「おはようイチカ。早いね。」
「ナナもっすよ。まだ十分前っすよ?」
「それはイチカもじゃんか。」
私たちは2人とも、今日はオフの日。
ということで、今日はトリニティの街に繰り出してデートをしようということになっていた。
11時に待ち合わせということになっていたのに、今は10時50分。最初は同じ寮住みだし一緒に行こうかという話があったが、イチカが待ち合わせがいいと言ったことで待ち合わせになった。
そんな早く来ていたイチカの手には中身の減ったペットボトルが握られている。
...絶対もっと前から来てたよね...
まあイチカも触れる気がないからこっちも触れないでおこう。私は彼女を立てられるからね!
「ナナ、その服可愛いっすね。」
「ありがとう。イチカは、かっこいいね。」
今日は付き合い始めてから初めての制服以外でのデートということで、服装も奮発した。
私の今日の服は白のトップスに薄い黄色のスカート。
トリニティに戻ってきてから、最初に買ったお気に入りの服だ。
一方のイチカは黒いカーディガンにショートパンツ。黒の服は普段から正義実現委員会の制服がそれがそれだから見慣れてるかと思えば、普段とはまた違ったボーイッシュスタイルにこっちもドキドキしてしまう。ほんとイケメンだな...
そんなことを考えながら最初に二人で向かったのは和風レストラン。ランチには結構ちょうどいい時間だしね。
「おーすごい綺麗なところだね。」
「そうっすね。結構良いところを選んだから、色々あるっす。好きなのを頼んでいいっすよ。」
「...まさかとは思うけど、奢る気?」
「もちろん。」
どこまでカッコつける気だこいつ。...かっこいいけど。
「さすがに申し訳ないから自分の分は自分で払うよ。」
「いやいや払うっすよ。ここ結構高いし、選んだのは私っすから。」
「だからって奢られるのは...イチカとは対等でいたいの。...ダメ?」
そう言ってイチカを見上げ(イチカの方が少し身長が高い。)少しだけ小首を傾げる。
今日の服装も含めてイチカに可愛いと思って貰えてるが故の必殺技、BURIKKO仕草である。
...自分で言ってて、自意識過剰みたいで恥ずかしくなってきた。
それでもイチカに可愛いと思ってもらえてるのは事実だし、私自身も可愛いと思ってもらいたいと思ってるし、そもそもこれはイチカ1人に支払いをさせない為であって、私自身が自分を可愛いと思ってるからやっている訳ではなくて。(早口)
「...分かっててやってるんすか?」
「なんのことでございましょう?」
「...わかったっすよ。自分の分は自分で払うってことで。」
よし勝ち取った。
これならわざわざBURIKKO仕草をしたかいがあったというもの。照れ隠しに普段したことが無い口調が飛び出したけど、お気になさらず。
それから席に着いて、お互い注文をする。
私が天ぷらそばで、イチカが焼き魚の定食だった。
ほんとにメニューの幅広いな...
「そういえばナナ。」
「ん?」
やってきたランチを食べながら談笑していると、イチカが切り出した。海老天うまうま...
「昨日の夜なんすけど、水着徘徊をしている生徒を拘束したんすよね。」
...なんか物凄く聞いたことある話だなぁ。
「...その生徒は、2年生ですか?」
「はい。」
「...その生徒は、ピンク色の髪をしていますか?」
「はい。」
「...その生徒は、成績が良いですか?」
「部分的にそう?」
「......その生徒の名前は...浦和ハナコですか?」
「...はい。」
やりやがったなあの淫乱ピンク!
もう水着徘徊する理由ないだろ!退学にならなくて良くなったんだから!!
...まさかとは思うけど、退学はただの建前で本当に趣味で水着徘徊してるんじゃないだろうな...
「...後でモモトーク送っとく...」
「お願いするっす。」
浦和ハナコ
『それ良いですね♡』
淫乱ピンク
『どうしましたか?ナナちゃん。』*1
もう必要ないでしょ』
淫乱ピンク
『あら、ナナちゃんも私から日課
を奪うのですか?
私はもうあれが無いとダメになっ
ちゃうのに』
下手すれば私もハナコを捕まえな
いといけないんだけど。』
淫乱ピンク
『私を捕えるだなんて♡
一体どんなことをされてしまうの
でしょう♡』
ダメだこれ。話が通じない。
私はスマホから目を背けてそっ閉じした。
「ごめんイチカ。」
「...いや、察したっすよ。」
問い詰めに行ったら悪化(?)するとは思わないじゃん。
まさか本当に退学が建前だとは思わなかった。
多分あれはもうダメだ。もうほっといて良いんじゃないかな。
私がハナコのことを思考の外に無理やり押しやって、食べるのを再開すると、先に食べ終わっていたイチカが食後のデザートを注文していた。食べるのはやー。
「ナナはなんか頼むっすか?」
「いやー私はいいよ。」
デザート思ったよりも高いし、イチカを待たせるのもしのびないからね。
「...。」
お蕎麦うま...お出汁うま...海老天うまうま...
