どうか私を、終わらせて   作:めめ師

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ん!?銀行を襲うの!?

あれからブラックマーケットを歩き続けること数時間。

 

「はぁ...しんど。」

「これはさすがに、おじさんも参ったなー。腰も膝も悲鳴を上げてるよー。」

「えっ、ホシノさんはおいくつなのですか?」

「ほぼ同年代っ!」

「砂狼さん、小鳥遊さんっていつもあんな感じなんですか?」

「ん、そうだね。あとシロコでいい」

「おじさんもホシノでいいよ〜」

 

そのおじさんっていう一人称慣れないな...

 

「そうなんですね...シロコさん、ありがとうございます。」

 

私がシロコさんにお礼を言うと阿慈谷さんがものすごく驚いた顔で私を見てきた。

 

「えっ、それありなんですか!?じゃっ、じゃあ私のこともヒフミって呼んでください!」

 

...今更?

 

「良いですけど...どうして今更?」

「いや...だってナナちゃん、イチカさん以外みんな苗字呼びだから...特別な意味でもあるのかなって遠慮してたんです。そ、それと敬語も...良いですか?」

 

えぇ〜...名前呼びしてってイチカ以外に言われたことないから苗字呼びしてただけなんだけど...別に深い意味なんてないぞ?

 

みんなから私も私もと言われ、結局みんな、タメ口で話すことになった。(年上のホシノさんと先生は例外だが)

 

「あら!あそこにたい焼き屋さんが!」

「あれ、ほんとだー。こんなところに屋台があるなんてね。」

 

私は普段こっちの方には来ないから全然知らなかったな。今度みんなと来てみようかな。

 

「あそこでちょっとひと休みしましょうか?たい焼き、私がご馳走します!」

「えっ?ノノミ先輩、またカード使うの!?」

「先生の大人のカードもあるよ〜。」

 

先生はともかく、ノノミもそういうカード持ってるのか...言い方的に先生のものと同等っぽいし、ノノミって良いとこの出なんだろうな...トリニティのお嬢様みたいな...

 

それからノノミの奢りでたい焼きを食べて休憩する事になった。

 

これめっちゃ美味いな...今度絶対みんなを連れてこよう。

 

 

「それにしても、ここまで情報がないなんてありえません。妙ですね。」

「そうだね。ブラックマーケットでここまで情報がないとなると、誰かが隠してるっていうくらいしか考えられない。」

「いくらここを牛耳っている企業でも、ここまで徹底してブラックマーケットを統制することは不可能なはず...」

「そんな異常なことなの?」

 

私たちの会話にシロコも入ってきた。

 

「異常というよりかは...普通ここまでやりますか?という感じですね。」

「ここまでやる必要のある企業、ここまでやることのできる企業。それこそぱっと思い浮かぶのはカイザーコーポレーションくらいだね。カイザーはグレーゾーンのことを多くやってるけど、そんな中でもバレたら会社に大ダメージを与えかねない内容なのだとしたら...

ここまでやるというのも筋が通ってくる。

...まあ、全部推測の域を出ないんだけど。」

 

カイザーの名前を出した瞬間アビドスの人達の空気が変わった。彼女たちもカイザーに何らかの被害を受けているのだろうか?可哀想に...

とは思いつつも、トリニティならまだしも、普通の高校がカイザーに喧嘩を売るとろくな事にならないのは目に見えているので、あくまで推測だと付け足しておく。

実際ただの推測だしね。アビドス高校の事情だって詳しくは知らないし。

 

『お取り込み中失礼します!そちらに武装した集団が接近中!

気づかれた様子はありませんが、まずは身を潜めた方がいいと思います。』

 

アヤネからの通信で私たちがそちらの方向を覗くと、トラックとその周りを警護するマーケットガードがいた。

 

「うわぁ!あれはマーケットガードです!」

「マーケットガード?」

「先ほどお話した、ここの治安機関でも最上位の組織です!急ぎましょう!」

「私も戦ったことあるけど、雑に強くてめんどくさいんだよねあいつ。戦わないに越したことはないから、行こうか。」

 

実際超めんどくさかったからね...持ってる手榴弾ほとんど使わされたし。あの時は何とか勝てたけど、一体だけだった上に一対一の状況だった。今はアビドス高校の人達とヒフミがいるとはいえ、相手はしたくない。

 

 

「パトロール?護衛中のようですが...」

「トラックを護送してる...現金輸送車だね。」

 

そしてそのトラックはそのまま近くの闇銀行まで入っていった。

私たちがそれを影から眺めていると、アビドスの人たちがやけにざわついている。

 

「な、何で!?あれは毎月うちに来て利息を受け取っているあの銀行員?」

「本当ですね!車もカイザーローンのものです!

