【完結】司令官(プレイヤー)の顔がわからない低レアさんの苦悩 作:ソシャゲ低レアさん
物語構成・設定・最終調整は作者によるものです。
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注)本日、第十話と第十一話を投稿しています。
特別メニュー(お仕置き)開始日
私は、ポポラのお仕置き――特別メニューのために、訓練場に来ていた。
柔軟をしていると、第6班のみんなと一緒に、司令官さんが訓練場に入ってくるのが見えた。
来るとは思っていなかった私は、思わず目を見開く。
司令官さんは私に気づいたようで、軽く手を上げ、そのままこちらへ歩いてきた。
――顔は、やはり黒と白の糸のようなものに覆われていて、見えない。
「おはよう、ケーラ」
「し、司令官さん……お、おはよう……ございます」
顔を見ないように、勢いよく頭を下げる。
そのままの姿勢で、声を絞り出した。
「あ、あの……どうして、訓練場に……?」
――司令官さんが、私を見ているのが分かる。
「ポポラの特別メニューが少し気になってな。少し、見学させてもらいたい」
「……っ!!」
声が、喉に詰まった。
一度、大きく息を吸って、顔を上げる。
――目が、自然と司令官さんから逸れた。
「あ、あの……べ、別に、大して……お、面白くも、ないですよ?」
「ポポラがあそこまで嫌がる訓練に、興味が湧いただけだ。
もちろん、ずっと見るつもりはない。
短時間だ。せいぜい、十分程度だろう」
私は考えた。
性能だけで言えば、私よりポポラの方が、ずっと優れている。
そのポポラが倒れる訓練で、私だけが平然としている。
「……わ、分かりました。
で、では……早速、始めようと思います」
そう言って、私はポポラのもとへ駆け寄り、特別メニューの開始を告げた。
⸻
それから、司令官さんは連日、訓練場に姿を見せた。
――毎日、顔が見えないという事実を突きつけられる。
――毎日、視線が突き刺さるように感じる。
――それでも、
私は司令官さんの前で、ちゃんと立っていたかった。
司令官さんが見学を切り上げ、訓練場を後にしたと分かると、私は思わず、安堵してしまった。
――司令官さんがいなくなって、ほっとするなんて。
――見学なんて来なくていい、と思ってしまうなんて。
――それなのに、
私は逃げたことを、喜んでしまった。
自己嫌悪が、胸の奥で膨らんでいく。
その日、私は
普段より一割ほどきついメニューを、ポポラに課した。
ポポラはダウンし、ベンチに倒れ込む。
フィアが慌てて、その世話をしているのが見えた。
私は息を整えながら、次に何をするか考えていた。
「ケーラ」
思っていたより、ずっと近い場所から声がして、心臓が跳ね上がる。
司令官さんの視線が、つよくなった気がした。
「連日の訓練でも、だいぶ動けているようだな」
おだやかな声だった。
きっと、いつもどおりの言葉だった。
「あ、ありがとう……ございます」
それだけ言うので、せい一杯だった。
「……今の動きなら、討伐……に出ても……な。このまま、頑……」
司令官さんの言葉が、途切れ途切れになる。
耳鳴りが、
気づけば、じわじわと広がっていく。
「は、はい……わ、わか、りまし……た」
本当は、なにを言われていたのか、わからなかった。
耳なりが、さらにひどくなったきがした。
しれいかんさんが
さっていく
ぎゃくほうこうへ
あるきはじめた
そこで、
私の意識は、完全に途切れた。