「お待たせしましたー、デザートのバニラ&チョコ&抹茶パフェDXでーす!!」
「おわ、写真よりデカいっすね。」
うおでっか。これハスミ先輩が一人で食べるようなレベルの大きさでしょ。
というか名前。全部乗っけりゃ良いや感すごいな...
「というかイチカ、それ全部食べられるの?」
「無理っす。」
「え、じゃあなんで頼んだの?」
私の質問に、イチカはウィンクを返してきた。
「だからナナも...ね?」
あー、そういう...どんだけかっこつければ気が済むんだこのイケメン...!!...貰うけど。
「うまっ!...これハスミ先輩にオススメされたんすよね。」
「やっぱりそこ紹介なんだね。それじゃあ私もそば食べ終わったし、貰うね。」
あ、ほんとに美味しい。しかも色んな味があるから飽きなくていいね!
バニラうまー。チョコうまー。抹茶うまー。
バニラうまチョコうま抹茶うま。
え?まだあるの?
バニラ、チョコ、抹茶。バニラ、チョコ、抹茶。
...おい。下から大量のフレークとフルーツが出てきたんだが...うま。うまうま。
「いやー、美味かったっすねぇ!」
「そうだね...多かったけどね。」
「それはそうっす。」
昼食を食べ終えた私たちは、街中をぶらぶら歩きながら雑談していた。
パフェはたしかに美味しかったんだけど、いかんせん量が多くてね...
ハスミ先輩あれひとりで食べてたの?それであのプロポーション保ってんの?大丈夫?1日3食ちゃんと食べてる?絶食とかしてるんじゃないの?
私が心の中でハスミ先輩を心配しながら歩いていると、いつの間にかイチカが私をじっと見つめていた。
「どうしたの?」
「...せっかくのデートなんだから、私以外のほかの女のことばっか考えてたら嫉妬するよ?」
ほかの女て。
私が悪かったからそんな目をかっぴらかないで!ちょっと怖い!
そんなこんなでイチカに連れられながら歩いていると、気がつけば次の場所に到着していた。
「服屋?」
「そうっす!でも今回はちょっと特別っすよ!」
そう言ってイチカが指さした先にはでかでかとこう書かれていた。
「夏の水着フェア...水着かぁ。」
「今年こそはナナと一緒に海水浴に行きたくて考えてたんすよ。今日はその準備っす!」
なんかやけにイチカのテンションが高い理由がわかった気がする。
これは...私が着せ替え人形にされるやつですね?
案の定というか、その後はイチカが大量に持ってきた水着の合わせパーティが始まった。
シンプルなものから華やかなデザインのものまで、様々な種類のデザインのラッシュガードの組み合わせをひたすら試し続けていた。
「あ、これも良い。これも可愛い...迷うっすね...」
可愛いって言われるのは嬉しいけど、さすがに長くないかなぁ...
結局1時間ほど経ってようやく買う水着が決まった。
ちなみに私の水着が決まったあとは、お返しということで今度はイチカを着せ替え人形にした。
「やっぱかっこいいのもいいけど、可愛いのも似合うね!さすがイチカ!次これ!」
「...。」
いやーこれはイチカが時間かけてた気持ちもわかるね!
いつものイチカもかっこよくて好きだけど、可愛いのを合わせられて恥ずかしそうにしてたイチカも可愛くて普段とのギャップで...
