シルヴァリオ ディアボロスを多重クロスにしないようにする方針も固まりましたが、元L×L第三部の前に多重クロスを一品書き上げたいしこっちも頑張りたい!!
では本編!!
《アシュレイ・ホライゾン Side》
全身の各部を光らせながら、凄い速さで飛んでいくナイトメアフレーム。
それを見送りながら、蒼一は天を仰いで大きく深呼吸をした。
そして五秒後。盛大に肩を落とす。
「なんで何年も前の幼馴染やら恩人と、別々の意味でインパクトの大きい再会を果たすんだ。厄日か今日は」
「大丈夫ですか? その、知り合いらしいですけど」
近くにいた進次郎が気遣うけど、蒼一は苦笑いを浮かべて肩をすくめる。
「大丈夫かっていうとアレだけど、まぁ致命的じゃないな。色々ありすぎて感覚がマヒしてるだけかもしれないけど戦後処理ぐらいは」
これは相当にきついんだろうな。
「その……大丈夫、蒼一君? 無理しなくても、戦後処理は私達現地の悪魔がするよ?」
「あ~まぁ、基本は任せるけどしないわけにもいかないだろ。異世界情報案件となると、そっちと折り合いが付けられる俺が出張るほかないというかなんというか……むしろなんかやって意識をそっちに向けときたい。色々ありすぎ」
姫椿って言われていた人に心配されるけど、蒼一はそう手をひらひらさせながら返す。
まぁ、色々と衝撃も大きいんだろう。
そういう時、何もしない方が色々と考えすぎてしまうことはある。何かに従事していた方が、気がまぎれるところもあるだろう。
ただ、あまりないがしろにしていいことでもないだろうさ。
「本当に必要な時までは休んでいた方がいい。それはそれで大変かもしれないけど、なら言葉に出して吐き出すなりした方が健全だろうさ」
「……ま、確かにそうなんだがな」
俺に反論はせず、蒼一は空を見上げると何とも言えない顔だった。
ただ数秒立って、蒼一は少し影をなくした笑顔で姫椿さんに向き直る。
「色々あってついでになるのは悪いんだが、久しぶりだな姫椿。……その感じだと別れてから少しした程度で悪魔に転生したみたいだし、和平が結ばれてから会えたのは運がよかったのかもな」
そう言われて、姫椿さんも小さく苦笑する。
気安い関係みたいだな。お互い、あまり大きく遠慮をしている風じゃない。
「……そうだね。まさか
そう聞かれて、蒼一はまた天を仰いだ。
本人が一番分かってないんだろうなぁ。当事者って、たまに当事者だからこそ俯瞰できないこととかあるし。そもそも異世界転移とか、実証がされたばかりの世界では原因が分かるわけもないし。
「正直……そこは俺が知りたい。へんな連中に騙されて実験体にされたと思ったら四年間も異世界強制渡り歩きで、三年前に記憶障害だらけで保護されたような認識でさぁ。……異世界が実証されたりなんか混ざりあったりでマジ転移してたって確定したけど、その知り合いが寄りにもよって敵としてとか……頭が痛い」
本当に頭が痛そうだ。当然だろうけど。
姫椿さんもそれを悟ったのか、凄く同情しているようだ。
「主に頼んで、ハーブティでも入れてもらえるように言っておくよ。必要になったら呼ぶから少し休んでていいよ? 今から通信も繋ぐし……アレ?」
そう言っていた姫椿さんは、何故か急に動かなくなって……崩れ落ちかけた!?
「姫椿!? おい、どうした!!」
慌てた蒼一が支えるけど、一体何があったっていうんだ!?
俺達が驚いていると、通信が聞こえた。
『皆さん、敵は撤退しているようですが……ちょっと問題が起きてますね』
トゥアールが、歯切れ悪そうな様子で通信を繋げていた。
「どうしたっていうのよトゥアール。そりゃ、殺し合いになってるっていうなら死傷者も多いとは思うけど、そんなに大変な人に何かあったの?」
愛香が促すけど、一体何があったっていうんだ?
『……えっと、ね?』
と、トゥアールと一緒に通信を担当してた
今度は一体何が起きた?
