どうか私を、終わらせて   作:めめ師

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トラウマとは案外自覚できないものらしい

「んん...」

 

目覚まし時計の喧しい鳴き声に起こされて朝を迎える。そしてのそのそと起き上がり洗面台で顔を洗う。

それでもまだ起きない頭で目を閉じながら手の感覚で何とか制服を着る。

中学校から続く私の毎朝のルーティーンだ。

中学校の頃から制服は変われど、それでも毎朝の動きは変わらない。

私は働かない頭を何とか動かし、部屋を出て食堂に向かう。

 

そしてそのままポヤポヤと朝食を頼んで待っているとやがてイチカさんがやってくる。

ここは今までと違う事だけど、まだ3日しか経っていないながらも少しづつ慣れてきた。持つべきものは友達だね!...初めて持ったけど。

 

「おはよっす。ナナ、今日はスープなんすね。」

「おはようございます。何がいいか色々模索中ですね。そういうイチカさんは今日もトースト?」

「いやー私これ大好きで、毎朝これじゃないと落ち着かないというか...」

「まだ3日じゃないですか。」

「そうっすけどね?」

 

イチカさんは初日に会って以降、よく一緒にいる。もはやこれは親友と言っていいのでは!?

まあイチカさんの方は結構交流が広いみたいですけど...

私が狭いだけ?うるせぇ!

 

「そういえば聞いたっすか?来月から私達も先輩たちとのバディを解消して本格的に部隊に組み込まれるらしいっすよ。」

「そうなんですか?うーん...それまでに剣先先輩から色々学ばなきゃいけないですね...」

「なんかナナってツルギ先輩に慣れてきたのか慣れていないのか分かんないっすね。」

「どういうことです?」

「いや、最初だったらツルギ先輩にビビりまくってたのに今はツルギ先輩から学ぶことに積極的だし、かと思えば昨日はツルギ先輩の笑顔で気絶したらしいし。」

「あれは剣先先輩が怖すぎるだけ!私悪くない!」

「誰もナナが悪いとは言ってないっすよ...」

 

しかし部隊かぁ...これを機に他の人とも交流を持っていかないとだなぁ...

ちゃんと交流ができるか...うっ考えただけでも胃が...

 

「どうしたっすか?」

「いやぁ、新しい部隊に入ったとして、友達が出来るかなぁって不安に...」

「不安がる必要ないっすよ。私ともちゃんと友達出来てるじゃないっすか。」

「それはイチカさんが私に構ってくれるからで...」

「とにかく、心配しなくていいんすよ。」

 

うーん...なんか納得いかない...

 

それから学校に向かって退屈な授業を...いや、ちゃんと聞いてるしノートも取ってますからね?中学生の時もちゃんとテストとかしっかり点取ってましたからね?そうじゃないとトリニティ総合学園に入学なんてできませんから!

 

やがて放課後になって、今日は1日パトロールになるらしい。私は剣先先輩と合流して校外へと出ていきます。

トリニティ総合学園校舎の周りには様々な施設や街並みが立ち並び、放課後になって買い食いやショッピングを楽しむ生徒の姿で賑わっていました。

みんな、友達とわいわい騒ぎながら楽しんでる...いいなぁ...

ふと隣にいる剣先先輩を見てみると剣先先輩も周りの様子を珍しく凶悪ではない表情で眺めていた。

これは...なんの感情だ?全く読めん...

 

そうやって二人で歩みを進めていると、近くにあった店から銃声が聞こえてきた。

 

「...ナナ、行くぞ。」

「っはい!」

 

剣先先輩に合わせて私も走り出す。剣先先輩、もしかして私に合わせてくれている?前ほど速くない...まだ少しづつ離されるけど。

 

「おいおい!こんな破れた服が2万もするとか頭おかしいんじゃねーの?」「い、いや、これはそういうデザインでして...」

「はあ!?破れた服なんか誰も買わねーだろ!可哀想だから私がもらってってやるってんだよ!」「いや、それは売り物ですのでちゃんと料金を払って頂かないと...」

「払うわけねーだろ!これは私が...」「おい。」

 

私が剣先先輩に追いつく頃には剣先先輩は店員に詰め寄るスケバンの真後ろに立ってスケバンを見下ろしていた。剣先先輩、背筋伸びてる!

