現代怪異社会の博麗霊夢(偽)   作:拓拓

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R8.2.4 改稿


第6話

 神社の石段を降り、少し歩いた路地の角。

 そこには確かに、場末感を漂わせる古びた屋台がポツンと出ていた。

 軒先にぶら下がる赤提灯が、不気味なほど鮮やかな赤色で闇を照らしている。

 漂ってくるのは、焦げたソースと青のりの香ばしい匂い。

 私の胃袋が「第二ラウンド開始!」とばかりに歓喜のゴングを鳴らす。

 

「おやっさん、たこ焼き二つ。マヨネーズ多めで頼むよ」

 

 霊幻が慣れた口調で注文し、スマートにカウンターへ肘をつく。

 屋台の奥では、ねじり鉢巻をした小太りの店主が、湯気を立てる鉄板に向かって千枚通しを操っていた。

 カチャカチャカチャ、というリズミカルな金属音が響く。

 だが。

 私の目には、その「店主」の正体が、4K解像度で丸見えだった。

 

(……うわぁ。立派な尻尾)

 

 店主の着古した法被(はっぴ)の裾から、フサフサとした茶色い太い尻尾が飛び出している。

 頭のねじり鉢巻の下には、隠しきれていない丸い獣耳がピョコピョコ動いている。

 そして何より、振り返ったその顔つき。

 愛嬌があるようでいて、どこか人間を小馬鹿にしたような、底知れぬ狡猾さを秘めた瞳。目の周りの黒い模様。

 間違いない。これは化け狸だ。

 しかも、そこらの雑魚じゃない。妖気が濃密で、ねっとりとしている。この界隈の怪異たちを仕切っている「親分」クラスの大物だ。

 

「へい、お待ち! 特製たこ焼き、マヨ多めだ!」

 

 親分(タヌキ)は、舟皿に乗った熱々のたこ焼きを二つ、ドンとカウンターに置いた。

 大玉のたこ焼きが8個。その上で踊る鰹節と、たっぷりかけられたマヨネーズ。完璧なビジュアルだ。

 霊幻が「おっ、うまそう」と財布を取り出し、千円札を一枚出そうとした、その時だった。

 

「お代は、八万円になりやす」

 

 親分が、ニタニタと下卑た笑みを浮かべながら言った。

 

「……は?」

 

 霊幻の手がピタリと止まる。私も固まる。

 時が止まったような沈黙。

 

「えーっと、おやっさん? 今なんて?」

「だから、一皿四万、合わせて八万円だって言ってんだよ。これでも負けてやってんだ、文句あるなら他をあたりな」

 

 ぼったくりだ。

 歌舞伎町のどんな悪徳店でも、ここまで堂々とはふっかけない。

 これは「人間」の貨幣価値が通じない異界の論理か、あるいは単にカモから骨の髄までしゃぶり尽くすつもりなのか。

 

「は、八万!? 小麦粉に金粉でも混ぜてるのかい!? いくらなんでも──」

 

 霊幻が焦って抗議しようとするが、親分はドスを効かせた低い声でそれを遮る。

 

「あぁん? 食う前に値段を聞かなかった兄ちゃんが悪いんだろうが。金がねえなら……その上等なスーツか、あるいはその寿命(タマシイ)でも置いてってもらおうか!」

 

 親分が指を鳴らすと、屋台の影や暗がりから、子分らしき小狸たちがわらわらと湧き出てきた。

 ポンポコと腹を叩くような不気味な音が響き渡り、霊幻を取り囲む。

 霊幻の顔からサーッと血の気が引いていくのがわかった。

 冷や汗が滝のように流れている。足が小鹿のように震えている。

 霊能力ゼロの一般人が、本物の化け物に囲まれているのだ。恐怖で失禁してもおかしくない状況だ。

 

 だが。

 

 霊幻は、震える足で一歩前に出た。

 私を庇うように。

 

「……ふざけるなよ」

 

 声は上ずっていた。けれど、彼は引かなかった。

 

「大人が子供に飯を奢ろうって時に、そんな無粋な真似が許されるかよ! 彼女は腹を空かせてるんだ。……そのたこ焼きは、渡してもらうぞ!」

 

(……!)

