ことができました‼︎
今回は『17720文字』までの膨大な量を頑張って
書きましたが、豆腐のようなクソナメクジメンタルの
自分はきちんと面白く書けているのかととても心配に
なります……(汗)
【お気に入り】や【しおり】、【投票】、【感想】
などいただければ、豆腐のようなそんなメンタルで
脆い自分も更に『創作意欲』が増していきます‼︎
【
おめでとうございます‼︎
面白く出来ているかどうか心配でいっぱいですが
一生懸命にたくさん書きました。
最後まで読んでいただいてもらえたら嬉しいです‼︎
「美味しいですか?」
「うん! おいしい!」
絹旗達がレストランを出た後、アイスクリーム屋が
目に入ったので、注文していた。
絹旗達はそれぞれの味のアイスクリームを注文して、
凪はアイスクリームを注文した後、用事が出来たのか
少しの間、二人と離れる。絹旗とはじめが待っている
その間、二人が注文をしたアイスクリームが先に完成
したのか、美味しそうに食べていた。
「なぎおねえちゃん、どこいったんだろう……」
「凪なら大丈夫ですよ」
はじめは不安そうな表情で、必死に凪を探していた。
そんなはじめの表情を見た絹旗は、安心させるように
笑顔で言葉を掛けていた。
二人が話し合っていると、何かにぶつかった。
顔を上げてみると人の背中があった。
「あ、ごめんなさい」
ぶつかった人をよく見てみるとかなりガタイが良い。
というか、明らかに事案現場だった。金髪の大男達
三人が絹旗達を囲むように立ってる。囲まれている
そんな不良達の
されても仕方ないのではなかろうか。
「なぁ嬢ちゃん。オレたちと遊ばねえか?」
金髪で首に刺青を入れた
ニヤリとしながら、絹旗とはじめの二人の方向へと
見て、ヒュウと口笛などを吹いてた。そんな男の顔の
笑みは、下卑た笑みを浮かべている。
「き、きぬちゃん……」
「悪いですけど、超全力で断らせていただきます」
そんな刺青の男の笑みを見た瞬間、怖かったのか、
絹旗の常盤台の制服の袖をギュッと強く握っていた。
絹旗ははじめを庇うようにしながら、金髪の刺青を
入れた
「オマエ……今の状況、わからねーのかよ?」
「貴方こそ聞こえていなかったんですか? 貴方達
のお誘いはお断りするとそう言っているのですが?
そんな事も理解が出来ないんですか?」
刺青を入れた
にイラッときてしまったのか、ビキッと大きな青筋を
浮かび上がらせていた。
「おい。オマエら、身の程を教えてやれ!」
「オウ!」
「こんな上玉の女、滅多にいないぜ! 今日オレは
ついてる!」
刺青を入れた
二人の
の方へと近付いてくる。
「私達の方に近付いてくるのなら、それなりの対応を
超させてもらいますよ?」
絹旗はそう言って、両手に窒素を纏っていた。
「まさか、能力者か?」
「え? マジかよ……」
絹旗が能力者であると知った二人の
男達はビビりながら、後ずさっていた。
「ビビってんじゃねぇ! 数の方ではこっちが勝って
いるんだ! 一気にブッ潰せ‼︎」
刺青を入れた金髪の
大声で二人に指示を出すと、覚悟などを決めたのか、
絹旗に襲いかかる。
「それでは、超速やかに対処させてもらいます」
絹旗が静かにそう言った瞬間、
「ウゲェ……ッ!」
「ウップッ……ッ!」
絹旗の窒素を纏った拳が、二人の
男達の鳩尾と顔面に見事に当たる。メキッとかなり
ヤバイ音が聞こえる。
全身を震わせながら蹲り、その場にえずいてる二人
の
「クソ! ナメやがって……!」
刺青の金髪の
絹旗へと睨み付けて、ポケットから”ある物” を
取り出す。
それは、折りたたみ式の果物ナイフであった。
果物ナイフを開いて、絹旗の目の前に向ける。
「死にやがれ‼︎ このクソアマァアアアア‼︎」
「きぬちゃん! あぶないッ⁉︎」
刺青の金髪の
なのか、絹旗に果物ナイフを振り翳す。それを見てた
はじめは絹旗の名前を叫ぶ。
だが、はじめが心配した事にはならなかった。
なぜなら。
ガ、ガッ、パシッ。
「え……?」
刺青の金髪の
自身が持っていた鋭い果物ナイフをゴツイその首筋へ
突き付けられていたからだ。
「これって、どういう状況なの?」
凪が果物ナイフを片手に持って、視線を刺青の金髪の
質問をしていた。
「彼等にナンパなどされたので、その場で超断った
んですけど……」
「なるほどね」
「オイ、無視すんなや!」
絹旗の説明を聞いて納得していると、無視されている
事に不満に感じたのか、顔を真っ赤にして悪態などを
吐いていきなり殴りかかってきた。ただのトーシロー
のパンチだし、身を捻る事で容易く避ける。
「こんの野郎ッ!」
……あ、良い事思い付いた。
目の前には他人からカツアゲをしていそうな
チンピラ三人組。
もうここまでやればお分かりだろう。つまり、
良い金づる見つけたという事である。
「財布出して。そしたら、見逃してあげる」
「フザケんじゃねーぞ‼︎」
どうやら、お気に召さなかったのか、刺青の金髪の
唾を飛ばしながら叫ぶ。
「そっか。じゃあ、しょうがないね……」
凪は果物ナイフを握りしめて
ブチッ、ブシャッ、グシャッ!
肉の裂ける音がする。全身に痛みが走る。
痛い、痛い、痛い。何が起こったんだ?
