とある暗躍の幻視者   作:灰ノ愚者

7 / 7
今回は九月に入ってからなんとかすぐに更新をする
ことができました‼︎


今回は『8035文字』 までの膨大な量を頑張って
書きましたが、豆腐のようなクソナメクジメンタルの
自分はきちんと面白く書けているのかととても心配に
なります……(汗)


10月9日放送予定である『とある暗部の少女共棲』の
エンディング曲は『岸田教団&THE明星ロケッツ』の
「原子崩し(メルトダウナー)」を記念して更新をしました。


【お気に入り】や【しおり】、【投票】、【感想】
などいただければ、豆腐のようなそんなメンタルで
脆い自分も更に『創作意欲』が増していきます‼︎


面白く出来ているかどうか心配でいっぱいですが
一生懸命にたくさん書きました。


最後まで読んでいただいてもらえたら嬉しいです‼︎


絹旗ちゃんはやっぱり、最高ですね! (絹旗好きの作者)


一方通行(アクセラレータ)

「お姉様は……もしご自分のクローンが現れたら

どうなさいますか?」

 

 

黒子が笑顔で私に質問をしてきた。恐らく、深い意味

はないだろう。

 

 

「ん──……そーねぇ」

 

 

私は、手に持っていた緩くなってしまった缶ジュースの

缶に口をつけながら、少しの間考えて、

 

 

「やっぱり薄気味悪くて、私の前から消えてくれー

って思っちゃうわね」

 

 

笑顔で黒子の質問にそう答えていた。

 

 

 

 

 

 

 

「わあ ゙あ ゙あ ゙あ ゙あ ゙あ ゙あ ゙あ ゙ッ‼︎」

 

 

 

美琴は目の前の少年に向かって走り出していた。

 

 

ミサカと名乗った少女を躊躇いなどなく殺した少年に

殺意と最大の青白い電撃を纏って突っ込む。

 

 

そして、美琴が強力な電撃を纏っている右足で地面を

力強く踏むと、周囲に大量の砂鉄が渦巻いていく。

 

 

「おおっ、スゲェスゲェ。何だ、新ワザかァ?」

 

 

そんな美琴の見た少年は、面白そうにニヤリと笑みを

浮かべてる。その笑みは、面白い玩具を見つけような

嬉しそうな笑みだった。

 

 

そんな笑みを浮かべている中、渦巻いた大量の砂鉄は

少年の方へと向かって飲み込んでいく。

 

 

美琴は警戒しながら、注意深く見ていると、

 

 

「ふーン。磁力で砂鉄を操ってンのか、おもしれー

使い方だ」

 

 

「ッ」

 

 

大量の異常な砂鉄が渦巻いている中、平然とした

少年の声が聞こえてきた。

 

 

 

その瞬間、

 

 

 

「ネタが割れたら、どーってことねェがな」

 

 

少年の周囲に渦巻いていた大量の砂鉄が一瞬にして

霧散した。

 

 

(そんなっ、アレを食らって傷一つ負ってない⁉︎

一体………)

 

 

美琴は驚愕の表情を浮かべていた。なぜなら、美琴の

最大出力の10億ボルトに近い出力を駆使した砂鉄の渦

が一瞬にして消えたからだ。

 

 

美琴は困惑を浮かべながら、ゆっくり周囲を見渡して

いると”ある物”が瞳に映る。

 

 

それは、血塗れになったミサカと名乗った少女の右足

が転がっていたからだ。

 

 

 

ドクン。

 

 

 

そんな惨たらしく引き裂かれた少女の血塗れの右足を

見た瞬間、美琴の鼓動が激しくなる。

 

 

「〜〜〜〜〜〜──ッ」

 

 

そして、両手で肩を強く抱きしめて、声にならない

叫び声を出す。

 

 

美琴の身体や周囲から、かつてない程の青白い電撃が

漏れ出してしまっている。それどころか、制御すらも

出来なくなっている。

 

 

そのせいか、美琴の周囲にある大量の列車のレールが

浮かんでいる姿は、まるで大蛇のように束になって、

少年へと向けられていた。

 

 

「……? このパワー。オマエ……」

 

 

少年は美琴の出力を見て、違和感に気付いたのか、

驚愕の表情を浮かべていた。

 

 

 

