魔法少女アギア・ケルベロス~俺は地獄の番犬ではない   作:dwwyakata@2024

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根の国の強大な兵士の襲来は、魔祓いの界隈に大きな衝撃をもたらすことになります。

しかも今までの情報を生かして、根の国の軍勢は的確に戦力を削りに動いてくるのです。

今までにない苦戦が始まります。





1、次の段階

流石に予母都志許売が出現したことにより、魔祓いの界隈は騒然となったようだが。それ以降は野良のダイモーンを片付けていくだけで、特に大きな事件は起きなかった。

 

かなり積極的に仕掛けてくる方だった狼王ロボと違って、邪神はそれほど手数を増やさず、一気に攻め込んでくるつもりらしい。

 

ともかく今は戦力の整備。

 

それが急務だという意見で落ち着いたらしく。日本神話系の魔祓いだけで、合宿をしているそうだ。

 

予母都志許売をはじめとする、根の国の存在への対策。

 

以前の伊弉冉の出現時に残された様々な教訓を使って、その対策を練る。

 

もしも伊弉冉が出現した場合には、下手をすると日本だけで一千万、世界で言うと十億単位の死者が出るパンデミックが発生する可能性すらあるようだ。

 

各国の魔祓いの機関もまずいと判断したのだろう。

 

それもあって、日本に精鋭を送り込んできているようだが。

 

まずは邪神の出方を見るしかない。

 

燐火は淡々とダイモーンを片付けていく。

 

そうして一月が経った頃、ヘラクレスさんが会いに来た。

 

魔祓いを終えた直後、側に降り立つ。

 

相変わらず見上げるような(五メートルもあるのだから当然だが)巨体である。燐火を見て、それでもヘラクレスさんは静かに笑うのだった。

 

「大きくなったな」

 

「ありがとうございます。 背がちょっとやそっと伸びても、ヘラクレスさんには届く気がしませんが」

 

「ハハハ、そうだな。 あの邪神はこのような事態をもくろんでいたのか。 狼王が倒れても、平然としていた訳だ」

 

「しかし、それには不可解な点も残ります」

 

二柱そろって動いていたら。

 

恐らく手に負える相手ではなかった。

 

それに、である。

 

考えてみれば、あの実力である。北欧神話の神々を全滅させたとき、狼王ロボと邪神が一緒に出てくる必要さえなかっただろう。

 

どちらかだけで充分だったはずだ。

 

楽観は戦場ではもっとももってはいけないものだ。

 

それについては燐火は教わっている。

 

必要なのは客観である。

 

つまりいけないのは主観であって。ましてや主観で相手を侮ることなどは、あってはならないのだ。

 

しかしながら、それが客観の場合は話が違ってくる。

 

孫子の言葉通り、敵も味方も客観的に分析して。それで戦えば、勝機は見えてくるのである。

 

「私が戦った感触では、あの邪神はとにかく守りに長けていた」

 

「守り、ですか」

 

「ああ。 私の攻撃でも倒しきれなかったほどだ。 いずれにしても、今後も少なくとも簡単に表に出てくることはないだろう。 この国の古い冥界を使って混乱を引き起こすつもりなのかは分からないが、もしも守勢に徹せられると厄介だぞ。 いつの間にか邪神の戦略的目標が達成されている、なんてことになりかねない」

 

「分かりました。 皆と相談します」

 

頷くと。

 

ヘラクレスはすっと消える。

 

無言で燐火は着替えて、家に戻る。その途中、ケルベロスが言う。

 

「ヘラクレスが押し切れなかったという話は聞いているが、守りに長けている、か。 あるいはオーディンのグングニルを防いだのも、その逸話によるものだったのかもしれないな」

 

「オーディンのグングニルは、北欧神話で巨人の体なんて一度だって貫いていないんでしょ」

 

「ああ、それはそうだ。 だとしても、必中必殺という逸話は神話ではそれなりのアドバンテージになる。 それがはじかれた挙げ句に、林西の不動明王に流れ弾となった。 それを思うと、手の内を調べない限りは、戦うのは得策ではないだろうな」

 

ケルベロスのアドバイスは的確だ。

 

燐火は家に戻ると、活発に動き回るようになっている杏美に迎えられた。もう歩くのは、ほぼ問題なく出来る。

 

ただまだ外を走り回らせる訳にはいかないか。

 