刺青の金髪の
真っ赤に染まり、額からはポタポタと血が落ちる。
「う、う"ぐっ──」
刺青の金髪の
出来ずに意識を失う。
「さて、どれほどの金を持っているのかな……」
三人の男達のポケットの中には財布が入っており、
中身を覗いて見る。闇の取引などでもしていたのか、
それともカツアゲで巻き上げたのか。どっちなのか
分からないが、財布の中には平均して数万程度の金
が入っていた。財布の一つずつから一万円札と小銭
を全部貰う事とする。これは迷惑料として貰うだけ
なのだから。悪いのは彼等なのだからセーフだろう。
周りに気絶した
万札を奪う……じゃなくて、迷惑料を貰うという
絵面。なお、凪の容姿などはフードで目を隠し、
深く被っているので、正体がバレることはない。
「相変わらず、超容姿ないですね」
「このぐらいは当然でしょ? それに迷惑料として
しっかりと貰わないとね」
さて、さっさとここから離れる事にしよう。
目の前で気絶している
良い物を貰ったよ、
ボクは全ての証拠などの一切を消して、絹旗達と
一緒にその場から離れた。
「〜♪ 溢れる木漏れ日が眩しいわね……日焼けをして
しまうのは困るけれど、こうじゃないと夏って感じが
しないわよね」
美琴は上機嫌に鼻歌を歌いながら、肩まで届く茶髪の
ボブカットをかきあげて、視線を空の方へ向けながら
笑顔でそう言った瞬間、くるりと一回転して常盤台の
制服の灰色のプリーツスカートをはためかせる。
「………」
そんな肌を焼くような日差しと大量の蝉の鳴き声が
響く公園で美琴を眺めている人物がいた。
(こんな気色悪いお姉様は、初めて見ますの)
その人物は、白井黒子であった。
黒子はいつもとは違うそんな美琴の姿を見た黒子は
なんとも言えないようなそんな表情を浮かべていた。
更には夏の日差しの暑さのせいなのか、顔には大量の
汗を流して、口の口角をぷるぷると震わせていた。
「あ、セミの抜け殻♡」
お姉様と慕っている黒子にとっては、蝉の抜け殻を
笑顔で突いて戯れている美琴のその行動に困惑すら
浮かべる。
(つい先日まで何をするにも、心ここにあらずな
風でしたのに……)
なぜなら、最近何か思い詰めた表情を浮かべている
そんな美琴の姿を目撃しているからだ。
黒子が考え込んでいると
「黒子──」
「あ、はい」
黒子の名前を呼ぶそんな美琴の元気な声が聞こえて
きたので、すぐに美琴に視線を向ける。
「なに飲む───? おごちゃうぞ──」
すると美琴がにっこにっこの笑顔で、自動販売機の前
に立っており、明るく元気な声で黒子に何を飲むかを
聞いていた。
(いつも回し蹴りをブチ込む、常盤台内伝である故障
自販機。しかも黒子の分まで……)
「ちぇいさーっ!」というふざけてる叫び声と共に、
自販機の側面に上段蹴りを叩き込んでいる美琴の姿が
黒子の脳内に浮かぶ。
美琴は新入生の時にこの自販機に万札を飲まれており
それ以降、容赦なく蹴る様になった。そんな自販機に
蹴りを入れる理由は飲み込まれたその分のジュースの
代金をもらう権利があるという理由らしい。
「う、えっと。で……では、アイスコーヒーを」
「ん」
黒子は真っ青な顔して慌てた表情を浮かべながらも、
美琴の元へと急ぎ駆け寄り、アイスコーヒーを注文を
すると同時に止めようとする。対して、美琴は機嫌が
良いのか、そんな黒子の返事に素直に答えて問題の
自販機にお金を入れている。
がっ。
「あっ……」
「おっと」
歪んで剥き出しになってる出っ張りの石畳に黒子の
そうになるのだが、美琴が黒子の身体を受け止める。
「スススススミマセンですの。決してお姉様の胸に
飛び込みたいとか、疚しい気持ちあった訳ではなく
またまた偶然出っ張りに足が引っかかってしまった
だけで……」
黒子の表情は更に真っ青になって、すぐに美琴から
バッと離れて、わざとではないと必死に弁解する。
なんとかしてわざとなどではないのだと伝えないと、
黒子にとって尊敬する美琴に嫌われてしまったなら、
もう生きていけない。
(し、失敗しましたわ……)
黒子は内心で後悔をする。美琴に対する変態じみた
自分自身の日頃の行いしか思い出せない。
(絹旗さんの言う通り、日頃の行いなどを改めるべき
でしたわ……)
同じ一年である絹旗からも、「好意などを示すのは
構わないですけれど、あまり行き過ぎると御坂から
超嫌われてしまいますよ?」というその忠告の言葉
を昔に受けてたからである。
黒子はそんな絹旗のアドバイスの言葉を思い出し
ながらも、急いで視線を美琴の顔へと向ける。
最悪の場合、強烈な電撃を一発、撃ち込まれてくる
覚悟をしていたのだが
「アハハハー、分かってるわよ。気を付けてなきゃ
ダメよ──」
「へ?」
美琴は上機嫌の笑顔で黒子の額を軽く丁寧に小突く。
そんな美琴の反応にキョトンとして、戸惑っている
表情を浮かべていた。
「今日は風があって、すごしやすいわねー」
お、おかしい。
美琴の強力な電撃を受ける覚悟していたはずなのに、
こんなにもあっさりと簡単に許してもらえるなんて
思わなかったのだろう。小突かれた額を触りながら、
