脳みそまで筋肉で出来ていて、まともに思考できないからビジネス書だとかいうトンチキ本やマナー講師とかいう詐欺師の言うことを鵜呑みにすることしかできない連中に上手に取り入り。

 

それだけで大量の給金と。

 

更には会社の金を横領するような真似までしていたのだから世も末である。

 

ダイモーンの悪運が解放されたことで、それも全て過去の話になったが。

 

後から聞かされたのだが、実は警察はとっくに目をつけていたらしく、逮捕は時間の問題であったらしい。

 

そういえばあのカコダイモーン、ラブホテルに張り付いていたが。市原さんのカス両親に張り付いていた様子はなかったし。

 

或いはだけれども。

 

あれは偶然、最悪のタイミングで全てが明らかになっただけであって。

 

あまりにも邪悪な輩には、カコダイモーンも寄りつかないのかもしれなかった。

 

市原さんの母親も母親で。

 

夫の給金を湯水のように使い込んだ挙げ句、ブランド品を買いあさっては即座に興味をなくし。

 

ホストやらにつぎ込んで、豪勢に遊んでいたようだ。

 

元々同じ会社に勤めていて結婚していたのを略奪婚されたらしいのだが。

 

それも、単に今の夫より稼いでいるからと言う理由で乗り換えた挙げ句。

 

「あまり構ってくれずに寂しい」とかいう理由を言い訳にして、男遊びで豪遊して、自分からみて気に入った長男だけをかわいがり。市原さんにはネグレクトをしていたのだから、カスもカス。

 

まあ似たもの同士と言う訳だ。

 

ちなみにこっちは目立った犯罪は……まあ重罪はしていないが。

 

一連の事もあって実家に完全に愛想を尽かされた挙げ句。

 

家に連れ戻されて、完全に軟禁されたそうである。

 

長男はというと、なんでもソシャゲのガチャに車を何台も買えるようなお金をつぎ込んでいた上に。

 

両親の金を盗んでは使っていたそうだ。

 

崩壊家庭だと思っていたが。

 

想像を絶するすさまじさだ。

 

他にも色々やっていたので、即座に捕まって、少年院行きは確定らしい。

 

そういうわけで、あの家は競売に掛けられ。

 

おそらく市原さん……いや日根見ちゃんと呼ぶべきだろう。

 

日根見ちゃんは、おそらく誰かの養子になるだろうと言うことだ。

 

いい両親が見つかると良いのだけれど。

 

おかあさんと話した後、先生が来たので帰ることにする。これから検診だの色々あるのだ。

 

昔は子供を産むのも、産んだ後も、命がけだったそうだ。

 

それを考えると、人間は生物的な構造として欠陥があるし。

 

何よりこれだけ手厚い介護も当然であるのだろう。

 

家に戻る。

 

それから、じっくりと鍛錬をする。

 

ケルベロスに、細かい修正点を指摘され。そのたびに修正する。

 

直るのが早くなってきていると、ケルベロスは喜んでいた。

 

「魔祓いとしても良い経験を積んでいる。 武道家としてもやっていけるだろう。 この様子だと、既に普通に武器なしで生半可な高校生くらいなら勝てるぞ」

 

「ありがとう」

 

「それでだがな。 先ほど市原を名前で呼ぶことに決めていたようだが、早めにそれを本人に通達してやれ。 あの腐れ家族から解放されたんだ。 少しずつ精神的にも落ち着いてくるだろうが、少しでも嬉しいことは前倒しで知った方が良いはずだ」

 

「そうだね。 分かった」

 

それはそれとして、正拳百回。

 

素振り百回。

 

合気の訓練。

 

投げの訓練。

 

全てを丁寧にこなしていく。

 

空手も競技用のものと実戦を意識したものがあるが、燐火は完全に実戦を意識したものに切り替えている。

 

全て終わらせて、残心。

 

すっと意識を切り替えて、それで家に入る。

 

メールを最初に打つのは、タスクを順番にこなしていくことで、ルーチンを効率よく回すためだ。

 

市原さん改め日根見ちゃんは、それで喜んでいた。

 

涼子もそれで賛成らしい。

 

「出来れば敬語で無く喋ってほしいな」

 

「それはちょっとすみません。 少しまだハードルが高いです」

 

両親にさえそれが出来ていないのだ。

 

ちょっとまだ厳しい。

 

それについては素直に謝っておく。

 

そして、そのメールのやりとりを終えてから。

 

後は淡々と宿題と、勉強の予習を進める。やはり英語が苦手だ。だが、それでも反復してやっていく。

 

確か最低限の大学の場合、英単語を1000くらい暗記すれば通るという話を聞いている。

 

その程度は今のうちに暗記してしまえば問題ない。

 

問題は喋ると聞くだ。

 

