どうか私を、終わらせて   作:めめ師

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芸術も機械も全部爆発だ

私は今日、不良のみんなとアジト(ただの近くのあった廃ビル)内で銃の整備をしていた。

 

「いやー姉さん手際良いっすねー!ウチら、銃の構造なんかさっぱりで!ずっと手探りっすよ!」

「...銃の整備なんか義務教育じゃない?中学生で習うでしょ。」

「ウチら全員サボり魔なんで!」

 

なんで自信満々なんだ...?

 

それから、私はみんなに整備のやり方やコツを教えながら整備をやった。

...自覚したのは途中からだが、結構楽しかった。

 

ちょっと休憩時間を取り、私は整備を終わらせたAn Endを持って廃ビルの屋上に行くと街中の景色と色んなところで行われている銃撃戦を眺めながら、自分のこめかみにAn Endを押し当ててみた。別にいつも通り、引き金はしっかりと握れていたけど。

 

「あ...いた、ってナナさん!?」

 

そこにやってきたイツキが私の行為に気づいて急いで駆け寄ってきた。他と比べて大人しめだし、声を張り上げてるの初めて見るな。

 

「な、何をしてたの?」

「...別に。ただの興味本位だよ。」

 

私は何とか誤魔化した。多分全然誤魔化せてはないんだけど、それ以上は聞いてこず、私の裾を掴んで着いてくるだけだったのでそのままみんなの所に戻った。

...結構可愛いなこいつ...

 

「あ、おかえりっす。どこ行ってたんですか?」

「いや、別に、外の空気を吸いに...」

「...屋上で、自分の頭に拳銃を向けてた。」

 

イツキさん!?言わなくてよかったよねぇ!?

 

それを聞いたみんなが私の元に走ってくる。

 

「え!?」「な、何で!?」「...どういうことだよ」

「み、みんな落ち着くっす!でも...ウチも、知りたいっす。何でですか?」

 

みんなが私の周りと取り囲み、心配そうな目を向けてきた。

私は...ここでも、心配させてしまうのかもしれない。肯定されてしまうのかもしれない。

...自分に、期待してしまうかもしれない。

 

そう思うと、私の喉を真実が通ることはなかった。

 

「別に...なんでもないよ。」

 

みんなは納得いかない表情をしたまま、私の周りを離れなかった。

お前ら年上だろぉ!?

 

「あー!もういいでしょ!?離れろぉ!」

 

私はそれからみんなの武器の整備を再開した。その間、ミミがずっと心配そうな顔をしながら私を見つめていたが、私はそれに気付かないふりをし続けるのだった。

 

 

 

数日後、再びミミ達から連絡が来た。

 

『今からこないだのヤツらが決闘しようって!助っ人に来て欲しいっす!』

『わかった。すぐ行く。』

 

めんどくさいとも思わずにすぐに向かうあたり、相当に絆されてしまったなと思いつつも早足で指定された場所に向かった。

 

目的地に着くと、既にドンパチやっており、相手側には4人、大してこっちはミミ、イツキ、サナの3人だけだった。

 

「くっそぉ!姉さん来るまで絶対に持ちこたえろぉ!」

「やってるよ!ナナが来なくても一人でやってやらあ!」

「...1人は絶対無理じゃん」

 

私は後方から相手側に手榴弾を思いっきり投げてその隙にみんなと合流した。

 

「お待たせ。どんな感じ?」

「姉さん!...あいつらも助っ人を連れてきやがった!」

 

指さされた方向を慎重に見ると、他と比べて一際大きなマーケットガードがいた。

 

「アイツらも金がないだろうに、なけなしの金集めて雇ったんだろうな。けど、その分ちゃんと厄介だ。」

 

私もオートマタとの戦闘は経験が無い。多分普通に人間と同じように戦っていいんだろうけど、オートマタならではの仕込み武器とか持ってそうで、ちょっと怖いな...

 

「分かった。あのマーケットガードは私が相手するから、みんなは他をお願い。」

「ちょっ!姉さんのことは信頼してるっすけど、それでも無茶っすよ!」

 

こんな短い付き合いで信頼も何も無いだろう...

