買い食いしたけどちょっとカバンに袋に入れてしまったつもりが、袋ごと行方不明に……美味かったのに……っ!
それはそれとして本編!!
《観束総二 Side》
テイルレッドになって避難誘導とかの手伝いをしてるけど、凄いことになってるな。
「基本性能が高くても、戦い方が下手過ぎるとやっぱ駄目ね。獣じゃ鍛えた人間に勝てないのと同じだわ」
「……いや、獣を素手で倒せるただの人間は達人とかそういうレベルだと思うけど……」
やれやれといった様子のブルーに、
ただそれは通じない。通じないんだ……。
俺はポンと、テイルレッドの状態なので背を伸ばして肩を叩く。
「無駄だ。ブルーは……その点だけは何を言っても信じないんだ」
「……あ、君のツインテールみたいなものなんだね」
とても酷いことを言われた気がする!?
ただ反論する時間は与えられなかった。
「いいから下がるわよ。本格的に動いて明らかに戦線が乱れてるわ」
城戸がそう言うけど、確かに凄く騒がしくなってきたな。
ルルーシュさんと蒼一さんが話し合ってすぐに立てた作戦は割とシンプル。
既に避難が済んでいる地区に誘い込んで、下水道が大きい部分に複数誘導したら崩壊させて足止め。その後ナイトメアのパイロットを気絶させて、起動したままのナイトメアを操って敵部隊をかく乱する……って作戦らしい。
簡単にできるかとも思ったけど、二人の常とう手段を組み合わせた戦法らしい。凄いな二人とも。
『こちらソード0。支援者諸君は下がってくれ……あとは俺達だけでもなんとかなりそうだ』
『キング0より各員。安全確保もそうだが、イレギュラーに対する余裕を確保する為にも下がってほしい。言って離れたところに余剰戦力が待機しているというのはそれだけで大きく変わるからな』
二人ともそんなに疲れてないな。むしろ余裕がある。
「俺達、いつでも助けに行けるように気合入れてたんだけどなぁ」
「いや俺らは楽できるならその方がいいぞ。こんなもん何でも屋の仕事じゃねえし、別に世界の趨勢とかに関わりたい訳でもねえんだよ」
明石のちょっと力の抜けた言葉に、銀さんがちょっと反論してた。
まぁ確かにな。
「ちょっと分かります。俺も基本的には、ツインテールを守るついでに他も守っている感じですから」
「それはちょっと違ぁ~っう!!」
あれ?
銀さんが妙なツッコミを入れてきたけど、そこまでか?
いやまぁ、世界のツインテールは守ってるから世界は守ってる訳で、そこは違うのか?
『あっはっは。残念でしたぁ~! 殿下はゼロとして、並の軍師なら質でも数でも圧倒している戦力を翻弄する戦略家だし、富久山くんってあのトレイン・ゴーストなんでしょぉ? だったらラウンズや皇族親衛隊でも苦戦するような組み合わせだよぉ』
と、離れたところでモニタリングしているロイドさんが能天気な様子でそんな風に言ってきた。
ま、まぁこれなら大丈夫なのか……な?
そう思った時、なんか離れたところで大きな爆発音が響いた。
な、なんだなんだ?
『こちらキング0。敵の動きが先ほどの爆発後に急に変わった。状況は分かるか!』
『はいはいトゥアールちゃんが分かります! ……内側から結界や防壁に一斉攻撃して、増援をなだれ込ませましたね……その所為で戦力バランスが一気に薄くなって、なだれ込めなかった人達がぼこぼこにされてますけど』
え、それって意味がないんじゃないか?
トゥアールの報告にちょっと訳が分からないでいるけど、通信越しに二重のため息が聞こえた。
『こちらソード0。つまりあれだな? 目先の戦闘にしか目に行ってない馬鹿と、それに乗っかった馬鹿軍団が自称名案の愚策を速攻でやったと。外が負けたら潰されるだけだって分かってないのか?』
『同感だ。愚かな手段で打開したと考えているのは有り難いが、頭が痛む。だがこの策を取った場合、防壁側は砲撃を行ってまず外の敵を倒すことに集中するよう事前に伝えている。なだれ込んで緻密な連携が取れなくなったタイミングで削って行けば、時間はかかるがどうとでもなるだろう』
蒼一さんもルルーシュさんも酷評だ。あとルルーシュさん、こうする可能性も考えて前もって指示を出してたんだ……凄いな!