ケルベロスに何回か説明されたが。

 

読み書きというのには段階があるらしく。

 

喋ることは出来ても読めない人はたくさんいるし。読むことは出来ても、書くことが出来ない人はたくさんいるらしい。いわゆる識字率だ。これを国民がほぼ全てクリアできている日本は昔の様々な国から見ても驚異的なのだとか。

 

ただし見て聞いて理解できても、それを実際に文字として出力し、文章として組み立てるのは更にハードルが上がるらしく。

 

いわゆるコミュ障と言われる人の何割かは。

 

それが上手に出来ない場合があるのだとか。

 

ただ、それもあくまで才覚に依存してくるので。

 

才覚で足りない部分があるのなら、努力で補うしかない。

 

英語の教材なんて、今時ネットに幾らでも転がっている。それを使いながら、ケルベロスにアドバイスを貰う。

 

分からないならなんどでも繰り返して聞く。

 

順番に単語に起こして、違っていたら全部消して、また聞く。

 

そうやって、嫌でも頭にたたき込んでいく。

 

それら全てが終わったら、後は寝る。

 

宿題が終わっているのは確認済みだ。

 

明日から。

 

市原さん改め日根見ちゃんと、また新しい関係を構築しなければならない。

 

 

 

翌日。

 

燐火が最初に教室に入る。チェックをしていると、ケルベロスが促してくる。これは、何かされているな。

 

燐火にではない。

 

日根見ちゃんの机にだ。

 

とりあえず、日根見ちゃんに先にメールを送っておく。やったのは帰った後だろうな、これは。

 

急いで日根見ちゃんが来た。

 

息が切れている。

 

前だったら、走ってくることも出来なかっただろう。

 

「おはよう」

 

「おはようございます」

 

「そ、それで机に何かされてるって」

 

「昨日の帰りの時とちょっとずれています。 触らないでおきました。 確認をしておいてください」

 

頷くと、日根見ちゃんがチェックをする。

 

なんか紙が入っていた。

 

怖くて見れないというので、中身を確認する。

 

犯罪者の娘、とか書かれていた。

 

そっか。

 

筆跡からしてあいつだな。

 

即座に犯人を特定。

 

燐火も自衛のために、クラスの生徒の筆跡は覚えている。そして此奴、いわゆる悪辣なスクールカーストの上位グループ(自称)の中の下っ端だ。だとすると、命令させて他の奴がやらせたな。

 

これは一線を越えた。

 

良いだろう。

 

報復をさせて貰う。

 

「やり過ぎるなよ」

 

ケルベロスに釘を刺されるが、はっきり言って今まであいつには色々と我慢ならなくなっていた。

 

今回は徹底的に分からせる。

 

ささっと準備をしておく。

 

日根見ちゃんには、燐火が常に側につくとして。遅れてきた涼子にも、ちょっと話をしておく。

 

涼子も、それを聞いて眉をひそめていた。

 

「ああ、あの子。 自分自身が犯罪者だって自覚はないのかな。 これ、立派な犯罪なんだけど」

 

「子供だから守られると思っていると。 しかも手下を使ったから自分は何の関係もないと言う訳ですね」

 

ちなみにこのやり口。

 

悪名高いニューヨークマフィアや、犯罪組織と同じだ。

 

鉄砲玉を使って、それで悪逆の限りを尽くさせる。

 

だが、それはその鉄砲玉が勝手にやったことで、自分は関係ないと。

 

反吐が出る詭弁である。

 

小学生だろうと、そういう事は考える。その腐りきった性根は、へし折っておいた方が良いだろう。

 

先に作戦を練っておく。

 

それで、そいつらが来た。

 

ヘラヘラ笑いながら来たが、今は放っておく。

 

にやにや笑いながら日根見ちゃんを見ているが、燐火が問題はないと先に言っておく。

 

先生が来た。

 

ホームルームを開始する。

 

さて、授業中は問題はなく過ごす。

 

むしろ燐火が抑止力になっていて、奇声を上げて男子生徒が走り回るようなこともこのクラスではなくなっている。

 

怯えきった様子で燐火を見ている男子も多いが。

 

そんなのは知ったことじゃない。

 

さて、昼休みだ。

 

ささっと昼食を済ませた後。

 

なんかの動画を見ている馬鹿どものところに行く。

 

「これ、書いたの貴方ですね」

 

「……っ」

 

青ざめたのは、それを書いた本人だ。

 

ぱっとしない見た目で、「お情けでグループに入れて貰っている」人間である。何がお情けか。

 

たかが群れだろうに。

 

それにどれほどの権威があると思っているのか。

 

燐火の視線を受けて、そいつがひっと悲鳴を上げる。

 

男子どもがさっとクラスから逃げ出した。

 

今まで何人も、去年は上級生もシメていたのだ。

 