警戒していると、あやめが通信をすぐに繋ぐ。
「野原君。死傷者の中に要人がいたということでいいのね? それも……こっちにいる姫椿さんの関係者が」
『……うん。この辺りを担当しているグレモリー家の人と、彼の眷属の上級悪魔が殺害されたって』
……っ
それに、俺達は何ともいえない。
その時だ。
『なめるなよ、イレヴンとその連れ合いどもがぁあああ!!』
急に拡声器の声が響いて、俺達は咄嗟に振り返る。
そこにはボロボロのナイトメアフレームが二機、ガレスの腕を抱えていた。
「バイパスを繋いで無理やり運用可能にしたのか!」
「こっちは色々てんこ盛りだってのに……っ!」
ルルーシュと蒼一が舌打ちするのと、ガレスの腕が開くのは同時。
いや、この距離なら俺の対応も十分間に合うけど―
「どっせぇえええっい!!」
―と思ったら、一瞬で横から粉砕された。
『『『『『『『『『『え』』』』』』』』』』』
呆気にとられていると、ナイトメアが大爆発。
そして煙どころか炎まで上がってる中、それを振り払ってゆっくり歩いてくる人がいた。
な、なんだろう。神父さんの服を着た……二十代ぐらいの男がいるな。
「いやぁ~冥界政府の方々だと思いますが、余計なお世話でしたかい? なんか窮地っぽかったんで助太刀しましたが」
なんか状況がよく分かってない感じの人だな。
短く切り揃えた髪のその人は、へらへら笑いながらこっちに歩いてくる。
「いやぁ~すいません。こっちも話すと長くなるんですが、どうしてもご相談したいこと上がありまして。是非とも、是非とも領主の方……ひいては魔王様方にお耳に入れておきたいことがぁっ?」
あと、なんか急に目を丸くしたぞ?
えっと、この人が見てるのは……蒼一と姫椿さん?
え?
「……お前ら、何時の間にデキてたの!?」
「「いや違うから!! っていうか忠っち!?」」
お知り合い!?
《富久山蒼一Side》
もう何が何だかと言いたくなる。
とりあえず、一つ頭の中で整理しよう。
俺は十七の時に両親の死とそれを利用した非合法組織の誘拐が絡み、異世界を渡り歩く真似をするまでは普通の高校生だ。
後天的な移植だから、神器そのものも宿していない。まぁそれは置いておくが、友人関係だって普通にあった。
というか多い方だろう。どんな奇縁か、同じ病院で同じ週に生まれた奴らが同じ小学校に通っていたのだ。
それが縁となり、七人でつるんでいた。色々バラバラなところはあったが、何故か仲が良かった。
理由としては、誰もが心にゆとりがある方がいいという考えだったことがあるんだろう。喧嘩をすることはあったが、やばい所に来るより先にインターバルを挟むように勧め、喧嘩した側も受け入れた。そしてまぁ、それなりの折り合いをつけられたのが大きいだろう。
身の丈に合わない無理はせず、身の丈を少しずつ伸ばしていく。そんな風に生きられたらいいと思い、少しぐらいはそうしていく。そんな、妙なところでできた部分が割とあった七人だったと思う。
そして俺達にはあるややこしい要素があった。
同じ病院の同じ週に生まれたわけだが、器用にそれぞれ生まれた曜日が別々だった。つまり月火水木金土日なんだ。
で、それぞれがそれぞれで苗字か名前が繋がる要素があった。姫椿は木で俺は富久「山」で土。
そしてそれを理由に、幼馴染の合言葉みたいな感じで曜日で点呼するみたいな悪乗りが一時期あった。
その提唱者。両親が揃ってクリスチャンだったことから、本人も緩くクリスチャンだった、ムードメーカー。
その男にして月曜日担当。
そんな奴が、神父の格好で俺や姫椿と同じテーブルを囲んで水をがぶがぶ飲んでいる。
「……っぷはぁ~っ! 新鮮なミネラルウォーターは生き返るぜ!! マジでサンキューな!!」
「それはいいけど……大丈夫? 忠っち、すっごいボロボロだけど」
礼を言われながらも心配する姫椿に、忠っちこと望月忠興は若干遠い目になった。
「いやまぁ大変だったぜ。なんか急に冥界に転移した上、よく分からん連中達がお互いによく分からん状態で大混乱! そのくせ変な連中が襲撃してきたりでさぁ? 色々頑張って冥界だって分かっている俺ら教会のメンバーがとりなして、一度冥界見学ツアーに応募してた俺が意を決して救援求めて駆け出して数日って感じでよ?」
