どうか私を、終わらせて   作:めめ師

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第1回水着パーティー

勉強が終わり、一日の終わり、部屋の中でハナコがみんなの洗濯物を集めていた。

 

「さあ、では洗濯を始めましょうか。

皆さん制服や下着や靴下など、洗うものは全部このカゴに入れてくださいね。」

「ありがとう、よろしく。」

「はい...はいっ!?下着もですか!?」

「なんで!?下着は各自で良いでしょ!?」

「うーん...別にそこまで気にしなくてもいいと思うけど...」

 

ハナコに抗議するヒフミとコハルをよそに、私とアズサは洗濯物をまとめてハナコの持つカゴに放り込んでいく。

 

「洗濯はまとめて一気にした方が水と洗剤の節約になる。ハナコの言っていることは間違っていない。」

「あうぅ...で、ではお願いします。」

「えぇ...わ、私がおかしいの...?」

 

ヒフミとコハルは小さく文句を言いながら洗濯物をまとめていた。

 

「はい、ありがとうございます‪♡

...あ、先生は...?」

「"遠慮しておくね。"」

「あら、そうですか?では、洗濯機を回してきますね。何も問題がなければ、きっと明日の朝までには乾かすところまで終わるはずです♪」

 

ハナコが洗濯物を持っていき、少ししてから戻ってきたあとで、すぐ寝る時間になったためそれぞれのベッドに入っていた。

 

「じゃあ、そろそろ寝ることとしよう。今日もお疲れ様。」

「そうだね。おやすみー。」

「おやすみなさい...」

 

 

 

 

「あうぅ...結構降ってますね...」

「そうですねぇ...」

「これは外に出られそうにないね。」

 

翌朝、私はハナコとヒフミと一緒に外の様子を眺めていた。

というのも今、外は土砂降りという表現がぴったりなほどに雨がザーザーと降っており、しかも風も相当強そうだったからだ。

 

「んぅ...?」

「あ、おはよう、コハル。」

「おはようございます。アズサちゃんは...まだちょっと起きられなさそうですね。」

「どうしたの...アズサ結構早起きだったのに。」

「今までは無理をしていたんじゃないでしょうか?少し寝かせておいてあげたいですね。」

「...んんっ...ダメ、かわいいものが...ふわふわで...それは、よくない...」

 

アズサは布団に包まりながらそんな事を言っていた。

かわいいな...イツキみたいな、小動物的なかわいさだ。撫でてやりたくなる。

 

...そういえばブラックマーケットにも最近は行けていないな。モモトークでの会話くらいはちょくちょくしているけど、どこかでまたみんなに会えるタイミングがあるといいんだけど...

 

そんな事を考えていると、外で雷が鳴っていた。

 

「あ、あうぅ...なんだか雷まで...」

「...あら。」

 

そんな時、ハナコがふと、思い出したように呟いた。

 

「どうしたの?」

「忘れてました、洗濯物が外に...!」

「......あ。」

 

私たちは駆け出したハナコの後ろをついて行くのだった。

 

 

数十分後。

 

「多分、これで全部だ。」

「これは...見事に全滅ですね。泥もはねちゃってますし、洗い直しが必要そうです。」

「体操服もすごいことに...うぅっ、全部びちゃびちゃ...!」

「それはコハルが途中で転んだからだ。」

「まあまあ...あの中で外に出たんだし、みんな着替えが必要なくらい濡れちゃってるからどっちにしろだよ。」

 

外に干されてあの豪雨に晒され続けていた洗濯物の全てを回収して部屋に戻った私たちはびちゃびちゃの洗濯物を広げてそれを囲んでいた。

 

「ごめんなさい。つい失念していて...私がみんな一緒にと言い出したせいです。」

「いや、ハナコのせいじゃないよ。私達も忘れてたし、ハナコがやってくれてありがたかったんだから。」

「はい、そうですよ。...濡れた服のままですと風邪を引いてしまいますし、まずは早く着替えてしまいましょう。」

「...ありがとうございます。そうですよね、髪も乾かさないと...」

 