 

 私は目を見開いた。

 こいつ、ビビってるくせに。

 自分が一番危ない状況なのに、それでも「大人のメンツ」と「子供への責任」を優先する気か。

 

(……ははっ。やっぱり)

(あんた、本物じゃない)

 

 私の胸の奥で、熱いものがこみ上げてきた。

 それは食欲でも怒りでもなく、純粋な「敬意」だった。

 こんな気概のある男を、たかだか狸ごときに食わせてたまるか。

 私は深いため息を一つ吐くと、震える霊幻の前にスッと出た。

 そして、カウンターに置かれたたこ焼きの舟皿を、指先でコンコンと叩く。

 

「おい、ガキ! 何しやがる! 引っ込んでろ!」

 

 親分がギロリと私を睨み、牙を剥いて凄む。

 私はその顔を、至近距離から無表情で見上げた。

 そして、手に持っていたお祓い棒*1で、カウンターをコン、と叩く。

 

「……ねえ、狸さん」

 

 静かに、声をかけた。

 それだけだ。

 なのに、空気が凍りついた。

 

 親分の顔色が変わり、ピクリと耳が動いた。

 いや、耳だけじゃない。全身の毛が逆立っている。

 

「商売熱心なのは結構だけど。……この人が誰だか分かってて喧嘩売ってるの?」

 

 私はハッタリをかました。

 私は懐から、先ほどのコンビニ店員を黙らせたお札*2をシュッと取り出し、指に挟んだ。

 その瞬間だった。

 

 バチバチバチッ……!!

 

 私の指先から、青白い火花のようなものが迸った。

 ただの紙切れだったはずのお札が、まるで高圧電流を帯びたかのように輝き出し、周囲の闇を焼き払うような強烈な光を放ち始めたのだ。

 

(えっ、なにこれ!? 待って、私なんもしてない! ほんのちょっと力を込めただけで、勝手に光ってるんだけど!?)

(まあいいわ、演出としては最高よ!)

 

 内心ではビビり倒していたが、私の身体──「博麗霊夢」として、そのデタラメな出力を解放し始めていた。

 

 ドォォォォォン……!

 

 目に見えない重圧が、屋台を中心とした空間を圧し潰す。

 霊力だ。それも、桁外れの。

 濃密すぎて物理的な質量すら感じるほどの「浄化の力」が、私の身体から溢れ出し、周囲の妖気を問答無用で塗り替えていく。

 

「あ、あ、あぁ……ッ!?」

 

 親分が、喉の奥からひきつった悲鳴を漏らして後ずさりした。

 脂汗が滝のように流れ落ち、膝がガクガクと笑っている。

 

 彼には見えているのだろう。

 私の背後に立ち昇る、神々しくも禍々しいほどの、圧倒的な暴力の奔流が。

 

「て、てめぇ……一体、何者だ……!? ただの人間じゃねぇ……!」

 

 野生の勘が、全細胞で警鐘を鳴らしているのだ。「こいつはヤバい」「関わったら消滅させられる」と。

 それは恐怖を超えた、生物としての生存本能による服従命令。

 

「ここの相場は五百円。それ以上ふっかけるなら……」

 

 私は発光するお札を掲げ、小首を傾げた。

 制御できない霊力が、私の瞳を赤く怪しく輝かせる。

 

「その自慢の妖力ごと、この屋台を『退治』してあげてもいいのよ?……私の大事な師匠*3に手を出した罪、重いわよ?」

 

 ニコリ、と笑う。

 その笑顔は、きっと彼らにとって死神の微笑みよりも恐ろしく映ったに違いない。

 数秒の、呼吸すら許されない沈黙。

 やがて、親分は糸が切れたようにその場に崩れ落ち、額を地面に擦り付けた。

 

