噴き上がる油の中で二度揚げをして復活したコロッケ
一回り大きくなったその身体から立ち上る湯気とオーラは先程までの比ではなくボーボボ達の頬にも冷や汗が垂れる
「来ないならこっちから行くYO!」
「ふおぉっ!?」
針金と変わらないようなコロッケの細い腕が一瞬にして筋骨粒々な姿にバルクアップし強烈なラリアットを首領パッチにお見舞いする
叩きつけられたリングは岩盤のように大きくへこみその中心で白目を剥いた首領パッチを足蹴にしたコロッケの高笑いが大きく響く
「Ah~HAHAHAHAHA!これが2度揚げの力ぁ!」
「首領パッチくん!」
「強い…!さっきまでとは比べ物にならないほどに…!」
しかしそんなリングの上に突然めんつゆの良い香りが漂い始めた
見ればなにやら暖簾がかけられその向こうからその匂いは漂ってくる
「んん~~?」
「はい、ぼうや。かけそばお待ち」
「うん……」
暖簾の向こうに入ってみると蕎麦屋の大将の格好をした天の助がおぼっちゃまな格好をした首領パッチにかけそばを出していた
しかしその表情は浮かなく涙ぐんですらいる
「Hey、ぼっちゃん!そんなガッカリしてメソメソしてどうしたんだい?」
「蕎麦に乗せる具がほしくってぇ。でもお金なくってぇ」
「しかしだねぇ、私もお金をもらわずサービスするわけにもいかないのだから」
どうやら彼はお金がなくてかけそばしか頼めない様子
コロッケは自分の身体を見た
──ある。蕎麦の具になるやつならここに
「ぼっちゃん、どうだい?ひとつコロッケそばでm「ちょっとまったぁ!!」
コロッケが
それはコロッケよりもボリューミーな衣、細長く大きな身、ピンと飛び出した尻尾──
そう、海老天のエントリーである!
「蕎麦の具と言ったら俺だろう!!」
突然の乱入者にコロッケはサングラスの下で眉をしかめる
「おい、ここは俺様ちゃんが乗ってやるって言ってんだYO。海老ちゃんはご飯の乗ったどんぶりの上に帰りな」
「あぁん?なに言ってやがるこのすっとこどっこい!乗せたらすぐふにゃふにゃになるコロッケはめんつゆじゃなくソースに溺れてろや」
互いに額をぶつけ睨みあう2人
コロッケそばか海老天そばか
食材として、同じ揚げ物であり料理を彩る主役として共にここで譲るわけにはいかなかった
「俺だ」
「俺っちだYO」
「俺だ俺だ俺だ!」
「俺俺俺様俺様ちゃんだ!」
「俺だぁぁぁ!!」
「Meeeeeeeee!!」
「うるせえぇぇ!!!」
「「ぎゃああっづぁぁぁ!?」」
そんな2つの揚げ物の頭へ同時にそば入りどんぶりをダンク!
めんつゆの良い香りに包まれながら揚げ物2つは湿ってゆく
「大将、やっぱきつねうどん1つ頼むわ」
「はいよ!」
「ぬおおおお!まだまだ俺様っちのパーリーTimeは終わらないぜ!」
しかしまたしても噴き上げる油と共に復活するコロッケ
厚みを増していくその身体は湯気を立てめちゃくちゃになった蕎麦屋を後にする
すると今度はまた別の良い香りがコロッケの鼻に舞い込んできた
「くっ!こ、これはっ、このスパイスぃ~な香りは…!」
コロッケが匂いの元へと目を向ければそこにはインドな格好をしたボーボボ
次にコロッケの前に仕掛けられたのは──
「カレーやでー」
──皆大好きカレーである
「あ…あぁ…!」
ふらふらとカレーの皿へと近づいてゆくコロッケ
カレー──それは数多の食材をトッピングとしても具としても受け入れる暖かき慈母のような料理界のスター・オブ・スター
そんなカレーの香りにふと溢れだす、コロッケがじゃがいもであった頃の記憶の一部
『おれ、将来はカレーになるんだ!』
『おー、すげーじゃん』
『おれも!おれもカレーになる!』
『ははは、玉ねぎはそそっかしいからカレーになろうとして肉じゃがにでもなるんじゃねえの?』
『なにをー!』
「お、おお…!俺は、俺は…!」
遠い昔、子供だった頃に友達と語りあった夢
その懐かしさを思い出させる香りにコロッケのサングラスの下から涙がこぼれる
そしてその隙を逃すボーボボではない
即座に立ち上がり手に持ったカレーがコロッケの顔面にぶち当たるかと思えたその瞬間──
「俺はその夢を捨てたんだーー!!」
「なにっ!?ぐはぁっ!?」
カレーを皿ごとぶち破り誘惑を断ち切ったコロッケの拳がボーボボの頬へと突き刺さった!