いつもとは違う美琴に驚きの表情をしていた。
「私はヤシの実サイダーしようかな。でも500㎖は
飲みきれないしなあ」
竹を割ったようなさっぱりした性格で、少し男勝りな
ところがある彼女の姿を知っている黒子からしたら、
今の美琴の姿は想像がつかないし、本物かどうかすら
怪しく感じてしまう。
「い……いつもなら、電撃が飛んできて当然の場面‼︎
何ですの、この綺麗なオネエサマは。ま……まさか」
ニセモノ⁉︎
最近では、
の実用化などの噂は学園都市の周辺や常盤台中学など
されている。
もし、目の前にいるお姉様がそのクローンであった
ならば、いつもと違うそんな状態にも納得がいく。
と、とにかく。目の前にいる人物が本物のお姉様
であるかを確かめなければ……
覚悟を決めた黒子はポン、と美琴の肩を軽く叩く。
「ん?」
美琴は笑顔で黒子に視線を向けると
「き……
黒子が恐る恐るとその言葉を口にした次の瞬間、
青白い強力な電流が黒子の全身に駆け巡った。
「何よ。いきなり」
「い……いえ……ホンモノでした……」
いきなりのセクハラ発言をしたせいか、黒子の全身
がプシューとこんがりと焼け焦げた音を立てながら、
その場に倒れ込んでいた。
「は? 私が?」
「正直。気持ちわ……いえ、様子がおかしく
見えましたの」
「まあ、ちょっとしたモヤモヤが晴れたからねー。
少しハイになってたかしら」
美琴は購入をしたヤシの実サイダーを飲みながら、
驚いていると、黒子は美琴の質問に戸惑いながらも
答える。黒子の言葉にすぐに顔を真っ赤にしながら、
後頭部辺りをかきながらも、「反省反省」と言葉を
口にしていた。
「悩み事でしたら、わたくしにもご相談をして
頂ければ……」
「相談すんのもバカらしい事だったの」
黒子は心配になって、美琴にそう言ってみるのが、
美琴はツンとした表情をしながら、黒子の言葉に
反論していた。
「てっきり、ニセモノだと思いましたわ」
ピクッ。
”ニセモノ”。その言葉に美琴の肩が微かであるが、
反応してしまう。
「あっ、いえ別に、例の噂話とか関係なく」
「いいわよ。別にクローンとか、くだらないけど
いかにもSFっていう感じじゃない。どうする?
黒子のクローンとか現れたら」
「アハハハハハ……そ、そうですわねぇ」
黒子は慌てた表情ですぐに美琴の顔色などを伺うが、
気にしていなかったのか、美琴は明るい表情で右手に
持ってたヤシの実サイダーの缶を飲みながら、黒子に
クローンの存在について質問をする。
「でもいたら、確かに便利かもしれませんわ」
美琴のクローンの質問に対して、興味を持ったのか、
黒子は口を開く。
「わたくしなら帰りが遅れそうなその時に置いて、
寮監の目をまぬがれたり、先輩の説教を代わりに
受けさせたりしますわね」
黒子は自分のクローンの可能性や使い道などを
美琴の前で自信満々に説明する。
「後でおでこをくっつけて記憶などを読み取れば
完璧ですわ」
「コピーロボットかい」
黒子のそんなあり得ないことに美琴は苦笑いを
しながらも、ツッコミを入れる。
「お姉様は、自分のクローンが目の前に現れたら……
どうなさいますか?」
「ん──、そーねぇ……」
美琴はそう言って、視線を黒子から残ってたヤシの実
サイダーへと向けて、一気に飲み干した。
ゴポ……。
三ヶ月前。学園都市内、某研究所。
「んじゃ、今後のために説明しておくわね」
「よろしくお願いします」
二人の女性科学者達がそう言って、ある巨大な装置を
眺めながら、話していた。
「これが実験体として、適した状態まで成長させた
ヤツよ。受精卵から一四日間でこうなるわ」
ピッ。
眼鏡をかけてる団子頭の科学者女性はそう言って、
手慣れた手つきで、目の前の巨大な装置を操作する。
すると、装置内に満たされていた大量なまでの培養液
が少しずつ減って、装置の扉が開かれていく。
「うわー、本物の人間みたいですね」
「そりゃ、そうよ」
そういう風に作られた
眼鏡をかけた七三分けの女性科学者が目の前にいる
精度の高いクローンの存在に驚きの声を上げていた。
そんな中、装置から出てきた少女はペタンと地面に
座り込んで、周囲を見渡していた。
「ふぇ」
「でも見ての通り。この状態じゃ、精神年齢なんかは
新生児並。言葉も理解できないし、自力で歩く事すら
できないわ」
赤ん坊のように、大声で泣きじゃくってる少女の声が
うるさくて仕方なかったのか、団子頭の女性の科学者
はそう言って、不愉快そうな表情をして、人差し指で
耳を塞いでいた。
「……何してるの?」
「いや、このままじゃ、カゼひいちゃうかなと」
七三分けの女性科学者そう言って、培養液で濡れて
いる少女の頭や身体などにバスタオルをすぐ掛けて、
ガシガシと雑に拭いていた。
「イチイチそんな事ばっかり、やってらんないわよ。
一気に最後まで造るらしいし」
目の前でやっている七三分けの女性科学者の行為に
呆れてしまったのか、団子頭の女性科学者は溜息を
吐いて、クイッと眼鏡を上げる。
「それ。私も聞いてますけど、効率悪くないですか?