ベビーカーに関しては、おとうさんの親族に譲ったようだ。そちらで子供ができるらしいので。

 

それでいいと思う。

 

ただ、ベビーベッドはまだ杏美が恋しいらしくて、時々自分で上ってその中で寝ているので。

 

ベビーカーのあと、ベビーベッドはその親族に渡す予定らしい。

 

まあそれはいい。

 

顔がパンのヒーローのアニメがみたいというので、一緒に見る。今日はルーチンもこなしているので、そうしてあげる。

 

杏美は正義感が強いようで、顔がパンのヒーローが好きなようだ。

 

このくらいの年から性格はかなり別れてくるのだが。

 

この作品にしても、悪役だったりトリックスターだったりが存在していて。それらのキャラクターが好きな幼児もいるらしい。

 

話をまだ良く理解できていないのだろうが。

 

この顔がパンのヒーローは、わかりやすいデザインと、わかりやすいストーリーがとにかく大きい。

 

しばらくきゃっきゃと喜んでみていた杏美だが、一日一話だけと決めている。

 

これはたくさんみると飽きるからだ。

 

コンテンツが飽和している今の時代。

 

コンテンツにすぐ飽きる癖をつけると、ろくなことにならない。それもあって、おかあさんやおとうさん、それに燐火と一緒に杏美が顔がパンのヒーローを大事に楽しむ。そういう方針で、うちは決まっていた。

 

見終わると、色々とまだまだたどたどしい口調で、感想を言う。

 

話はまだよく分かっていないようだが、別にそれでいい。

 

幼児なんてそんなものだし。

 

大人だってコンテンツのストーリーなんて理解していない人間が幾らでもいる。

 

おかあさんが面倒を交代。

 

燐火は勉強に移る。

 

勉強に集中しているのを見ると、杏美はごほんと言い出した。それで、おかあさんが絵本を読んであげる。

 

まあ分からないでもない。

 

一緒のことをしたいのだろう。

 

子供の声は集中力で完全遮断できるし、おかあさんは杏美のことをとても丁寧に面倒をみている。

 

正直羨ましいが。

 

杏美に対して嫉妬するほど墜ちてもいない。

 

淡々と勉強をこなし。

 

その間にメールできた、日女さんからの情報展開に目を通しておく。

 

飛騨で予母都志許売が出現。

 

現地で魔祓いが対処にあたった。

 

一線級の魔祓いが出たので、対処は可能だったようだが。それでもかなり手強い相手だったようだ。

 

倒すまでにその土地がかなり汚染され。

 

浄化に一苦労だったらしい。

 

出現するだけでかなりの損害を起こす。

 

ろくでもない災害だ。

 

ケルベロスがはあと嘆息していた。

 

「冥界と言っても色々だ。 この国の古い冥界である根の国については調べたが、死者に対して救いの類いは全くないというか、そもそも設定されていないな。 これは古い時代の冥界特有の設定で、死んだら死者の国の住人になって終わり。 ギリシャ神話でもそれは同じだ」

 

「そうだね。 だから後の時代の信仰における冥界や地獄は、詳細に設定されたんだろうね」

 

「俺も冥界の番犬であるから、冥界を悪く言うつもりはない。 ただ、冥界がこれ以上恐れられるのは困るがな。 俺にも悪影響が出る」

 

「……」

 

ケルベロスが勉強中の問題について、其処が間違っていると指摘してくれたので、チェック。確かに間違っていた。

 

頭を掻く。

 

とにかく大学受験を想定している勉強をすると、本当にケアレスミスが響いてくる。問題なのはケアレスミスは絶対になくならないと言うことだ。

 

どんな人間でも、一定量の文章を書けば必ず誤字脱字が出る。

 

これに関しては絶対で、どんな天才でも例外はない。勿論人によって誤字脱字の量に変化はあるが。

 

それもあくまで個人差の範疇だ。

 

そう考えると、如何にケアレスミスを減らすかの技術が必要になる。

 

どれだけ精神修養を生かして集中しても。

 

こればかりはどうにもならないのが現実だ。

 

涼子にアドバイスを受ける。

 

涼子は既に六法全書を暗記する段階に入っているようだ。極めて分厚い代物だが、それでも暗記は必須だそうである。

 

それでいて学業もおろそかにしていない。

 

この子が最初に友達になってくれたのは、ケルベロスがお膳立てしてくれたとはいえ。凄く幸運だったのだと思う。

 