まさかのカウンターにボーボボは派手に吹き飛ばされぶつかったリングの一部が砕けるとその破片がコロッケへと集まりベルトから溢れ出た油がコロッケの身体を覆い揚げると新たな衣が流れていた彼の涙の跡さえ覆い隠した
「そうか!あいつの復活の秘密はこのリングだ!」
「ああ、そしてあのベルトもだ。その2つが揃うことで奴は不死身とも言える再生力を手にしている」
そんなコロッケの揚げ姿に何度でも復活する彼の秘密がわかったへっぽこ丸
共に見ていたソフトンも同様に気づいたようで頷き彼らの視線は舞台となっているポテトリングとコロッケのしているベルトへと注がれる
「まさか…リングを壊して自分の一部にしてるの!?」
「その通りだ。そして周りには有り余る程の挽肉、玉ねぎこそ少なくなるがじゃがいもと挽肉さえ入っていればコロッケはその体を成す」
「それにあのベルトから自分を揚げる為の材料はいくらでも出てくる!このリングで戦っている限りボーボボさん達は圧倒的に不利だ!」
「Fooo!気づいちゃうなんて冴えてるねぇ!でも!わかったところでどうしYoも無いYo!このままスタミナごと磨り潰してのマッシュマッシュにしてやっからYo!」
「いいや、やりようはある」
「なに…?」
「それよりも1つ聞かせてもらうぞ、コロッケ…いや、じゃがいも。送られてきた手紙の筆跡、あれはお前ではなくキャベツのものだった」
血を拭い立ち上がるボーボボ
彼から立ち上るオーラに笑っていたコロッケも思わず身構える
「答えろ!」
「キャベツは……キャベツはどうしたぁぁ!!」
「知らんね。今頃豚の隣で千切りか塩キャベツだろうよ」
「そこまで外道に堕ちたか、じゃがいもぉぉぉ!!」
「コロッケと呼べよ、ボーボボぉぉぉ!!」
かつての仲間にしたとは思えない非道な仕打ちにボーボボの怒りは怒髪天をついた
その怒りが彼の闘気をさらに高め現実世界をも塗り替えていく!
「鼻毛真拳究極奥義『
瞬間、世界は塗り替えられた
一面に広がる草花や木々、長閑な広場とすら思えるここはボーボボの作り出した世界
魂を解放出来なければ精神の死すら迎えるこの世界にコロッケは動揺を隠せずに周りを見渡す
「なんだ!なんなんだここは!?リングは!挽肉は!?」
「ここでなら復活することなくお前を思う存分にぶちのめせるな、じゃがいも」
「うるせぇ!俺は!俺はもうじゃがいもじゃ「KING鼻毛さんじょ~!」ぶふぉおっ!?」
突如ターザンのように蔓に捕まって飛んできた
それがコロッケへと飛び蹴りをかましシュタッと降りるとお次は太いスパゲッティがコロッケの身体に巻きついた
「パスタマシン!」
「はぁっ!?あっ、ぁぁぁぁ!!」
そのスパゲッティの先を持つのは天の助
隣人な蜘蛛男の糸のようにスパゲッティを巻きつけたコロッケを振り回しボーボボが用意したお湯の沸き立つデカい寸胴鍋へと叩き落とす!
