どうか私を、終わらせて   作:めめ師

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Because I parted with the justice

とある日、食堂で朝食を食べているところにイチカさんがやってくる。

やっぱりイチカさんの持つ皿にはいつものトーストが乗っかっていた。

 

「ナナ〜、今日一緒に出かけないっすか?」

「あー、今日はブラックマーケットに用事があるので...」

 

私たちの周りにいる人たちが私の言葉を聞いてぎょっとするが、私たちは気にせず会話を続けた。

 

「あの子達っすか?」

「そうですね。モモトークで話はするけど、あれ以降会えてませんし、みんなも会いたがってるみたいなので。」

 

イチカさんは少し考えてから私に言う。

 

「じゃあ私も行っていいっすか?」

「え?ブラックマーケットですよ?危ないし...それにみんなと面識無いじゃないですか...」

「それでもっすよ。友達の友達だし、挨拶くらいはしておきたいんで。」

 

それならいいか...

 

朝食を食べ終えた私たちはイチカさんの運転する車でブラックマーケットまで向かった。

 

「久しぶりっすね!姉さん!」

「久しぶり、元気してた?」

 

私たちが合流場所に到着すると既にみんなが待っていて、出迎えてくれた。

 

「元気だった。...でも、私たちの縄張りが結構押されてる。」

「ナナが居なくなったのがやっぱ痛かったな。あん時に盛り返したぶんはあっという間に失っちまった。」

「まあまあ、久々なんだから縄張りなんて今はいいじゃん!ほら写真撮ろ!イエーイ!」「イエーイ。」

 

サクラとトオコが私をカメラに収めて自撮りをする。私は顔の下でちっちゃくピースを作って流していると、イチカさんとミミが話していた。

 

「お前は...姉さんの仲間か?」

「そうっすね。ナナの一番の親友っす!」

 

イチカさんの答えに、イツキがそちらに食ってかかった。

 

「ナナさんの一番...私だってナナさんの仲間。

ナナさんは私を可愛いって思ってる。」

「そうっすか?でも、ナナは私をかっこいいって思ってるっすよ?」

 

おいこらそこのITK(イチカさんとイツキ)2人。何を言っているんだ???

...確かに思ってるけど。

 

「はいはいそこ2人は落ち着いてください。今日は別に喧嘩しに来たんじゃないんですから。」

 

私が火花を散らす2人の間に入って宥めると何とか落ち着いたようだった。

 

「それじゃあいつものとこにご飯食べに行こうか。私の奢りで。」

「やったー!姉さんの奢りだー!」

「ナナ、あんま無茶しちゃダメっすよ?」

「別にいいですよ。私がお金を使う機会なんて、手榴弾とか弾の補充くらいしかないので。」

「ならいいんすけど...ていうかいつものって、結構馴染んでるっすね。」

「3週間も過ごしていれば馴染みもしますよ、流石に。」

 

それからみんなで昼食を食べた。ブラックマーケットの店とはいえ、トリニティにも引けを取らないほど美味しいお店なのでイチカさんもさすがに驚いていた。

まあその分高いんだが。

別にブラックマーケット住みという訳では無いがなんだか誇らしく感じてしまった。

3週間程度の滞在だったのだが、それでも私は自分が思っている以上に思い出に残っていたらしい。

 

ていうかしれっとイチカさんも私の奢りで食べたな...まあ良いんだけどさ...

 

その帰り道で私たちの元にヘルメット団の集団が襲いかかってきた。

どうやら私とイチカさんの服装が狙われる原因らしい。まあ私たちトリニティの服飾店で買った割と高級な服だし仕方ないか。

 

私はそれに反応し手榴弾のピンを抜くと、イチカさんに目配せを送るとそれをヘルメット団に向けて投げつけた。

イチカさんが手榴弾を見て逃げていくヘルメット団を次々に撃ち抜いていく。

イチカさんがヘルメット団のひとりに突撃し、私がそのフォローでイチカさんを狙う人を撃ち抜く。

私がフェイントでピンを抜かずに投げた手榴弾に反応したヘルメット団が頭を覆うのを見て、そこに駆け出す。そのままヘルメット団に向けて発砲し落ちていた手榴弾のピンを抜き数瞬待ってから、一番人の集まる遮蔽物の裏に投げつける。

イチカさんがその爆発の撃ち漏らしで吹き飛んだヘルメット団を撃ち抜いた。

 