しかし、少年に向けられている大量の列車のレールが

無慈悲に襲いかかる。

 

 

が。

 

 

 

ガアアン。

 

 

 

 

「ぐっ……」

 

 

 

美琴が放った大量の列車のレールが、美琴に向かって

飛んできたからだ。

 

 

自身に飛んでくる数本の列車のレールをなんとかして

避けてみせる。

 

 

(何が……)

 

 

美琴は困惑しながらも、視線を目の前にいる少年へと

向けてみると、

 

 

「そ、そんな……」

 

 

あれ程までの大量の列車のレールが飛んできたのに、

目の前の少年は、何事もなかったかのように平然と

立っていたのである。しかも、無傷である。

 

 

(私の攻撃をあしらえる能力者なんて、あのバカ

以外には……)

 

 

美琴の脳内に浮かぶのは、自身の事を「ビリビリ」

という変なあだ名を付けるドの付くほどお人好しかつ

世話焼きで、美琴と同じく正義感の高いウニのような

ツンツンヘアーの少年の姿だった。

 

 

自身の電撃を打ち消して、平然としていられるのは、

あのお人好しだけだと思っていたのだが……。

 

 

「そうかそうか。予定と違うから何かと思ったら、

オマエ、オリジナルかァ」

 

 

 

ゾクゥッ。

 

 

 

少年は笑ってこちらへと質問してきただけなのに、

美琴の背筋に寒気が走る。しかも、『オリジナル』

というそんな言葉を言う時点で、布束という研究者

と同じ、今回のイカレてる研究の関係者である事は

間違いないだろう。

 

 

「クローン共は、目の前のオリジナルの代わり……

てこたァだ。オマエを戦れば、こンなダリィ作業も

グッと短縮などできンだろォ? イイ加減飽き飽き

してたンだ。頼むぜェ、オリジナル」

 

 

少年は口角を吊り上げながら、美琴にそう言って、

一歩、また一歩とゆっくり近づいてくる。

 

 

「何で………何でこんな計画に加担したの……?」

 

 

「あァ? 何だ、イキナリ」

 

 

「答えて! それだけの力があって……無理矢理

やらされている訳じゃないでしょ」

 

 

それに対して、美琴はコインを構え、少年へ向ける。

そんな美琴の表情は、真っ青で冷や汗を流していた。

 

 

「こんなイカレた計画に協力する理由は何⁉︎

あの子に恨みでもあったわけ?」

 

 

「理由? 理由ねェ。そりゃあ」

 

 

美琴の質問に対して、少年は少しの間、考える

仕草をして、

 

 

そして。

 

 

 

「絶対的なチカラを手にするため」

 

 

 

は?

 

 

少年の言葉を聞いた瞬間、美琴の思考が一瞬にして

停止してしまっていた。そんな中、少年はその口角

を更に吊り上げて、月を見上げながら、握りしめる

ように右手を上げて、握りしめながら言葉を続ける。

 

 

「最強(レベル5)だとか、学園都市内で一位だとか、そンな

つまンねェもンじゃねえ。俺に挑もうと思う事すら

許さねえ程の絶対的で圧倒的なチカラ、『無敵(レベル6)』が

欲しーンだよ。オマエも超能力者(レベル5)なら分かンだろ?」

 

 

「何よ……それ……」

 

 

少年が上機嫌で、研究に協力する理由などを言うと、

震えながらも、美琴はゆっくりとだが、口にしてた。

どうやら、美琴が震えている理由は、恐怖ではなく、

怒りで震えているようだった。

 

 

 

「ゼッタイテキなチカラ? ムテキ? そんな……」

 

 

 

ミサカと名乗った少女と過ごした一日。

 

 

血塗れになって、動けなくなった少女の姿。

 

 

そして、目の前の廃棄列車の下敷きになって死んで

しまった少女の姿。

 

 

 

その記憶が、美琴の脳内にフラッシュバックする。

 

 

「そんな事でっ。アンタはっ、そんなッ」

 

 

美琴はギリッ……と歯ぎしりして、

 

 

 

「そんなモノのためにあの子を殺したのか────ッ‼︎!!!」

 

 

 

10億ボルトの強力なまでの青白い電撃を身に纏わせ、

かつてない程の大声を出して、自身の必殺技であり、

自身の象徴である超電磁砲(レールガン)を目の前の少年へ向けて、

容赦なく放った。

 