最高でした!!(脳内クソデカボイス)
そして1時間後、イチカの分の水着も買ってようやく終わった。
途中店員から「コイツらまだいんの?」みたいな目で見られてた気がするけど、気にしない方向で行きましょう。
最終的に買った水着は私の方が、黒地のオフショルダーにスカートタイプと、カーディガンタイプのラッシュガードだ。
そしてイチカの方が、同じく黒地のシンプルなビキニに、赤と黒を基調としたショートパンツとジャケットのラッシュガードだ。
ベースをお揃いにして、その上にそれぞれのイメージに合ったラッシュガードを組み合わせた形。
お揃いの水着にした上で似合うものを選べたと、私たちはホクホクで会計を終えた。
会計の時に店員がゲンナリしていたような気がするけど、気にしない方向で行きましょう。
「これで今度こそ一緒に海に行くっすよ。」
「うん、もちろん。今度計画立てよ。」
店を出た時には気がつけばもう15時。時間経つの早ー。
「じゃあ次は久しぶりに、遊ぶっすよ!」
そう言ってイチカが指さした先にはモール内のゲームセンター。割と大きいところのため、飽きるまで遊びつくせるだろう。
まず私たちは対戦型の格闘ゲームで遊んだ。
私は初めてだが、イチカの方は慣れているらしく、操作の手がスムーズだ。
私がキャラクター選択画面で迷っている間にイチカの方はパッと変な髪型の犬の獣人、ガイを選んだ。
こういうのは初めてだけど、まあ覚えるために私はスタンダードっぽい主人公の犬の獣人、リューを使ってみるとしよう。
『俺より強いやつに...会いに来た!』
おぉ、主人公っぽいセリフ。しかもこの自信。もしかして最強キャラってやつを選べたんじゃないだろうか?
『ソニッブー!ソニッブー!サマッソ!』
K.O!!
前言撤回。ダメだこれ。イチカの選んだガイの方が強いわ。
『ハドォkグワァ!ハドォkグワァ!』
『ソニッブー!ソニッブー!』
あの...こっちの攻撃届かないんですけど...あっちの方が速いんですけど!
くそぉ!ずっとしゃがみやがって!エリンギみたいな髪型しやがって!
「あはは!どこかでジャンプしないと勝てないっすよ!」
「ジャンプしたら蹴られるんですけど!ってあっ!」
K.O!!
「勝てない...イチカ強すぎ!」
「ナナ、ほんとに初めてっすよね?」
「初めてだよ!勝てないよ!」
「いやー、初めてで必殺技がそんなに出るなんて、ナナは才能あるっすよ!」
嫌味かぁ!?お前もエリンギみたいな髪型にしてやろうかぁ!?
「ぐぬぬ...いつかリベンジしてやる!」
そんな一幕がありつつも、それ以降はクレーンゲームを楽しんだ。
「もうちょっと前!ちょい左!」
「取れる取れる!ってあぁ!?」
「落としちゃったっすね。しょーがないっす。」
「うぅ...私のでかぬいが...」
モモフレグッズまみれの中でついに見つけた可愛いウサギのぬいぐるみだったのに...一目惚れだったのに...
「...ちょっと待ってるっすよ。」
そう言ってイチカが奥の方へと消えていく。
戻ってきた時、その手にはカップに入った大量の硬貨が握られていた。
「え、いいの?私もう軍資金ないんだけど...」
「任せるっすよ!可愛い彼女の為っすからね!」
「い、イチカー!!」
その後、ものの5回でイチカがぬいぐるみを取った。
す、すげぇ...
「はい、どうぞっす!」
「イチカありがとう!一生大事にするから!」
「そう言われると、取ってあげたかいがあるっすね。」パシャリ
「...今、写真撮った?」
「撮ったっすよ?可愛かったっすから。」
うー...恥ずかしい...この歳になってぬいぐるみでテンション上がってたということに遅ればせながら気付いた。多分今、私の顔は真っ赤っかだ。
その後はプリクラで写真を撮って落書きして、ふたりで写真を分け合って、そうしているうちにいい時間になったから解散となった。
「イチカ、今日はありがとう。ほんとに楽しかった。」
「それなら良かったっす。また一緒に出かけるっすよ!」
家に帰った私は、水着を大切にしまって、ぬいぐるみをベットにでかでかと掲げて、プリクラの写真を壁に飾った。
うん。今日は最高の思い出だ。
また一緒に、イチカと出掛けたい。
これから先もずっと、イチカと思い出を作っていく。
自分が認められないだなんて、どんなに諦めても、どんなに逃げても、イチカが私を見つけ出してくれる。導いてくれる。その事実が私を前へと進めてくれる。
「うん。もう、大丈夫。」
胸に手を当てて、私1人だけの部屋の中でそう呟く。
言葉は誰に向けたものでもない。私自身にすら。
私が私を諦めない、とは未だ言いきれない。もしかしたら、また自分を卑下してしまうかもしれない。
自分でも狡いとは思う。
それでも、この胸の高鳴りがある限り。
あの笑顔を思い浮かべる度。
あの声を想像する度。
あの手の感触を思い出す度。
私はこの恋を自覚する。この愛を胸に据える。
だからもう、きっと大丈夫だ。
難産でした!
デートってどういうことするんや?という疑問と他の方々の作品も読みたいし、リアルでも色々とやりたいしで...
少しずつでも進めて行けたらなと思ってはいます!
まだメモロビもやってないしね。
あとメモロビ画面風のレイアウトの使い方分からんかったす。