 

トオコ(LMG持ち)が落ちてる時点で火力じゃ負けてる。だったら勝てる道はそれぞれ1対1で叩くのがいちばん勝率高いよ。」

「それならマーケットガードはウチが!」

「ダメ。この中じゃ私がいちばん身軽で、1番動ける。だから私。」

 

ミミは私の言葉に納得してしまったようで、ぐっと言葉を飲み込む様子を見せ、私に言った。

 

「...わかったっす。絶対無茶しないで下さいよ。」

「もちろん。私には縄張り争いなんてどうでもいいからね。

...それじゃあ今から手榴弾投げるからそれが爆発したと同時に飛び出すよ。

イツキ、今から煙幕貼るから移動して。」

 

そう言って手榴弾を私たちと相手の間に投げ込む。

砂煙が上がると同時に私が駆け出した。数瞬遅れてミミとサナも飛び出す。

相手は見えないながらに弾をばら撒いてくるが、私が大きく回り込み動いており、他2人も私に着いてきている弾は見当違いの方向に飛んでいる。

私たちが煙から飛び出すと不良は驚いたようにこちらを見るのに対して、マーケットガードは冷静に先頭の私を捉え、手に持った銃を向けてきた。

周りの不良を他3人に任せ、私はマーケットガードに集中した。

 

まずは相手の足元に手榴弾を転がしながら横に飛び、相手の銃弾を避ける。マーケットガードは手榴弾に怯むことなく私を狙い続け、そのまま爆発に巻き込まれた。

私はそれでもなお油断せず煙の先にいるであろうマーケットガードの頭めがけ(正確には頭にあるであろうカメラ)銃弾をばら撒く。

 

煙が晴れると、案の定マーケットガードは特に傷つくことなく立っており私を捉えると同時に再び撃ってきた。私は再び手榴弾を転がして横に飛んだが、避けきれずにいくつか被弾してしまった。

そのまま手榴弾が爆発し再び辺りを砂煙が舞った。

 

さっきの何度かの攻防で理解した。あのマーケットガードはカメラからの情報で動いている。弾が飛んでくる方向や、音では反応を示さない。だから私は砂煙から外に出てマーケットガードに向けて手榴弾を5つ同時に爆発するようにぶん投げた。そのまま近くの建物のベランダに登る。

そして砂煙が晴れないうちに特大の爆発が戦場の中心で巻き起こった。

 

やがて砂煙が晴れるとそこに居たのはアーマーが幾つもひび割れ、身体から黒い煙を吐きつつ動きの鈍ったマーケットガードだった。

同じようなことをあと1回繰り返せばおそらく倒せるだろうが、残念ながら私の手元に残る手榴弾は残り2つ。加えてこれまでのやり取りで私の手榴弾はさすがに警戒されてしまうだろう。

 

さて、どうするか...あれを倒すには手榴弾の爆発を完璧に当てないとだめだろう...よし。

 

マーケットガードは私を探すような仕草をしている。その隙に私はイツキに向かって、手榴弾を見せてそれを銃で撃ち抜くようなジェスチャーを送った。

伝わるかは不安だったが、イツキはしっかりと頷いてくれたので、伝わったらしい。

私は安心して、私を探すのを諦めてサナの元へと向かおうとするマーケットガードの頭目掛けて銃を撃ち、ベランダから飛び降りる。

マーケットガードは私を視界に捉えると照準を合わせて来る。そろそろ弾切れを期待したいところだが、地面に転がるマガジンを見るに、煙の中でリロードをしているのだろう。ちゃっかりしているな。

 

私はピンを抜く振りをした後にマーケットガードの後方に向けて手榴弾を投げた。

マーケットガードはこれ以上爆発を受けられないと判断したのか、私に向かって突っ込んできた。

その判断は正解だけど、残念ながら手榴弾は爆発しない。

私は突っ込んでくるマーケットガードの頭部にあるカメラに銃を撃つ。

カメラは完全に破壊しきれなかったらしいが相手の視界は相当に狭まったらしく、変な姿勢のまま私を追い回す。私がマーケットガードの周りを回り翻弄しながらイツキに合図を送ると、そのままの流れで先程転がした手榴弾の方向にマーケットガードを蹴り倒した。

 

マーケットガードが倒れ込むと同時に背中にある手榴弾が爆発し、マーケットガードの身体を宙に浮かせた。

そのまま倒れ込んだマーケットガードはそれ以降動き出すことはなくなったのだった。

 

「ナナ!お前マジですげぇなぁ!!」「姉さん流石っす!!」

 

サナとミミが興奮した様子で私に駆け寄ってくる。

どうやらほかの不良たちはマーケットガードの敗北を見て逃げたらしい。

そして少し遅れてやってきたイツキがいつものように私の裾を掴んで小さく呟いた。

 

「ナナさんの嘘つき。...無茶しないって言った。私たちの縄張り争いがどうでもいいんなら、あいつが見失った時点で逃げればよかった。」

「それはそうなんだけどね。...私もムキになっちゃったみたい。」

 

...こいつほんと可愛いな...