「ひ、ひぃぃぃ! 勘弁してくだせぇ! どこのどなたか存じませんが、あっしの目が節穴でございやしたぁーッ!!」

「わかればいいのよ。ほら、お釣りはいらないから」

 

 私は呆然としている霊幻の手から千円札をひったくり、カウンターにバンと叩きつけた。

 親分は震える手で、「こ、これはお詫びの印です! ど、どうかお納めください!」と、もう一舟どころか、焼きそばまでサービスしてきた。

 

(よっしゃ! 過剰防衛成功! たこ焼き倍増に焼きそば付き! 今日は大勝利!!)

 

 内心でガッツポーズを決め、脳内で勝利のファンファーレを鳴らす。

 手が勝手に光ったのは怖かったけど、結果オーライだ。

 私は振り返って、まだ状況が飲み込めていない霊幻に、熱々のたこ焼きを差し出した。

 

「ほら、冷めないうちに食べましょ。……師匠」

「え、あ、あぁ……」

 

 霊幻はポカンとして、私と、地面に頭を擦り付けている狸のおやじを交互に見ていた。

 やがて、状況をなんとなく察したのか、安堵したように息を吐き出し、「……ふっ、君、なかなか交渉術の才能があるな」と、いつもの調子を取り戻して笑った。

 その手はまだ少し震えていたけれど、私の頭を撫でる掌は、やっぱり温かかった。

 こうして私たちは、恐怖に怯える狸たちに見送られながら、夜の路地裏で熱々のたこ焼きを頬張ることになったのだった。

 

「はふっ、はふっ……んん〜〜っ!」

 

 口いっぱいに広がるソースの酸味とマヨネーズのコク、そしてトロトロの生地とタコの弾力。

 これだ。これこそが文明の味だ。

 妖怪の肉とか、そこらへんの野草とかじゃない。人間が人間のために作り出した、至高のジャンクフード。

 

(うっま! マジうっま! 狸のくせにいい仕事しやがる!)

(これなら五百円払う価値あるわー。いやタダだけど! 脅し取ったけど!)

 

 私は頬をリスのように膨らませながら、次々とたこ焼きを放り込んでいく。

 空腹は最高のスパイスというが、それを差し引いても絶品だ。タコがデカい。さすが親分。

 

「……君、本当によく食うな」

 

 霊幻が、呆れたような、それでいてどこか優しい目をして私を見ていた。

 彼の手には、まだ一つも減っていないたこ焼きの舟皿がある。

 

「食べないの? 師匠」

「ああ、私は……少し胸が一杯でね。君が美味しそうに食べてくれるだけで十分だ」

 

 嘘だ。さっきまでビビり散らかしていたせいで食欲がないだけだろう。

 でも、その嘘もまた、彼の優しさだ。

 私は「ふーん」と鼻を鳴らし、彼の皿に残っているたこ焼きをチラ見した。

 

「いらないなら貰ってあげるけど?」

「……はいはい。好きにしなさい。遠慮なんか君には似合わないからな」

 

 霊幻は苦笑いしながら、自分の皿をこちらに寄せてくれた。

 

(やったぜ! 師匠マジ天使! さすが理想の上司ランキング上位!)

(あー、これだけで推せるわ。一生ついてくわ。塩以外も奢ってくれるなら)

 

 私が遠慮なく二舟目に箸を伸ばそうとした、その時だった。

 

 ピロリロリン♪

 

 どこか気の抜けた電子音が、静かな路地裏に響いた。

 霊幻のジャケットのポケットだ。

 彼は「おっと」と呟き、無造作にスマホを取り出した。

 

 街灯の明かりに照らされたその画面。

 私の動体視力*4が、そこに表示された発信者名を完璧に捉えた。

 

弟子(モブ)

 

「…………ッ!!?」

 

 ブフォッ!!

