【完結】司令官(プレイヤー)の顔がわからない低レアさんの苦悩 作:ソシャゲ低レアさん
※本作は執筆過程においてAIを補助的に使用しています。
物語構成・設定・最終調整は作者によるものです。
AIの使用はNGという人はブラウザバックをお願いいたします。
お気に入り登録、しおり、評価、感想ありがとうございます
⸻
夕方から夜に切り替わる頃、私は業務を終えようとしていた。
端末を閉じ、席を立つ準備をしていた、その時だった。
短い通知音が、静かな執務室に響く。
差出人は、ドクターだった。
(……何かあったのか?)
そう思いながらメッセージを開き、次の瞬間、思考が止まる。
【ケーラ隊員につき、過労による入院が必要と判断しました。
これに伴い、ポポラ隊員の特別メニューは中止とします】
(……ケーラが、過労で……入院?)
意味を理解しきれないまま、反射的に医務室へ向かおうと身支度を始める。
だが、その途中で、再び通知音が鳴った。
【なお、医務室判断により、当面の間、ケーラ隊員との面会はお断りします】
(……面会、謝絶……?)
画面を見つめたまま、膝から力が抜ける。
私はそのまま、椅子に座り込んだ。
そこから再び動き出せたのは、
日付が変わっていることに気づいてからだった。
──
──翌日。
医務室の前で、私たちは足を止めていた。
エルフィーを先頭に、第4班の三人。
そして、その少し後ろに、フィアが立っている。
ノックをすると、すぐに扉が開いた。
「どうぞ」
ドクターに促され、私たちは昨日と同じ、隣の小部屋へと案内される。
ソファーにエルフィーが座り、
私たちは、用意されていたパイプ椅子に腰を下ろした。
……その場に、司令官の姿はなかった。
誰も、口には出さない。
けれど、その不在だけが、やけに重く感じられた。
少し遅れてドクターが部屋に入ってくる。
扉が閉まる音で、空気が切り替わった。
「……待たせたわね」
ドクターはそう言って、私たちを一度見回したあと、
ソファーに腰を下ろした。
「まず、ケーラの容態だけど」
その一言で、空気が張り詰めた。
「意識はまだ戻っていないわ。
ただ、状態は安定している。今は、深く眠っているだけ」
その言葉に、ほんの少しだけ肩の力が抜ける。
けれど、胸の奥の不安は消えなかった。
ドクターは続ける。
「倒れた直接の原因は、過労。
それに加えて──過度なストレスが重なっていた」
「……ストレス?」
エルフィーが小さく聞き返す。
ドクターは頷いた。
「ただし、常に強いストレスを受けていたわけじゃない。
特定の状況でだけ、負荷が一気に跳ね上がっていた」
その言い方が、妙に引っかかった。
「本人も、それを自覚していた節があるわ。
無意識に距離を取ろうとしていたし、
同時に“避け続けること”にも、罪悪感を抱いていた。
ただ、このストレスの正体は──
本人が言葉にできるものじゃない。
説明しようとすると、
余計に負担がかかるタイプのものよ」
ドクターが私たちを見据える
「その“状況”に、心当たりはある?」
その問いに、私たちは言葉を失う。
無意識のうちに、エルフィーの肩に手を置いていた。
エルフィーは一度、深く息を吸う。
「……これは、あくまで第4班の憶測です」
そう前置きしてから、続けた。
「ケーラちゃんは、司令官さんを避けていたのではないでしょうか」
「ええっ!?」
フィアが思わず声を上げる。
一方で、ドクターは何も言わず、エルフィーを見据えていた。
「そう考えるようになった出来事が、いくつかあります」
エルフィーは、一つずつ言葉を選ぶように話し始める。
──顔合わせのときの、異様な緊張。
──訓練中の途中離脱。
──ポポラへの説教が、途中で中断されたこと。
「その全てに共通していたのは……
司令官さんが、ケーラちゃんの近くにいたという点です」
話し終えても、ドクターはすぐには反応しなかった。
沈黙。
その中で、私はふと、あることを思い出す。
「……ドクター、ひとつ聞いていい?」
ドクターがこちらを見る。
「司令官との顔合わせの次の日、
ケーラを検査したわよね。あの時の結果……」
唇を湿らせてから、続ける。
「『精神的に不安定』って、判断してたわよね?」
「「「……!?」」」
エルフィーたちが、息を呑む。
ドクターは手元の資料をめくり、小さく頷いた。
「……そう、だったわね」
ドクターはそれ以上、説明しようとしなかった。
その沈黙が、答えだった。
「……やっぱり」
思わず、声が漏れる。
「ドクター」
エルフィーが静かに言った。
「あなたは、ケーラちゃんから“何か”を聞いているんですね」
ドクターは、私たちを一人ずつ見たあと、
小さく息を吐いた。
「……ええ
ただし、それは──
今、ここで話せるものじゃない」
「どうしてですか?」
エルフィーの問いに、ドクターは首を横に振る。
「話せば、整理できるものじゃないからよ。
むしろ、言葉にしようとすることで、
ケーラ自身を追い詰めてしまう」
その言葉に、胸が詰まる。
「ケーラの状態は、一般的な症状とは明らかに違うわ。
原因も、経過も、はっきりしない。
だからこれは──
本人が、自分のペースで向き合っていくしかないの」
沈黙が落ちる。
耳が痛くなるほどの無音。
その中で、リリが小さく尋ねた。
「……リリたちは、何もできないの?」
ドクターはリリを見て、姿勢を正す。
「いいえ
……あなたたちは、司令官がいない時のケーラを知っているでしょ?
その時、彼女は──本当に、辛そうだった?」
思い返す。
談笑した時間。
一緒に食事をした時間。
訓練で笑った時間。
どれも、穏やかで、楽しそうな表情だった。
気づけば、頬を熱いものが伝っていた。
エルフィーの肩も震えている。
リリも、フィアも泣いていた。
私たちはまた、抱き合って泣いた。
──
「まったく……二日も泣き腫らすなんて」
ドクターに渡された濡れタオルで目を冷やしながら、そう言われる。
呆れた口調とは裏腹に、声は穏やかだった。
少し落ち着いた頃、ドクターが尋ねる。
「これから、どうするの?」
エルフィーが私たちを見て、頷く。
「ケーラちゃんを支えたいです。
ケーラちゃんが抱えているものを、少しでも軽くしたい」
ドクターは一人ずつ私たちを見てから、大きく頷いた。
「……分かった。あなたたちなら、支えられるかもしれない」
微笑み、そしてすぐ真剣な顔に戻る。
「あなたたちの推測通り、ケーラは司令官を避けている」
一度、息を吸う。
「特別メニュー中の見学も……
自分から歩み寄ろうとした結果だったのかもしれないわね」
……ケーラらしい、と思ってしまう。
でも、それで倒れてしまったら──意味がない。
「私は診察しかできない」
ドクターは頭を下げた。
「ケーラを支えること、お願いしてもいい?」
私たちは顔を見合わせ、頷く。
「「「「はい!」」」」
「ありがとう。目を覚ましたら連絡するわ」
ドクターはそう言って医務室へ戻っていった。
私たちは顔を見合わせ、少しだけ笑う。
「会議室で、これからのことを話し合いましょう」
先を歩くエルフィーの背を追いながら、私は思う。
──ケーラも、ここにいればいいのに。
そう願いながら、私は歩き出した。