「そこまでだ!お前ら、トリニティだろう!?なんでゲヘナにいるんだ!!」
「この先は温泉開発予定地だよ〜、温泉開発の邪魔をするなら容赦しないよ〜!」
「ハナコ、ナナ。これはダメだ。陽動作戦は失敗だ、囲まれてる。」
「あら...」
「数が多すぎるでしょ...」
現在私とアズサ、ハナコはゲヘナ自治区内にて風紀委員会と温泉開発部に囲まれていた。
アズサは現在別行動中のヒフミとコハルに連絡を入れている。
さて...
どうしてこうなった!!!
遡ること数時間前、合宿所の教室にて。
「試験に3回落ちたら、退学...!?」
「...なるほど。」
「な、なんでそんな...」
「か、隠しててごめんなさい。まさか、こんなことになるなんて...」
3回行われる特別学力試験において、補習授業部は全員が合格点を取らないと退学させられることになるという話を、先生から聞いたのだった。
「ど、どうすればいいの...!?退学になんてなったら、正義実現委員会に復帰できない...!」
「それは...」
「...状況は理解した、とにかく出発しよう。」
「え、えぇっ!?」
「試験時間が深夜の3時って書いてある。今から出発しないと間に合わない。」
「あっ、確かに!」
「驚くにせよ、怒るにせよ、絶望するにせよ...それは試験を受けてからでも遅くはない。障害物の多さに文句を言ったところで、状況が変わるわけじゃない。大切なのは、それでも最後まで足掻くこと。」
現在時刻は夜の10時。今から出発しないと、深夜の3時に試験会場に間に合わない。それだけ遠いところに会場が設定されているという事実に気が遠くなる。
...しかもその会場というのが、まさかのゲヘナ自治区である。
私が今回の試験内容の変更...つまり試験範囲の大幅拡大と、合格点引き上げ、そして会場と試験時間の急な変更を聞いた時に感じた印象...絶対に合格させないという意思は間違っていないらしい。
それにしたって強引が過ぎるのではなかろうか...昔っからトリニティは陰湿だとか噂は聞くが、まさかここまでだとは...私自身が政治どうこうに興味が無さすぎて知らなかっただけなようだ。
「直ぐに出発しよう、各自装備を忘れずに...」
「装備!?銃火器ですか!?」
「まあ...そうなるよね...」
「そうですね。ゲヘナ自治区はただでさえ無法地帯ですし、今は風紀委員会が条約締結前ということもあって対処しきれていないでしょうし...」
「あ、あうぅ...どうしてこんなことに...」
「行こう、先生。」
「"うん。じゃあ、準備ができ次第出発で。"」
先生の号令で私たちは準備を始めた。
まあ、私は特に準備するものもないんだけど...ただ、道中自販機で手榴弾を買えるようにお金は多めに持ち歩いておこう。
「ここからはもう、ゲヘナ自治区ですね。」
「んー?なんだか見慣れない奴らだなぁ?」
「無視とは冷たいねぇ?そんなに急いでどこに行くのさ?」
「わあ、「無法地帯といえばこれ」みたいな古典的な感じですねぇ。」
「えっと、私たちは試験を受けに行く途中でして...」
「はぁ?試験?頭大丈ブッ...!」
「えぇー!?!?ナナちゃん!?」
絡んでくる不良が油断しているうちに私はその頭に銃弾を叩き込んだ。
「どうせ喧嘩になる。私たちは見逃されないよ。だったら最初からこうすればいい。」
「確かにそうだな。その方が早い。」
「なっ、なんだてめぇら!!」
私の言葉にアズサも同意して銃を構えた。
「どうせあなたたちは私たちがトリニティ生だと見るやいなや、攫おうとするでしょ。ブラックマーケットで散々経験してる。それと...足元注意だよ。」
「ぐあぁぁぁ!?」
私が話しているうちに事前に転がしておいた手榴弾が敵の足元で起爆した。それを合図に私とアズサが飛び出し、遅れて他三人が戦闘態勢に入るのだった。
制圧は苦戦することもなく、私とアズサの連携ですぐに終わった。
「ふふっ。あらあら、繊細ですねぇ♡」
「先を急ごう。」
「ま、待って!置いていかないで!?」
「あ、あはは...すみません、通らせてもらいますね。」
「はぁ...どうせこの先も絡まれるんだろうなぁ...」
「えっと、何とか内部には入れましたが...」
「いくら夜中とはいえ、人気が無さすぎません?」
「いいじゃん、絡まれることが少なくて。ブラックマーケットだとこうは行かないよ。」
ドパパパパパッ!!