今日の午前中に支払った時のあの車と同じようですが...

なぜそれがブラックマーケットに...!?」

「...なるほど、そういう事ね。」

 

私が呟くとみんなの視線が私に集中した。

...恥ずかしいからあんまり見ないでね。

 

「アビドスの皆が探してる戦車、カイザー経由で卸された物だってこと。

みんなの高校はカイザーに借金があるということだよね?それの催促か...はたまた別の目的か。その為にアビドス高校を襲った不良達に戦車を卸した。

そしてその戦車もブラックマーケットのもの、皆さんの返済金を流す先もブラックマーケット。

その事実はカイザーコーポレーションにとっては犯罪の証拠に繋がってしまう。

...だからここまで情報統制をしているとなれば、信憑性の高い推測になるんじゃないかな?」

「じゃあ何!?私たちはブラックマーケットに犯罪資金を提供してたってこと!?」

 

セリカが大きな声をあげて噛み付いてくる。

なんだよぉ...私別になんもしてないじゃんかよぉ...

 

『ま、まだそうハッキリとは...証拠も足りませんし。あの護送車の動線を把握するまでは...』

「...あ!さっき銀行員がサインしてた集金確認の書類、それを見れば証拠になりませんか!?」

「さすが。」「そりゃナイスアイデアだねー、ヒフミちゃん。」

「とはいえ、その書類はもう既に銀行の中。無理だね。頼んで見せてくれるようなものでもあるまいし。」

「それ以外に輸送車のルートを確認する方法は...ええっと...うーん...」

「目撃証言を辿るとか...それにしてもキリがないし...監視カメラを見せてもらうのも現実味が...」

 

私たちが話しているとシロコとホシノさんが頷きあっていた。

なにか案があるのかな?

 

「他に方法はないよ。ここは例の方法しか。」

「なるほど、あれかー。あれなのかー。」

「あ!そうですね、あの方法なら!」

「何?どういうこと?

...まさかあれ?まさか、私の思っているあの方法じゃないよね?」

 

アビドス高校ならではの方法があるのだろうか?パッと思いつくならハッキングとか...技術面に強いミレニアムならそういう手も取れると思うけど...

 

「あの...全然話が見えないんですけど...あの方法ってなんですか?」

「残された方法はたった一つ。」

 

そう言ったシロコはカバンの中から青い目出し帽を取り出してそれを被った。

...えっ?急に何を???

 

「銀行を襲うの。」

「はいっ!?」「!?!?」

 

シロコさんの発言に私たちが驚いていると、ほかのアビドスの人達も気がつけば色違いの目出し帽を被っていた。

 

「だよねー。そういう展開になるよねー。」

「わあ☆そしたら悪い銀行をやっつけるとしましょう!」

「はあ...まじで?マジなんだよね?...ふう...それなら。

とことんまでやるしかないか!!」

 

えっ...アビドスってそういう高校???

ふと先生に視線を向けると、先生は苦笑いしながらみんなを見ていた。...止めろよ!!!

 

『はぁ...了解です。こうなったら止めても聞く耳持たないでしょうし...どうにかなる、はず...』

「ごめん、ヒフミとナナ、あなたたちの分の覆面は準備がない。」

 

えっ...私たちも行くの???

 

「うへー、ってことは、バレたら全部トリニティのせいだっていうしかないねー。」

「ええっ!?そ、そんな...覆面...何で...えっと、だから...あ、あう...」

 

ヒフミさん???そもそも行かなければいいだけでは?

 

「さすがにそれは可哀想過ぎます!

