さて、ある意味一番デカいスケールの説明会になってるぜぇ~!!
《アシュレイ・ホライゾンSide》
少し長いけど、俺が分かっていることと俺達の世界について説明させてくれ。分かっていることの説明をするには、どうしても補足説明が多いんだ。
まず俺の世界も一応地球なんだけど、条件があまりに違いすぎるんだ。
ことの発端の発端は二十五世紀。世界的に各仕様が無くなったエネルギー枯渇問題に、高位次元から相転移エネルギーを取り出す技術を旧暦大和……今でいう日本国が開発したことに端を発する、第五次世界大戦がきっかけだった。
潜入工作員がそのエネルギー技術の産物、次元式核融合炉を暴走させたことで起こった
本来の想定では地球全土を巻き込む大爆発が起きるとされたそれは、日本列島そのものが当時住んでいた一億数千万人を巻き込んで、高位次元空間に取り込まれ、後に
そして第二太陽からは高位次元のエネルギーが漏れだし、三次元化に置かれて劣化した
そして新西暦1032年。ある事件が起こる。
旧西暦のロストテクノロジーは世界各地に散らばり、それを生かすことができたことで生まれた新西暦の国家。そのロストテクノロジーの一つに、バイオテクノロジーによって旧日本タカ派が開発中だった、人間型の拠点奇襲用兵器「加具土神壱型」があった。そして千年間の間自分に足りない要素を補う協力者を探し、その条件を遥かに上回る価値を見せた、軍事帝国アドラーの軍人、クリストファー・ヴァルゼライド。その二人による第二太陽の掌握計画が発動したんだ。
カグツチは千年間の間に様々な技術問題の解決やその転用計画、そして協力者の選定を試みてまで追い求めた、被造物の在り方として「創造主である旧日本を地球の支配者にする為、日本を三次元に呼び戻す」という至上命題の為。ヴァルゼライド閣下は第二太陽という不確定要素に握られている地球……何より母国の命運を解き放つ為、旧日本ごと第二太陽を掌握してアドラーの繁栄を不動のものとする為に。互いの決着をつける「聖戦」の成就に動いていたんだ。
元々、旧暦二十五世紀日本でも、民意が許さない極秘兵器だったカグツチの技術流用もあったから、計画を詳しく知る協力者は最低レベルにとどめていたし、その過程で少なくない暗部もあった。だが二人は文字通り裏に秘めた野心も悪意もなく、純粋なまでの母国に対する滅私奉公の元動いていたんだ。
聖戦成就の為の技術、星辰体を掌握することで第二太陽に干渉する為の存在を作り上げるべく、新西暦の物理法則に合わせたダウングレード型の
聖戦成就の為にどうしても二人が犯さざるを得なかった必要悪。要となる人造惑星を作る為、素体としてスラムに住んでいただけの悪人でも敵でもない女性を殺害したという罪業。そして彼女の弱さが生んだ一つの偶然によって巻き込まれてしまった、ヴァルゼライド閣下と相似しながらもまったくの正反対にいる彼女の弟。その最大にして唯一の傷が生んだ逆襲劇が、第二太陽と限りなく近い存在……
その後、闇の冥王―
だけどその後、カグツチやヴァルゼライド閣下の抑えが無くなったことで、星辰奏者や人造惑星、なにより極晃の断片的な情報が流れてしまった。
更に相打ちによって勝者不在となった所為で、誰が勝っても勝者に絶対服従になっただろう聖戦の協力者が暴走。俺はそれに巻き込まれたクチでね。紆余曲折会ってまったく別の二つの極晃、―
……そして問題はこの極晃星だ。
第二太陽という亜種を含めたこの力は、極論すると「願いを叶える魔法のランプ」だ。……冗談じゃなくて本当にそういったものなんだ。
雑にまとめると、高位次元に繋がることで作り出される異能で、到達者と運命を共にする相手の二人にとっての人生の答えに基づき、三次元空間を塗り潰す力を具現化する異能だ。第二太陽は運命を共にする相手の代わりに、相転移炉の暴走によるエネルギーが旧暦大和の住人全員で「理想的な地球の在り方」を叶えようとした結果、老若男女どころか善人悪人賢者愚者のそれを互いに打ち消し合った結果、まとまった結果を地球の物理法則にしたっていう感じだな。
これが本当に厄介なんだ。普通の極晃は結局二人で描くから、万人に適用するのは不可能だし、やらかすリスクが付きまとう。俺が直接話したことのある極晃奏者は、
ちなみにどれぐらいがやばいかっていうとだ。
……で、問題はその
神奏を描いた者達は、大崩壊の原因である相転移炉の開発チーム。その一員だった兄妹だった。
最も近い所にいた妹は第二太陽の中心核となり、兄はチームメンバーと共に僅かに離れたいたことから、極晃の亜種といえる存在、体の一部が特異点に残ったことで不老不滅の存在となった神祖として三次元空間に舞い戻った。
