どうか私を、終わらせて   作:めめ師

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申し訳ありませんけど、今まで毎日更新してたところを更新頻度落とします!ちょっと展開詰まっちゃってる上にキャラエミュの為にブルアカやってくるんで...


私には

とある日、私は学園内にある礼拝堂へと足を踏み入れていた。

 

少し前のカウンセリングで鷲見さんから「1度足を運んでみては?」と勧められたためだ。

中に入ってみると何やら荘厳な雰囲気の広がる空間に、部屋の奥には大きな像が立っていた。

...雰囲気すごいな...それっぽい。

 

私はその礼拝堂の端っこに設置された小さな小屋へと入っていく。

ここは懺悔室。己の罪や過ちを告白し、神様に許しを乞うための場所だった。

私が中へとはいるとすぐに格子のついた仕切りの先から声が聞こえてきた。

 

「ようこそおいでくださいました。ここであなたの罪を告白して下されば、主はきっとお許しくださるでしょう。ご安心を、ここでの告白は秘密厳守となっておりますので。」

 

うーん物々しいな...私神様とかあんまり信じてないんだけど...

 

「...生きることは罪になり得るのでしょうか?」

 

信じてはいないが、許しを乞うべきだとすれば、私にとっては生きることそのものだろう。

...これが罪だとして、死ねば許されるものかは知らないが。

 

「生きることは罪ではありませんよ。ですが、生きていれば誰もが過ちを避けられないでしょう。そういった過ちを告白し、許しを受けるための部屋がここです。」

「...生きることを諦めることはどうでしょう?」

 

神様が人を作ったのなら、人を生かすのなら、それに背くのは、果たしてどうなのだろうか?

 

「......生を諦める方は、それ相応の理由を持ちます。

その理由を教えて下さいますか?それが許されれば、生を諦める必要も無いでしょう?」

「他人に迷惑をかけたとして、他人を傷付けたとして、他人から奪ったとして。

神様に赦されれば、人は私を許すのですか?」

 

迷惑をかけられた人は、傷付けられた人は、奪われた人は。加害者が神に赦された時、はたしてその罪を許すのだろうか?

 

「...懺悔とは、罪を償う行為ではありません。その目的は告発者の心の平穏と魂の浄化の為にあるものなのです。」

 

それを聞いた時、私は落胆した。

つまるところ懺悔とは、加害者の自己満足だ。

こんな所で喋ったところで、なんの償いにもなりはしないのだと。

 

「そうでしたか、失礼しました。...もう結構です。」

「お、お待ちください!」

 

私は懺悔室を出ていく。何やら静止の声が上がっていたが、もはや私がここに留まる意味は一切ないだろう。

なぜなら...

 

「たとえ神様に赦されようと、被害者に許されようと。

...私は私を、赦しはしませんから。」

 

 

そのまま射撃訓練場に戻った私は、いつものように拳銃に慣れるためにひたすら的撃ち抜いていく。

 

そこにイチカさんがやってきた。

 

「今日、礼拝堂の懺悔室に行ったんすよね?どうだったっすか?」

「特に何も...私には合いませんでした。」

「そうっすか...安心していいっすよ。それでも私はちゃんとナナをサポートするっすから!」

「...そこは心配していませんよ。」

 

諦めてくれても、別にいいのだけれど。

諦めてくれる方が、私が私を諦められるのだけれど。

それでもきっと、イチカさんは...

 


 

最近、正義実現委員会にはとある噂が広がっていた。

それはナナが自殺しようとしているんじゃないかというものだった。

 

噂程度ではあったが、少し前に彼女が行方不明となったこと。何があったのか、当事者のツルギからは教えて貰えなかったが、あの時のナナが居なくなったとわかった時の狼狽え様を見るに、恐らくツルギは何かを察していたのだろう。

 

加えてもうひとつ、どこから浮かんできたものかは分からないが、以前ナナが自身の側頭部に拳銃を押し当てていたという目撃談が上がっていた。キヴォトスの人間がその程度で死ぬことは無いのだが、ツルギ程の耐久力を持たない子は少なくとも気絶するだろう。下手をすれば後遺症すら残るかもしれない。

何より、そんなことをする意味が一切分からない。

 

先の噂はそれらを総合した結果の推測で広がったものだろう。

 