そうして総勢20名はいたヘルメット団が一瞬にして壊滅したのだった。

私たちの戦闘を、参加することなく見ていた5人は呆気にとられたような表情でこちらを見ていた。

 

「すっげぇ...」「めっちゃ強いじゃん!」「完璧な連携...」

 

私は全員が動かなくなったのを確認するとイチカさんとハイタッチをした。

 

「ナイスっすよ、ナナ。」

「イチカさんが完璧に合わせてくれたので。ありがとうございます。」

「ナナのことはいつも見てるっすから。ていうかナナ、やっぱり強いっすね。」

 

演習訓練で私をさんざんボコボコにしておいてそれ言う???

嫌味にしか聞こえんが?

 

「イチカさんがそれを言いますか?そんなわけが無いでしょう。」

「え...ナナ、それ本気で言ってんすか?」

 

...???本気だけど...?

 

「姉さん、あれで自分強くないって思ってんすよ。マーケットガードを一人で相手しておいて強くないとか...正義実現委員会はどんな化け物の巣窟なんすか?」

「いや...多分ナナの教育やってた先輩が強すぎるから自己肯定感が低いだけだと思うんすけど...そうだと思いたいっすけど...」

 

私に聞こえないようにイチカさんとミミが話していた。

君たちいつの間にそんな仲良くなったの?

 

そのままみんなと一緒に話しているとあっという間に時間が経った。

あまり遅くまで話してしまうと帰りつくのがかなり遅くなってしまうため、そうなる前に帰ることになったのだった。その帰り道、車の中でイチカと話していた。

 

「ナナも結構人を従えるの向いてんじゃないっすか?正義実現委員会だったら自分の小隊くらいなら持てるでしょ。」

「私にそんな責任は背負えませんよ。それにあの人たちはみんな年上なので、自分で動けます。」

「え!?あの子達年上っすか!?

そりゃ何人かはそれっぽいっすけど、リーダーの子とか、スナイパーの子とか同級生どころか、下手したら年下なんじゃないかと...」

「...それ、本人には言わないで下さいね?

一応ミミ...リーダーの子とかちゃんとみんなをまとめてるし、イツキ...スナイパーの子も頭の回転早いんですよ?」

 

多分ミミとかそういうの言われたら怒るから...イツキはどうだろ...結構落ち込みそうだし、やっぱり言わないに越したことはないな。

 

そう考えているとイチカさんがこっちを不服そうな表情で見つめていた。

...何ですか?運転に集中して下さい?

 

「ナナ、私には敬語なのにあの子たちは呼び捨て何すね。」

「え...そんなこと気にしてたんですか?」

「そんなことじゃないっすよ!重要なことっす!」

 

イチカさんの勢いがましてガッツリ私の方を見る。

 

「ちょ!運転中!前見てください!」

「ナナが呼び捨てしてくれたらいいっすよ。」

 

それずるいぞ!

 

「う〜...!イチカ...

ほら!前向いてください!」

 

私は観念して呼び捨てにするも、イチカさんは未だに不服そうな顔をしていた。

今度は何さ!?

 

「敬語。」

「うぐっ!...前向いて!!」

 

こうなったらもはやヤケだ。

迷惑とか考えずに思いっきり叫ぶと、ようやくイチカさんが満足そうな顔をして前を向いた。

全く危ないな...

 

元々私がこうして敬語を使っていたのは罪悪感からだった。それは今も拭えていないが故にイチカさんに対して敬語を抜くのはかなり気まずいというか、勇気のいることだったのだが、こうして無理やりやらされたからには、おそらく今後もタメ口を強要されることになるのだろうと、先のことを考えて私は深くため息を吐くのだった。

 

案の定というか、その後も何度か敬語とさん付けを試してみるが、その度にイチカが目を見開いてこっちに圧をかけてくるせいですぐにタメ口に戻すことになった。

数日もそれを繰り返せば慣れてきたからいいけどさ...