 

しかし。

 

 

 

ガアアン。

 

 

 

と、甲高い音が周囲に響き渡った。

 

 

どうやら、美琴が放った電撃を纏ったコインが美琴の

背後にある列車のレールに当たっていたようだった。

 

 

「人聞き悪ィな、人殺しみてえに言うなよ。俺が相手

してンのは、ボタンひとつで造れる模造品だぜ」

 

 

少年は平然と表情を浮かべ、口にしていた。まるで、

美琴の放った超電磁砲(レールガン)を何事もなかったかのように。

 

 

「? 何固まってンだよ」

 

 

起きている事が理解出来ず、固まってしまっている

美琴に違和感などを感じたのか、声を掛けてくる。

しかし、一向になっても、美琴から返事などすらも

返ってこない。

 

 

「ああ、そうか。悪ィ悪ィ。今放ったのが、オマエの

とっておきってヤツだったンだな。まァ、仮にも同じ

超能力者(レベル5)だ。クク……まさかこんなシケたもンだと

思わなくてよォ」

 

 

少年が笑いながらそう言うと、美琴の目を見開き、

更に冷や汗を流していた。

 

 

「さて………次はこっちの番だ。そのザマじゃ、

あンま期待はできねえが、ちったあ楽しませて

くれよな三下」

 

 

少年は両手を広げ、ニヤリと口角を上げながら、

美琴にそう言って、美琴に近づこうとすると、

 

 

 

「お待ちください」

 

 

 

二人に待ったをかける声が、その場に響き渡る。

 

 

「予想外の戦闘は予想外の演算に誤差が生じる恐れが

あります。とミサカは警告します」

 

 

その声と口癖を聞いたその瞬間、美琴は目を見開き、

すぐに振り返る。

 

 

すると、衝撃的な光景が映っていた。

 

 

 

そこに居たのは──自分と同じ姿の少女だった。

 

 

 

目の前で死んだはずのミサカと名乗った少女が、

美琴の目の前に立っていたのだ。

 

 

しかも、一人ではない。

 

 

五人、十人……いや、二十人以上の人数がいるのでは

ないかと思えるほどの大量の人数だった。

 

 

 

制服も。

 

 

髪型も。

 

 

癖毛の跳ね方まで。

 

 

何もかも。

 

 

自身と同じ姿をしたそんな大勢の少女達の姿を見て、

美琴は戦慄する。

 

 

そして、美琴は理解する。目の前にいる少女達こそが

自分のクローン、 妹達(シスターズ)であるのだと。

 

 

「特にお姉様は超能力者(レベル5)ですので」「戦闘により生じる歪みは」「非常に大きく」「期間の短縮はおろか」「計画の破綻する恐れなどがあります」「またミサカには、今後予定されている実験に合わせた」「チューニングが」「施されており」

 

 

「計画の途中で変更する事は、極めて困難であると

ミサカは説得します」

 

 

美琴とミサカと名乗ったあの少女と同じ姿をしている

少女達が、それぞれリレーするように言葉を口して、

少年の行動を制止していた。

 

 

「チッ。分かった分かった、分かりましたよ。

ちょっとからかっただけだっての。リレーして

しゃべンな、気持ち悪ィ」

 

 

少女の制止するそんな言葉を不愉快に感じたのか、

少年は舌打ちして、追い払うような仕草をしていた。

 

 

目の前で二人が会話している中、美琴は今起きている

悪夢のような目の前の現実を受け入れられないのか、

呆然として動けずにいた。

 

 

「……ハッ。そーいやァ、自己紹介がまだだったな。

オマエのクローンにゃ、たくさン世話ンなってンぜ。

俺の『無敵(レベル6)』化を従順になって手伝ってくれてンだ。

感謝しなきゃな」

 

 

大勢の妹達(シスターズ)に見られている中、気にしていないのか、

少年はゆっくりと美琴の方へと向かってくる。

 

 

(最強という称号に飽き足らず、さらにその上を目指す

超能力者(レベル5) ……まちがない。この男は──)

 

 

何かを察したのか、美琴は俯きながら、全身に脂汗を

流していた。

 

 