ナナ...入学初日から入部希望届けを一番に持ってきていて、きっとやる気に満ち溢れた後輩なんだろうと思っていた。

さらには委員会に入ってすぐ、実戦で戦果を上げていた。

数日前には休日にイチカと出かけている場面にも遭遇し、私からはナナも楽しんでいるように見えた。

傍から見れば彼女が自殺をしようとしているだなんてことは戯言だと思っていた。

 

しかしだった。噂が広がって程なくして、正義実現委員会の皆が講堂に集められた。しかしその中にはナナの姿がない。

前に立ったフタバ委員長が声を上げた。

 

「今回集まってもらったのは他でもない。...ナナについてだ。

最近正義実現委員会内部に広がっている噂、みんなも聞いただろう。ナナが自殺したがっているんじゃないか、と。」

 

それを聞いたみんなはざわつき、そんな中でイチカが立ち上がって言った。

 

「フタバ委員長!?まさか...言うつもりっすか!?」

 

イチカは何か知っているらしい。彼女はナナと仲がいいから、きっとそれも関係しているのだろう。

 

「...こうも噂が広がった以上、仕方の無いことだ。根も葉もない噂を広げられる前に、事実を説明した方がいい。」

「ナナには、このことは?」

「言っていない。ナナのことだ、きっと背負い込んでしまう。だから、みんなに理解してもらい、その上でナナの負担とならないように協力して欲しいんだ。

...すまない、話が逸れたな。

まずナナが自殺しようとしているんじゃないかという噂について、殆ど事実と言って差し支えないだろう。

ナナが抱えるのは希死念慮と言って、死にたい、消えたいと考えてしまうというものだ。

現に一度、行方不明となった際に1度自殺を試みている。

今の段階では自殺を試みる程ではないようだが、今後もそうだとは限らない。

ナナは、他人に頼るのを極端に嫌う。そうなった時、自分を責めてしまうようなんだ。

皆にナナを支えるように強要するつもりはない。ナナを支えるのは今まで通り、私と、ツルギと、イチカで行う。

ただ、ナナのことについて、理解して欲しい。否定しないで欲しい。...彼女が何を抱えようと、私たちの仲間だ。正義実現委員会の目指す正義は、きっと彼女の力になってくれると私は信じている。」

 

フタバ委員長が話終わると講堂内が一気にざわつき出した。みんな口々に心配の声やどうして行くべきかを話していた。

みんな、心の底ではそんな訳ないと思っていた。それが今回、事実だと言われてしまった。

今この中には誰も、彼女を否定しようだなんて考えている人はいなかった。

 

「...少しよろしいでしょうか?

ナナのことについては、先程言われた通り、フタバ委員長とツルギ、イチカに任せることとしましょう。

私たちは今までどおりに、ナナと接する。

ですが私達も、もちろん心配なのです。ですのでどうか、どうか私たちになにか出来ることがあれば、遠慮なく仰って下さい。みんなもそれでいいでしょう?」

 

私が周りを見渡すとみんな頷いていた。

うん、正義実現委員会に入ってきてくれた仲間たちはやっぱりみんな良い子だ。私の意図を組んでくれたようだった。

 

「みんな...ありがとうっす。私たちが困った時は、みんなに頼るっすから!」

 

こうして新しい仲間を迎えて以降初めて、正義実現委員会(わたしたち)は一丸となって動き出したのだ。

 

 

その中に混ざっていない子が1人、居るけれど。

 


 

最近なんかみんな優しい気がする。

よく大丈夫?とか聞かれるし、なんか先輩から差し入れとかを貰うことも多くなった。

...なんかあったっけ?...うーんわからん。

わかんないことは考えても無駄だろう。うん。

それじゃあ今日も訓練に励むとしますか!

今日は演習訓練。私はあれから何度も演習訓練をやってきたが、赤っ恥をかいた初戦とイチカさん以外には未だに負け無しだった。もしかして私結構強い!?と錯覚するほどだ。とはいえ、隣で戦う剣先先輩の演習訓練の様子を見ては自信を無くす日々なのだが。

 

それから私が演習訓練に励んでいる時、施設全体に突然警報が鳴り響いた。緊急通報だ。

パトロールをしている人達だけでは対処をしきれない案件が発生したらしい。私達は訓練を中止し、急いで出撃準備を済ませた。

 

私が配属されたのは剣先先輩の部隊。

...剣先先輩暴走しない?部隊指揮とか出来r「ひゃっはぁ!!」...ほら言わんこっちゃない!!