 

 

 

それからの日々は特に大きなこともなく、ただ日々を退屈に過ごしていた。

 

元々やっていたカウンセリングもあれ以降再開されることはなく、たまにブラックマーケットに赴いてはみんなと駄弁ったり、時には縄張り争いに参戦したり。

...あとたまに会う阿慈谷さん(過去にブラックマーケットでキモイ鳥を追いかけ回していた子)を手助けしたり。...懲りてないのね。

イチカともよく一緒に出かけるようになったし、浦和さんともたまに会っては手を振り会うような関係に落ち着いた。最近はずっと顔が落ち込んでいるのは気になるが...私みたいな知り合いと言うだけの人よりは彼女の友達と話し合う方がいいだろう。

正義実現委員会の先輩方とは会う機会は全然無くなったけど、たまに連絡が来ることがある。その時は素直に返すようにしている。

 

そして私は相も変わらず、よく自己嫌悪に苛まれる。それは変わらなかった。そしてその度に私は自分のこめかみにAn Endを突きつける。

 

これはもはや癖みたいなものだ。

私がまだ死にたいと、いや、死にたくないと、思えているのか。みんなを否定したくないと思えているのか。

それを確認するための。

 

結果から言うと引き金を握る手がその震えを止めることは1度もなかった。

私は未だに、死にたくないと思っているのだろう。

みんなを否定したくないと思っているのだろう。

 

とはいえ、肯定出来ているのだろうか?

 

未だに蒼森先輩の信念を肯定出来ていない。あの人にちゃんと、謝れていない。

それに対する罪悪感からか、救護騎士団の人達とまともに接することも難しくなった。つい私の方から、目を逸らしてしまう。

それはよく連絡をくれる鷲見さんに対しても同様だった。

 

そんなままにだらだらと日々を過ごし続けてきた。

そうしていくうちに月日は自然と流れ、今日から私は2年生になる。

 

文化祭などの学校行事には積極的ではなかったものの、イチカによく誘われるから参加していた。

しかしそんな中でも、正義実現委員会の3年生の送別会には参加しなかった。

 

だって私に、正義を捨てた私に、先輩方を送る資格なんて無いから。みんなに合わせる顔なんて無いから。

 

同級生も先輩方もイチカも、みんな気にしなくていいと言ってくれる。誰も気にしてなんかいないと。

 

きっとそれは事実なのだろう。

気にしているのなんて、私だけなのだろう。

 

それでも、そうだからこそ、私が私を許せないから。

正義を背負うみんなとは、違うから。

 

私には、そんな役目は、果たせない。

 

 

 

2年生になってから約1ヶ月が経った時のこと、トリニティ自治区どころか、どうやらキヴォトス全体で、治安の急激な悪化が起こったらしい。

 

最近はイチカともあまり話せていないし、それに正義実現委員会全体もとても忙しそうにしていた。

 

そうなってくると私もやることがなくなってくるわけで、みんなに会いに行こうとブラックマーケットに赴くと、まあ絡まれる。

...いや、以前もしょっちゅう絡まれてはいたんだけど、その頻度が半端じゃない。今まではブラックマーケットに入ってみんなと合流するまでに2,3回位だったのが、今では2~30回位だった。ざっくり10倍である。どうなってんだよ。

それに持ってる武器もそれなりのものが多く、扱う人が人だからそこまで苦戦はしないが、絶妙に制圧がめんどくさくなった。

私の主力武器である手榴弾だってタダじゃないんだぞ。

 

ちなみにミミたちもみんな武器を新調して、いい武器を手に入れたらしい。

不思議に思って少し調べたら、出処不明の戦車などの車両や、違法な銃器の不法流通が2000パーセント増加したらしい。

ミミたちもそれによって恩恵を受けたようだった。

 

...2000って...ギャグかな?

 

 

そうやって日々を過ごしているうちに、正義実現委員会から支援要請が届いた。イチカに聞いてみると、自警団との連携も兼ねて自警団にも要請を送っているが、そういった治安維持組織に関係ないところでは私にしか送られていないらしい。

 

「無理しないでいいっすよ。嫌なら嫌でいいんす。」

 

イチカはそう言ってくれたが、私は受けることにした。

 

「いや、受けるよ。

別に正義実現委員会に所属しろって訳でもないんだし、みんなが忙しそうにしてるのも黙って見てるだけって言うのは申し訳ないしね。」

「ありがと!ほんとに助かる!!」

 

っす口調が解けているあたり、本当に嬉しかったのだろう。相当に忙しそうだったしね。イチカはともかく、他の正義実現委員会の子たちもよく愚痴り合っている場面を見かけていた。抱きついてくるイチカを適当に流しながら思案する。

 

支援要請を受けるのはいいけど、元々治安維持をやってる自警団はともかく、私一人が入ったところで変わるものでもなくない?