『ただそうなると周辺被害も大きいし、何より避難民の方に突っ込むバカが出かねない。主力はこちらで潰すので、済まないが避難民の護衛を頼む』
冷静に凄いことを言っているけど、大丈夫なのか?
そう思ったけど、蒼一さんの方も自信満々だった。
『とりあえず慣れてきた……というか動かしやすいぞこの機体。明らかに欠陥機なくせして、その欠陥以外が実用性十分すぎる……これであそこまで翻弄されるって、腕は二流の上だが色々残念な連中だな』
『そういう連中だからこそのネオブリタニアなのだろうさ。……この数ならニ十分で片付けられる、急ぐぞ!!』
『オッケオーケー、オールハイルルルーシュってなぁ!!』
自信満々で二人が動き出すけど、なら俺達も手伝えるだけ手伝うか。
「とりあえず、避難所とこの辺りを結ぶルートに陣取ってればいいかな? トゥアール、まずくなったら教えてくれ!」
人間相手の戦いは自身があまりないけど、それでも……俺が守るのはツインテールだけじゃない。
カーミラギルティみたいな奴らと組んでいる組織が相手なら、俺も戦う理由はある!
『……レッド、ブルー! そちらに向かって敵部隊が強引に突破してきています。機種にはガレスとヴィンセントというのが確認されてますが……手古摺るかと!!』
ってこっちに向かってきてるのかよ!?
『なら、こっちも本格的に動いた方がいいんだろうな。追加の乱入者は俺が何とかするから、残りを頼む!』
ってアッシュさん!? どこから!?
《アシュレイ・ホライゾンSide》
防壁を破壊して強引に突入してくる、ナイトメアフレームの部隊。
僅かな部分から突入しようと殺到することで逆に攻撃が集中しているけど、相手は無理やりにでも突破しようと試みている。
戦術的には返って悪手だな。突入して内側から暴れれば勝てると思っているんだろうけど、突入に拘った所為で逆に攻撃が集中して損耗速度が増している。
指揮官が力押しばかりに特化している風に見える。だからこそ、そうでない戦い方に慣れてないんだろう。
話に聞く、かつてのブリタニア帝国のパワーバランスならこれも当然だろう。圧倒的な強みがあるのなら、それを押し付けるのがシンプルかつ確実に勝てる。態々相手の土俵に乗っかるより、よっぽどリスクも損耗も少なく征服できるだろう。
だけど、今は情勢がまったく違っている。それに理解が追いついてないように見える。
かつて圧倒的強者だった頃の感覚が抜け切ってない……いや、今でもそうだという妄想に囚われている。現実の弱体化に気づいていない奴らなんだろう。
そうなると、この作戦そのものが間引きなのかもしれない。
色々俺も調べているけど、シュネーヴァイス軍事同盟はどこまで行っても多数の組織の連合体だ。
シャーデンフロイデという大組織も似たようなものだと考えれば、指揮系統をまとめるのも大変だろう。となると当然、一部の者達の暴走を警戒する必要がある。
イッセー達の話では、二大派閥が相次いで壊滅的打撃を受けた禍の団もそうだった。新しい主導者が実権を握った時には抑えが効かず、ガス抜きの為にあえて暴走させた……などという話もあった。
今回もそれか? それとも、もっと冷酷な判断をしているのかもしれない。
ただ、どちらにしても今回の敵はそこまで脅威じゃない。
圧倒的な力量差がある相手に対する選択肢を、大差が開いている訳でない相手に対して挑んで損害が出ているにも関わらず引いていない。間違いなく、前線指揮官は身の程が分かってない。
だからこそ警戒するべきは、勝敗ではなく被害状況。後でやけになって暴れて、意味もない被害が生まれるような事態は避けるべきだ。
だからこそ、俺が動くタイミングは見計らわないといけない。
一周回って、俺を誘き出す為の罠ではないかとすら思えてしまう。ずさんな戦力と致命的な武装構成が、露骨すぎるような作為的意図すら感じさせる。むしろ意図を思わせることが目的なのかもしれない。
とはいえ、それを理由にして結局出し渋ってむやみに被害を増やすわけにもいかない。
だからこそ―
「……思った以上にあっさり行けたな。やっぱり心理的な枷を張ることが目的か?」
―敵の一団をまとめて撃破できたのは、拍子抜けだった。
三十機強の大部隊を、いとも簡単に吹き飛ばす。敵の携行火器だけを狙い撃ったとはいえ、その携行火器があまりにもこっちにとって都合が良すぎた。