「私もケアレスミスはするよ。 だからできる限り素早く問題を解いて、それを二度チェックで対応するしかないかな。 それでも減らしきれないけど」

 

「なるほど、それしかないですか」

 

「それといい加減私にも敬語ではなくて普通に喋ってほしいなー」

 

メールでそんな言葉が飛んできて、うっと言葉が詰まる。

 

ケルベロスはふっと笑っていた。

 

「表情筋をもう少し動かせるようにする事に加えて、課題が増えたな」

 

「困った。 おとうさんとおかあさん相手でも、まだまだ気を抜くと敬語が出るのに」

 

「まあ、少しずつやっていこう。 武術や学問に関しては、燐火は明確に持っている側だ。 ただ、勘違いしている人間がいるが、持っている人間は何でも出来るわけではない。 むしろ持っている人間は、持っている分以上に欠落しているのが普通だ」

 

それは、なんとなく分かる。

 

世界史なんかを調べていると、偉人の異常な私生活とか性格とかがどうしても分かってくる。

 

突出した才能を持っている人ほど、それ以上にどこかが壊れているのが普通だ。

 

天才は何でも出来ると思っている馬鹿は。

 

例えばその天才が、ライフルで頭を撃ち抜かれても生きていると本気で思っているのだろうか。

 

そういうことだ。

 

天才でも出来ないことは出来ないし。才能が偏った者が天才と言われるのであって、それは必ずしも幸福なことではない。

 

ふうとため息をつくと、ともかく勉強を進める。

 

呼ばれが掛かったのは。

 

翌日だった。

 

 

 

やっと修理が終わった林西さんの寺に集まる。独立した菖蒲さんは別の寺から来ていた。ちなみに普段着だが。

 

高校を卒業してから、また一段と大人っぽくなったように見える。

 

日女さんも高校の制服で来た。

 

あまり似合っていないというか、髪とか整える気がないらしい。目つきも燐火以上に鋭いので、周囲の魔祓いが明らかに萎縮していた。

 

呼ばれたのは十人ほど。

 

燐火が見たところ、ほとんどは連絡要員だ。一人だけ、以前夏合宿で見た一線級の魔祓いがいる。

 

恐らくは、情報の横展開だろう。

 

予母都志許売の出現と対策について、説明がされる。

 

仏教系の魔祓いで対応は出来ないらしいが、仏の加護を使うことによって足止めは出来るらしい。

 

それを聞いて、ほっとする何人かの仏教系魔祓い。

 

ただし問題なのは、魔祓いにはどうしても日本神話系の魔祓いがいるということだ。

 

日女さんの他にもこの場に何人かいるが。

 

その中の一人が、挙手していた。

 

燐火と同年代らしい巫女さんだ。

 

燐火よりだいぶ背が低くて、実力も劣るようだが。

 

背が伸び続けている燐火は、既に同級生の女子の大半より背が高くなってきている。高校の頃には170を超えるだろうと言われていた。

 

「予母都志許売を祓うとなると、普通だったら数人がかりが必須です。 飛騨で現れた時も、熊を一ひねりで殺したという話が入ってきていますが……」

 

「泣き言をいうな」

 

「ひっ! すみません」

 

林西さんに言われて、首をすくめる巫女さん。

 

魔祓いとしての実績はあるようだが、流石にここ最近のダイモーン騒ぎから派生する、悪神や邪神の類との交戦は、色々と苦労しているようだ。

 

特に精神的な負担が大きいのだろう。

 

実際燐火達が狼王ロボとやりあった時も、他で魔祓い達が総力戦をしていたのだ。この人も、かなり厄介な獣の魔を相手に苦戦していたのかもしれない。

 

ただ魔祓いの待遇の良さ。

 

代わりの利かなさを考えると。

 

負担はやはり小さくないのだろう。

 

「公安と連携した自衛隊が、それぞれの魔祓いの連携をしやすいように調整をしてくれている。 それ以上は、各自で修練をして、魔祓いとしての実力を高めてほしい」

 

「分かりました……」

 

「一つよろしいですか」

 

「うむ」

 

挙手したのは、以前夏合宿で見かけた魔祓いだ。日本神話系の魔祓いだが、神主さんとはちょっとまた感じが違う。

 

なんというか、少し野性的な雰囲気だ。

 

修験道系かもしれなかった。

 