二人は互いに世界を塗り替えた責任を果たすべく千年の時を重ね、再会と同時に極晃を描いた。
それこそが神奏。一度発動すれば永久に効果範囲を拡大し続ける、「愛しい誰かと出会えること」という勝利の共有。範囲内にいる者達から、自動的に極晃を描ける2人を巡り合わせる極晃星だ。
人奏は、その極端すぎる極晃の結末、
本来極晃は、一度描けば高位次元に永久に残り、他者が接続して恩恵を受ける余地がある。だが神奏だけは高次元からもなくなった……筈だった。
その後、星辰人奏者は中枢核が時間軸からも消え去ってしまった第二太陽を、人奏を核にする形で修復及びいくつかの改善も行った。そのうちの一つとして、極晃に到達に対する簡単なセーフティがあったんだけど、それが俺達の感覚で少し前、神奏で誕生した極晃星を感知した。
俺はその事態を探る為のエージェントみたいなものなんだ。ヴァルゼライド閣下は基本的に悪意ある特異点への介入にカウンターで発現する事しかできないし、滅奏はアドラーからうかつに離れたり動くだけで別の意味で大騒ぎになる。人奏は人奏そのものを第二太陽の改善と修復に使っているからやりようもない。反面、俺は極晃関係を知る国家間を飛び回る外交官として活動しているから、こういう時動きやすいんだ。……あと、人奏も滅奏もクセが強いから、そういう意味でも満場一致で依頼されたし。
……ただ、向こうも俺達の警戒はしていたらしい。自分達の極晃を利用して何かの対策を取っていたのか、こっちに来てから極晃の全力発揮が使えない。あと文明レベルが凄く違うから、まずそこから把握しないと絶対に混乱するし。
俺が分かっているのは、この事態を引き起こした者達は何故か極晃を振るっていること。そして極晃の全力解放をあえて使っていないってことだ。
正直に言おう。全力で協力するから、少しでいいから俺を助けてほしい。せめて助けてくれそうな人を紹介してくれると本当に助かる。
……どうだろうか?
《富久山蒼一》
とんでもない話を聞いたが、とりあえずまとめておこう。
というより、その辺りを色々考えないとマジでやばいというか。
面倒くさい。三割でも十分すぎるぐらい面倒くさい……!
「質問。惑星間文明越えて恒星間文明が存在している世界もあるが、それでも極晃だけでどうにかする余地があるのか? 先に地球ごと吹き飛ばされるってリスクがありそうなんだが」
ホライゾンにそう言うと、彼はすぐに頷いた。
「天奏及び閣下が到達した閃奏についてはさっき説明した通りで、間違いなくそれ以上になる。
ため息をついたホライゾンは、更にちょっと苦笑いを浮かべていた。
「そもそも第二太陽の影響化だと、金属抵抗値が無くなるから演算装置は既存文明だとパンチ式レベルが限界になるから……近づくこともできなくなるはずだ。そういう意味だと俺達の世界が逆に襲われるリスクは薄いけどな」
お~こわ。
下手に向かうと文明レベルがやばいことになるな。勘弁してほしいぜ。
他の人達も大半が戦慄している。まぁ、文明レベルが一気にがくんと下がる環境を押し付けられるかもしれないから仕方ないか。
と、赤龍帝の兵藤一誠が片手をあげた。
「質問です、アシュレイさん! 他に付いて来ている人とかいないんですか?」
「兵藤君だったかな? 実は一緒に付いて来てくれた幼馴染達がいるけど、はぐれてしまったんだ……そう簡単にやられたりはしないと思うけど、流石に心配してる」
「そうなんですか。ツインテールの人がいたら言ってください、気配である程度分かります」
テイルレッドがなんか怖いことを言っているが、流した方がいいだろう。
後赤龍帝思いっきり戦慄しないでくれ。アンタの武勇伝を知ってるとおっぱい版が出来そうで怖いから。
で、それはともかくだ。
「仲間と合流出来たら、探せないかどうか聞いてみます! 後輩がそういうの出来るんで、写真とかあります?」
「写真はないけどちょっと待ってくれ。……っと」
赤龍帝に聞かれて、ホライゾンは紙を一枚拾うと……なんか器用に熱で焦がしてるな。
「それがおたくの極晃星って奴か? 何つーか地味だな」
坂田銀時がそんなことを言うが、ホライゾンは苦笑する。
「俺は戦闘能力で言えば、極晃星最弱だからな。ただ手数には自信があってこれはその一つ……っと」
そう答えながら、アシュレイさんは三人の女性の写実画じみた姿絵を紙を焦がすことで再現する。
事実上モノクロだが、三人の……若い美女が映ってるな。
後微妙に空気が、そのね?