 

私がそう返すといつの間にか起き上がってきていたサクラとトオコも私の周りに来ていた。

 

「ナナちマジやばい!マーケットガードに勝つとか!」

「記念写真撮ろ!イエーイ!!」

 

2人の自撮りを受け流しつつ、私はさすがに立っているのが辛くなり、その場に座り込む。

 

「姉さん!?」「ナナさん!」

「大丈夫...でも、さすがに疲れた...」

 

その日はこの場で解散に、私はミミにホテルまで運んでもらってそのまま深く眠りにつくのだった。

 


 

「何?マーケットガードが一機倒れただと?」

「はい。履歴を辿ると不良が抗争のために雇った個体のようでして...」

「不良が?珍しいこともあるもんだな。」

「ええ。そしてその相手ですが...少し前にトリニティで行方不明となった生徒のようです。」

「ふむ...トリニティで...」

 

トリニティと言えばその生徒会が代々、我々カイザーグループの進出を拒み続けてきた学園だ。ブラックマーケットにいるとは言うが、行方不明と言うことはあの生徒はまだ学籍がトリニティにあるはず。

これを期にカイザーグループのトリニティ進出への足掛かりとなれるかもしれんな...

 

「おい、その生徒をマーケットガードに、ひいては我々に敵対したとして捕らえろ。上手く行けば...トリニティの交渉への有効なカードのひとつになってくれるだろう。」

「はっ!了解しました!」

 


 

あれから数日間、私はあの抗争での怪我によってあんまり動けていなかった。どんどん治ってきて、ようやく動けるようになってきた頃だったが、この数日間はほんとに暇だった。

こう言ってはなんだが、スマホを開こうにも四六時中私のモモトークに心配の連絡が来るため落ち着いてスマホで時間を潰すことも出来なかった。

 

そしてようやく外に出られるようになって、今日はみんなと出掛けていたのだが...やけに視線を感じる。

私はそれとなく周りを見てみるとチラホラとこちらの様子を伺うドローンやオートマタを幾つか発見した。きっと気づいていないだけで他にも沢山居るだろうが、今は敢えて大通りを通ってるから、今襲われることはないだろう。多分狙いはマーケットガードを倒した私だろう。

 

...ていうかこんな素人の私にバレるってかなりザルな尾行じゃない?

 

マーケットガードを倒した相手を狙うくらいだからカイザーグループとか言う、トリニティでよく黒い噂を行く奴等かと思ったんだけど...

とりあえずその日は人の多くいる場所から離れず、無難な買い物だけを済ませてホテルへと戻った。

そこで私は考える。

 

私が狙われているんならわたしはさっさとここを離れた方がいいな...

このまま私がここにしがみついたところで、みんなを巻き込んでしまうだけだ。

相手がカイザーグループみたいな大手じゃないなら襲われるにしても、少人数だ。下手にみんなを巻き込んで人質に取られでもしたらたまらない。

 

そう思った私は夜のうちに荷物を纏め、ここを離れる準備を済ませた後に眠りにつくのだった。

 

 

翌朝、早くから私は荷物をもって、普段より多めにチップを机に置くとそのままホテルを後にした。

それから少し歩いた後、明らかに私の後ろを歩くオートマタがどんどん増えていく。カーブミラーなどを通して後ろの様子を確認すると、カイザーグループの紋章が胸に刻まれていた。

...え?カイザー?

 

私が内心焦りながら歩みを進めていくうちに、どんどんオートマタの数が増えていく。それに加えて、大通りを通っているはずなのに人通りもどんどん少なくなっていった。

 

これは...もしかして誘われたかな...

 

私は覚悟を決めるとポケットに並べた手榴弾を掴み、ひっそりとピンを抜くと少し待って手榴弾を落とすと同時に走りだす。

 

「おい!走りだしたぞ!」「逃がすな!追え!」

 

やっぱりか...私は路地裏に走りこむと所々に手榴弾を落としながら辺りを走り回った。

上にもドローンが見えており、どこかに隠れようにも人海戦術ですぐに見つけられてしまうだろうと思い、廃ビル内に飛び込んだ。そのまま追手の射線に入らないようにビル内の階段を駆け上がって、屋上に出ると、他のビルに飛び移った。が、上空でもドローンが機銃を備えているらしく、私に向けて撃ってくる。さすがにすべてを避けきれずいくつかお腹と腕に被弾した。

腕に被弾したせいでドローンを狙う照準にブレが生じてしまい、全然ドローンの数が減っていかない。それどこか増えている気がする。

 

このまま、逃げ続けようにも弾は減っていくし、手榴弾もなくなってきている。

うーんこれは、想定が甘かったかな...