調整を繰り返さないと、あまり持たないんですよね。
使うぶんだけ順番に造ってけば……」
「上には上の考えがあるんでしょ。私達は命令通りに
進めるだけよ」
団子頭の女性科学者はそう言って、視線を七三分けの
女性科学者から、目の前で座り込んでいる少女の方へ
向けていた。
ギュル、ギュル。ギュイイイイン……。
とある部屋では、複数の激しい機械の起動音などが
周囲に鳴り響いていた。
「で、さっき言った言語や運動・倫理なんかなどの
情報は『
団子頭の女性科学者はそう言って、白いカプセルの
ベッドに寝かされてる少女の方へ視線を向けながら、
少女の頭に『
装着させて、必要最低限の情報を脳内に入力した。
そして『
『
閉じていたカプセル型のベッドの透明な蓋のカバーが
ゆっくりと開いていく。
「ハロ──。言ってる意味、分かる?」
「日常会話における導入。いわゆる挨拶であると、
ミサカは判断します」
団子頭の女性科学者が確認をするように彼女に声を
掛けると、先程、泣きじゃくっていた少女の表情の
感情など、一切感じられないポーカーフェイス並み
の無表情な表情で、機械のような冷静な返答などを
していた。
「検体番号は?」
「九九八二号です」
「ミサカネットにも繋がってるみたいね。
とりあえず、これ着て頂戴」
「………」
団子頭の女性科学者は少女から検体番号の確認が
取れた後、透明な包装に綺麗に入ってる黒一色の服
を少女に手渡した。すると、少女はそれを受け取り、
躊躇いすらせずに二人がいる目の前で堂々と着替え
始めた。
「何ていうか、こうやって堂々とされるとこっちも
恥ずかしくなってきますね。もう少し羞恥心とか、
追加してもいいんじゃないですか?」
「余計な感情を追加して、反乱でも起こされたりでも
したなら大変よ。「安全装置」の方だって、完璧とは
言えないんだから」
九九八二号と名乗った少女が堂々と着替えてる姿を
見て、恥ずかしくなってしまったのか、七三分けの
女性科学者は視線を逸らしながら、団子頭の女性の
科学者に言うのだが、反乱される事を恐れたのか、
却下する。
「『
天才少女が監修したらしいし」
「は──」
二人がそんな話をしていると
「お待たせしました。次は何を? とミサカは命令を
待ちます」
着替えなどが終わったのか、二人に声を掛けていた。
九九八二号と名乗った少女のその姿は、生地が薄くて
紐で結ばれているだけの黒一色の面積が少ない際どい
服だった。
「そうね。次は……」
ヂョギン。
「……こんなモンかな?」
「健康状態は概ねクリアね」
二人の科学者と九九八二号とそう名乗ってた少女は、
『restore room』と書かれてるプレートの部屋へと
移動をしていた。七三分けの女性科学者は、困惑した
表情をしながらも、腰まで伸びている少女の長い茶髪
の髪を鋏や櫛を使って、歪ながらもボブカットにまで
カットして整えていた。
団子頭の女性科学者は、ご機嫌なのか笑顔で少女の
身体を映し出されている数枚のレントゲンを満足そう
に眺めていた。
「ちょっと一息入れましょうか。缶コーヒー飲む?」
「あ、それだったら、私。自分で淹れたミルクティー
を持ってきてます」
団子頭の女性科学者がそう言うと、カットなどが
終わったのか、鋏などの一式を片付けた後、自分の
仕事用の机の上に置かれていたバッグから、愛用の
魔法瓶を取り出していた。
「紅茶専門店で飲んで美味しかったから、奮発をして
買ってみたんですよ」
七三分けの女性科学者は愛用である魔法瓶を開け、
用意していたのか、トレイに乗っている装飾などが
されていない複数のティーカップに紅茶をゆっくり
注ぎ込んでいく。
「特別にアナタも」
七三分けの女性科学者は自慢する様にそう言って、
九九八二号と名乗った少女にもティーカップなどを
用意して紅茶を注いでいく。
九九八二号とそう名乗った少女は、琥珀色の紅茶が
注がれたそのティーカップを受け取り、何も言わず
口に付けて、無言でゆっくり喉に流し込んでいく。
「どう? 一缶二万もする高級なヤツなのよ」
自信があったのか、九九八二号とそう名乗った少女
に紅茶の感想を聞く。その表情は期待をするような
表情だった。
しかし、七三分けの女性の科学者が予想をしていた
感想は返ってくることがなかった。
「不味いです」
「なぬっ!」
不味い。九九八二号とそう名乗った少女は表情などを
変えずにハッキリと両断した。七三分け女性の科学者
は納得がいかないのか、額には大きな青筋がビキッと
浮き出ており、不満の声を上げる。
「ち……ちょっと。クローンにこの濃厚な味などは、
難しかったかしら?」
所詮はクローン。この紅茶の濃厚な味や芳醇な香りが
わからないのも仕方ない。期待し過ぎてしまったか、
そう考えていると
「この茶葉はきちんと蒸らしましたか? とミサカは
問います」
「え? いや……」
知らなかったのか、九九八二号とそう名乗った少女の