「元を絶つ必要があると思います。 邪神の正体と本丸を探り当てる必要があるでしょうね」

 

「邪神の正体は概ね見当がついているが、まだ話さない方が良いだろう。 もしも違った場合は、固定観念が邪魔になる」

 

「それは確かにそうではありますが。 どうせまがつ星でしょう」

 

「……そうだな。 その可能性が高い」

 

この人くらいの魔祓いだと。

 

まあそれくらいは分かると言う訳だ。

 

問題は次だ。

 

ケルベロスが探している迷子を、ほぼ……もう確定だろうけれど。その邪神が抑えている。

 

それをどうにかしない限り、ダイモーンはどれだけでも現れる。

 

ギリシャ神話系の魔祓いで、まともに戦えるのが燐火しかいない。ダイモーンを祓うのには、燐火が必須。

 

それが人間側の決定的な弱点だ。

 

「まがつ星が相手になるとしても、あの神格はあちこち居場所を変えています。 また、居場所を突き止めたところで、下手なことをすれば即座に返り討ちでしょう。 極めて厄介な相手ですよ」

 

「それは分かっている。 だが、この間の狼王は、フェンリルと連携していた。 それを考慮すれば、危ない橋を渡っているのは今更だ」

 

「……最悪の場合、この国の一線級の魔祓い全てが倒れる事態だけは避けなければなりませんが」

 

「分かっている」

 

菖蒲さんがデリバリーしたお菓子を出してくれる。

 

それを皆でつまみながら、軽く情報交換をする。

 

とにかく予母都志許売は食い意地が張っている。

 

日本神話では果物に釣られたが、この間飛騨で出現したときは、体重100㎏を超える熊を襲い、短時間で食い尽くしたという。

 

この食欲が人間に向けられた場合は、ひとたまりもない。

 

仏教における餓鬼もそうだが。

 

冥界の存在のダークサイドは、地上に出ると極めて危険な場合が多いのだ。

 

そもそも一神教の悪魔も、本来はこういった冥界、地獄のダークサイドの仕事をする天使と、異教の神を無理矢理合わせたものだったという話もある。

 

冥界のダークサイドは、本来の意味がどうであっても、悪人ですら恐れるような存在でなければ意味がない。

 

だから、どの神話でも恐ろしさを強調されるのだ。

 

ケルベロスが悪魔化されたことを考えると、燐火もそれはどうしても分かるので、複雑な気持ちになる。

 

しかもそれだけではない。

 

予母都志許売は最初燐火の前に現れた時。死ねと喋った。

 

ある程度の知能も働くとみていい。

 

ただの悪辣で、食い意地だけ張った狂獣ではない。

 

狙った相手を追い詰める知性もある程度はある。

 

そういう意味で、よくホラーゲームなどに出てくるような生物兵器くらいの性能はありそうだ。

 

「今の時点では人間を食い荒らそうとするような姿は見せていませんが、対策がいりますね。 限界集落にでも現れたら、文字通り対処が出来ませんよ。 最悪数十人単位で犠牲が出ます」

 

「それについては考えてある」

 

日女さんが挙手。

 

そして、いくつかの地点。

 

よもつひらさかであると伝承がある地点に、それぞれ仕掛けをすることを説明していた。

 

日本の各地に、冥界への道であるよもつひらさかであるとされる場所がある。飛騨にもそれがあった。

 

それらの近くに、予母都志許売が喜びそうな餌を配置しておく。

 

掛かったら、魔祓いが仕留める。

 

そうするしかない。

 

燐火の周囲は、基本的に連絡を緊密にして備えるしかない。

 

問題は、それで被害を減らせる、というだけだ。

 

あの邪神は、かなり狡猾な存在だとみた。

 

狼王ロボと綺麗に連携できていたと言うことは、要するに互いに認め合っていたということである。

 

互いに優れた知性を持っていたから、利害が一致していただけだったとしても、綺麗に連携がとれたのだ。

 

逆にフリッグはまったく連携がとれている様子がなかった。

 

フルーレティは知性はともかく、単純に独立行動をしていたように思う。

 

いずれにしても、あの狼王ロボと同格。

 

そう考えなければならないだろう。

 

咳払いすると、いくつかの手を考えておく。

 

そういえば、だ。

 

エヴァンジェリンさんと話をしておくか。

 

依然貰ったアイドル(お守り)だが、あれは結局燐火は使わなかった。

 