ヒフミちゃん、とりあえずこれでもどうぞ☆」

 

そう言ってノノミがヒフミに穴の開けたたい焼きの紙袋を被せた。

 

「番号も振っておきました。ヒフミちゃんは5番です☆」

「でも、それだとナナちゃんが...」

「え、ほんとに行くんですか?私たちも?」

「ん、じゃあナナはこれ。」「わぷっ」

 

私が疑問を持っているとシロコがコンビニの袋に穴を開けて私に被せてきた。

 

ほんのり美味しそうな香り...これレジ横の揚げ物食ったな!

なんか食べたくなってきた!

 

「ナナは6番。7番がいいかもしれないけど...順番だから。」

「いや、そういうこだわりは別にないんだけど...ってそうじゃなくて!本気でやるの!?」

「さっき約束したじゃーん?今日は私たちと一緒に行動するって。」

 

いや言ったけどさ!?こんなことになるとは思わないじゃん!!

 

「問題ないよ!私ら悪くないし!悪いのはあっち!だから襲うの!!」

「それじゃあ先生。例のセリフを。」

 

先生はやけに良い顔をしながら銀行を指さし、まるで決めゼリフであるかのように高らかに叫んだ。

 

「"銀行を襲うよ!!"」

 

それ決めゼリフでもなんでもねぇから!!

 

 

 

私たちが銀行に突入すると同時、天井の明かりを狙い撃ち、銀行内を暗くする。

そしてそのまま中にいるマーケットガードに向けて手榴弾を投げつけ、爆発と同時に全員で弾丸を叩き込む。

それによって銀行内で警備をしていたマーケットガード全員が一瞬にして沈黙する。

 

その間にシロコが銀行全体に警告と集金確認の書類の要求をしてくれていた。

 

ヤケに手馴れてるな...やっぱりアビドス高校ってそういう...?

 

「そこ!伏せなさいって!下手に動くとあの世行きだよ!?」

「皆さん、お願いだからジッとしててください...あうう...」

 

ヒフミも居心地が悪そうにしている。わかるよ...私も同じだもん...

 

...とはいえヒフミだってブラックマーケットでよく暴れてるよね?私知ってるんだぞ?

 

「うへーここまでは計画通り!次のステップに進もうー!リーダーのファウストさん!指示を願う!」

 

ホシノさんがヒフミの方を見ながらそう言った。

...ヒフミ、どんまい。

私は今自分の方に飛んでこなくてよかったとだけ考えていた。

 

「えっ!?えっ!?ファウストってわ、私ですか!?リーダーですか!?私が!?」

「リーダーです!ボスです!ちなみに私は...覆面水着団のクリスティーナだお♣︎」

 

...だっさ...アビドス高校ってやっぱそういう...

 

「うわ、なにそれ!いつから覆面水着団なんて名前になったの!?それにダサすぎだし!」

 

いや、総意じゃないんかい!!

いや...総意だって思う方がおかしいか...なんか私の頭もおかしくなってる気がする...

 

「うへ、ファウストさんは怒ると怖いんだよー?言う事聞かないと怒られるぞー?」

「あう...リーダーになっちゃいました...これじゃあティーパーティーの名に泥を塗る羽目に...ナナちゃぁん...」

 

名前呼ぶな!!ていうか名前もそうだけどティーパーティーとか言うな!!...まあ制服の時点でちょっと言い逃れできないんだけど...

 

「あの、シロ...いや、ブルー先輩!ブツは手に入った!?」

 

...セリカも本名呼びそうになってるし...あれだけ色々やっておいてこういうのに慣れてるわけではないのかな?

いや、セリカは1年生だしそれで慣れてないだけなのかも...

 

「あ、う、うん。確保した。」

「それじゃあ逃げるよ〜!全員撤収!」

「アディオース☆」

「けが人はいないようですし...すみませんでした、さよならっ!」

 

...私も適当に言っておくか。

 

「これに懲りたらカイザーなんかとつるむのやめなよ。...私はずっとみてるから。」

 

含みもたせてたらそれっぽく見えるでしょっていうことで適当こいたけど、まあいいや。どうせカイザーの下請けやってるようなとこだし、無駄に警備増やして意味の無い警戒をするだけでしょ。

ほかの警備が減るのは私の望むところだし。

 

 

 

「はひー息苦しい。もう脱いでいいよね?」

 

ブラックマーケットから離れ、アビドス区域の街中まで来た私たちは一息つく。

疲れた...体力っていうより、心労が...カイザーをギャフンと言わせる機会でちょっとスッキリはしたけどさ...