言葉に困惑した表情を浮かべていた。
「紅茶の旨みを引き出す基本です。また、使用をした
湯の温度が低く、新鮮でないとミサカは推測します。
電気ロボットのお湯は紅茶に向きません」
そう言って、七三分けの女性科学者が嬉々として
用意した紅茶が入ったティーカップを眺めながら、
感想や推測などを口にする。
更に、紅茶への感想のダメ出しを早口で続ける。
「ミルクは熱湯で温めたミルクピッチャーに注いで
準備する。茶葉の量などは1.7倍にするべきでした。
あらゆる意味で、配慮が足りないため素材の良さを
殺してしまった失敗作であると判断します」
「う、うう……」
失敗作。そんな厳しい言葉が、七三分けの女性科学者
の心の奥底に突き刺さり、ズタボロに打ちのめされて
いく。
「初めて飲んだ紅茶がコレなのかよと、ミサカは嘆息します」
「初めて飲んだヤツに失望されたー⁉︎」
「アッハッハ」
少女は最初に口にした紅茶の不味さに「はあ……」と
あからさまな失望や落胆の溜息を吐くと、七三分けの
女性科学者が少女の態度に頭を抱えて、悲鳴じみた声
が部屋に響き渡る。そんな姿を見ていた団子頭の女性
科学者は高らかに笑い声を上げる。
「もうすぐ実験も外へと移行するし、外部研修が
始まればちゃんとした紅茶も飲めるかもね」
「ちょっ……⁉︎」
「外部……」
団子頭の女性科学者が面白そうにそう言うと、
七三分けの科学者と少女が反応する。
「研究所の外とは、どういった所なのでしょうか?」
「そーねぇ」
少女の質問に対して、団子頭の女性科学者は紅茶を
片手に、少し考える仕草をしていた。
「薬品の匂いが充満しているココと違って、空気は
おいしいわよ」
「外部の大気には、味覚を刺激する成分が含まれて
いるのですかっ⁉︎」
「街はどこでも人で寿司詰めだけどね……」
「人が容器に詰め込まれてる⁉︎」
二人の女性科学者達のそんな言葉が少女にとっては
衝撃的だったのか、新たな複数の情報に目を見開き、
声を上げていた。
「ミサカは驚くとともに、外の世界に対する認識を
新たにします」
少女は外の世界の情報を聞いて認識を改めていると、
団子頭の女性科学者は紅茶が入ったティーカップに
一口だけ付けてみるが、想像以上に紅茶が美味しく
なかったのか、その場に吐き出した。
「まーそれにちなんで、今後は対人対応テストなんて
ものも実施するそうよ」
そして、対人応答テストという内容の説明をする。
「! ミサカは既に完璧に外部の人間に溶け込む
自信あるので、そのテストの必要性などについて
疑問を投げかけます」
少女が対人応答テストの必要性を質問した次の瞬間、
パチッと音がする。七三分けの女性科学者が持ってた
髪留めを少女の頭に付けていた。
「ハンバーガーの頼み方から、キャッチセールスの
断り方まで習得済みです。とミサカは自己の優秀性
をアピールします」
「この子の知識は何でこう偏ってるかなぁ」
無表情ながらも、えっへんと自慢をする目の前の少女
の姿を見て、七三分けの女性科学者は少女の偏ってる
知識や言葉に呆れてしまう。
「それに外に出たなら、オリジナルと遭遇する可能性
もあるでしょう? ま、だからといって、実験の障害
にはならないだろうけど」
「? オリジナルとは何でしょうか?」
少女にとって、オリジナルというそんな団子頭の女性
科学者の言葉の意味がまったく、理解出来なかった。
「そうね。『
のお姉様ってところかしらね」
「………。お姉様……」
少女のそんな疑問に対し、団子頭の女性科学者は少し
考え込む表情をしながらも、美琴の事などを伝える。
少女は科学者達が言ってるお姉様という言葉と存在に
ときめかせながらも、想いを馳せていた。
「うん。筋力・スタミナ・心肺機能も問題なしっと。
これで晴れて、実験に投入できるって訳よ」
「結構大変なんですね」
研究所の廊下を二人の女性科学者と少女が歩いてた。
二人の女性科学者達は健康診断の資料を眺めながら、
嬉しそうに話し合っている間、少女は無言で二人の後
を裸足でついて行っていた。
「じゃあ、次は常盤台中学と同じ型の制服などが支給
されてるから、それに着替えて……あ、いやその前に
後五・六人呼んでくるから」
何か気が付いたのか、視線をある方向へと向けて
指を指した。
「次の実験までに、片しちゃってもらえるかしら」
団子頭の女性科学者が言った方へと視線を向けると、
少女と同じ顔や姿をしている血塗れの常盤台中学の
制服を着てる大勢の少女達の亡骸が周囲に転がって
いた。
「掃除する前に着替えると服が汚れちゃうからね」
「了解しました」
二人の女性科学者は視線を少女へと向け、ニヤリと
笑いながら、当たり前の事のようにその指示を出す。
少女は光無き瞳を同じ姿と顔をした血塗れの少女達の
亡骸の方へと視線を向けながら、機械のような感情の
無い静かな返事をした。
「これでわかったかしら?」
「は、はい。なんとか……」