「...銃声だ。どこかで戦闘が起きている。」
「うわぁ...試験会場この先だよ。」
「うーん、このまま進むしかありませんし...とりあえず行ってみましょうか。」
私たちが進んでいくと橋の上で人が立ち並んでいた。
「あれは...検問?」
「止まれ!ここから先は立ち入り禁止になっている!」
「そもそも今日は、街全体に外出禁止令が出されているはずだ!早く戻って......その制服、トリニティ?」
「どうしてここに...!ゲヘナに何をしに来た!目的はなんだ!」
「い、いえその、本当にここを通りたいだけでして...!」
「なんの目的もなしに、トリニティがゲヘナに来るわけあるか!」
「ですが私たちは本当に、ただ試験を受けに来ただけなんです。特に問題を起こしに来た訳ではなく...」
「トリニティの生徒は試験を受けるために、どうしてゲヘナの自治区に来るんだ!!せめてもっとましな嘘をつけ!」
はい、正論すぎて返す言葉もございません。
せめてぐうの音くらいは出してもいいですか?ぐう。
「...っ!そこのお前、正義実現委員会じゃないか!?」
その時検問にたっていた風紀委員の視線がコハルに向いた。やっべバレた。
「なっ、ほっ、本当だ!襲撃だ!正義実現委員会が襲撃しに来たぞ!」
「上層部に報告!正義実現委員会がついに来た!!」
「えぇっ!?いやその、そ、そうなんだけど、今は違うって言うか...うぅっ...!」
「仕方ない、倒そう。」
「えぇっ!?誤解が深まりませんか!?」
「もう無理だよこれ。早く突破しないといよいよ間に合わなくなる。」
「なっ、ナナちゃんまで!?」
ドカアァァァン!!
「ナナちゃーーん!?」
「わ、私じゃないよ!?」
「アズサちゃん!?」
「私でもないぞ。私たち以外の誰かだ。」
「そうですね、今のは私たちのはるか後方から飛んできました。しかし一体誰が...」
私たちが疑問に思って後ろを振り向くと...
「あらっ☆やっぱり先生でしたか!」
「大当たりでしたわね。ご機嫌よう。ここで何をされているのですか、先生?」
「"美食研究会のみんな!"」
数日前に交戦したばかりのゲヘナのテロリスト、美食研究会がいた。
...えっ?1人を除いで捕まったはずでは???
「...なるほど、状況は概ね理解しました。とにかくこの場所に行かねばならないのですね?」
「"うん。"」
「事情はわかりましたが、タイミングが悪かったですね...この辺りは今、それなりに大きな騒動になっていまして。」
「温泉開発部が市街地のど真ん中をドカン☆と爆発させたとかで、とにかくめちゃくちゃな状態なんです。」
「そのせいで、風紀委員会も慌ただしく動いているという状況で...まあそのおかげで機に乗じて、私たちもこうして風紀委員会の牢屋から抜け出せたのですけれど。ふふっ♪」
ふふっ♪じゃないが?元正義実現委員会として言わせてもらうと犯罪者の脱走ってまじで後処理大変なんだぞ。トリニティでは滅多にあることではなかったけど、私がいた数ヶ月だけでも2回経験してまじで大変だったんだからな!!
「そうですね。それに非常事態ということもあって、またしてもその場に偶然居合わせた給食部のフウカさんが、部の車を快く貸してくれましたし☆」
「んっ!?んーっ!んーーっ!!」
「絶対無理やり奪ったじゃ無いですか!?この間も拘束してたし!!」
「新しく買ったばかりの車を貸してくれるなんて...これぞ美しい友情というやつですね☆」
「んんっ!んっ、んんんんっ!!!」
うわぁ...この人たち話通じない...
「.........その友情のお相手、縛られたままトランクに積まれてません?」
「問題ありませんわ、フウカさんはこういったことに慣れていますから。」
「もはや専門家と言っても過言ではありませんね☆」
「うわぁ、絶対常習犯だこの人達...」
自分で縛って攫っておいて慣れてるとか専門家とか言ってるのやば...
『ハルナ、アカリ!今どこ!?こっちも包囲網を破ったけど、合流できそう!?』
『ぎゃーーっ!風紀委員会がまだ追いかけてきてる!!』
「ジュンコさん、脱出作戦は取り消しです。」
『えっ、何で!?』
「ふふっ、あの時のお礼ということで。先生とトリニティの皆さんのことは、私たちが責任をもってご案内しますわ。」
「ですね☆それではとにかく乗ってください!」
...色々言いたいことはあるけど、今はとにかく助けてもらうことにしよう。
回想終了!!