 

うーん...奴らに捕まったらどうなるんだろうか...殺される...いや、殺してくれるんだろうか?

...いや、きっとダメだな。大方労働の奴隷にさせられるか、何らかの実験に使われるか、良くて独房行きとかだろう。悪名高いカイザーグループの事だ。きっとそれくらいはやってくる。

私がそう考えながらなるべく人通りの多い所へ行こうと来た道を引き返していたところ...

 

一機のドローンから放たれた銃弾が私の足に当たった。

 

「あ、やば。」

 

運の悪いことに、それは次の建物の上にジャンプしようとする瞬間の出来事で、つい足から力が抜けた私は足を踏み外し、建物同士の間の路地に落下した。そこは行き止まりになっており、そんな私の逃げ道をふさぐように路地の中に次々とオートマタが入ってきた。

そして程なくするとオートマタたちの間を色の違うオートマタがかき分けて私の前までやってきた。

 

「篠崎 ナナだな?我々についてきてもらおう」

「...ついてきてもらおう...ですか。攫う気満々だったくせによく言いますね。ほら、貴方たちのせいで私は今満身創痍ですよ。もう、体も起こせない。」

 

まあ体を起こすくらいならできるだろうが、所々の被弾や落下による負傷も相まって、もはやこんな状況を切り抜けるほどの力なんて残っていない。きっと私はこのまま捕まってあんなこと(労働)やこんなこと(実験)をさせられるのだろう。こんなことになるんだったらさっさと死んでおけばよかった。

 

そう思った私はもはや動かすのも億劫なほど痛む腕を懐に入れ、手榴弾のピンを抜こうとした。ここで爆発すれば、私の持つ残り8個の手榴弾すべてが爆発して死ねるのだろうか。そう希望を抱えて。

 

しかし、その瞬間、私とオートマタの間に一人の影が降ってきた。

 

「ひっはははあ!!私の大切な後輩に何してんだぁ!?ガラクタどもぉ!!」

 

最早霞んでしまってまともに見えていない目でも、その特徴的なシルエットと声でそれが誰なのか分かった。

 

「...剣先...先輩...?」

 

剣先先輩がオートマタの集団に突撃すると同時に遠くから戦闘音が聞こえてくる。それもかなり大規模なものだった。

誰かが、あいつらと戦っているんだろう。

 

...いや、この状況でそれが誰かなんて察せないほど鈍感なつもりは、私はない。

 

きっと、この戦闘音は正義実現委員会なのだろう。

 

 

 

それからものの数分で何百といたであろうオートマタの集団は全てがその機能を停止させた。

 

その確認が終わったのちにイチカさんと剣崎先輩、そして早乙女委員長が私に駆け寄ってきた。

 

「「「ナナ!!」」」

 

みんな声をそろえて私の名前を呼ぶ。

きっとみんな心配の言葉をかけてくれているのだろう。

そこになぜかブラックマーケットで出会った5人も走りこんできた。

まさかとは思うが、彼女らもこの戦闘に参加していたのか?

 

みんな涙目で私に何かを叫んでいる。生憎、私の耳は疲労によってそれらの言葉を拾うことはなかった。

でも、それでも、これだけはわかった。みんな、私のためにこんな危険を冒してまで、ブラックマーケットに足を運んでまで。戦ってくれたのだと。

 

 

 

私は、こんな裏切り者でも。

 

不幸を、否定を、間違いを振りまく私なんかでも。

 

 

 

みんな、私を思ってくれているんだと。

 

理由が何であれ。

私を、諦めてはくれないのだと。

 

 

私は震える腕で、An Endを懐から取り出し、自分のこめかみに当てた。

 

引き金にかけた指は、負傷による痛みや疲労なんかに関係なく、

 

 

 

()()()()()()()()()()()

 

 

 

 

 

 

 

そして私は、最後の力を振り絞って、その引き金を引くのだった。

最後に私が見た光景は、みんなの驚愕の表情と、駆けよってくる様子だった。




新しいオリキャラを5人生やしたはいいものの、私自身も整理しきれておらず、武器や口調や性格もろもろ、メモと格闘しながら書いております。
でも後悔はない!今後も登場させるつもりですので!

安心してください!!ナナはまだ死んでません!!物語はまだ続きます!!

現状なんにも考えてないんだけど、ナナのメモロビいる?

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  • どっちでもいい。
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