二人の女性科学者達は、少女に最初は掃除の指示を
出した後、次の実験場に向かうため移動しながら、
実験の手順の確認する。
「それよりも、気を付けなさいよ」
「? ど、どうしてですか?」
団子頭の女性科学者のその言葉の意味などがまったく
分からなかったのか、七三分けの女性科学者はすぐに
質問をする。そんな彼女の情け無い表情を見た団子頭
の女性科学者は呆れた溜息を吐いていた。
「これは極秘事項の内容なんだけれど……クローンが
一体、いなくなってしまったのよ」
「そ、それって、かなり重大じゃないですか⁉︎」
そんな重大な内容を聞いて、七三分けの女性科学者は
驚きの表情を隠せずにいた。彼女が驚いてしまうのも
無理はなかった。
『
厳重過ぎる程の管理をされているからである。
「外部研修に出ている『
言ってはいるんだけど、なかなか見つからなくてね」
「こ、心当たりは……?」
「無いわね。その時には、私を含めた三名の科学者達のうち二人が身体をバラバラに解体されていたわね」
『
身体をマネキンのように切断されたそんな惨たらしい
姿が研究室に広がっていたのだ。
団子頭の女性科学者は疲れてる表情をさせながら、
「余計な仕事などを増やしやがって……」と悪態の
言葉を吐きながら、眼鏡をクイッと上げる。
「とにかく、今回の実験は絶対に失敗は許されない
一世一代の実験だから、アナタも今回の内容などを
忘れないようにしなさい」
「は、はい! わかりました!」
二人はそう言って、急ぎ次の実験場へと向かった。
ガ──。
コンビニの扉の開く音が静かに響き渡る。
「はぁ……意気揚々と雑誌の立ち読みをしに来て、
先週が合併号だった時のガッカリ感たらないわねぇ」
コンビニ袋を揺らしながら歩く常盤台の制服を着てる
少女──美琴は遠い目をしていた。お気に入りである
雑誌についての独り言などを口にしながら、深い溜息
を吐いてた。その足取りは頼りなかった。
「お盆進行ってヤツかしら。よく知らないけど」
美琴は自分自身でも意味がまったく分からないような
そんな愚痴を口にしながら、小さなコンビニ袋を片手
に休憩などが出来る場所へと向かって、移動した。
「黒子は
今日は午後マルマル開いちゃうなー」
公園へと移動した美琴は、近くにある公園のベンチに
腰を下ろして、コンビニで購入をしたサンドイッチを
コンビニ袋から取り出して、パッケージなどの透明な
包装を丁寧に剥がす。そして、サンドイッチをパクッ
と口に咥えて、モグモグと頬張っていた。
美琴がサンドイッチを咥えながら、午後予定について
考えていると
「ホント?」
「?」
美琴に質問をするようなそんな元気で明るい声が、
背後から聞こえてきたので、振り返ってみる。
「うおっ。アンタ達は、確か……カバン探しの時の」
美琴の目の前には、五人の見覚えのある男女の子供達
が笑顔で立っていた。彼女達は以前、美琴が
と勘違いされた時に出会った子供達であった。
「じゃあ、私達と遊ぼー」
「遊ぼー!」
「い……いや私、忙しくって」
女の子達は美琴の常盤台の制服のブラウスを強く
引っ張って、一緒に遊ぶように必死におねだりを
してくるのだが、美琴本人は苦笑いしながらも、
断って退散しようとするのだが
「ウソー。今ヒマって言ったもん」
「う………」
先程、自分で言っていたその言葉を言われた瞬間、
美琴は何も言えなくなってしまった。先程、自分が
口にしていた独り言をしっかりと聞かれてしまって
いたのである。
「ふ───、しょーがないわねぇ。お姉さんが
付き合ってあげよう!」
「「「わ──い」」」
観念したのか、美琴は両手を腰に当てて、溜息を
吐きながらそう言うと、女の子達は両手を上げて
満面の笑みで喜んでいた。
「プ、お姉さんだって。自分も子供のくせに」
「言ってやるな。年上ぶりたい年頃なんだろ」
美琴と女の子達のやり取りを見ていた男の子達は、
やれやれとしたそんな表情で、美琴の事を小馬鹿に
するような言葉を口にしていた。
「……ホウ」
そんな男の子達の言葉が聞こえていたのか、ピクリと
反応してしまう。美琴としても、このまま舐められた
ままなのは、彼女のプライドとしても許せない。
ならば、年上の実力を見せてやろうではないか!
ダダダダダダ。
走る複数の足音が公園に響く中、一つの空き缶に
近づく人物がいた。
「うりゃ‼︎」
その人物──美琴は、コンビニでサンドイッチと一緒
に購入してた『きなこ練乳』と独特な名前が書かれて
いる空になった空き缶を豪快なまで蹴り上げていた。
子供達と公園で一緒に缶蹴りをしていた。
「逃げるわよ。アンタ達っ」
「わー」
「逃げろー」
「くっそーまたやられた。10回連続……」
美琴はそう言って逃げると、子供達も美琴と一緒に
逃げ出していた。そんな中、鬼役になってる絆創膏
を貼っている男の子は悔しい表情を浮かべていた。
「小学生相手に本気なんか出しやがって!