それどころか、恐怖で顔が歪んでしまっている。

更に声すら出せない。

 

 

(あらゆるベクトルを操る学園都市第一位)

 

 

美琴は確信する。自身の目の前にいる少年の正体を。

 

 

 

「『 一方通行(アクセラレータ)』だ。ヨロシク」

 

 

 

少年── 一方通行(アクセラレータ)は、美琴の耳元で自身の名を囁き、

美琴達に背を向けて、ひらひらと軽く右手を振って、

その場を去って行った。

 

 

 

 

 

「九九九五号から一〇〇〇七号までは、周囲にある

レールの撤去を」

 

 

「一〇〇〇八号以降は──」

 

 

一方通行(アクセラレータ)が去った後、美琴の緊張の糸が切れたのか、

子鹿のようにガクガクと震わせてた膝を、かくんっと

力なく地面に突き、俯いていた。

 

 

そんな状態の中、周囲にいる妹達(シスターズ)達が先程、目の前で

行われた実験場の後始末について、話し合っていた。

 

 

「……アンタ達……何なの……? おかしいよ……。

何でこんなイカレてる計画なんかに付き合ってるの?

殺されちゃうのよ? こんなワケ分かんない………」

 

 

美琴が力ない声で、自分と同じ姿をした少女達に質問

するのだが、返事が返ってこない。

 

 

「何でよ‼︎ 生きてるでしょ⁉︎ アンタ達にも………

あの子にもッ」

 

 

美琴は声を荒げていた。彼女達、妹達(シスターズ)も自分と同じく

今を生きてるのに、自身の命や存在などを蔑ろにして

すらいる。

 

 

「こんなの……これじゃ一体何の為に………」

 

 

今にも泣きそうな表情を浮かべて、うなだれている

美琴がか細い声で、目の前の少女に問いかけるが、

 

 

「ミサカは計画の為に造られた模造品です」

 

 

答えを求めるような美琴の問いに対して、目の前に

立っている少女は、軍用ゴーグル越しではあるが、

機械のような感情のない表情と抑揚などがない声を

出していた。

 

 

 

「作り物の体に、借り物の心。その単価などにして、

一八万の実験動物ですから」

 

 

 

実験動物。

 

 

 

残酷にも、自身の命と存在価値を断言されたからだ。

 

 

美琴の目の前で話をした一人の妹達(シスターズ)がそう言った後、

実験の後処理するために美琴から、落下した廃棄列車

の方へと向かって行った。

 

 

 

 

 

『君のDNAマップを提供してもらえないだろうか?』

 

 

白衣を着た男性の科学者が、優しい声で幼い少女に

DNAマップの提供を要求していた。

 

 

「ダメよ‼︎」

 

 

二人のやり取りをしている中、一人の少女がその会話に

待ったをかける人物がいた。

 

 

美琴である。

 

 

そんな二人のやり取りを阻止しようと必死になって、

声を荒げる。

 

 

「DNAマップは筋ジストロフィーの治療になんかに

使われないっ。それを元に妹達(シスターズ)という大量のクローン

が造られちゃうの! あのイカレてる大規模な実験が

始まっちゃうの。だから……」

 

 

美琴は必死になって、少女に呼びかけるが、

 

 

『……うんっ、いいよ!』

 

 

純粋で優しい少女は、笑顔で白衣を着た男性の科学者の

言葉に頷き、握手をしていた。

 

 

「待って! 聞いてよっ」

 

 

美琴は叫び、手を伸ばすが、白衣を着た男性の科学者と

少女の二人の距離は一向に縮まらない。

 

 

「お願いだから、話をっ………⁉︎」

 

 

美琴と少女の二人が遠ざかっていくその距離を見て、

美琴は少女に向かって、更に叫び、右手を伸ばすが、

背後からガクンと、左手が引っ張られる。

 

 

美琴はゆっくりと背後に振り返ってみると、

 

 

 

『なるほど、お姉様が原因だったのですね』

 

 

 

全身血塗れになった大勢の妹達(シスターズ)が立っていた。

 

 

 

しかも、一人だけではない。美琴と一緒にいたミサカと

名乗った少女を含めた大勢の少女達が、美琴の全身など

を取り囲むようにしがみついていた。

 

 

しかも、無表情ではあるが、まるで美琴を責めるような

表情に見えてしまう。

 