「……ちなみに関係は?」
野原だったかな。眼鏡のエージェント君が聞く。
眼鏡が光って目が見えない。怖い。
「幼馴染ってところかな。俺の両親は元々交易商で、……ちょっと色々あった商談で長く同じ屋敷に集まってたんだ。年齢が近かったからすぐ仲良くなってね」
ホライゾン、朗らかに答えてるな。
なんというか空気があれ何で、ちょっと方向性を変えた方がいいかもしれない。
「……真ん中の人ってもしかして貴族か何かで? 服装はラフですけど、なんか元々育ちがいい雰囲気を感じますけど」
「ああ、ナギサっていうんだけど、元々新西暦で名門の家の生まれなんだ。でもフランクで偉ぶらないし、頑張り屋さんさ」
あ、これ無理だ。
「……アシュレイさん。大和撫子っぽい女の子、軍人っぽい服着てますね」
「彼女はアヤ・キリガクレ。ナギサの家の従者だけど、ナギサにとっては親友だよ。小さい頃からいいお嫁さんに慣れるってぐらい気立てがいいんだ」
眼鏡繋がりで志村何某が怖い。
ホライゾン、自然体でなんというか、その……ね?
「……あとその、最後のお姉さんってなんていうか気品がありますよね。貴族の人かもと思ったけど、聖職者的なところがあるよう……な?」
「ミステルのことだね。俺達全員似たり寄ったりだけど、彼女も波瀾万丈な人生を送っているんだ。それでもお互い、生きて一緒に入れる幸運と奇跡には涙が出るほど嬉しいよ」
赤龍帝まできたし、ホライゾンもうそれ死刑執行所な気がするぞ―
「「「ふざけんなぁあああああああ!!!」」」
「うわっ!?」
―ほらキれた!?
「赤龍帝ストップ! マジでストップ!!」
咄嗟に羽交い絞めにするが、赤龍帝は涙目になっている。
「いやこれ完璧に天然ボケのスケコマシハーレムやろうじゃねえかぁああああ!? 自覚無しに自慢しやがるイケメンは敵だぁあああああ!!」
「まったくだよこの野郎!? なんですかそれ、幼馴染ハーレムですか今すぐ爆発しろぉおおおおお!!」
「自慢か自慢か自慢だな!? てめえこの鈍感ハーレム野郎が!! 真面目な話の裏でどんだけスケコマシしてやがるんだてめええええええ!!」
駄目だ赤龍帝が限界で野原と志村を止められない!?
「いや待って。本当に待って? 俺だって色々頑張ってるんだよ? 給料三か月分*1の三倍ってやっぱりあれだし、世界飛び回ってるけどやっぱり少しは落ち着ける場所ができた方がいいしさ?」
「「……ぁ……が、ぁ……~~~~~っ!?」」
天然でガソリンを投入するなホライゾン! 野原と志村が真面目に泡吹いて死にそうだぞ?
「そんなだからモテないのヨ、童貞どもメ」
神楽嬢黙ってくれ!? 収集つかない。
「てめえ童貞をからかうんじゃねえ!? 年頃の男にとって童貞ってのがどれだけ嘆き悲しい呪いだと思ってんだ、あぁん!?」
「ちょ、落ち着けって!! いや、今のは流石に酷いけど!!」
赤龍帝がヤバイ!? 進次郎が抑え込みに行くレベルで俺もきつい。
いや、ちょっと待て?
「そもそも赤龍帝はもっといるでしょハーレム王!? まだ童貞なんですか!?」
もうこっちの方を燃やすしかない。
と思ったら殺気が怖い!? 神とすら殺し合った男の怒りが怖い!?