 私は口の中のたこ焼きを危うく吹き出しそうになり、必死の形相で飲み込んだ。

 熱い。喉が焼けるように熱い。でもそれ以上に、胸が熱い!

 

(モブ! モブだ! 影山茂夫だぁぁぁぁ!!)

(やっぱり繋がってた! ガチで師弟関係継続中じゃん! 尊い! 無理! 拝みたい!)

 

 涙目でむせ返る私の背中を、霊幻が怪訝そうに見ているが、構っている余裕はない。

 これは歴史的瞬間だ。推しの通話シーンを、生で、しかも至近距離で拝聴できるなんて!

 

 霊幻は私を一瞥し、「落ち着きなさい」とジェスチャーしてから、通話ボタンを押してスマホを耳に当てた。

 その瞬間、彼の雰囲気が「頼れる大人」のそれに切り替わる。

 

「おう、どうした? ……ああ、今か? 今はちょっと、大規模な除霊案件の最中でな」

 

(嘘つけ! たこ焼き食べてるだけだろ!)

 

「……何? 数学の宿題? ……ったく、お前は霊能力だけじゃなくて、学業の方も私に頼り切りだな」

 

(宿題の相談かよ! 平和か! 可愛すぎか!)

 

「いいか、三平方の定理っていうのはだな……直角三角形の斜辺の二乗は……え? 違う? ……あー、そうそう、それは応用問題だ。霊的視点から解く必要があるやつだな」

 

(適当! 誤魔化した! さすが師匠、数学できない設定も健在!)

 

 漏れ聞こえる会話の内容に、私のテンションはストップ高を更新し続けていた。

 やばい。この空間、私にとってはパワースポットすぎる。

 推しの供給過多で霊力が回復していくのがわかる。これが「推し活」の力か。

 

 しばらく適当なアドバイスという名の誤魔化しを続けた後、霊幻はふと真面目なトーンで言った。

 

「……ああ。こっちは少し長引きそうだ。この辺り、ちょっと空気が淀んでる。……お前は早く寝ろよ。明日も学校だろ」

 

 ピッ、と通話が切れる。

 霊幻はふぅ、と息を吐き、スマホをポケットにしまった。

 そして、夜空を見上げながら独り言のように呟く。

 

「……まったく。平和なもんだ」

 

 霊能力はない。金には汚い。口から出まかせばかり言う。

 でも、彼は誰よりも「人」として、弟子と向き合っている。

 その横顔には、さっきまでのインチキ臭さは微塵もなく、弟子を案じる「師匠」としての顔が覗いていた。

 

(……あ、だめだ。好き)

(詐欺師だけど。たこ焼き奢ってくれるし、弟子想いだし。これはもう、実質私のパパでは?)

 

 私が勝手に養子縁組を脳内で済ませていると、霊幻がこちらに向き直った。

 

「さて、と。腹ごしらえも済んだことだし、私はそろそろ仕事に戻るとするか」

「仕事って? またカモを探しに行くの?」

「人聞きの悪いことを言うな。……この辺りで最近、妙な噂があってね」

 

 霊幻は声を潜め、周囲を警戒するように視線を巡らせた。

 

「なんでも、地図から消えた空白地帯があるとか、絶対に入ってはいけない『領域』があるとか……。そういう都市伝説が、ネットで急増しているらしいんだ」

 

 ドキリ、とした。

 地図から消えた場所。それはまさに、私たちがいるこの神社のことだ。

 そして「領域」。

 その単語が出た瞬間、私の脳裏には目隠しをした白髪の最強呪術師の顔がチラついた。

 

(やっぱり……。五条悟とか、呪術廻戦の連中が絡んでるんだ)

(霊幻さんがここに来たのも、偶然じゃない。何かに引き寄せられたのか、あるいは──)

 

「ま、私にかかればどんな怪異も『ソルトスプラッシュ』で一撃だがね」

 