部隊が揃った瞬間に飛び出していった剣先先輩の様子に周りの誰も反応出来ていない。

 

「いっ行きましょう!剣崎先輩なら多分痕跡を残しながら向かうのでそれを辿る形で!」

 

私もそう叫んで剣先先輩に遅れないように走り出す。後ろを見るとみんな戸惑いながらも着いてきていた。

剣先先輩は基本、重要な施設とかがない限り、迂回することなく直線で壁を壊しながら目的地に向かう。

重要な施設を避ける考えがあるなら最初から壁をぶち抜かないで欲しいものだ。

一応被害のひとつとして報告書書くことになるんだぞ!

 

私は拳銃だから身軽で思いっきり走れるけど、他のみんなは前線で大暴れする剣先先輩のサポート用という事で後方部隊の人達だった。スナイパーライフルやライトマシンガンを担いでいるので、どうしても足が遅くなってしまう。これ配員ミスってない?

どうやら今回は迂回することなく一直線で向かえた様なので後ろが見失うことはないだろうと私も真っ先に現場へと走った。

 

私が到着すると現場は正義実現委員会VSスケバン集団の大規模な戦場となっていた。

前線で目立つ剣先先輩の近くにある遮蔽物に私も身を潜めながら様子を伺う。

周囲には横転した戦車が大量に転がっており戦闘の激しさを物語っていた。

 

...なんか相手集団の後ろの方にムッキムキな人居るんですけど。なにあの筋肉すっご。

 

とは言ったがあれは敵、私も加勢せねばと思い直して剣先先輩に突っ込んでいくスケバンのひとりに狙いを定め、私も銃を撃ち始めた。

 

 

それから戦場はなおも苛烈さを増していった。最前線はショットガン2丁で大暴れする剣先先輩とサブマシンガンを高速リロードで絶え間なく撃ち続ける早乙女委員長のふたり。

...ついでに正義実現委員会の戦闘員唯一の拳銃使いで射程距離の短い私。

その後ろにはイチカさんや他のアサルトライフル使いや後ろを抜けた人たちを担当するショットガン部隊の人たち等がいた。狙撃もどんどん飛んできているため、私からは見えていないが、どこかにスナイパーライフルを持つ人たちも居るのだろう。きっと剣先先輩の部隊もそこに居るだろう。

 

私は突っ込んでくるスケバンに狙いを済まし、遮蔽物の間から弾丸を通す。

最初はキリがないと思われていたスケバンも少しずつ数を減らしてきていて、こちらも負傷者や離脱者を多く出しているため、勝ち負けどちらにせよ、この戦場はあと少しで片付くだろう。

敵の首魁と思しきムッキムキの人は今、早乙女委員長と対峙している。私はそれを横目に見つつもスケバン達に狙いを定めていく。

 

やがて前線からスケバンが引いて行った。撤退か?それにしては早乙女委員長たちの戦闘は全然決着しそうにない。それならと早乙女委員長に加勢しようと飛び出した瞬間、敵の首魁が隣に横転していた戦車を持ち上げた。

そしてそれを早乙女委員長目掛けてぶん投げる。

 

委員長はすぐ横に避けて無事だったものの、戦車はそのまま加勢しようと飛び出した私に向かってきていて...

 

 

 

 

 

あ、死んだ。

 

 

 

 

 

私はそのまま目を瞑って頭を覆い...

...横から走った衝撃によって吹き飛ばされた。

 

目を開けると目の前にはひっくり返った戦車とその下敷きになった人影、そばには剣先先輩のショットガンが転がっていた。

剣先先輩が私を庇って、戦車の下敷きになってしまった。

以下にキヴォトスの人間と言えども戦車の下敷きになるほどのダメージを喰らってしまえばその先に待つのは...

 

「ギャハハァ!!いってぇなぁ!!」

 

けれど剣先先輩は戦車を押しのけて立ち上がった。

剣先先輩は身体中を血に染めて、もはや生きているのが不思議なくらいだった。それでも剣先先輩はそのまま早乙女委員長の加勢に入る。

 

私も...私も行かなきゃ...!

2人に実力は遠く及ばないけれど、それでも...!