 

「それはこの店の商品だ。しっかりと元の場所に戻して、店員さんに謝罪しろ。」

「ひっ...すっ、すいませんでしたあぁ!!!」

 

あ、スケバンが商品を投げ出してそのまま逃走した。

 

「ひゃっはああぁ!!」

「え、ちょっ!」

 

スケバンを追って剣先先輩も奇声を上げながら走り出す。え、これ私どうすればいいの!?お店側の対応!?剣先先輩を追う!?

あ、迷ってる間に剣先先輩を見失った...

とりあえず腰を抜かした店員さんを起こして、最初に教えてもらった事件対応進めてくか...剣先先輩が捕まえてくるだろうけど、一応犯人の顔も控えておいて...

 

「店員さん、こちら被害届の書類になりますので、必要事項の記入をお願いします。」

「あ、ああ。ありがとう...」

 

それから店員さんの書いてくれた被害届を確認しているうちに剣先先輩がスケバンの首根っこを掴んで引き摺ってきた。

 

「ほら、最後のチャンスだぞ」

 

そう言って剣先先輩がスケバンの首根っこを離すとスケバンは流れるような仕草で地面を滑り、めちゃくちゃ綺麗な土下座を披露した。

 

「大変申し訳、ございませんでしたああああ!!!」

 

うお、ものすごい気迫...まるでこれで許されなければ私は殺されてしまうと言ったような迫力を感じる。

隣の店員さんもその気迫に押されたようで後ろに下がっていた。

 

「あ、ああ。ちゃんとお金を払ってくれるならいいんだ。ほら、ね?顔上げて...」

 

その様子を尻目に剣先先輩が私の方に話しかけてきた。

 

「置いていってすまなかったな。書類の処理、助かった。」

「あ、いえ...私は店員さんにお願いしただけですので...一応確認、お願いします。」

 

そう言って私は被害届を剣先先輩に見せると程なくして先輩が頷いて書類を返してくれた。

 

「これでいい。よくやったな。」

 

おおー...たかが書類の処理だけど、こんなでも褒められると嬉しいもんだ。

 

そのまま私たちはパトロールに戻る...かと思われたが、同じ通りで急に大量の銃声が響き渡った。

 

「おらおらおらぁ!ここは私らキラキラヘルメット団のナワバリじゃあ!」「何寝言言ってんだ!ここは私らの縄張りだぞ!お前らァ、姐さんのために死守すんぞ!!」

「ひゃっはあ!お前らどっちも纏めてお縄だぁ!!」

 

えぇ...もう次の事件起きたの?しかもこれ多分大規模な戦闘になる...とりあえず一旦は先に飛び出して行った剣先先輩に任せて私は支援要請を飛ばそう。

 

よし!とりあえず何もしないのは違うし、私も剣先先輩の手伝いを!

 

そう思って飛び出していき、そのまま近くにいたヘルメット団の頭にショットガンを当てる。至近距離でヘルメットに弾を当てられたことでフルフェイスヘルメットにヒビが入り、それによって緩んだバイザーが落下する。

 

「わっあっ、バイザーが!!やめて見ないでぇ!!」

 

え?蹲って震え出しちゃったんだけど...

 

「なんだお前はぁ!正実には関係ねぇだろうが!」

 

そう言ってスケバンが突っ込んでくる。

関係ないわけないでしょ!周りが迷惑してるんだから今すぐ止めて!

私はそのままスケバンの頭に照準を合わせて引き金を引こうとするが、突如として体が動かなくなり、そのままスケバンのアサルトライフルの雨に晒されてしまった。

 

痛みを自覚する暇もなく、私は意識を落としてしまった。

 

 

 

「はっ!」

 

目を覚ますとそこは知らない天井...いや、最近見たな。

寝かされていたベッドから身を起こし、そのままベッドを降りようとしたところで扉が開いた。

 

「あ、起きたんですね。おはようございます。

身体は大丈夫ですか?どうやら正面から銃弾の掃射を受けた様子でしたが...」

「あ、はい。大丈夫です。」

 

まだちょっと痛むけど、まあ許容範囲だ。動くのには支障ないし。

 

「それは良かったです。私は鷲見セリナ。まだまだ新米の救護騎士団員ですが、よろしくお願いしますね?」

「よ、よろしくお願いします...えっと、篠崎 ナナです。」

 

そういえばそうか...私、あの時撃てなくて...負けちゃったのか...