それもあって、男子生徒にとって、燐火は恐怖の対象となっている。

 

「こういうのは名誉毀損と言って、普通に犯罪です。 犯罪者は貴方ですよ」

 

「そ、そんなの、子供だし……」

 

「児童保護法はとっくに廃止されました。 だから犯罪者です。 それと……」

 

すっと視線を向けるのは。

 

グループのリーダーとして、クラスの女帝を気取っているアホだ。相山とかいう名前である。

 

この手のアホは、気にくわない教師を追い出したりとかまでするような奴がいる。小学生でこいつはこれだ。

 

今、徹底的に鼻をへし折る必要がある。

 

「この子にこんなことをする度胸はありません。 やらせたのは貴方ですね」

 

「しょ、証拠なんてどこにも」

 

「ありますよ。 このクラスにも、監視カメラがついています。 音声も最近は拾えるんです」

 

黙り込む馬鹿集団。

 

クラス以外でも普通に監視カメラはついている。

 

今までいろいろあったからだ。

 

この学校では、二度とそれらを繰り返さないように、力を入れている。

 

いじめなんてものは犯罪だ。

 

それをいじめとして矮小化していた方がおかしかったのだ。

 

ましてや犯罪者だったらともかく、全く関係がない、むしろ被害者である日根見ちゃんが罰せられる理由があるのか。

 

燐火の眼光と気迫を受けて、馬鹿集団は完全に蒼白になっていた。不良生徒のすごみなんかじゃない。燐火は実戦と殺しあいを経験してきているのだ。

 

「この件については全て先生に報告します」

 

「ま、待って! 中学受験するつもりなの! 頼むから! 悪かったから!」

 

「それは貴方がやらせたと言うことを認めるんですね」

 

「謝るから! だから!」

 

涼子が録音済みだ。

 

燐火は、ドガンと音を立てていた。

 

震脚を使って、床に直接打撃をたたき込んだのだ。

 

悲鳴を上げるクソども。

 

燐火がガチ切れしているのに今更気づいたか。今まで年上の男子もぶちのめしてきて、高校生三人を返り討ちにした燐火の武力が、自分たちに向く可能性に、今更気がついたのか。

 

こんな考えが浅いアホどもが。

 

なにがスクールカーストの頂点か。おつむは空っぽ。見かけだけ繕っているだけではないか。勉強だってその場で覚えているだけ。何かに活用しようとも思ってすらいない。無駄に色気づいているだけのガキ。

 

それを見ていると、ちゃんと自立して先を考えている日女さんや菖蒲さんと比較して、本気で苛立ってくる。

 

リーダー格が漏らしているのが分かった。

 

完全に震え上がっている。

 

だからといって手加減をするつもりはない。此奴には、今何を相手にしているか思い知らせる必要がある。

 

咳払い。

 

先生だった。

 

「燐火、やめておけ。 おまえが手を出したら、この四人は数分で挽肉になってしまう」

 

「……そうですね。 証拠品、提出しておきます。 このグループが今までやってきた事の証拠品も全てまとめて」

 

「分かっている。 相山。 おまえ、今までは多目に見てきたが、もう看過できないと先生は判断した。 おまえがやってきた気に入らない相手に対する陰湿な嫌がらせ、スクールカーストの構築による害。 全てもはや見逃せる段階にない。 中学受験の話はなくなる。 おまえが希望している中学は品行方正が絶対条件だが、おまえは極めて陰湿な嫌がらせを周囲に繰り返していたと内申には書く。 それだけではじかれる。 親にも今回の、更には今までの陰湿かつ悪辣な行動のことはしっかり話しておく。 おまえの親御さんは厳格だ。 学校でしていた事を知れば、本気で怒るだろうな」

 

相山が大泣きし始めるが、女なんて幾らでもその気になれば泣いたフリができる。泣き落としは通用しない。

 

先生も女だからだ。

 

それで、一転して凄まじい形相になったスクールカーストの自称女帝だが。燐火が咳払いすると、即座に真っ青になって、それで怖くて動けなくなってしまったようだった。それに、これから家で受ける事を悟ったのだろう。完全に顔から血の気が引いていた。漏らしていることすら忘れているように。

 

このグループは後でまとめて呼び出され。

 

親も交えて凄まじい説教を受けたらしく、更にはクラスを全員別々にされた。

 

相山だけはクラスに残ったが、燐火の席の前に移動。

 

それがどういう意味を持つか、相山も分かっているはずだ。

 

何かあったら、即座に燐火がぶっ潰す。

 

もう、当面。

 

此奴に出来ることはなかった。

 

 

 

それから、二学期は淡々と進んだ。

 

スクールカーストがクラスから消滅したことで、非常に過ごしやすくなったと感じる生徒は多いようだった。

 