 

分かってはいるけれど、足が動かない。そうやって座り込んだまま動けないでいる私の目の前を再び戦車が飛んで行った。次いで後方からの悲鳴。もしかしたら巻き込まれた人がいるかも...早く相手を捕まえないと被害者がどんどん増えていくかも...

微力でも、少しでも早く決着させるために私も行かなきゃ...

 

それでも私の足は、震えて動けなかった。

 

 

そのまま戦場は早乙女委員長と剣先先輩の正義実現委員会の戦力ツートップによって敵の首魁が捕らえられるという形で決着した。こちらも多くの負傷者を出しながらも、大量のスケバンを捕らえた。途中撤退を選択した連中は、潜伏を続けたため捕えられなかったが。

 

今回の戦闘によって正義実現委員会はかなりの痛手を負った。

 

多くの戦闘員の負傷、それも重傷のため殆どは入院となり、その中には全治半年以上というものまでいた。

正義実現委員会委員長、副委員長を始めとした多くの先輩方がこれによって前線を離脱し、何故か2日程度で完治した剣先先輩を始めとした動ける者の部隊がいくつか組まれた。

その中にはイチカさんの姿もある。彼女は無事だったのだ。

 

 

 

でも、私はそこにはいなかった。

 

 

 

あれから私は戦場に立てなくなった。戦場に立つと、あの時の光景がフラッシュバックする。飛んでくる戦車に、あの瞬間感じた死の匂い。

それは噴水に沈んだ時よりも鮮明に私の心を蝕んだ。

 

私はもうきっと、戦場に立てない。

私は前線に居ないため、救護騎士団の病棟に通い詰め、負傷者たちのフォローに回った。

 

「ナナちゃん大丈夫?戦場に立てなくなったって聞いたけど...」

なんで心配されているんだ。心配するべきはこっちの方だ。

 

「ナナ、無理はしなくていいからな。そういうことは誰にだってある。」

無理をするなはこっちのセリフだ。早乙女委員長は私が来る度に痛むであろう身体を起こして、目線を合わせて話してくれる。

 

「ナナ、私たちは大丈夫だからね。ほら、自分のことに集中していいから。」

大丈夫なわけがないだろう。全治半年以上の怪我を負って何を言っているんだ。

 

私が負傷者全員と話した時、みんな同様に私を心配する声をかけてくれた。

 

私をだ。負傷もしていないくせに戦場から離脱し、そのまま逃げた臆病者を。

誰も私に恨み言を言ってくれない。戦場から逃げた臆病者だとか、負傷もしていない癖に戦わないクズだとか。

 

せめて誰か一人でも、私を貶してくれれば違ったのだろうか?誰か一人でも私を殴ってくれれば。

 

そうであれば私はまだ。ここに居られたのかも知れない。

 

 

ここは正義実現委員会。

その名の通りに"正義"を実現するための部活。

正しいことのために活動する。

みんなそうだ。負傷した自分よりも戦場に立てなくなった私を心配してくれる。人手の足りない中で戦場から去った私を励ましてくれる。

 

そうだ。みんな正義なのだ。自分よりも他者を優先していた。

 

そんな中で、私は。私だけが、自分を優先していた。

剣先先輩に庇われた時、私にあったのは庇ってくれた剣先先輩への心配でも、今尚戦う早乙女委員長への加勢でもなく。

 

死ななくて良かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

そして死ねなかった。

 

 

 

私だけが、自分を見ている。自分だけを見ている。

私は程なくして悟った。

 

始めの動機からそうだったのだけれど。

 

私には正義は語れない。

私には正義は相応しくない。

私には正義は背負えない。

 

私はみんなのようにはなれない。

 

やがて私は、早乙女委員長へ辞表と一緒に1ヶ月以上を共にした黒い制服を渡したのだった。




懺悔室での描写ですが、宗教がどうだとかいったいとは全くありません。ですが、不快に思われる方も居られるかもしれないので謝罪します。
大変申し訳ございませんでした。

そして超怒涛の展開になってしまった!
もうちょっとゆっくりやるつもりだったのですが、ひたすら演習とかパトロールとか描写してもダレるだけだなと思ったので。
そしてこれまた晴らすのが難しい方向に進んでいきました。どうしよっか?

現状なんにも考えてないんだけど、ナナのメモロビいる?

  • いる。
  • いらない。
  • どっちでもいい。
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