またこいつも大変だな。
「だからもう汚れてるわけだな? とりあえず婦女子の前なんだから、汗拭きシートやるから拭いとけ。一セット丸ごとやるから」
俺は汗拭きシートを一袋丸ごと渡すと、忠っちは顔とかとりあえず見えて言える処を拭きまくる。
もう汚れすぎてて逆に汗臭くないレベルだ。カソック*1が見る影もない。
体格が違うから予備で持っている着替えも渡せないしな。おかげで忠っちも気を使って、外でテーブル広げて座ってる。
「つーか忠っち。お前その恰好ってガチの聖職者か?」
「それにあの戦闘能力……悪魔祓いなの?」
俺と姫椿はとりあえず、そこを確認する。
明らかに武闘派の聖職者だとは思う。というか、そうでない方が困る。
で、忠っちはペシっと頭を叩きながら頷いた。
「やっぱ分かっちまうか! 実はあの後色々あって、神器が宿ってることが発覚してよ? そこからついでに色々鍛えてたら、回復系神器持ちだってのに前線で暴れる担当になっちゃってさあ大変ってわけだ!」
カラカラと笑いながらざっと説明をすると、今度は忠っちが俺達を見て苦笑いだ。
「で、姫ちんは転生悪魔で、蒼ちんは……どっかの異形組織か?」
ま、そこは分かるか。特に姫椿はな。
俺もまぁ、隠す理由はないから頷いた。
「やばい連中に実験された後、三年前から
本当に不条理すぎる。なんだこの旧知三連チャンは。
ま、不幸中の幸いか味方の方が多いのはよかった。気持ちだいぶ楽になった。
そういう意味だと、最後が忠っちなのは幸いだったな。
こいつは昔っから、ちょっとあほなことするけど気持ちのいい奴だ。
いや、ホントマジで助かる。マジで気分が楽になった。
「しっかしまぁ、あれだな。幼馴染七人の内、三人がそれぞれ三大勢力ってなんだこの偶然、ドラマになるぞ」
「そうだね。異形社会の映画とかで題材になりそう」
「ありえるわ~。普通に漫画とかでネタにできるわ~」
俺が茶化していくと、二人も納得してくる。
そしてその上で、忠っちはにやりと笑って指を四本突き出す。
「ま、俺達七人一週間組なんだけどな! 他の四人は今頃何してんだろうな~!」
確かに。今更ながらにちょっと気になるな。
「っていうか、俺が言うことじゃないけど連絡とってないのか? 忠っちはその辺マメだと思ってたが」
「俺はお前の後で海外転勤でなぁ。そこから異能方面に舵切ってたんで、タイミングがなぁ」
なるほどな。確かに、隠し事がでかすぎると会いづらくもなるか。
「姫椿はどうだ? お前は地元の名家だし、引っ越しの予定はまずないだろ?」
「特に露ちんとは仲良かったもんな! 大学も同じところ行く気満々で合格も狙えただろ?」
幼馴染の一人。
しっかり者で、俺達の中だとツッコミ担当で規律担当。そして押しが弱いところのあった姫椿とは馬が合ったのか親友だった。
露子が姫椿をカバーして導き、姫椿が露子を宥めて雰囲気を和らげる。いいコンビだったと思う。
露子の親はあの町の漁師だったし、姫椿はあの町の名士一族の生まれだ。引っ越しをする可能性は薄いし、まだ繋ぎもあるんじゃないだろうかとは、忠っちだけでなく俺も思う。
……ただ、顔色がめちゃくちゃ悪くなっている姫椿を見るとまずいな。
しかもタイミングが悪い。マジで悪い。
「……よし何も言うな! 気になるけど今は聞かない! 悪かったぁーっ!!」
「同じく気になるけど我慢する。そもそも主達を失った直後に聞く話でもなかったな」
速攻で空気を読んだ忠っちが手のひらを返し、俺も大事なことを伝え忘れていたので補足説明するついでにきちんと宣言する。
やばい。忠っちの雰囲気でちょっと思考がぼけてた。何事にも欠点の一つはあるってことだなうん。これは俺がカバーする内容だった。
「悪い忠っち。俺もなんだが姫椿にも色々あるみたいでな……とりあえず一旦おいといてくれ」
「オッケーだ! つか俺もこの後忙しくなるだろうからな! 後にするわ!」
納得してくれて助かるが、死亡フラグを立てるなよ?
と、思っていると足音が響いた。
「……悪いね、待たせてしまったようだ」
その声は、サーゼクス様のものだ。
第一章はある意味でここから折り返しの予定です!