私は着替えを持って更衣室に向かおうとバッグを開いて、固まった。

 

「...?どうしましたか、ナナちゃん?」

「......もう着るものが無い。」

「...え?」

 

私の言葉に部屋に集まったみんなが動きを止めた。

 

「そういえば私もそうだ。制服も体操服もびしょ濡れで、他に予備の服は無い。」

「そ、そういえば私も...あうぅ...」

「...あらあら‪♡まあ、下着で勉強というのもすごくありだと思いますよ?」

「何言ってるの!?バカ!そんなハレンチなのダメ!どうしてそういう方向になるの!?」

「でも、話はわかる。下着は多めに用意してあるし、靴下も履いておけば体温の維持も問題なさそうだ。」

「変に同調しないで!?教室で下着なんてやばいでしょ!?」

「ですがコハルちゃん、想像してみてください...」

「もうあんたは黙ってて!!」

 

コハルが叫び、ハナコは苦笑いで引っ込んで行った。

まあ、普段の行いが悪いよ、普段の行いが。

 

「...まあ、とりあえずこのままびしょ濡れのままだと風邪ひいちゃうし、その前にさっさとドライヤーとかで乾かしちゃおうか。」

 

私がそう言って先生に外に出てもらうように言おうとした瞬間。

 

ピシャアアァァン!!

 

雷の轟音と共に部屋の電気が落ちたのだった。

 

「えっ!?な、なに!?」

「て、停電みたいですね...?」

「...問題が発生した。」

 

私たちが真っ暗な部屋で困惑していると、そこにアズサがやってきてそう言った。

...嫌な予感。こういう時は連鎖するものだ。

 

「洗濯機が止まってる、それに蓋も開かない。困った。」

 

はい。嫌な予感的中ですね。というか停電ってさ...

 

「これ...ドライヤーも使えないね。今濡れてる服を乾かすのも無理だよ...」

 

うわあ...詰みか?これ。

 

 

 

「さあでは記念すべき第1回、補習授業部の水着パーティーを始めます!」

「あうぅ...」

「なんで、こんなことに...」

「まあ色々と...仕方がないね...」

「そうですよ。こうなっては、パジャマパーティーならぬ水着パーティーくらいしかすることはありません‪♡」

 

私たちは水着に着替えて体育館に集まっていた。

停電により勉強もままならない状況であり、唯一無事であった水着を着ていた。そして水着ではさすがに寒く、みんな座り込んでブランケット等を被って温まっていた。

 

「...なにか他にもありそうな気はしますが...」

「なるほど、下着パーティーとかもありそうですね‪♡たしかによく考えると他にもいくつかあると思いますが、それで本当にいいんですか...?ふふっ。」

「なんで水着の次の候補が下着なのさ...」

「こうなると授業もやりにくいし...こんな落雷くらいで全部の建物が機能不全だなんて、酷いセキュリティだ。」

「まあ、古い建物だし...」

「っていうか待って!流されないわよ!?水着パーティーって何なの!?卑猥!!

授業もできないし着る服もない所までは同意だけど、だったら大人しく部屋で休めばいいでしょ!普通に考えて!」

「あら、ですがこういう時間こそ合宿の花だと思いませんか?みんな寄り添って、お互いの深い部分をさらけ出し合う...雨も降っている上に停電で何も見えませんし、雰囲気は最高です!

うふふふ...‪♡せっかくの休み時間なんですし、そうやって有意義に過ごしません?」

 

合宿が始まってからこれまで、プール掃除の時や、コハルをからかっている時など、ハナコが楽しそうにしている場面は何度か見てきたけど、今回はそれら以上にハナコが楽しんでいるのがわかった。

ハナコはもしかして、この水着趣味のせいで仲良く話せる友達が今まで居なかったんじゃなかろうか...それで今、こんなにテンションが高くなっているのだろうか?