「童貞だよ!? 悪いか!! いつでもウェルカムどころかつい最近チャンスあったのに、結局みんな入ってきた所為でそれどころじゃなくて一緒のベッドで寝る程度で落ち着いたよ!? そして俺だけベッドから蹴り落とされたよ!? 新しい性癖目覚めそうなんだけどぉさぁ!?」
「それは真剣に話し合おう!?」
ホライゾンが思わず声を上げるレベルだ。というか俺の目に涙が浮かぶよ。
「……え、この人彼女いるの? たくさん……?」
そして進次郎の表情が怖い。彼も思春期の男か!
「まさかリアス先輩ですか!? あのおっぱいを……っ!?」
あと宮本の反応が怖いぞ!?
「知らないの絶花ちゃん。絶花ちゃんが来るちょっと前、堂々と告白してたんだよ……ほら」
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と、アヴィ嬢がスマホを取り出して映像を流す。
『惚れた女のイメージカラーだ。部長は、リアス・グレモリーは俺が惚れた女だ』
お、レーティングゲームの奴だな。
『惚れた女を勝たせたい。惚れた女を守りたい。惚れた女の為に戦いたい。俺は……俺はっ!!』
サイラオーグ・バアルとのレーティングゲーム。いろんな勢力が中継を見ていたはずだ。
『俺を求める冥界の子供達と! 惚れた女の目の前であなたを倒す! 俺の夢の為! 子供達の夢の為! リアス・グレモリーの夢の為! 俺は今日貴方を超える! 俺はリアス・グレモリーが大好きだぁああああっ!!』
そしてこの盛大な宣言。実に凄い。
「実は俺も生で観に行ってなぁ。笑いあり涙あり熱血有りのいい試合でしたぜ」
「ありがとうございます! 恥ずかしいから止めてもらっていいですか!?」
赤龍帝は恥ずかしがっているけど、そんなこと言ってもなぁ。
「これ冥界全国ネットで生中継なんですから、今更恥ずかしがってどうすんですかい? 老若男女神仏魔王が見まくってますがな」
『『『『『『『『『『おっぱいドラゴン! おっぱいドラゴン!』』』』』』』』』』
『『『『『『『『『『サイラオーグ! サイラオーグ!!』』』』』』』』』』
観客達の声も響く中、壮絶な殴り合いが勃発している。
後武闘派が殆どだからか、動きを見て感心している人が多い。
「……その、俺は武術とか素人なんですけど、どれぐらい凄いんですか?」
「多少は詳しいが、人間離れという域ですらないな」
進次郎とランペルージがちょっと分かってない側だけど、まぁ凄いだろう。
「多分打撃戦に限定すると、業界の若手でもトップクラスなのが対戦相手だったり。ちなみに赤龍帝は戦闘技術自体、まだ半年と少しぐらいしか学んでなかったり」
それでこれができるんだから大したもんだよ。
……っと。脱線したな。
「んじゃまぁそろそろ話し戻すぞー。この事態が地球規模通り越して宇宙規模になりそうなのは分かった。だとするとやっぱり協力者は必要だろ。現在進行形で地球規模で大混乱だろうし、国家規模クラスの影響力持ちが多数いるだろ……赤龍帝こっち側はお願いします」
「即座に言わないでくださいよ!? っていうか、最年長は富久山さんっすよね!?」
赤龍帝がなんか困惑しているけど、何言ってんだか。
「……悪魔の王様の義弟ほぼ確定で堕天使副総督の義理の息子ほぼ確定で天使長の直臣とも幼馴染。更に全員と直接話せる人が何言ってんですかい? 北欧の主神のオーディン神やら須弥山の初代孫悟空こと闘戦勝仏からも覚えいいって聞いてますぜ? 俺のコネだと副総督に直通ライン繋ぐのも大変なんですから、なんで敬語使ってんのか考えてくだせぇ」
いや本当に。本当に本当に本当に。
そう思ってると、テイルレッドが片手を上げた。
「あ、俺の実家はお得意様で全世界同時生中継に持ち込めるぐらい凄い人達多いんで、こっち側は何とか」
テイルレッドの影響力がヤバイ。
「その、科学特捜隊は一応国際機関になってるし、多分世界首脳陣全員にネット会議をさせるぐらいならできそうな人にも心当たりが」*2
「俺達も国家機関に属してるんで、総理大臣に話し通せる上司ぐらいなら……」*3
「そういうことならまかせるネ。総理大臣とマブダチヨ私は!」*4
錚々たる面子がいて怖い。この場に国家権力と繋ぎが作れる者達ばかりが集ってるのマジやばい。
俺が、俺が割と真剣に立場的に肩身が狭い……っ!