 

「とりあえず先輩と友人に連絡を送ってあげてください。心配していましたから。」

「あ、ありがとうございます。」

 

渡されたスマホを開くとイチカさんと剣先先輩、早乙女委員長から心配の連絡が来ていた。

...えっもうこんな時間!?夜7時じゃん!?

 

「嘘っ!?かっ帰ります!」

「あっ、今日は泊まっていてくれて構いませんよ?」

「あーえっと...いや、帰ります...」

「それでは私が車を出しますので乗っていってください。寮ですか?」

「あっはい、そうです。」

 

何この人優しい〜...ものすごく柔らかい声で落ち着く...

 

そのまま鷲見さんに寮まで送って貰って部屋に帰るとそのまま夕飯を食べることなく眠ってしまった。

 

翌朝私が食堂に向かうとイチカさんが先にいつもの席に座っていた。

 

「おはようございます。今日は早いんですね。」

「っ!おはようっす!昨日は...大丈夫だったんすか!?」

 

おおう...勢いすごいな...昨日モモトークで返信したはずだけど足りなかったのかな?

っていうか目開いてる。珍しいねぇ...

 

「大丈夫ですよ。ケガも残っていないですし、今日から復帰できます。」

「それなら...良かったっす。」

 

イチカさんが力なく椅子に座る。...そんな心配してくれていたのかとなんだか嬉しくなった。

 

それから私も朝食を注文して席に戻る。

 

「お、今日は...ロールケーキっすか?」

「うん、あんなでかでかと枠作られたらちょっと気になっちゃって。」

 

ちなみに味は普通のバニラロールにした。それじゃあいただきまーす。

 

「...どうっすか?」

 

1口食べて固まった私にイチカさんが恐る恐る聞いてきた。

...なんというか...

 

「普通に美味しいんですけど...朝に食べるものでは無いですね...」

「あはは!まあそうっすよね。」

「頼んだからにはちゃんと完食するけど...ちょっとコーヒー頼んできます。」

「おぉ、ナナはコーヒーも飲めるんすね。トリニティ生ってなんか紅茶主義のイメージがあるっすから。」

 

確かにトリニティの飲み物といえば紅茶だな...校内のペットボトルもお茶か紅茶ばっかりでコーヒーって見ないもんね。

私はコーヒー結構すき。砂糖もミルクも入れるけど。

子供舌じゃないからな!辛いのも割と好きなんだからな!!

 

その後何とかコーヒーで甘ったるさを誤魔化しながらロールケーキを完食した。

もう二度と頼まん...!

 

それから何時もの授業を終えて放課後、正義実現委員会の施設に向かうと剣先先輩と早乙女委員長が入口に立っており、私を見るなり私の元に走ってきた。

 

「ナナ!大丈夫か?あれから救護騎士団に任せきりにしてしまってすまなかったな。」

「すまないナナ。私の監督不行き届きだ。」

 

おおう...みんな結構心配してくれたんだな。

...結構心配させてしまったんだな...

 

「大丈夫ですよ!特に傷も残ってないですし!今日もよろしくお願いします。」

 

私はあえて元気に声をあげ、腕をまくって力こぶ(無いけど)を作ってみせる。

 

「そうか...無事なら良かった。まだ君は正義実現委員会に入ったばかりだ。あまり無茶しなくていいんだからな。」

 

そのまま今日の訓練に入っていく。

今日は演習だったため、剣先先輩と演習場に向かう。演習場に到着すると、相手ペアもちょうど到着したらしかった。

 

「あ、ナナちゃんだー!今日の演習、よろしくねー!私、リンネ!」

「あ、篠崎 ナナです。よろしくお願いします...!」

「あわわわわ...ツルギさんが今回の相手...!?わわわ...」

 

今回の相手はスナイパーライフルを担いだ同期、名前はリンネさんとの事。

私の相手ことごとくショットガン不利じゃない?嫌がらせか!?