そんなこんなで試験会場に向かうヒフミとコハル、陽動作戦を敢行する私とアズサ、ハナコに別れたのだが、それも上手くいかず、私たちは風紀委員会と温泉開発部に包囲されたのだった。
「アズサ、ハナコ。先に会場に向かって。ここは私が時間を稼ぐ。」
「っ!それだとナナが...!」
「いい。私なら1人の方が戦いやすいし、時間稼ぎには最適だから。それよりもここまで来てふたりが間に合わない方が問題だから。」
「...分かりました。それならナナちゃん、私が合図をしたらスモークグレネードを投げてください。」
「...?爆発までは少しかかるよ?」
「だからです♡」
ハナコが何を考えているかは分からないけど、とりあえず従うとしよう。
「今ですっ!」
目を見開いたハナコの合図に合わせて私が懐からスモークグレネードを取りだし、地面に投げつける。これだけの人数に囲まれていて、周囲に煙が充満するまでの隙を全員が見逃してくれるなんて普通はありえないことだ。
...普通であれば。
「動いたぞ!撃てっ...えっ!?」
「させないよ〜!...んっ?」
「うふふふ♡動いて暑くなっちゃいました。ここはトリニティ自治区でもありませんし、制服でなくても構いませんよね♡」
なんとハナコが制服をその場に脱ぎ捨てて、相手がそれに動揺したことで空気が止まったのだった。
...ありがたいけどさぁ!!
その瞬間スモークグレネードが爆発し、辺りに一瞬にして煙が充満した。
アズサとハナコは相手の動揺を利用して一瞬で離脱できたみたいだ。
こっからは私の頑張りどころだぞ...!!
「くそっ、やられた!おい!包囲網を崩すなよ!」
「うわぁびっくりしちゃった!見えないけど全部燃やしちゃうよ〜!」
この状況において私が最も警戒するべきは、火炎放射器という範囲攻撃持ちの温泉開発部の方。だからこそ私は手榴弾2つを温泉開発部の方に投げつける。こんな状況で手榴弾が転がってくる音なんてきにしないし、足元なんて普通は見ない。だからこそ...
ボカアァン!!
「うわあぁぁ!!」「「「「ぎゃーーっ!!」」」」
簡単に巻き込まれてくれるものだ。その衝撃で煙が晴れるのはどうしようもないけど、私は予備のスモークグレネードも大量に持っている。何てったって拳銃だから身軽なんだよね!
「手榴弾か!お前らも気をつけろ!」「「「「はい!」」」」
風紀委員会の方から声が聞こえてくる。手榴弾を持っていると分かったんだから、警戒するのは当たり前なんだけど...声を出すのは良くないよ。
私はその場にスモークグレネードを落とし、再び温泉開発部側の視界を防ぐと、今度は風紀委員会の方に突っ込んで行った。
そのままAn Endを構え、声を頼りに銃弾を発射する。
「うぎゃ!」「いった!」
ほとんど威嚇射撃のつもりだったけど、数発当たってくれたらしい。
「なっ!クソッ、どこだ!」
風紀委員会のリーダーらしき人の声と銃声が聞こえる。残念ながら既にそこにはいない。そして銃を撃とうと構えたら今度は...
ボカアァン!!
「うぎゃぁ!」「「「いやーー!!」」」
手榴弾の警戒が疎かになる。
これは私がブラックマーケットで編み出したオリジナルの対多数戦法。結構便利だし、そこらの不良相手どころか、正義実現委員会の部隊にも通用する戦法だ。
...何故か一瞬でこちらの位置を割り出してくるイチカや、そもそも手榴弾が効かないツルギ先輩には通用しないけど...理不尽じゃない?
とはいえ、敵の数が多すぎる上に相手も猛者らしく、そう簡単には倒れてはくれないみたいだ。
「もーっ!また煙幕!どこだ〜!!」
「クソッ、全然見えない!お前ら、とりあえず味方に当てなきゃいい!それっぽいとこ撃て!」
それらの声が聞こえてくると、そのまま左右から炎と大量の銃弾が襲ってくる。私は少し被弾しながらも、路地裏に逃げ込むことでそれらを回避した。
もちろん、置き土産も忘れてない。
ボカアァァァァン!!
「「「「「うぎゃあああああ!!!」」」」」
あとはスモークグレネードをもう1発投げ込んでおいて、まだ私がいると誤認させておこう。
あー...疲れた...痛いし暑い...おうち帰りたい...
みんなは大丈夫だろうか...?無事に試験を受けられているといいのだけど...
「先生、そっちは大丈夫ですか?」
『"うん。今みんなで試験を受けるところだよ。ナナは無事?一人で残ったって聞いたけど。"』
「無事ですよ〜...ただ疲れました。私はもうこのままトリニティに帰りますね。試験の様子は明日聞かせ...」
『ドオォォォン!!』
「...先生???」
『"うん、ダメかも..."』
私はため息を吐き、トリニティの合宿所へと帰って行った。
露骨すぎないか?今まで興味も無かったけど、トリニティの生徒会長のこと嫌いになりそうだよ。
ナナが結構強いように描写しちゃったけど、まあ良いよね!
搦め手に弱すぎるイオリと、頭使わないメグが相手ってことで許してください。相性が良かったんです。
正面から戦ったらナナはむしろ弱い部類だと思っていただけると。
現状なんにも考えてないんだけど、ナナのメモロビいる?
-
いる。
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いらない。
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どっちでもいい。