 

そんな少女達の姿を見て、美琴は恐怖で息を飲む。

 

 

 

『ミサカが造られたのも、ミサカが殺されるのも、全部――』

 

 

 

 

 

 

チュン、チュン。

 

 

「う……」

 

 

小鳥の囀るその音を聞いて、美琴が目を覚ますと、

周囲は朝になっていた。

 

 

(そっか……あのまま朝まで)

 

 

あの悪夢のような一夜の残酷な事件を目撃した後、

美琴は妹達(シスターズ)達がいる実験場から逃げ出していた。

 

 

そして、常盤台中学の寮に戻らず、公園のベンチで

体育座りしてそのまま、一夜を明かしてしまってた。

そのせいか、美琴の目元にはクマが浮かんでいた。

 

 

美琴が眠い瞼を擦っていると、

 

 

 

「久しぶりね」

 

 

 

「アンタは……」

 

 

聞き覚えのある声が聞こえたので、美琴は顔をゆっくり

上げると目の前には、一人の人物が立っていた。

 

 

 

布束砥信。

 

 

 

美琴のことを『オリジナル』と呼んでた人物である。

今となっては、『妹達(シスターズ)』や『絶対能力進化計画(レベル6シフトけいかく)』の

非人道で、今回のイカレた計画に加担してる研究者達

のメンバーの一人だと理解した。

 

 

「公園のベンチで夜明かししている不良少女がいると

思えば……regrettadle。あの計画を知ってしまった

ようね。あなたには止める術などすらはないのだから

関わるなと言ったのに」

 

 

布束が注意するように美琴に言うと、

 

 

「言われてない」

 

 

「Oh dear? そうだったかしら」

 

 

美琴は元気なく俯き、反論するが、布束は美琴から

視線を逸らしながら口にしていた。

 

 

「………何で。何であんな酷い事ができるの……?

絶対能力(レベル6)だか何だか知らないけれど、大勢の人達を

殺してまで、手に入れたいものなの? あの実験に

関わっている人間、皆イカレてるわ」

 

 

異常者。

 

 

美琴から見た視点では、研究者達も、一方通行(アクセラレータ)も、

そして、妹達(シスターズ)達もそう見えてしまった。

 

 

理解が出来ない。

 

 

美琴がうずくまっていると、

 

 

「少し……違うのよね」

 

 

そんな美琴の言葉に、布束は優しい声で訂正する。

 

 

「どこかイカレてるっていうのは否定しないけど、

理非善悪を言っているのなら話が変わるわ」

 

 

イカレている事は否定せず、布束は自身の考えを

丁寧に話始める。

 

 

「例えば、ガンなどを完治する治療薬の開発のメドが

立ってとして、それにモルモット二万匹の実験データ

が必要だとしたら。あなた………今、仕方ない事だと

思ったでしょう?」

 

 

「………屁理屈よ」

 

 

「同じ命なのに?」

 

 

布束の思考と理論を聞いて、納得いかなかったのか、

美琴は反論するが、布束は美琴の言葉を聞いた瞬間、

すぐに質問するように問いかける。

 

 

「少なくとも彼ら、研究者にとっては、同じ事なの。

絶対能力(レベル6)に至る為に人工的に製造されたモルモット」

 

 

研究者達から見た妹達(シスターズ)は、格好の良い素材であり、

まさに布束の言う通り、モルモット(実験動物)であった。

 

 

「もちろん私利私欲などでやっている者もいるし、

本当にネジが外れている者も少しはいるわ。でも、

彼らの研究者には殺人を犯している認識はないの。

私もそうだったから……」

 

 

布束が美琴にそう言うと、美琴は顔を上げて半眼で

睨み付ける。

 

 

「アンタがマネーカードをバラ撒いたのは、実験を

妨害する為だったんでしょ?」

 

 

「そうね」

 

 

「計画に加担してたのに何で……? 人間じゃない

……造り物を守る為に何でそんな……」

 

 

美琴は布束の考えが理解出来なかった。このイカレた

計画に加担してたのならば、絶対能力(レベル6)へと至る為に

目指していたはずだ。

 

 

「前の計画がすぐに凍結されて、私は一度チームを

外れたわ。でも、『妹達(シスターズ)』が『絶対能力進化(レベル6シフト)』計画

に引き継がれた際に、再度呼び戻されたの」

 