おかげで三十数機の敵部隊は瞬く間に戦闘不能になる。少なく見積もって過半数が大破しており、各座した機体から脱出して逃げまどう敵兵士は放置する。
あれだけの大打撃を一瞬で受けたんだ。これで戦線にも大きな乱れが生まれるだろう。
自分で言うのもなんだけど、一番効果的に使える代わりに虐殺特化の合わせ技だからな。好き好んで使う気はないけれど……まぁ容赦をするべき状況でもないか。
流石にそう簡単にできることではないだろうけど、俺からするとかなり相性がいい。
遠距離から察知した敵が動揺しているが、それでわき腹をさらして防衛部隊に撃破されて行っている。
このずさんな有様に、俺はほぼ確信ができた。
「つまり、捨てに来たということか?」
やっぱりそういうことなんだろう。
圧倒的強者だった頃のブリタニア。その頃のいい思いを忘れられず、情勢が違うことを受け入れられない。
そんな人達を数を揃える為に集め、しかし思い違いの酷い者達を捨てる為の作戦。
おそらく、そんな奴らが自発的に作戦を提案するように誘導もしている。そういうことで間違いないだろう。
ただ、それにしても問答無用で全員切り捨てるのはある意味で思い切ったな。
痛い目を見て懲りる奴らもいるだろうし、そういう者達なら大人しくもなるだろう。彼らも全員切り捨てるという、冷酷な策を取れる可能性は十分あるけどな。あまりいい気分がする作戦じゃない。
ただ、そうでないならある程度の実力者はいるはずだ。非常時に撤退戦を成立させ、更に後詰にいるのならと全員が安心するような……いや。
「いることは確定か!」
飛び退り、その直後に砲撃が着弾する。
反撃で使い勝手のいい光の砲撃を放つけど、それをギリギリの見切りで避ける。
滑り込んだのは、人型のナイトメアフレーム。
飛行可能なナイトメアにあるはずの、翼といえるユニットが見られない。更に若干かすっているような躱し方にも関わらず、装甲はほんの少し陰っている程度。
砲撃もどうやら実弾。小型でありながら非常に強力な爆発力を見せていて、その爆圧を収束させるタイプの形成炸薬弾のようだ。
攻防ともに、前線に出てきていた機体とは一線を画している。
今の、本領が発揮できない界奏だと……流石に苦労する相手だな。随伴機がいた場合、後先を考える余裕がなくなるかもしれない。
『もっと様子見をする気だったけど……どうやら、思った以上に無視できないのがいるみたいね。選別する余裕もなくなりそう』
「なるほどな。やっぱり、切り捨てと選別の為の作戦だったのか」
確信はできたけれど、その対価は重そうだ。
明らかに動きが違う。反応も違う。機体も武装も違うが、問題はそこじゃない。
そんな違う機体と武装を運用するぐらいには、何もかもが違うパイロットだということだ。
『あまり騎士道精神とかないんだけれど、立場が立場だから名乗りを上げるわ』
そして、敵の機体は両腕についたハサミのような武装を構えつつ名乗りを上げる。
『シュネーヴァイス軍事同盟最強戦力、アインベルク。クリス・パーシング・フジワラよ』
その勢いで、クリスを名乗ったパイロットは俺に襲い掛かった。
《富久山蒼一Side》
あーもう面倒なことになってきた!
馬鹿が指揮官だと本当に面倒だ。馬鹿すぎて予想外の行動をとりすぎるうえに、合理性がないから立ち回るのも面倒くさい。
ルルーシュがそこまである程度想定してプランを立てていたから立て直しも進んでいるが、結構な数が突入されたのは大きいぞ!
撹乱しながら防衛部隊が突破された防壁の守りを固める支援も行いつつ、敵をなるべく引き付けて各個撃破。
おかげで奪ったナイトメアが三機ほど撃破されたが、そこは再び乗っ取って解決したので疲れた以外は特に問題ないだろう。今日だけでキルスコアが二十ぐらい増えたぞ……臨時ボーナスが欲しい!!
「こちらソード0! リカバリープランは完了し、防衛部隊による防御ラインの再構築も完了した!」
『キング0よりソード0ヘ。敵KMFを一体、避難所に持って行ってくれ……同時進行で敵部隊の指揮系統を別動隊がハッキングする』
ルルーシュに現状を報告すると、中々切れ味の鋭いプランが叩き込まれた。
いやいや、敵のKMFを利用して、指揮系統をハッキングってマジか。電子戦は現代戦の基本とは言え、そんな簡単にできるのか?