「スパゲッティーナ!」
「ごぼおっ!?」
「茹で一丁!ん~~っ邪魔!!」
「おぼぉっ!?」
グツグツ茹でられるコロッケだが普通に邪魔
当たり前過ぎて鍋ごとジャーマンスープレックスで地面に叩きつけられる
「ピーマンピーマンピーマンピーマンピーマンピーマンピーマンピーマンピーマンピーマンピーマン!!!」
「ハムハムハムハムハムハムハムハムハムハムハム!!!」
「あだだだだだだ!?なんだなんだなんなんだ!?」
お次はピーマンとハムをフライパンをラケットに打ち合う首領パッチとKING鼻毛
ラッシュならぬラケットの速さ比べのそれの打たれる先は勿論コロッケ
茹でられ叩きつけられてと混乱しながらぼろぼろになっていく彼の身体は綺麗だった小判型が崩れどんどんと歪になっていく
「ペパパ?」
「ソルパ?」
「ノン!ケチャパ!」
「「「Yahーーー!!」」」
「ぎゃああああ!?目がぁぁぁぁぁ!?」
どばっとかけられた胡椒、塩、ケチャップがサングラスもすり抜け倒れた彼の顔面を直接目にまで塩分過多なデコレーション
のたうち回って悶えるコロッケは抵抗することすら出来ず次々と襲いくる意味不明な攻撃にただただ耐えることしかできない
なにせここは魂を解放しなければ生存すら許されぬ領域
3人のハジケリストをの混ぜ物であるコロッケには出来る筈もない
それぞれが受け入れ1つとなった融合ではなく苦痛と共に無理やり1つとなり混ざりあった彼の魂に純粋な魂の解放はできない
魂に雑味の混じりすぎた彼にとって
「あんたお焼きでしょ!それとも今川焼きなの!回転焼き!はっ!?まさかベイクドモーチョモーチョ?」
「知らなっ、おれっ、ころっ!?」
「待ちなさいお嬢さん」
「あなたはナポ──!」
コロッケの胸ぐら掴んで頭を地面に叩きつけながら揺らす首領パッチの前に現れるは馬に股がった幅広帽子を被った男
そう、それは皆ご存知──
「ナポリマン!!!」
「ひひーん」
─身体中にナポリタンを巻いた男
そして馬かと思っていたら乗られていたのはKING鼻毛である。紛らわしいやつめ
「ケチャップの祝福をくれてやるぞ、じゃがいも」
「やっ、やめろ!来るな!俺の側にっ!」
「鼻毛真拳奥義ぃ──!!」
『ワガヤー家に伝わる幻のシェフ その名はペロリヤーナ・ペンタン』!!!
「ぐああああああああ!?」
「が、はぁっ…!?」
ナポリタンを巻いた腕で殴ると共に鼻から伸びた鼻毛がコロッケの身体を強烈に打ちすえベルトを粉砕すると共に彼の意識を刈り取った
コロッケが血を吐きべしゃりと地面に落ちると共に
戦いが終わりを告げたのがわかったのかポテトリングは地面の中へと戻りそれと共に湧き挽肉も元の挽肉脈へと流れるように消えていった
残るはボーボボ達と倒れたコロッケのみ
夕陽に照らされ倒れるかつての戦友を抱き起こす彼を皆黙って見つめていた
「あぁ…?ああ、ボーボボか……。へへ、こんだけやっても俺は負けちまったのか……」
「じゃがいも、どうしてお前まで」
「魔が…刺しちまったんだろうなぁ。やっぱ、総長がいねぇと駄目だなぁ俺ぁ……」
起き上がり"離れな"とぼろぼろの身体を引きずりボーボボから離れるコロッケ
その先にはキッチン島に備え付けのデカい電子レンジ
「待て!なにをするつもりだじゃがいも!」
「けじめさ。裏切り者には必要だろ…。悪かったな、ボーボボ。先に逝ってるぜ」
コロッケの手には生卵
それを持って電子レンジの中に入ったコロッケのあたためが始まり回転する彼を温かな光が包みこむ
「じゃがいもぉぉぉぉぉ!!」
電子レンジの中でボンッ!!と大きな破裂音が響きチンッと音を立てて扉が開けばそこには爆裂した卵とコロッケの姿
「うおおおおおお!!」
泣きながら電子レンジの中の黄身や白身と混ざったコロッケの破片をソースがけしたどんぶりご飯でかきこむボーボボ
彼は再び誓った
必ずや
そして思った
醤油も買っておけばよかったと!
ボーボボ達とピーマン帝国、マルハーゲ帝国との戦いはまだまだ続く
彼らの戦いはまだまだ続くのである!舞台とかアニメリメイクとかで!!
コロッケ
単体ではそこまでではないがステージとベルトの能力で無限ガッツを持ったクソギミック仕様ボス
倒すにはステージを変更させるか調味料の供給元であるベルトを破壊するしかない。一撃で木っ端微塵にできるなら何の問題もない
これでこのお話は終了となります。ここまで読んでいただきありがとうございました
ボーボボの舞台化の次はアニメリメイク待ってます!!