北欧系の神族とやりあうことになった魔祓い達は、あれのおかげでかなり命を拾ったらしい。

 

菖蒲さんや日女さんもそうで。

 

戦いの中であれが代わりになって、助かったそうだ。

 

燐火はまだ温存している。

 

北欧系の魔や神が相手ではないとしても。

 

それでも、使い道があるかもしれなかった。

 

とりあえず話し合いを終えて、解散する。

 

燐火は家に戻るが、色々厄介なことが起きている、としか言えない。二年になって、そろそろ中間試験だ。

 

カスみたいなスクールカーストは最初から存在しない。

 

スクールカーストがないというのがどれだけ快適かを理解した生徒達が、もう作るのはやめようと自分たちでも動いているようだ。

 

クラスのリーダー気取りの輩もいるが。

 

誰も相手にしていない。

 

ただ滑稽なだけの存在だと笑われている。

 

暴力を振るうタイプの輩は、燐火が事前にたたきのめしているので。怖くて下手に動けない。

 

それでいいのだ。

 

家に戻ると、ルーチンと勉学をこなしておく。

 

杏美もどんどん歩けるようになり、背も伸びてきている。階段にも興味津々だが、まだ上り下りは危ないだろう。

 

目を配っておく必要がある。

 

ケルベロスがある程度見てくれているが。

 

それでも、最近は顔がパンのヒーローを見終わると、すぐに寝ると言うこともなくなってきている。

 

おかあさんが昨日公園デビューさせたが、かなり活発に動き回っていたようである。

 

いずれにしても、これから杏美とどんどん遊んであげなければならない。

 

時間は、今のうちに有効活用しないといけない。

 

勉強のルーチンを終える。

 

とがった筆記用具などは、杏美の手が届かない場所に必ず置くようにする。

 

とりあえず杏美には過干渉はしないが。

 

目を離してもいけない。

 

両立が難しい。

 

過干渉は過干渉で毒親になる。

 

燐火も、それだけは絶対に嫌だった。

 

ケルベロスが時々細かいアドバイスをしてくれるので助かる。冥界で子守をすることがかなり多かったらしくて、とても詳しかった。

 

ケルベロスも眷属がかなりたくさんいたようだが、手が回らないこともあったらしく。そういうときは幼児をたくさん背中に乗せて辺りを闊歩したりしたという。

 

背中で漏らされたこともあって困ったと言われたときは、燐火もどう反応して良いか分からなくて困った。

 

ともかく、アドバイスは仕方がない。

 

赤ん坊はかわいいだけのものではない。

 

汚いことも世話をしていれば必要だし。

 

甘やかしていればあっという間に屑にスポイルされる。

 

それを何度もケルベロスは念押しした。

 

実際そうやって、駄目にされていった子供を、嫌になるほど見てきたからなのだろう。燐火もケルベロスのおかげで立ち直れたのだ。

 

だから、その意見には素直に従う。

 

おかあさんが戻ってきたので、杏美の子守を代わる。

 

おとうさんは、これは今日は耐久配信か。新しく出たサンドボックス系のゲームで、色々とやっているらしい。

 

サンドボックス系のゲームははまると色々なことが出来るそうで、極めた人はとても凄い事をするそうだが。

 

おとうさんは其処までではなくて、時間を掛けて丁寧に見せ場を作って、視聴者を楽しませていくタイプだ。

 

その配信のために勉強も下調べもしている。

 

もう年齢的に新しいことを覚えるのに、若い頃の何倍も労力が必要な頃なのに。

 

それでも全く妥協していない姿勢は好感が持てる。

 

最初の頃、おとうさんみたいな配信者は相当な偏見にさらされていたらしいが。燐火は実際に頑張っているおとうさんの姿を見て、尊敬している。

 

昔偏見をもって配信を見ていた連中を、故に軽蔑していた。見る目がない連中だ、と思うだけだ。

 

さて、後はルーチンをこなして、風呂に入って、寝るか。

 

身長は160を超えた。まだまだ伸びる。最低でも170までは伸ばす。

 

女性は背が高すぎると不利だとか言われるが。燐火は、戦闘を前提として、ある程度のタッパは確保しておきたいと考えていた。







幼い頃栄養状態が悪かった燐火は、その分の成長を取り戻すように背が伸びています。

最初からまともな親のところにいたら。

そう体の方も恨み節を言っているのかもしれないですね。



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