 

そのまま私たちは徒歩でブラックマーケットの封鎖区域突破し、盛り上がった。

 

「やった!大成功!」

『本当にブラックマーケットの闇銀行を襲っちゃうなんて...ふう...』

「シロコちゃん、集金記録の書類はちゃんと持ってるよね?」

「う、うん...バッグの中に。」

 

シロコは歯切れ悪く言う。ついさっきまで楽しそうに銀行強盗に積極的だった人と同一人物とは思えないな。

 

「へ...なんじゃこりゃ!?カバンの中に...札束が...」

「うえええっ!?シロコ先輩、現金を盗んじゃったの!?」

 

何をそんなに驚いてるんだ?銀行強盗までやったのに今更現金なんかで...

それからことの成り行きを見守っていると事情が見えてきた。

 

どうやら彼女たちが心配しているのは、現金を盗んでしまい犯罪を犯したという事実を持つことよりも、今後、次に同じ状況になった時に平気で同じことをするようになってしまわないように...という事だった。

 

あ、アビドスって別に犯罪上等な学校って訳ではなかったのね。それにしては手馴れてたのは気になるけど...

まあ私は今、別に治安組織所属ってわけでもないから良いんだけどさ。

 

そうこう話しているとアヤネから通信で、私たちの元に近づく影があると言われた。

 

「追っ手のマーケットガード!?」

『い、いえ...敵意は無い様子です。

...調べますね。あれは...べ、便利屋のアルさん!?』

 

アルさん?アビドスの関係者かな...私は知らないな。

私たちはみんな覆面をかぶり直す。

 

「はあ、ふう...ま、待って!」

 

そしてそのまま追ってきた人に向けて銃を構えた。

あの角は...ゲヘナ...??

 

「あ、落ち着いて。私は敵じゃないから...そ、その...大したことは無いんだけど...

銀行の襲撃、見せてもらったわ。

ブラックマーケットの銀行をものの数分で攻略して見事に撤収...あなたたち、稀に見るアウトローっぷりだったわ。正直、すごく衝撃的だったというか、このご時世にあんな大胆なことができるだなんて...感動的というか...

わ、私も頑張るわ!法律や規律に縛られない、本当の意味での自由な魂!そんなアウトローになりたいから!」

 

...???見せて貰ったって...アビドスの追っかけかな?

 

「そ、そういうことだから...な、名前を教えて!!」

「な、名前?」

 

私たち全員を困惑が包み込んだ。急に聞かれるとは思ってなかったし...でも、チーム名だったらさっき言ってた...

 

「...覆面水着団...??」

「ちょっ、ナ...ロク!?」

 

えっ、私ロクなの!?さすがに安直すぎない...?

 

「覆面水着団!?

や、ヤバい!超クール!!カッコよすぎるわ!!」

 

まじかこいつ...ゲヘナは野蛮だって聞いたことはあるけど、これだと野蛮というかただのバk...いや、やめておこう。

 

「うへ〜本来はスクール水着に覆面が正装なんだけどね。ちょっと緊急だったもんで、今日は覆面だけなんだー。」

「そうなんです!普段はアイドルとして活動してて、夜になると悪人を倒す正義の怪盗に変身するんです!!

そして私は、クリスティーナだお♣︎」

 

なんか色々設定が生えてきてる...

 

「目には目を、歯には歯を。無慈悲に、孤高に、我が道の如く魔境を行く。

これが私らのモットーだよ!!」

 

そんな適当に設定生やして大丈夫???後々忘れない???

ま、まあ、ゲヘナの子が楽しそうにしてるし...いい...のか?

 

そして私たちはそのままアビドス高校まで向かうのだった。

...あれ、なんで私らもアビドス高校まで来たんだ???

最初に言ってたの、ブラックマーケットの案内じゃなかったっけ???




ナナはトリニティに学力で入学するくらいにはしっかりと頭がいいのです。まあ全然勉強好きではないし、自己肯定感も低いので自覚はないですが。


わかってることではあったんですけど、想像以上にアンケート差ついてて草なんだ。

先の展開考えてたら救われたナナが先生ラブ勢に片足突っ込む未来が見えたんだけど、どう思う?

  • いいわけないだろ。イチカとくっつけ。
  • そういうゲームだしいいじゃんね
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