 霊幻はニッと笑い、懐から食塩の小瓶を取り出し、キラリと歯を光らせた。

 ……うん、やっぱりこの人、何もわかってないわ。

 でも、それがいい。

 このシリアスな世界で、彼だけがコメディリリーフとして輝いている。それがどれだけ救いになるか。

 

「じゃあな、お嬢ちゃん。夜遊びはほどほどにして、早く帰るんだぞ」

 

 霊幻はヒラヒラと手を振り、夜の闇へと消えていった。

 その背中は、頼りないようでいて、どこか不思議な安心感があった。

 私は残ったたこ焼きを口に放り込み、力強く頷いた。

 

「ええ。……でも、悪い人じゃなさそう」

 

(だって、私の推しだもの!)

 

 心の中で付け加え、私は口元のソースを拭った。

 さて、お腹も心も満たされた。

 とりあえず今日はもう寝よう。

 明日は明日で、きっとまたロクでもないことが起こるに決まっているのだから。

 

 そう思って、神社の境内へ戻ろうとした時だった。

 足元でカサリと音がする。

 風に舞う落ち葉だ。

 ……ビビらせやがって。

 私は肩をすくめ、闇に沈む参道を歩き出した。

 

 ♢

 

 神社の本堂に戻ると、そこは相変わらずの廃墟っぷりだった。

 月明かりが、天井の穴からスポットライトのように差し込んでいる。

 ロマンチック? いえ、ただの欠陥住宅です。

 

(うわぁ……マジでここで寝んの? 私?)

(隙間風のASMRとか要らないんですけど。布団は? 枕は? せめて段ボールくらいないわけ?)

 

 板張りの床に寝転がると、背中からダイレクトに冷気と硬さが伝わってくる。

 痛い。寒い。そして何より、寂しい。

 さっきまでのたこ焼きの温もりが、急速に失われていく。

 

(無理無理無理! こんな生活続けてたら、怪異に殺される前に過労と風邪で死ぬわ!)

(いっそ、さっき見かけたデカい空き家にでもカチこんで、不法占拠してやろうか……?)

 

 一瞬、そんな悪魔的な誘惑が脳裏をよぎった。

 あそこなら屋根もあるし、壁もしっかりしている。オバケ付きだけど。

 

 ――でも。

 私は首を振って、その考えを追い払った。

 

(いや、ダメだ。それは違う)

(私は今、「博麗霊夢」なんだ。霊夢が博麗神社*5以外の場所に住むなんて、解釈違いも甚だしいわ!)

 

 オタクとしての妙なプライドが、私の魂を繋ぎ止めた。

 原作リスペクト。これこそが、私がこの世界で自我を保つための唯一の(いかり)だ。

 ここが廃神社なら、直せばいい。

 人が来ないなら、呼べばいい。

 賽銭がないなら、巻き上げればいい!

 

 私はガバッと起き上がり、誰もいない虚空に向かって拳を突き上げた。

 

(決めた! 明日のクエストは「神社の復興(ハウジング)」だ!)

(まずは掃除! 次に修繕! ゆくゆくは増築して、床暖房とウォシュレット完備の最強神社にしてやる!)

 

 ここを、私の手で「博麗神社」にする。

 現代怪異社会における、妖怪の巣窟……じゃなかった、楽園にするのだ。

 

 野望を胸に、私はボロ布のような着物を被って丸まった。

 虫の音がうるさい。

 けれど、不思議と悪い気分じゃなかった。

 だって、明日は今日より、ちょっとだけマシな一日になりそうな予感がするから。

 

「……おやすみ、世界」

 

 現代怪異社会での、私の最初の一日が終わる。

 意識が泥のように沈んでいく中、私は夢を見た。

 参拝客で溢れかえる境内と、賽銭箱に雪崩れ込む一万円札の山を眺めて、高笑いする夢を。

*1
ただの木の枝

*2
ただの紙切れ

*3
予定

*4
オタク特有の推しセンサー

*5
今はボロ神社

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