 

布束はそう言って、その時の事を語り始める。

 

 

 

 

『屋内実験などが開始されても、個々の精神に特段と

問題などは無し。『ミサカネット』の方も………異常

は無いようね。外部研修に出る当たって、何か聞いて

おきたい事はあるかしら?』

 

 

基地内のエレベーターが上がっていく中、布束は資料

に目を通しながら、少女に質問をすると、

 

 

『外の空気は甘いのでしょうか。辛いのでしょうか』

 

 

『?』

 

 

布束の質問に対して、少女は質問する。それに対して

少女の質問の意味が理解が出来なかったのか、布束は

頭を傾げる。

 

 

『外部の空気はおいしいと教わりました。ミサカは

甘い方が好みなのですが、とミサカは自身の好みを

吐露します』

 

 

無表情であったが、少女は外の世界へ興味あるのか、

そわそわそわとさせていた。外の世界を楽しみにして

いたのが伝わってくる。

 

 

『……まあ、実際に出てみれば分かるわよ』

 

 

布束がそう言った瞬間、エレベーターの扉が開く。

 

 

『今日は日差しがきついわね……』

 

 

布束は自身の手で遮りながらも、少女と一緒に屋上を

歩いて行く。

 

 

『失望させちゃったかしら?』

 

 

いつも見慣れている当たり前の景色を眺めながら、

布束が呆れながら問いかけると、

 

 

『……いえ、そんな事はありません』

 

 

少女は目を見開き、布束の問いにそう答えていた。

 

 

『様々な香りが鼻腔ならを刺激し、鼻を満たします。

一様でない風が髪をなぶり、身体全身を吹き抜けて

いきます。太陽光線が肌に降り注ぎ、頬が熱を持つ

のが感じられます』

 

 

少女は両手を広げて、

 

 

 

『世界とは……こんなにも、まぶしいものだったのですね』

 

 

 

目の前の少女の言葉を聞いた瞬間、布束の見る世界が

変わった気がした。

 

 

 

 

 

「我ながら単純だと思うけど、あの時から私は彼女達

を造り物とは思えなくなった。この世界が歪んで醜い

ものにしか見えなくなっていた。私よりも、彼女の方

がずっと人間らしいと思ったから」

 

 

布束はあの時の彼女の姿を見て、顔を曇らせていた。

まるで、自身の今まで行いを後悔するかのように。

 

 

「あなたは……彼女達をどう見るの?」

 

 

布束がベンチでうずくまっている美琴に質問すると、

 

 

「私は……クローンを人間としてなんて見れないし、

殺される事を受け入れている連中を助けようなんて

思えない」

 

 

自身の価値を実験動物だと決め付け、生きることを

諦めている彼女達を理解が出来ないし、布束の話を

聞いても同情すら出来ない。

 

 

「でも、ひとのDNAマップをくだらない実験に使う

ヤツらを見過ごす気もないわ」

 

 

美琴は顔を上げて、鋭く睨み付けながらそう言って、

座っていたベンチから立ち上がる。

 

 

「私が撒いた種だもの。自分の手で片をつけるわ」

 

 

覚悟を決めたのか、自分自身の手で終わらせる決意を

口にして、ゆっくりと歩き出す。

 

 

「素直じゃないわね。計画の関連施設は二〇を超えて

いるわよ。ひとりでやるつもり?」

 

 

「私を誰だと思ってるの?」

 

 

布束の問いに、美琴は視線を布束に向け、低い声を

出して答える。

 

 

自分のDNAマップを使って、今回の実験に加担してる

ヤツらの計画などをこの手で潰すと決意した美琴は、

布束の身体を退かして、公園から去って行った。




最後まで読んでいただきありがとうございます‼︎


これからも皆さんが『応援』をしていただければ、
『更新』をする頻度が更に上がる可能性があるかも
しれません‼︎


今回の更新は『デート・ア・ライブ ■■■の精霊』
や『転生したらスライムだった件  ■■の魔王』と
『五等分の花嫁 繋がり合う絆』を更新しますので、
見てもらえれば嬉しいです!


他にも『投稿作品』 がありますので、そちらの方も
よろしくお願いします!



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