 

そのことをイチカに言ったらこいつマジかって顔をして見られた。

...何だよ...

 

「言っておくけどナナ、ほんとに強いんっすからね?」

 

そんな訳なくない?イチカには結局一度も勝てなかったし、あれからブラックマーケットとかで戦う機会はあっても、訓練なんかやってないからブランクあるし。

 

そう考えているとイチカは深くため息を着きながら俯いていた。

...何だよ!!

 

 

放課後になって、私はイチカと一緒に正義実現委員会の校舎に向かうと、剣先先輩と羽川先輩が出迎えてくれた。

 

「ナナ、久しぶりだな。」

「久しぶりですね、ナナ。支援要請を受けてくださりありがとうございます。」

「お久しぶりです。剣先先輩、羽川先輩。委員長及び、副委員長就任おめでとうございます。

私一人が入ったところで何が変わるかは分かりませんが、精一杯頑張らせていただきますよ。」

 

私がそういうと剣先先輩も羽川先輩も驚いていた。

 

「ナナはどうやら、自分が弱いと思っているらしいっす。」

「思っているも何も、事実では?」

 

横からイチカが補足をするが、別に同じでは?

 

「ナナ、言っておきますが、あなたは正義実現委員会の現2年生の中で言っても、イチカに次ぐ実力者なんですよ?」

 

羽川先輩の言葉に剣先先輩もイチカも頷いている。

 

...?そんなわけが無くないか?あ、冗談か。なんだぁ、それならそうだと言ってくれればいいのに〜

 

「あれ、冗談だと思っている顔っすよ。」「思っているな...」「ツルギの元で教育を受けていたのと、自己肯定感が低いが故でしょうか...」

 

3人が私に聞こえないようにボソボソと話していると思ったら揃ってため息をはいていた。...何さ!!!

 

「お疲れ様です。ツルギ委員長、ハスミ先輩、イチカ先輩。...そこの方は?」

 

そこに1年生と思しき子がやってきた。

自分の背丈ほどの大きなスナイパーライフルを抱えt...ってなんだそのスカート丈!?

イチカも大概だけど、それ以上なのは流石に見過ごせませんよ!

羽川先輩といい、正義を実現する人達が風紀を乱すのは如何なものかと思います!!

 

「おや、マシロ。この人は篠崎 ナナ、以前話していた支援の当てが彼女ですね。」

「ということは先輩ですね。私は静山 マシロです。正義実現委員会の1年生です。よろしくお願いします。」

「あ、よろしく...お願い、します。」

 

つい敬語になってしまった。完全に慣れてしまったイチカはともかく、他の正義実現委員会の人には後輩と言えども、私はまだタメ口で接するのは難しいようだ。

 

「...マシロ、いい所に来ましたね。少しナナと演習訓練をしてみませんか?」

 

羽川先輩?急に何を言い出すんです?

現役で訓練をしているこの子と数ヶ月のブランクのある私とじゃ、実力差があってもおかしくないのでは?

もしかして公開処刑でもするつもりなのか???

嫌だよ私、忙しいところにようやくやってきた助っ人が1年生に負けて弱えーとか思われるの。

 

「良いっすねぇ!私、演習場の鍵とってくるっす!」

 

なんでイチカも乗り気なんだよ!

 

とか心で思っているうちに、このやり取りをしていたのが校舎の入口という事もあって続々と人が集まってきている。

 

私のことを知らない1年生はともかく、2,3年生も楽しみにしてるのはどうなんだよ!!

相手スナイパーライフルだぞ!それもバカでかいやつ!

こっち拳銃だぞ!ガン不利じゃねぇか!!

 

...気がつけばみんな2階の観戦席に移っており、静山さんもスタート位置に着いたらしい。

 

...それを聞いた私もようやく観念して、スタート位置へと向かうのだった。




キヴォトス七不思議のひとつ、進級のあるサザエさん時空。確かに四季が巡ってるのに明らかに時系列が合わないんすよね。どうなってんだよ!実は1年はそのまま1年で先生が多忙すぎるだけとか言われたら私泣くぞ。
既に多忙なのにこれ以上過労要素を増やさないでください。

現状なんにも考えてないんだけど、ナナのメモロビいる?

  • いる。
  • いらない。
  • どっちでもいい。
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