「ランペルージは! ランペルージはそんなことないよな!?」
「……伝手を頼れば、情報を届けられる程度は」
視線逸らして言いやがった。どんな面子だマジで。
となると、この面子を全員生存させることが対策の第一歩か。
気を取り直すけど、どうしたものか。
「……もういっそのこと、ココを要塞化して無事な人達を集めた方がいいような気がするな。まぁ変な連中も集まるから勝算三割ぐらいだけど」
「七割負けるっていうのが厳しいな。世の中には懸けないといけない時もあるけど、そういうのは状況を見極めないといけないしな」
俺がぼやくとホライゾンが頷くが、本当にそれな。
博打なんてのは金持ちが娯楽でやるぐらいでちょうどいい。部の悪い賭けなんてする羽目になる時点で半分負けてるようなもんだからな。
きちんと貯蓄をして、どうしても必要な時だけ返せるあてがある分だけ借りる。これが人生を安心して生きるコツってもんだ。
で、それはともかくだ。
「ま、お偉いさんと繋ぎある人達は残っててくれ。一応周囲警戒してくるから。……中学生組も残るように。というよりアヴィ嬢はあっち側だからな」
そう前置きしながら、俺は引き戸を開ける。
「……」
そして一回閉める。
一度深呼吸をしてから引き戸を小さく開けて様子を見て、スマホで写真を撮ってまた閉める。
「悪いランペルージ。俺の目に異常があるみたいなんだが、この写真に異常ないよな?」
「……残念だが、第七世代機のガレスが見えるな……いや、若干改良されているようだが」
……そっかぁ。
「アヴィ嬢は家の特性使えたら全力防御!! 俺が引きつけるから民間人を連れて避難してくれマジでやばい!!」
最悪だ! 真面目に最悪だ!?
「ちょっと待ってください! 敵襲っぽいならみんなで行った方がいいんじゃありません!?」
「ダメだ。ガレスは砲撃戦用のナイトメアだ! 砲撃でビルごと吹き飛ばされる!!」
止めようとしてきた明石に怒鳴るけど、本当にやばいんだよ。
もう勘弁してくれ! さっきからなんだこの驚異のバーゲンセールは!?
そう思った時、外からスピーカーの反響音が響いた。
『まぁ安心しろよ、お前ら。今回、俺の仕事はメッセンジャーなんでな。とりあえず顔ぐらい見せてくれねえか?』
……こっちに実力者が集まっていることは分かり切っているってことか。
だが、素直に信じていいのか?
そう思っていると、ホライゾンが俺の肩を叩く。
「出ていくしかないだろうさ。というより、本当にこっちを殺す気はないみたいだしな」
「根拠だけ聞いていいか?」
俺が確認すると、ホライゾンは緊張感をにじませていた。
「あいつにやる気があるなら、このビルどころか辺り一帯の建物をまとめて崩すぐらいのことはできる。民間人に配慮して手段を控えるような奴でもないんだ」
「……オーケー。全員が出る必要はないが、やばい奴前提と見て警戒したいし、何人かは残ってくれると助かる」
そう言ったうえで、とりあえず俺が前に出る。
ホライゾンの心当たりが外れてこっちが撃たれる可能性もあるしな。死ぬほど面倒くさいが、そうも言ってられないよなまったく……!
内心でため息を盛大に吐きながら、引き戸を開けて外に出る。
少し離れたところに映っているのは、神聖ブリタニア帝国が開発した砲撃用KMFガレスが数機に、随伴機としてブリタニアの旧主力機であるサザーランドが十数機。そこに白兵戦用の武装を持った人間が数十人。
……いきなり仕掛ける気がないのか、殆どのKMFからはパイロットが顔を出している。
そして真ん中のガレスの右肩。そこに一人の男が立っている。
両手に爪のようなジャマハダルを装着した、長髪の男。
間違いなくヤバイ。戦闘能力というか、中身がヤバイと危険信号が脳からドバドバ出てきている。
そしてそのやばい奴は、俺達を見て嬉しそうに舌なめずりをした。
「まずは一応挨拶といこうか。俺はこの事件を起こした組織「シャーデンフロイデ」と契約した傭兵……ファブニル・ダインスレイブだ。英雄が撃つべき邪龍にして、英雄を殺す滅亡剣。俺のお眼鏡に適う奴は何人いるか楽しみだぜ……っ」
理論的に考えて宇宙複数分という超スケールとなっております。