どこまで飛ばしやがってんだ」
「あっら──? おっかしいわね。私もアンタ達と
同じ子供なんでしょ?」
「ぐ……」
絆創膏を貼っている男の子は、美琴に大人気ないと
声を張り上げて言うが、美琴は先程言われた言葉を
気にしていたのか、子供という言葉を強調しながら、
面白そうに言う。
「オニ‼︎ アクマ‼︎ ヒトデナシ‼︎」
「何とでも」
絆創膏を貼っている男の子は、美琴に視線を向けて
大量の悪口を叫ぶが、美琴はやれやれといった表情
をしながら、大人の対応していると
「アバズレ短パン‼︎!」
ビキリ。男の子のその言葉を聞いた次の瞬間、美琴の
何かが切れる音が聞こえた。
「何つったクソガキッ‼︎」
美琴はかつてない程の形相で、どどどどどどどど、と
もの凄い勢いのスピードで、鬼役になってた絆創膏を
貼っている少年を追いかける。少年も美琴のその姿を
見た瞬間、命の危険を感じ取ったのか、顔が真っ青に
なって必死に逃げる。
そんな二人のやり取りを見ていた団子鼻の女の子は
「いつのまにか、鬼ゴッコいる?」と口にしながら、
首を傾げていた。
「生意気言うのはこの口かぁ〜?」
「ひゃめろ。ファバフレー」
見事に美琴に捕まってしまった絆創膏を貼っている
男の子は、その小さな両頬を引っ張られてしまう。
男の子はそれに負けじと、必死になって足掻く。
そんな男の子の姿を見て、美琴は満足をしたのか、
引っ張っていた男の子の両頬を離した。
「いつか、
やっからな!」
「いつでも相手になるわよ」
絆創膏を貼っている男の子は目に涙を溜めながら、
舌を出してそう言うと、美琴は笑顔でその挑発を
受けて立つ。
「お姉ちゃん。電気使いのすごい人なんだよね」
「ナオくんとおんなじだね」
「そーなんだ」
「うん。でも………」
女の子達はそう言って、視線を美琴からナオくんと
呼ばれた少年に向ける。美琴も同じ能力者と聞いて
気になったのか、ナオくんと呼ばれた少年の方へと
視線向けると、困った表情をしていた。
「ぬ〜〜〜〜〜ッ…………」
ナオくんと呼ばれた少年は力を込めて、自身の能力を
発動させようとするのだが、パチンと僅かな火花程度
しか発動出来なかった。
「ものすごくがんばって、やっと火花が出るくらい
なんだ」
「最初は誰でもそんなもんよ」
ナオくんと呼ばれた少年は、フ──、と息を吐いて
額の汗を拭いながらそう言うと、美琴は暗い表情を
している少年に励ましの言葉を掛ける。
「ナオくんが成長したら、お姉ちゃんとケータイ
できる?」
「ケータイ?」
二人のやり取りを見ていた二つ結びをした女の子が、
視線を美琴に向けながらそう言うと、美琴は少女の
言葉の意味が理解出来なかったのか、困惑した表情を
浮かべていた。
「電気使ってお話しとか」
「ああ……無理無理。意思疎通どころか、相手の位置
もつかめないわ」
少女の言っている言葉の意味などが分かったのか、
苦笑いしながらも、少女の質問に答える。
邪魔をするものが何もなければ、力を感知する事は
できるかもしれないけど、そこらの中に電波などが
飛び交う街中では、それも無理である。
(でもまあ、『
近い者同士ならネットワークなどを構築できるかも)
美琴のそんな説明の内容に対して、二つ結びの女の子
はつならなそうな表情で「なーんだぁ」と小さな声で
愚痴を口にしていた。
美琴が二つ結びの女の子と話していると
「走り回って、汗かいちゃった」
「わたしもー」
缶蹴りをして汗をかいたのか、女の子達はそれぞれ
羽織っていた上着を脱いでいた。楽しそうに話して
いる子供達の声が聞こえてきたので、美琴は視線を
向ける。
その先には、黒髪ロングの女の子が立っていた。
そして”あるもの” を見せびらかしていた。
「お嬢さん。そのバッジはどこで入手した物なのですか?」
「え……、商店街のガチャガチャだけど……」
美琴の目はヤバかった。
両肩を手で押さえられ、ドアップで迫る彼女には
鬼気迫る表情をしていた。
美琴は少女が胸に身に付けてた『羽の生えたゲコ太』
の可愛らしいイラストの缶バッジを目にした瞬間、
美琴の目の色を変えて、女の子の肩を掴んでいた。
美琴達は公園から、とあるデパートの入り口にいた。
美琴を含めた全員は腕を組みながら、目の前にある
大量のガチャポンの機械に視線を向けていた。
(ツマミを回して、カプセルが落ちるタイプか……
アナログすぎて、私の能力などが入り込む余地など
ないわね)
目の前にあるガチャポンの機械の構造を観察して、
脳内で考察などを始める。そして、うずうずとした
感覚を押さえながら、お金を入れてツマミを回す。
ガチャコン。
カプセルが落ちてきた音が聞こえてきたその瞬間、
美琴はすぐさまカプセルを拾って開けるが
「違う」
中に入っていたバッジは、美琴のお目当てのゲコ太の
缶バッジではなく、ニヤリと不気味なまでに笑ってる
カバのキャラのイラストが入ったバッジだった。
美琴はそう言って、缶バッジをガチャポンの近くに
あったカゴの中へと放り込んで、更にガチャポンの
ツマミを回すが
「これも違う」
二つ目のカプセルを開けると、王冠を被っている卵の
キャラのイラストが入っている缶バッジだった。
そして。
ガチャコン、ガチャコン、ガチャコン、ガチャコン、ガチャコン、ガチャコン。
何度もガチャポンのツマミを捻り続けるのだが、
何度回しても、お目当てのゲコ太の缶バッジは
一向に出てこない。
「常盤台の娘がガチャガチャやってるー」
「ホントだー」
必死になって、ガチャポンを回し続ける美琴の姿を
見ていた女性達は、面白そうに笑う声が聞えてきた。
だが、美琴はそんな彼女達の笑い声などを無視して、
無言でガチャポンのツマミを捻る。
「周りの子たちに買ってあげてるんだよ」
「やさしー」
子供達の無言の視線や大人達の生暖かい周囲の視線
など美琴の背中に突き刺さるが、それでもツマミを
捻る手を止める事はない。
(全っ然、出ないわね。種類が多いわ)