そして剣先先輩のお相手さん...ご愁傷様です...

 

雑談もそこそこに全員が配置に着くと程なくして開始の合図がなる。

それと同時に私は目の前の障害物に向けて駆け出した。

 

この間イチカさんに完膚なきまでに叩きのめされてから、隠密の仕方を教えて貰ったり、経験を積んだりした訳では無いがそれでも教えてもらわないと何にもできない私ではないとあの日から色々考えたのだ。

さっきは嫌がらせかと言ったが、実は今回はそれを試す絶好の機会。...嫌がらせかとは本気思ったが。

 

その1!自分の体が隠せるか微妙な障害物にはなるべく隠れない!もしそこに行ってしまっても早く離れる!

 

その2!周りを見る時は顔を半分だけ出して索敵する!相手の隠れやすい位置を予め予測してから索敵を始める!なるべく顔を出す時間は短く!

 

その3!相手の位置がわかってないまま進むのは危険!フィールド全域をできるだけしらみ潰しに索敵していく!

ただし今回は相手がスナイパーライフルなのは確定しているので、相手陣地の最奥、高台に当たりをつけてなるべくその視界に映らないルートを心掛ける!

 

よし行くぞ!

 

 

...あそこに居るとして、それなら次は右回りにあそこのコンテナへ...!

 

...あそこに居るとして、次はこの中を通ってそこから出る...!

 

よし、だいぶ何事もなく進めてる...しかし大丈夫だろうか?このまま進んで行ったとして、相手は本当に高台にいるのだろうか...もしかしたら既に見つかっていて絶好のタイミングで当てるために泳がされているんじゃ...もし見つかっていないとしても、相手はいつまでも高台に残って索敵をしているだろうか...?

 

うぅ...マイナス思考が滲み出してきた...隣の演習場からは随分前に剣先先輩の奇声と相手の悲鳴、ショットガンの発射音が響いてから静かだ。おそらくもう試合は終わって、この間と同じなら、私たちの試合を観戦しているだろう。私に色々教えてくれている剣先先輩に情けないところは見せたくない!

私は意を決して飛び出し、ようやく高台の下にやってきた。本当にここにいるのかは不明だが、もし高台にいればここは死角。登るのは容易だろう。

逆に高台に居なければ他から見たら螺旋階段を登る私は格好の的だろう。

だけどここまで来た以上、私は意を決して階段に足を運ぶ。そしてそのまま誰かに撃たれることもなく、階段を登りきる。しかし道中、階段を登る音を抑えられなかった。もし中にいるとしたら既に気づかれているだろう。私はショットガンを構え、覚悟を決めると扉を開けて中に入り込んでいく。

 

案の定、リンネさんはこちらにサブウェポンのハンドガンを構えていた。

 

高台の構造を知らない上にどこにいるのか分からない私に対して、相手からすれば私が入ってくるのはこの扉一択。早撃ちの勝負では勝ち負けは明白だろう。だけど今回はそうではない。私は、自分に向けられた拳銃の弾を何とか気合いで耐え、リンネさんに向けてショットガンを構える。

 

 

 

 

 

しかし、私の身体はショットガンの引き金を引くことなく目の前の相手の弾丸に身を踊らせるばかりであった。

 

あぁ...やっぱりか...

何となくそんな気はしていた。

 

私は諦めたようにショットガンを手放し、相手に降参の合図を送ったのだった。




私が当初想定した物語からどんどん逸れていく...
元々入れようとしていた話が先延ばしにされたり、急に新しい話が入り込んだり...
プロット作るくせにそれの通りに進まないのは今まで書いた作品でもそうだったけど、いい加減直したいよなぁと思ってます。

現状なんにも考えてないんだけど、ナナのメモロビいる?

  • いる。
  • いらない。
  • どっちでもいい。
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