そう考えると、先生もいて少し恥ずかしいとは思うが、ハナコのこれにももうちょっと付き合ってあげようという気分にもなる。

 

「"ハナコ、本当に楽しそうだね。"」

 

先生も同じことを思っているのか、ハナコにそう言っていた。

 

「気持ちはわかる。私も何なら、補習授業部に入って以来ずっとそういう気持ちだ。

何かを学ぶということも、みんなでご飯を食べることも、洗濯も掃除も、その一つ一つが楽しい。

水着は泳ぐ時にだけ着るものだと思っていたのに、こんな活用方法があるなんてことも初めて知った。知らなかったことを知れるということは、楽しいことだ。」

「...水着については、違うと思うけどね...?」

「でも、動きやすくて通気性もいい。花子がこれを着て学校を歩いていたというのも納得がいく。」

「そうですよね‪♡だから言ったじゃないですかコハルちゃん。」

 

ハナコはアズサから水着徘徊への同意が得られて満足そうにしている。

 

「いやそれで外を歩くのは犯罪だから!納得しちゃダメ!公然淫猥罪だよ!?」

「っ!きゅ、急になに!?何でそんなに急に恥ずかしいことを!?」

「あらあら‪♡」

「...アズサちゃん、最初はあまり表情の変化も読み取れなくて心配でしたが...良かったです!」

「ヒフミもだ。本当にいつも世話になってる、ありがとう。」

「あ...アズサちゃーん!うわーん!!」

 

アズサにお礼を言われて感極まったらしいヒフミはアズサに抱きついていた。

 

「ほらほらヒフミ、アズサが苦しそうだから、ね?」

「うぅ、アズサちゃん、ごめんなさい...」

「構わない。それと、もちろんナナもだ。補習授業部でもないのに勉強を見てくれてありがとう。」

「私は...ヒフミに頼まれたし、これが無かったら暇なだけだしね。」

「だとしてもだ。とても助かっている。ありがとう。」

「...うん。」

 

アズサはこうやって感謝の気持ちを直球に伝えてくるから困ったもんだ。こっちも準備なんてできていないから照れてしまう。

 

 

 

「...そういえば、今トリニティのアクアリウムでゴールドマグロという希少なお魚が展示されているらしいですね。」

「あ、私もそれパンフレットで見ました!幻の魚と呼ばれているんですよね?」

「はい、どうやら近くの海で発見されたとか...」

「トリニティのアクアリウムって言うとあそこ?あそこ入場料だけでも結構すると思うんだけど...」

「はい、それで見に行けていないんですよね...」

「海、か...そういえば一度も行ったことないな。」

「そ、そうなんですか!?1回も...いつか行きましょうね!」

 

ヒフミはアズサを海に連れていこうと張り切っていた。

...なんかその時は戦車を...とか呟いているのが聞こえるんだけど...戦車!?海に!?

 

 

 

「水着で街や学園を歩くのは別に、そこまで変なことじゃないですよ?」

「そんなわけないでしょ!勝手に常識改変しないで!」

「ですが、これは私がシスターたちから聞いた話ですが...どうやらキヴォトスどこかの無法地帯では、水着姿で覆面を被っている犯罪集団があるらしいですよ?」

「水着に覆面...!?ド変態じゃん!何それ!?」

 

ハナコとコハルがこれについて話している間、私とヒフミ、先生の3人は冷や汗ダラッダラである。

いや、実際に水着で活動したことなんかないし...水着に覆面が正装のド変態はアビドスの5人組だけだし...

 

 

 

「アズサちゃんはもっと寝た方がいいと思いますよ?」

「うん、今朝は寝坊して迷惑をかけてしまった。

慣れない場所で寝坊なんて、これまでほとんど無かったのに...もうここは、慣れない場所じゃないからかもしれないな。」

「...とにかく、もっとしっかり寝た方がいいです。深夜の見張りは減らして頂いて。」

 

アズサ...前見た時に夜居ないと思ったけど、やっぱり見張りとかやってたんだ...完全に軍隊の習慣が染み付いているんだろうか?