いい大人が、幼い子供達が好きそうなガチャポンに
必死なっている姿を見られて、気恥ずかしい。
「ごめん。両替お願いっ!」
「はあ? 何でオレが……」
美琴が絆創膏を貼っている男の子に一万円渡して、
両替してくるようにお願いをする。男の子は美琴の
理不尽な言葉に文句を言おうとするが
「おい、逆らうな。目がヤバイ」
他の男の子が絆創膏を貼っている男の子のその右肩を
叩いて、その言葉を止める。なぜなら、美琴の目には
鬼気迫る程のヤバイ目をしていたからだ。
「お……おう」
絆創膏を貼っている男の子は、美琴の気迫が迫る程の
目と表情を見たその瞬間、気圧されてしまったのか、
素直に両替に向かう。
子供達がそんな会話をしている中、美琴はガチャポン
から視線を離さず、無言でガチャポンのそのツマミを
捻り続ける音が響き続けた。
「で、出ない……」
あれから、美琴は設置されていた全部のガチャポンを
回し終えたのだが、お目当てであるゲコ太の缶バッジ
は一個も入っていなかった。
周囲には、カゴの中に積まれた大量のカプセルの山が
並べられていた。その光景に美琴は項垂れてしまう。
「えっと。よかったら、私のと交換……」
黒髪ロングの女の子は、美琴の項垂れている姿を見て
可哀想に思ったのか、胸に付けてるゲコ太の缶バッジ
を取り外すそうとすると
「駅前に同じのあったよ」
二つ結びの女の子がその言葉を言った次の瞬間、
美琴は駅前の方向へと全速力で走って行った。
「や、やった。ようやく……」
美琴は目元に涙を溜めながら、震えてるそんな手で
お目当てであったゲコ太の缶バッジを空へ掲げてた。
ただし、目的であるゲコ太の缶バッジを手に入れる
ためにかなりのものを犠牲にしてしまった。
美琴の周囲には、大量のカゴとカプセルの山などに
囲まれていた。ゲコ太の缶バッジをこの手に入れる
ために大量の金額を投資した。
ここで手を抜いたら、ゲコ太をこよなく愛する屈指の
ゲコ太ファン(ゲコラー)であり、関連のグッズなど
多数収集する愛好家でもある美琴自身のプライドが、
それを決して許さない。
「よかったねー」
「ありがとう♡」
二つ結びの女の子は、かつてない程に喜んでいる
美琴の姿を見ていて、笑顔で声を掛けると美琴は
そんな少女の言葉に笑顔で、感謝の言葉を言う。
すると、周囲から賞賛の声やパチパチいうと拍手の
音などが響いてくる。「ホントによかった」という
子供の声など聞こえてくる。
「これで、ようやく……」
そう。これでようやく……ようやく?
美琴が手元にあるゲコ太の缶バッジを眺めながら、
ある疑問が脳内に過ぎる。
何に使うんだ。コレ?
好きな作品の関連商品を全て手に入れたいという
コレクター魂に火がついて、後先考えず暴走した
経験があるではなかろうか?
はあ……またですの?
御坂はゲコ太関係のことになってしまうと、見境が超なくなりますよね……
(あの子みたく服なんかにつけるのがアウトなのは、
さすがに私でもわかる。というか、その時の黒子の
かわいそうなものを見る目と絹旗のあきれたような
目が想像できる)
美琴の脳内の黒子と絹旗の二人からの視線が美琴に
突き刺さるのを感じるような気がした。
「いやでも鞄になら、ギリギリ……」
美琴がゲコ太の缶バッジの使い道などについて、
必死に悩んでいると
「あ、下校時間だ」
周囲には下校時間を知らせるアラームが響き渡った。
二つ結びの女の子のその言葉を聞いた瞬間、美琴達は
駅前のガチャポン売り場を後にした。
「まだ全然、明るいのにねー」
「夏は陽が落ちるの早いから……」
美琴と子供達は一緒に帰っていた。子供達は先程、
美琴がガチャポンで出した大量の缶バッジを上から
下まで貼り付けていた。
美琴の両方の手には、二つ結びの女の子と団子頭の
女の子の小さな手を握って、ゆっくりと歩いてた。
「私もアンタ達くらいの頃は……」
キィィィィィィン。
「……っ」
「どうしたの? お姉ちゃん」
美琴が子供達と話していたその瞬間、美琴の言葉を
止まってしまった。美琴の違和感に気付いたのか、
心配そうな表情で声を掛ける。
「え、ううん。何でもないわ。
気をつけて帰んなさいよー」
「はーい」
「バイバーイ」
しかし、美琴の笑顔と言葉で安心したのか、
子供達は美琴とその場で別れる。
「何? さっきの感覚……」
美琴は視線を登り階段へと向けていた。
今まで感じたことがない感覚に恐怖を覚えた。
全身から、大量の冷や汗も流れる。
(私によく似た力。……いや、私自身の力の放射を
外から浴びせられたような……)
自分と同じ力を感じ取って、ある疑問が浮かんだ。
「…………」
美琴の顔には一筋の汗を流し、ごくりと生唾を呑む。
そして、ある可能性が脳内に過ぎる。
(ありえない……でも、でも……)
そんな可能性を振り払うかのように、美琴は全力で
階段を駆け上がっていく。この時、美琴は自分自身
の目で確認しなければ、いけない気がした。
「は───、は───。確か……この辺りから……」
美琴は息を切らしながら、周囲を見渡していると、
とある方向へと釘付けになる。
「ッ……」
そして、美琴は息が止まった。時間さえ止まった
気さえする。思考も停止してしまった。
そして、美琴は理解する。
これは誤魔化せない現実なのだと確信する。
なぜならば、
黒い軍用ゴーグルを被っている自分と同じ顔をしてる常盤台中学の制服を着ている少女が、自分の目の前に立っていたからだった。
最後まで読んでいただきありがとうございます‼︎
これからも皆さんが『応援』をしていただければ、
『更新』をする頻度が更に上がる可能性があるかも
しれません‼︎
【報告】
今回は無事に『東方墨染ノ残花』の『
更新作品である『五等分花嫁 繋がり合う絆』や
『デート・ア・ライブ ■■■の精霊』などの作品を
近いうちに『更新』をする予定ですので、是非とも
楽しみにしてもらえたら、本当にありがたいです‼︎