燐火は相変わらず怖がられているが、今まで「カースト別」で会話することすら許されないような空気が消えたことで、むしろ生徒は活発に交流している。

 

相山がつくったカスみたいなスクールカーストが消え失せた事で、明らかに害がなくなったのだ。

 

グループは出来てきたが、それは上も下もない。

 

今まで日根見ちゃんに話しかけるのもためらっていたような生徒も話しかけていたし。色々と面白い話を聞いてそれで感心しているようだった。

 

それに対して、燐火に常ににらまれている相山は、連日死人のような顔をしていた。

 

スクールカーストの女帝とやらはメッキも剥がれた。成績も普通、別に運動だって際だって出来るわけではない。今まで化粧までしていたのだが、それも完全にすっぴんになって学校に出てくるようになり、今までの見栄と虚飾が完全に剥がれ墜ちたのである。

 

その結果。

 

男子からも完全に舐められ。

 

取り巻きも周囲にいなくなり。

 

文字通り何も出来なくなった。

 

親からも小遣いを大幅に制限されたらしく、最新式だと自慢していた高額スマホに至っては没収の末に解約されてしまったらしい。

 

身につけている衣服なども露骨にグレードが墜ちた。

 

今まで見栄で贅沢をさせすぎた。

 

そう親が反省したらしい。

 

そうしてメッキが完全になくなると、ただのガキだ。

 

燐火も、騒動が一段落したあと、他の生徒達の前で宣言していた。

 

相山が何かしたら、即座に言うように。

 

次はこんなものではすまさない、と。

 

相山が震え上がっている中、同時に咳払いして言っておく。

 

ただしそれが嘘だった場合は、腕の一本くらいへし折るから、それも覚悟しておくように、と。

 

本来だったら先生がやるべき事なのだろうが。

 

こうやって燐火が抑止力になっておけば、更にクラスは安全になる。

 

実際、とても過ごしやすくなった。

 

燐火は怖がられるかもしれないが。

 

別にそんなものは、なんとも感じなかった。

 

これでいい。

 

嘘と不正、陰湿な悪口が飛び交うクラスは、これで正常化した。燐火が恐れられるだけでそれが為されるのなら、それでいい。

 

燐火はそうではないクラスで何が起きるのかを、身をもって体験している。

 

だからこそ。

 

あんなものを、二度と許すわけには行かない。

 

幸い、相山はアホでカスだが、金木の屑娘ほどではない。

 

あいつは自業自得の死を遂げた事を既に聞いているが。まあ、相山は殺されなければならないほどではないだろう。

 

勉強を教えてくれと、気弱そうな男子に言われたので、涼子を紹介する。

 

まだまだ涼子の方が勉強できる。

 

燐火と話しているうちに、どうやら本気で司法試験を受けるつもりになったらしい。来年から、六法全書というものに直に触れるそうだ。

 

燐火も公務員になるつもりだが、その先はどうするかまでは決めていない。

 

やはり魔祓い関連の仕事が良いか。

 

魔祓いとしての腕がある人間が、公安だかの魔祓いに関連する部署にいれば、即応部隊として重宝されると聞く。

 

民間の魔祓いを、公安の一般人が監督するやり方が日本では当たり前であるらしいのだけれども。

 

ただその公安にも切り札的な凄腕の魔祓いが何人かいるらしく。

 

其処に食い込めば、ずっと色々と出来ることが増えるかもしれない。

 

帰り道で、涼子と日根見ちゃんと話しながら、公務員試験についてどうすれば良いのか聞いていると。

 

日根見ちゃんが遠くを見るような目をした。

 

「二人して高校生みたいな会話しているね……」

 

「そうだね。 ちょっと燐火ちゃんは私よりも更に生き急いでいるかも」

 

「そうですか? どうもピンときませんが」

 

それは司法試験を今から本気で考えている涼子もそうだろう。

 

涼子は途中で先に別れる。

 

今日は病院の日だ。

 

フリッグにやられた後遺症の治療だ。やはり軽度のニンフォマニアを発症しているらしく、お薬を入れて改善しているらしい。

 

それは病気だから、治療するのは当たり前だ。

 

フリッグをぶっ潰しても、それは簡単には治らない。だから奴らの一派は絶対に許せない。

 

日根見ちゃんとも別れて、それで家に帰る。ケルベロスが、少し呆れていた。

 

「もう少し、ゆっくり生きても良いんだぞ」

 

「大丈夫だよ」

 

惰眠はもう。むさぼるつもりはない。燐火はこれ以上、他人に人生を握られるつもりはないのだ。







スクールカーストを今無邪気に受け入れている人間がいますが、あんなものは百害あって一利もありません。

容赦なく燐火はスクールカーストをぶっ潰します。

実際問題、それが作り出している害を身をもって味わっているのですから。


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