 

「"ハナコ、アズサのことすごく心配していたよ。"」

「そうなのか?...ごめん、実は見張りは言い訳で...ブービートラップとかを設置していたんだ。」

「どうしてそんなことを?」

「心配しないで、ここに悪意を持って侵入しようとするルートにだけ設置してるから。普通の生活をする上では安全面に問題は無い。」

 

...本当にそうか?昨日合宿所の正面から入ってきた伊落さんがトラップ食らってたぞ?

 

「なるほど...ですが、これからは教えてくれると嬉しいです。...どうしても心配しちゃいますから。」

「...そうか、うん。これからは気をつける。

...私のせいで、先生とみんなが被害を受けるのは、望むところじゃないから。」

「"アズサは優しいね。"」

「なっ...子供扱いしないで、先生。私が別に、そんなのじゃない。

...だってこの世界は、全てが無意味で、虚しいものだ。だから、もしかしたら...

...私はいつか裏切ってしまうかもしれない。みんなのことを、その信頼を、その心を。」

 

アズサが零した言葉に、私は胸が締め付けられた。

信頼を、心を裏切ってしまうかもしれないという懸念は、私も抱えるものだ。

むしろ私は、裏切ってきた。否定してきた側だ。

 

そんなことは無いと、言えれば良かったのに。

私のそんなことを口に出す資格なんて...あるわけが無い。

私だって、みんなの信頼を裏切らないようにと、必死なのだから。

 

そこまで考えたところで、体育館に電気が戻ってきた。

 

「あ...電気が...」

「直ったみたいですね。」

「あ、雨もいつの間に...!」

「そうですね。では改めて洗濯しましょうか。」

「うん。じゃあ、第1回水着パーティーはここで閉幕か。2回目も楽しみにしてる。」

「2回戦とかないから!こんなの最初で最後だから!!」

 

 

そのあとは選択をして着替えたあと、残りの時間は休息を取ることにした。そうやって1日が過ぎ、みんなで寝る前の準備をしようとしていた時...

 

「いいえ、まだです!このまま1日が終わりだなんて、そんな勿体ないことはさせません!!」

 

ハナコが唐突に叫んだ。

 

「ど、どうしたの、ハナコ?」

「急に飛び上がって、びっくりした...」

「突然の事でしたが、せっかくのお休みじゃないですか。みんなで裸で交わったのに、このままはいおやすみなさいなんて...」

「勝手に記憶を捏造しないで!裸じゃないから!」

「それはともかく、このまま寝てしまうのは勿体ないです。まだ火照ってると言いますか、物足りないと言いますか...」

「...と言うと?」

「うふふ‪♡合宿といえば、やはり合宿所を抜け出すこと...それもひとつの醍醐味だと思いませんか?」

 

...ハナコ...その楽しみ方は絶対に間違ってると思うぞ。

 

「ちょっといって戻ってくるだけですから大丈夫ですよ。いいですか、先生?」

「"楽しそうだね、行こっか。"」

 

いつの間にか部屋の中にいた先生がハナコに同意した。

...先生、いつの間に...ていうか否定しろよ!あんた顧問だろ!!

 

「準備できた。何時でも出発できる。」

「アズサ!?いつの間に制服に...!?」

「では決定ですね。

さあ早く準備していきましょう!楽しくなってきましたね、深夜に裸で散歩...」

「さりげなくすり替えないで!!服は着ろ!!」

 

...こうして何故か深夜に散策をすることになったのだった。




こうしてみると、アズサとナナって割と似通ったところってあるんですね。ほとんど真逆のキャラって認識でいたんですが、以外にも考えは似たところがあるようで...これもどこかで使えないかな...と模索中です。

現状なんにも考えてないんだけど、ナナのメモロビいる?

  • いる。
  • いらない。
  • どっちでもいい。
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