『ナイトメアフレームの基本プロトコルとネットワーク構成は代替把握しました。トゥアールちゃんからしたら四則演算でどうにかなるレベルですね。助手がついているならルルーシュさんのお手間は取らせずやれますとも!』
『こういうのは僕も得意だからね! 人型兵器の相手をするよりは自信あるよ!!』
トゥアールと
まったく慣れてないだろう兵器のネットワークにそこまで言うか。こういう後方型の高いポテンシャルは正直頼もしいな。
「オーケーだキング0。破損度合が少ないのを一機回す。半分オートでやるからこっちの動きが低下するリスクは考慮しなくていい」
騎士の一体を事前に指示した内容を動かすオート型として動かし、残りのナイトメアを乗っ取った側に意識を集中する。
カムデンとかいう機体だが、間違いなく高性能機だ。
この高出力でありながら、一般兵でも問題なく動かせる操作性の両立はなかなかすさまじい。加えて潜在性能も高く、その点だけを言えば傑作機だ。
最も、軍隊全体に普及させる機体としては欠陥機と言わざるを得ないが。試作実験機とか概念実証機ならともかく、正式量産機のナイトメアフレームとしてはどうなんだ、これ。
敵の侵入は再び防いだので、内側に入った敵部隊の壊滅を行動に切り替える。
「通信が繋がるすべての味方に告げる。大型の片刃剣二刀流で移動しているナイトメア部隊は味方だ。多少の流れ弾は構わないが、大技を直撃させるような真似はよしてくれ」
通信で味方に事前通告をしつつ、俺は内部で動いている敵ナイトメアを撃破していく。
ガレスの突入は最小限だが、空を見ても見当たらないのに違和感は覚えている。
あれは空戦特化型のナイトメアのはずなんだが、地上戦での運用は阿保過ぎるだろう……カスタマイズ済みか?
まぁいい。とにもかくにもさっさと内側の連中を片付けよう。
今の所避難所までは到達していないし避難所にも警護班はいるが、そこまで浸透されると避難民の精神的な悪影響がでかい。さっさと片づけるべきで―
『貴様ぁっ! 我らネオ・ブリタニアの機体を使った狼藉は許さん!!』
―向こうから来たよ向こうから。
ライフル二挺持ちで仕掛けてくるのは、カラーリングを変えたヴィンセントの指揮官仕様。カムデンとかいうこれも十数機引き連れている辺り、完璧に一部隊が丸ごと仕掛けてきたようだ。
撹乱戦闘時に損傷はしているがそれ止まり。どうやら多少はできるようだ、が!
「悪いがこちとら、侵略活動が=で悪行になる世界出身でな!! 現状把握してから出直せ、馬鹿が!!」
素早く攻撃を掻い潜って、一気に本丸を狙う。
指揮官期のヴィンセントはこっちの攻撃を回避し、更にギリギリで追撃を受け流して反撃を試みる。
流石にリーダーの動きは他よりは早い。練度が比較的高い部類であり、周囲の部隊もこっちに集まってきているせいで、流石にさっきまでのようにはいかないな。
『薄汚いナンバーズどもとその協力者が! このヒース・ロットがその狼藉の報いを払わせてやろう!!』
うるさい奴だ。とりあえず自己顕示欲が強い奴だというのは分かった。
典型的なブリタニア貴族のダメなパターンだな。差別的思想が抜けてないどころか取り繕うのも嫌だというタイプ。ブリタニア帝国時代はそういうのが多い訳だが。旧ブリタニアの負の遺産ってわけだ。
貴族社会と弱肉強食と競争原理が混ざり合い、酷い差別主義に染まり切っている。とにかく自分達以外が下だという大前提しかなく、上に立つにはどうすればのかいう思考回路が存在していない。
「偉そうにイレブン呼ばわりしたいのならぁ、それだけの能力を示してもらえませぇん? ブリキの癖に錆びついてる時点で笑わせてく~れるぅ~♪」
『貴様ぁ! 状況が不利なのも分かってない馬鹿が!!』
軽い挑発に乗ってくれるからまあ、当分は抑え込めるだろう。
ただ一機やられたな。流石にまだ残ってるだけあり、腕は悪くないレベルではあるんだろう。
さて、ここからどうやって仕掛ける……かっと!!
次回、圧倒的勝利タイム